Ace Combat -Retrieval of the sky-「空の奪還」   作:鳳翔

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実は#0も#1の一部に入れようと思って書き進めていたのを突如分けて投稿したので、突然投稿頻度が短いですが#1です。
メビウスやラーズグリーズ、ガルーダやガルムのみんなが大集結です。


#1 Training -訓練-

ニュースの翌々日、セント・ヒューレットのオーシア空軍省から電話がかかってくる。

電話の内容はやはり「連合軍に参加しないか」という内容のものだった。俺はしばらく悩んで、Yesと答えた。

 

俺には妻も子供も居ない。母親は俺が12歳の時に病気で死に、父親は街を歩いていたところを突然エルジアの兵士に撃ち殺された。幸か不幸か、俺が死んでも、悲しんでくれる人はいない。

 

ほぼ死にに行くようなものだ。

 

7月23日にザップランド航空基地という場所に来て欲しいと言われた。

 

期日に間に合うよう準備を進める。「おそらく長く帰ってこれない」と言われたので、大体の生活必需品をキャリーケースに詰め込んでそのザップランドへ出向いた。

 

飛行機と電車に揺られてたどり着いたのは航空基地...ではない。刑務所だ。

基地が柵で囲まれてるとこまではいい。ただ転々と存在する見張り台、内側を向いて朽ち果てた砲塔...。

 

基地(?)に到着し、入り口で名前を聞かれ指示された場所へ向かう。色んな国の人々が、同じような格好をして基地に入っていく。学校のグラウンドとも似た砂の大地が広がる。

 

通りすがりの金髪のチャラそうな男に聞いてみた。

ここはその昔大規模な懲罰部隊の基地だったらしい。その男自身も昔ここに収監されたんだとか。

モスボール機やスクラップを少々綺麗にした一品をたくさん並べ、敵を引き付ける「ハリボテの基地作戦」ともいえる作戦に使われた刑務所だったと聞く。

放置されたモスボール機をレストアし、使える状態にするというのだ。

 

だがそんなことができる奴が世界にどれだけいる?

 

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私にあてがわれた部屋ー。または牢獄。

 

入り口は鉄製のドアで、「下水が逆流するから使うな」と言われた小さなトイレが一つだけ。完全に独房だ。

ただ志願兵の数百人全員に分け与えるほどの部屋数があるのだろうか。

 

「今日は何をしていても自由だ」と言われたので、スクラップの保管場へ向かう。

 

F-15やF-18、B-52のモスボール機が大量に並んでいる。珍しいのだとMirage-2000のとか、 Su-33のも転がっていた。

 

一角にある整備場からしきりに音が聞こえてくる。

そこで工具箱を広げてエンジンを覗き込んでいたのは、1人の女。

彼女は名を「エイブリル・ミード」と言った。

 

話を聞くと、彼女もまたかつてここに収監された囚人で、モスボール機やスクラップを復活させる唯一の人員として呼ばれたんだと。

「そんなことができる奴」がこんなところにいた。

 

何でも開戦とほぼ同時に、自分で長い期間をかけてレストアしたスターファイターを飛ばして、戦時航空法違反で捕まったとか。とんだ災難だ。

しかしスクラップから飛べる機体を作るとは驚いたもんだ。

 

彼女には少し前からこの計画が知らされており、ここで数人の人と生活し飛べる機体を作り続けていたという。

俺は彼女に少しの労いの意も込めて、途中の自販機で買ったスポーツドリンクを置いていった。

 

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翌日。

 

この日はTACネームの確認・変更と、乗る機体の確保だった。

 

俺のTACネームは「トリガー」。我ながら簡潔でかつ格好いい名前だと思っている。

エンブレムの発注も済ませた。黄色い毛をしたキツネが銃を咥えている。

 

機体選定は、並べられた大量のモスボール機から早い者勝ちとの事だったので、かつての搭乗機だったF-15Cを選んだ。

機体の組み立ては空軍時代の戦績によって決められるらしく、俺なんかは多分真ん中かそれより下くらいだ。

 

9月とはいえ残暑が暑い。建物の中に戻って涼もう、そう思った時だった。5機のF-14が大きな音を立てて滑走路から飛んで行った。

彼らの機体は真っ黒で、垂直尾翼が僅かに赤い。

 

