Ace Combat -Retrieval of the sky-「空の奪還」   作:鳳翔

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#3 Conspiracy -陰謀-

「クラウンも言ってたわよ?『トリガーが死んだら大損失だ』、って。無理しちゃダメ!」

「無理しちゃダメってあいつのヘイトが俺に来たんだから仕方ないだろ?」

「まぁそうだけど...なんにせよ死ななくて良かったわ。ボロボロじゃないの、あんたの機体。」

「ああ...動翼をだいぶやられた...タイラー島ってとこまで持つといいんだが。」

「空を奪われてから海運が活発になった、って言うじゃない。脱出すればその辺の民間船が拾い上げてくれるでしょ。」

「ああ...。あとは無人機が来ない事を祈りばかりだ。」

 

「...待って、レーダーに反応あり!」

「こちらロングキャスター。撤退中の2機、無人機を1機探知。これはレーベンだ。君らの方へ向かっている。約40秒後にエンゲージ。メビウス2、ガルム4、ゴーレム1、援護に回れ。」

「ロングキャスターよりゴーレム5、俺も行きます」

「了解。」

 

噂をすれば、だ。

 

飛んできたのがさっきの新型無人機でないのがまだ救いか。

 

「ブラウニー、レールガンに気をつけろ。まあ気をつけろったって最初に狙われるのは俺だろうがな。っ!?」

 

早速レールガンが機体の真横をかすめる。ロングレンジ攻撃は失敗だ。

 

「2機だけの私たちを狙ってるのね...!上等よ!こっちにはエースパイロットがいるんだから!」

「俺の機体、もうろくに戦えねーぞ。」

「あっ...」

 

「よぉトリガー、そのレディとは上手くやってるか?おぉっと失礼。どうだ、戦えそうか?」

「いやあ...垂直尾翼をやられてるのでなんとも...」

「そうか。やれるとこまでやってみるが...マズかったらすぐに脱出しろ、いいな?」

「了解。」

 

「ブラウニー、援護に来たぞ。トリガーとの調子はどうだい?」

「何言ってるの!」

「アーコワイコワイ。で本題だが、俺たちがあいつを食い止める。その間にお前らはフォーメーションを維持したまま空域から離脱しろ。いいな?」

「ウィルコ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「作戦司令部よりアサシン、計画は順調か。」

<<はい。>>

「囮の無人機も到着した。目標はそのトリガー機、F-15だ。隣についてるのは?」

<<ゴーレム隊2番機、ブラウニーです。隊長はトリガーには及ばずともかなりの腕利きです。彼女はその側近とも言える存在です。トリガーともかなり仲が良く、基地内では恋愛感情が芽生えているのではないかとの噂も...>>

「分かった。目撃者はいない方がいい。そいつも殺しておけ。」

<<了解。>>

「ヘマをするなよ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「メビウス2、エンゲージ。」

「ゴーレム1エンゲージ!」

「ガルム2、エンゲージ。」

「ゴーレム5エンゲージ。」

 

真横から飛んできた無人機に、4機の統一感のない機体が近づいていく。

敵の真後ろに付いたのはガルム2。容赦なくミサイルを撃ちまくるが、敵の異常な回避性能の前には無力だった。

 

敵は最小限の回避を繰り返しながらまっすぐこちらへ向かってくる。

 

レーベンの先端が開いた。

 

あれはレーザーの発射口か?

 

俺は直感的に「避けろ!」と叫んでいた。

俺とその声に驚いたブラウニーが回避機動を取った直後、レーベンからのレーザーが真上を通った。

 

レーベンの発射口をまともに見たのは初めてだ。

俺とブラウニーはただひたすらに全速で空域から逃げていた。

レーベンはレーザーを撃ったあとずっと左の遠くの方へ抜けていった。

3機がそれを追いかけている。

 

反転してくる敵に備えなければ。

 

そう思っていた時だった。

 

ピッピッピッピッ...

 

「なんだ!?」

 

レーベンはあっちを向いている。

 

いくらバケモノ無人機だからって背後の敵はロックできまい。

 

だとしたら...

 

ピーーーー

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ...

 

ものすごい衝撃が襲う。

 

ただでさえ尾翼にダメージを喰らっている機体に、真後ろからミサイルを突き刺された。

 

真後ろにいたのは...ゴーレム5!?

 

「アサシン!?何をしているn」

 

直後、ブラウニー機にもミサイルが命中。

 

「ブラウニー!?」

 

油圧系統が全損。エンジンに引火し、様々な箇所に延焼している。

 

「ガルム3イジェクト!」

 

「ク」の辺りで俺はレバーを引いていたと思う。

 

キャノピーが割れ、座席が射出される。

 

俺は咄嗟にブラウニーの方を見た。

 

火を拭きながら墜ちていくF-18。

 

「脱出してくれ...!」

 

ブラウニーの機体からシートが射出されたのを見た時、俺は胸を撫で下ろした。

 

2人とも無事パラシュートを開き、海に着水する。

 

「トリガー!無事でよかった!」

「そっちこそ!」

「何が起きたんだ!?」

「分からない。でもミサイルが飛んできた時、後ろにはゴーレム5が...。」

「アサシンが?」

「ええ...。」

「でもどうして...。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<<撃墜は成功です。しかし2人とも脱出しました。>>

「そうか...分かった。またの機会を待とう。」

<<了解。>>

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺たちは付近を航行していたLNGのタンカーに拾われた。

そのタンカーは、ファーバンティ港からオーシア東海岸ー いや、今はエルジアの統治領だ。そこへ液化天然ガスを輸送していた。

タンカーはIALAの本部に連絡をしてくれたものの、一介のパイロットにそこまでしてやれるほど金持ちじゃないんだ、と冷たい返事が帰ってきた。

 

乗組員から食糧と水、少しのお金をいただき船を降りる。

 

せっかくならこの機会にー。俺は核で焼け焦げた首都、オーレッドを1度この目で見たかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

列車を乗り継ぎ封鎖線付近まで歩く。

 

辿り着いた封鎖線には、高い鉄条網が敷かれていた。

 

所々にディスプレイがあり、現在のオーレッドの様子と付近の放射線線量をリアルタイムで映し出している。

 

俺はその画面を見て立ち尽くした。

 

テレビで何度も見てきた長い橋。

 

まるで宮殿のような国会議事堂。

 

夜中に美しい輝きを放つ高層ビルの数々。

 

その面影は、どこにもなかった。

 

全てが、ぺしゃんこに潰されていた。

 

俺が子供の頃育った家も、郊外のマンションだ。

 

あの家も、こんな惨状なのだろうか。

 

ここで、なんの罪もない民間人が130万人も死んだ。

 

オフィスで働いていたのだろう。車で移動していたのだろう。高画質なカメラは、9月19日、まるでその瞬間に時間が止まったかのような廃墟空間を、嫌という程高画質に見せつけてくる。

 

俺はディスプレイの前に膝から崩れ落ちた。

 

どうして、焼かれなければならなかったのか。

 

目から涙がこぼれる。

 

戦争を終わらせる別の方法は、間違いなくどこかにあったはずだ。

 

大好きだった街、オーレッド。

 

俺は当時たかがIUNの1パイロットに過ぎなかったがー。

 

なにか、してやれることは無かったのかー。

 

元気づけるように肩をたたかれ、振り返るとブラウニーがいた。

 

なんとも言えなそうな表情の彼女の目には、涙が浮かんでいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの惨事から2年が経ち、立入禁止区域の外には新しい計画都市が築かれていた。

俺たちがタンカーで到着した街だ。

 

そこは街の名を「ニュー・オーレッド」と言った。

 

オーレッドは、あと100年は草1本生えない、と言われた。

この街が、東海岸沿いの主な都市らしかった。

 

IALAの支部は、そこにもあった。

俺とブラウニーはそのビルに入っていった。

 

街は夜中で静まり返っていた。

 

「あなた!!レーベンを撃墜したと噂の!!っはー、こんなところでお目にかかれるとは!!」

 

受付のおじさんが驚いた顔で俺を見ている。

俺の顔はすっかり世界中に知れ渡っているようだった。

 

俺とブラウニーは最高級の賓客の扱いを受け、国内最高級ホテルの最上階(朝食付き)から、ここからザップランドへ向かう特別船まで全て手配してくれた。

 

「一介のパイロットにそこまでしてやれるほど金持ちじゃない」んじゃなかったのか。

 

俺たちはただザップランドに戻りたいだけなんだがな。

 

翌朝。

 

朝食を食べ、指定された場所に行くと、そこには小型の沿海域戦闘艦がいた。

こいつはザップランドに停泊してたやつだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それに乗って基地に着いたのはまた数日後。

 

俺は基地でものすごい歓迎を受けた。

今回の新型機撃墜の戦果はほとんどメビウスのおかげ、しかもトドメを刺したのはカウントだ。ほっとんど何もしていないのだが...。

 

怪我は全くしていないが、一応2人とも医務室に連れていかれた。

 

しかし、俺には自分の体よりもっと心配なことがあった。

 

ゴーレム5。TACネーム「アサシン」。

俺たちを墜としたのがほぼ確定的な男。

 

俺たちの撃墜は、公式には「レーベンが発射したミサイルによる被弾」とされたらしい。しかしあの戦場にいればそんなのが嘘っぱちなのは明らかだ。

不審に思ったものの検証が面倒臭いのでそういう扱いにしておこう。そんな段取りだろう。

 

なお、輸送作戦は一応成功したようだった。またあの炸裂ミサイルが飛んできて、輸送機は2機まで減ってしまったという。命からがら生き延びた連中を空挺降下させ、作戦は成功ということになっているらしい。

 

ちなみに撤退中に俺たちを襲った無人機はそのまま撤退して行ったという。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パイロットが友軍を撃ったー。

 

そんな事実が明るみに出れば、IALAの面目は丸つぶれだ。

 

俺とブラウニー、そして俺の支援に向かった4人とロングキャスターは、謎の1週間の謹慎処分を食らった。

 

しかし、どうして彼は俺とブラウニーを撃ったのか。

 

それが分からない。

 

IALAによる陰謀?