ラーズグリーズだ。彼らもここに来ていた。

 

「オイ!あの4機を見ろ!」「4機?俺には5機に見えるが。」「いーや俺も4機だ!」「正直者にしか見えないんじゃねぇのか?」

 

飛び去っていく彼らは、4機だった。

 

なにかの見間違いだろうか。

 

いや、飛んで行った彼らは間違いなく5機編隊で飛んでいた。

 

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俺の機体が完成したのは、10月の初め頃だった。

ちょうどエンブレムが到着した翌日に完成を迎え、新生「トリガー」が生まれた。

 

噂によれば、あの「ラーズグリーズ」の他にも、エルジアを叩き潰した「メビウス1」やエメリア・エストバキア戦争を終わらせたという「ガルーダ」もいると聞いた。

 

全員の機体が揃ったのは11月の終わりごろ。

 

ここからは実際の模擬戦で訓練だ。半径200キロ以内に無人機の接近を探知した場合、全員に着陸命令が下されるようになっている。

 

俺の班(と言っても全員を大きく4分割しただけだが)に割り当てられた教官は、ジャック・バートレットともう1人、あの片羽の妖精、円卓の鬼神の僚機、ラリー・フォルクだ。好きな方の授業を受けろという。

フォルクは...「せっかくサイファーと再会できたのに同じ班じゃない」と小学生のような駄々を捏ねていた。

 

皆フォルクの方を受けたがるが...俺は顔が見れただけで十分だ。人混みは好きじゃない。

俺は端っこの方で寂しそうな目をしていたバートレット大佐の方へ向かった。

 

結局バートレットの元へ集まったのは俺ともう1人ー。基地に入った時に声をかけた金髪の彼だ。

 

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訓練が始まった。

 

バートレットはコールサインを「ハートブレイク・ワン」と言った。

金髪の彼のTACネームは「カウント」。一匹狼タイプで、言ってしまえばめんどくさい奴だ。

 

教官機はF-14D。俺とカウントはF-15Cだ。

 

久しぶりの飛行。スロットルを少しずつ上げ、タイヤが滑走路を蹴る。

ゴトゴトゴトゴト...という音が消えたかと思うと、スっという浮遊感を感じる。

 

空を飛んだのは何時ぶりだろう。

 

しかし、あまり感動している暇もない。いつ無人機達がこの基地に飛んでくるか分からないのだ。

訓練はなるべく早く終わらせた方が吉だ。

 

バートレットもそう思ったのか、急かすような口調で言う。

 

「オイひよっこども、聞こえるか?カウント、お前はハートブレイク2だ。例によってトリガー、お前もハートブレイク3だ。俺のケツについてこい。分かったな?」

 

「りょーかい。ケッ」

「オイ2番機!なんだその態度は。」

「ひよっこ扱いはやめろ。今まで何機落としてきたと思ってんだ。」

「ぴよぴよさえずる暇があったら俺のケツを追いかけろ。良いな?」

「ハァァ〜...うんざりだぜ。」

 

「3番機了解。」

 

カウントってやつ、なかなかのくせ者みたいだな...。

 

「こちらAWACSホワイトアイ。ハートブレイク全機へ、模擬戦開始を許可する。」

 

「んじゃ、手始めに模擬戦開始だ。普通の訓練ごときじゃ野郎は墜とせねぇ。撃墜判定をちょいと弄ってやる。レーダーで3秒ロックするか、機銃のヒット判定に3秒捉えたら撃墜だ。下限高度は3000フィート。今日は、俺はただ逃げ続ける。お前らは俺を狙うことに専念しろ。」

 

なかなかにハードな訓練メニューだ。

 

「俺とお前ら、1対2でまずは勝負だ。全員散開!」

 

「久しぶりのドッグファイトだ。血が騒ぐぜ。トリガー、キルは俺が頂くからな。」

「望むところだ!」

「全機散開!模擬戦開始!」

俺、カウントとバートレット、それぞれの機が散ってゆく。

 

「んじゃ、行くぞ!そーれ方位350。ヘッドオン!」

 

俺だってヘッドオンで墜とそうなんて無茶な真似はしない。

バレルロールで下に避けてやり過ごし、そのまま機首上げして左にひねる。眼下を飛んでいくバートレット機。あのF-14を視界にとらえ続け、まずは後ろにつく。

 

ただここで回避されるのはすでに予想済みだ。案の定右上に避けていく。一周回り込んで後ろにつく算段なのか。同じ軌道を描き彼の背中を追いかける。カウントも同じ作戦なのか、俺の真後ろを飛んでいる。こいつ、なかなかいい機動をするがキルは俺のもんだ。

 

彼の真後ろにつき、レーダーが彼をとらえる。

 

ピ、ピ、ピ、ピー...1秒、2びょ...

 

いきなり機首上げしたF-14が頭上を飛び去って行く。

 

コブラか。

 

ならこっちにも作戦がある。コブラをやってるときは下が見えない。要するに下方向に逃げれば目をくらますことができる。

 

機首を下げ、そのままジェットコースターのように一周する。

地平線が正常な位置に戻った時、やはり目の前にはF-14が飛んでいた。

 

捉えた。

 

ピピピピピーーーー。

 

撃墜だ。

 

「やるじゃねぇかトリガー。」

「フンッ!クソッ!」

 

ゼェ...ハァ...ゼェ...ハァ...

 

一気に疲れが襲ってくる。

 

滑走路の都合で昼過ぎから訓練が始まったので、もう日が落ちてきている。

 

「よぉし、今日はここまでだ。2人とも、よく頑張った。明日は朝からやるぞ。」

 

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翌日も、言った通り朝から訓練だった。

 

「あいつを墜とすにはとにかく数こなすしかねぇ。今日も模擬戦だ。今日は俺もお前らを狙う。お前らは俺を墜としにかかれ。いいな?」

 

その翌日も、翌々日も、その次の日も、俺たちはひたすら模擬戦を繰り返した。

 

俺たちの敵、ADFX-10。

IALAでのコールサインは「レーベン」だった。

 

「カラス」か。

野郎の機動は、カラスと呼ぶにはトリッキーすぎる。

 

俺はあいつと1度戦ったことがある。

 

それはもうとんでもないヤツだった。

ロックできたと思ったらすぐ避けられる。それどころかヘッドオンで機銃弾をばらまいてくるのだ。

 

仲間がどんどん死んでいく。

同じ基地の隊の奴らは八割が落とされた。

生き残ったのは別隊であるゴーレム隊のブラウニーと、俺の所属するメイジ隊の隊長クラウンだけ。

 

しかもブラウニーはその時単機で被弾撤退中であり、戦って生き残ったのはクラウンと俺だけだった。

 

死んで行った奴らの仇を取るためにも、やつらを殲滅せねばならない。

 

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それは雪の降る寒い日だった。

 

いつも通りバートレットと訓練を終え、基地に帰投しようとした、その時。

 

「警告!ボギー1、ハイスピード!こいつはレーベン!クソ、なぜレーダーに捉えられなかった!?」

「レーダー網にはスキマがある。そこを抜けてきたのか...。考えたな。」

 

「約10秒後にエンゲージ!全機速やかに着陸せよ!」

 

「無人機が飛翔体を発射!」

「飛翔体だと!?」

「レールガンか!?そんなものまで積んでやがるのか!」

 

「グリム!そっちに向かってる!」

「アーチャー、ブレイクしろ!今すぐ!」

「了解!アーチャー、ブレイk」

 

シュヴァッッッ!

 

滑走路にアプローチしていた黒いF-14の片翼を、飛翔体がぶち抜く。

 

「グリム!その機体はもう限界だ!イジェクトしろ!」

「大丈夫、まだ電気系統は生きてる。今のうちに脱出します!」

 

F-14からイジェクションシートが飛ばされパラシュートが開く。そして、片翼の無い機体が海面に打ち付けられる。

 

「ちくしょう!ちくしょう!ミサイルが来t」

「誰かあいつを何とかしろ!」

「ダメだ!機体に引火!脱出しm」

「どんどんやられてくぞ!」

 

「トリガー!カウント!基地に戻るぞ!急げ!」

 

しかし、その時俺の口はとんでもないことを口走った。

 

「隊長、俺、行きます。」

「なんだと!?トリガー馬鹿!やめろ!」

「俺は帰るぜ。勇気と愚行は違う、俺の家ではそう教えられるんだ。」

 

「トリガー、ほんとにやる気なのか?」

「はい。私には家族も愛する人もおりません。ここでこいつと戦って、皆が助かるのなら、死んで行った仲間達の仇を取るためにも、私は戦いに行きます。」

 

「そうか...。そこまで言うなら行ってこい。」

 

「ありがとうございます。トリガー、エンゲージ!」

 

目の前を白い機体が横切る。左に飛んで行った。そのまま左に旋回し、後ろを取る。

「今なら当たるか?」

 

だがまだ撃たない。焦るな。こいつの後ろを取るのは簡単だ。だが撃った瞬間避けられる。ヤツはそのままクルビットしヘッドオン状態になった。レールガンを撃たれる前に回避。後方を確認し旋回。ヤツは太陽に向かってまっすぐ高速で飛んでいる。レールガンでもあれば当たるんだろうが、ミサイルはロックオンの圏外だ。

さてここからあいつ、どう動くか。

 

すると突然レーベンは急上昇を始める。

 

レーベンは上昇し反転、こっちへ向かってくる。またヘッドオンを仕掛ける気か。

なら今度は撃ってやろう。

 

レーダーロック。

 

Fox2!

 

ミサイルが無人機へ向かう。

「これは当たる!」

 

そう思った瞬間だった。

目の前に一本の赤い線が横切る。

 

レーベンはレーザー兵器を装備していた。

レーザーがミサイルを打ち砕く。

 

「クソっ!」

 

それどころか、ヘッドオンでレーベンがまき散らした機銃弾が数発命中し、レーザーも被弾。ラダーとエンジンが故障し、機体の制御が少しおぼつかない。

この機体が持つのは良くてあと5分だろう。

5分以内にこいつを墜とすか、今ここで脱出して機体を捨てるか。

 

いや、なにも死に瀕する危機なわけじゃない。

 

やってやろうじゃねぇか。

 

俺の心に火が付いた。

 

ヘッドオンを終え左側をすり抜けていったレーベンは上に急上昇しクルビット。後ろを取られたか。

ならこっちもこうだ!

操縦桿を引き、機首を上げる。

レーベンより高高度を取り、下にあいつが見えた瞬間思いっきり操縦桿を押し込む。こいつはコブラなんかができる高性能な奴じゃねぇ。でもそれらしいことならできる。

 

あいつを目の前に捉えた。

コックピットの計器は真っ赤になり、エラーを吐きまくっている。

 

小型の無人機は機首をこちらに向けていない。

やるなら今が最後のチャンスだ。

 

そう思い、俺は目の前のレーダーの点にありったけのミサイルを撃ち込んだ。

「...やったか?」

 

レーベンは黒煙を吐いている。

 

そして高度を下げ、目の前で爆散した。

 

破片が飛び散り、海へ落ちていく。

 

「こちらホワイトアイ。バンディット撃墜を確認。」

 

やった!

 

レーベンをやったんだ!

 

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俺はあの後、出火していた左エンジンを消火し、垂直尾翼が一枚ほぼ無くなった機体で何とか基地に戻ってきた。

地面に降り立ち、その場でキャノピーを開け冷たい滑走路に倒れ込んだ。

 

そこから先のことは、覚えていない。

 

俺が目を覚ましたのは、基地の救護室。

 

バートレットと、たくさんの人が俺を囲んでいた。

 

「大丈夫か?ブービー。」

 

「ブービー...?」

 

俺は体を起こした。

 

「あんな飛び方してたら死ぬぞ?」

「ああ、すいません...。つい...。というか、何この人だかり...?」

「トリガーがあの無人機を墜としたから、みんな『新時代のエースだ』、って大騒ぎしてよぉ。この部屋に集まっちまったのさ。」

 

「すげぇよあんた!」「まさかあいつをやっちまうなんて!」「あとで話聞かせてくれよ!な!」

 

「ああそうだ、俺はレーベンを撃墜したんだ。それで...?」

 

「あんたの機体はいま『スクラップクイーン』が直してくれてるってよ。」

 

俺は、付いてくる群衆を適当にあしらい、スクラップクイーンことエイブリルの場所へ向かった。

 

「トリガー、大丈夫なのか?部屋で休んでいた方が?」

 

「いや...大丈夫だ。それより、機体の方は...?」

 

「ハハ、お前も心配性だな。ああ心配すんな。あたしが必死になってスペアのパーツと組み合わせて直してる最中さ。今はちょっと休憩中でな。にしても、あんたどんなぶん回し方したんだ?ずいぶんとエンジンが焼けてたが?」

「ああすまん...。コブラもどきから何まで滅茶苦茶な動きをした...。あんな動きするのは初めてだ...。それに被弾してエンジン火災を起こしてたからな...。」

「そうか...。わかった。来週までには修理が終わる。それまでどうするかは、司令の指示を仰げ。」

「手間かけさせてすまんな...。それじゃ、俺は部屋に戻る。」

「あばよ、大馬鹿野郎。」

 

まああんな機動をしたんだから、大馬鹿野郎と呼ばれてもおかしくはない。

 

不思議と、不快感はまったく覚えなかった。

 

俺とバートレット、カウントは訓練の功績が認められ、翌日からTACネーム「サイファー」が率いる元ウスティオの傭兵部隊だったという精鋭部隊のひとつ「ガルム」の直属となった。

 

IALAの部隊構成の分類は大きく分けて2つ。バートレット、ラリーなどそれぞれの傘下にある訓練部隊と、教官機がいくつかに集結した実戦部隊だ。いずれは訓練部隊の連中もいくつかに分け、実戦部隊に配備しレーベンとの戦いを挑む腹積もりらしい。

俺たちは、俺、バートレット、カウントの順で3~5番機になった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日ガルム隊に突然配属を言い渡された3人のパイロット。

 

なんでもうち1人はあのレーベンを撃ち落としたパイロットらしいのだ。

 

俺はラリー・フォルク。

 

IALAの入隊依頼を受けこのザップランドにやってきたロートルのおじさんパイロット。

そこで再会したかつての相棒、サイファーと共に教官をやっている。

 

あの有名な「メビウス1」「ラーズグリーズ」に、国の端っこまで追いやった敵軍を反転攻勢でひっくり返したらしい「ガルーダ」などなど...。世界中のエースとの出会いは、俺にいろんな学びをくれた。

 

しかし、昨日の空中戦は凄かった。レーザーやレールガンを繰り出すレーベン相手に1人で立ち向かい、落としちまったんだから...。

 

俺はそのトリガーってやつに話を聞いてみることにした。

 

「レーベンを墜としたらしいが、なんかコツとかあるのか...?」

「いやぁ...全く分かりません。ブザーの止まらないコックピットでがむしゃらにあいつに食らいついてミサイルを撃ち込みまくる...ってとこでしょうか...?」

 

レーベンもトリガーも、なかなかのやり手なようだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は、かつて「国境なき世界」という、いわば宗教団体に所属していた。

 

核兵器で世界を焼き付くし、「国家」「国境」という概念を無くし戦争をなくそう、という思想だ。

 

俺はベルカ戦争の最後、その目的を果たすべく戦術核「V2」の発射ボタンを握っていた。

 

しかし結局、相棒ー 「円卓の鬼神」ことサイファーに阻止され、撃墜された。

 

ベイルアウトし降り立った先は、ベルカ公国が連合軍の進撃を食い止めるべく7つの核を放ったうちのひとつのクレーターであった。

そこで見た惨劇は、今でも忘れられない。

 

また核の火に燃え尽きた街が増えてしまった。

 

オーシア連邦首都、オーレッド。

 

核を放った潜水艦の艦長、マティアス・トーレス大佐は国際指名手配されているらしい。

トーレスの言い分は「オーレッドに核を放ち100万人を殺すことで、これから戦争で死にゆく1000万人を救う」ー。

 

随分とごもっともな意見だが...。俺には適当な理由をつけて殺したかっただけに見えてならない。

 

ベイルアウトした先で見たあの酷い光景が、いやもっと恐ろしい光景が、オーレッドに広がっているのだろう。

 

1人の身勝手な思想で、130万人の命が奪われた。

 

それに怒りを覚えると共に、過去の自分の愚かさをまた感じる。

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