 

でも俺たちを殺す理由が全くない。

 

本人に聞いても曖昧な答えを出すばかり。

 

彼は「死人に口なし」を狙っていたんだろうが、不運にも俺たちが生き残ってしまった。

 

基地の寮舎という締め切った空間の中で、俺は1週間そのことを案じ続けた。

 

新しい機体が出来たのは1ヶ月後の事だった。

俺たちが命懸けで運んだ戦車部隊は待ち伏せしていたグランダー社の戦車に全て破壊された。

空中では何をするにもレーベンの邪魔が入る。

 

戦況は大して変わっていなかった。

 

メビウス1と俺には、新型機撃墜(トドメはカウントが横取りしたものの)の成果が認められ、勲章が授与された。

 

疑惑のゴーレム5は、相変わらず悠々と過ごしていた。

 

「トリガー、どうした浮かれない顔して。」

 

声をかけてきたのはカウント。

 

「なんだ、この前の撤退の時のことか?」

「ああ。」

「どうせ面目ばっか気にしてるんだろうぜ、上は。」

「間違いなく、この中にグランダーの内通者がいる。」

「ああ、そうだな。」

「そして俺は、そいつらに命を狙われてる。ここまでは読めた。」

「...。」

「なんてこった...。」

「有名人も大変だな。」

 

「...カウント、お前はどうせ今日の晩も明日の晩も遅くまで遊んでるんだろ?」

「ああ...まぁそうだが。悪いか?」

「いや、そうじゃなくて。遊ぶなら俺の部屋の前でやって欲しいんだ。」

「は?」

「俺の部屋、お前の知ってる通り夜中は人気が少なくてさ。いつ包丁持った男に一突きされるか分からないんだよ。」

「それで、不審者が近づかないように近くにいろ、って事か。」

「そう。」

「あー...分かった。」

「頼んだ。」

 

謹慎処分でみんなで突っ込まれていた部屋から解放され、久しぶりに自室で睡眠だ。

 

窓は締め切った。

 

ドアの鍵も閉めてある。

 

部屋の目の前ではカウントが友人と酒を飲みながらチェスをやってる。

 

大丈夫、これで誰かに襲われることは無い。

 

部屋の電気を消し、ベッドに入った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その夜、悪夢を見た。

 

あの日の夢。

 

オーレッドの反戦デモのテレビ中継のさなか、突然映像が真っ白になり途切れた。

 

数分後に映像が復旧し、映し出されたのはアピート国際空港からの中継映像。オーレッドの都心からキノコ雲が上がっている。

 

「こちらはセントヒューレットにあるOBC支局です。先程オーレッドの本部との連絡が一切途絶えました。近郊の別支局からも応答がありません。現在情報を収集中です。何が起きたのか、こちらでも把握出来ておりません。現在政府発表を待つとともに、状況の把握を急いでいます。繰り返します...」

 

慌ただしいオフィスの様子がスタジオの後ろに見える。テレビは数分間同じ内容を喋り続けた。

 

「現在首都の様々な政府機関に連絡を試みていますがどこも全く応答がないということです。オーレッドに近いサピン王国やオーシア内陸部では、大きな爆発音を聞いたという報告や窓ガラスが全て割れた、という報告が相次いでいるようです。現在情報を収集中です。...」

 

その瞬間、ガラスが吹き飛び、室内に大量の紙、鉄くず、木材が飛んできた。

 

島中の木が大きく揺れ、格納庫の戦闘機が動いた。

 

何が起きているんだ。

 

「ただいまカメラが繋がりました。オーレッド近郊のアピート国際空港からの中継です。民間のライブカメラからの中継です。...えー...」

 

その映像が映し出された時、おそらく世界中の人々が息を飲んだ。

 

オーレッドから、とんでもなく高いキノコ雲が上がっている。

 

そして真下に広がる国際空港の惨状。

 

飛行機はターミナルに打ち付けられ、大破炎上していた。

 

「今入った速報です。オーレッドで大規模な爆発があった模様です。爆煙が雲の上まで広がっています。」

 

中継は、真っ直ぐ飛んできた扇風機がカメラを破壊し中断された。

 

「オーレッド湾岸部にある工場で大規模な爆発が発生した可能性があります。爆発の発生源は現在調査中です。繰り返します...」

 

テレビはまた同じ内容を繰り返し続ける。

 

テレビに目が釘付けになっていたその時、とんでもない情報が耳に入ってくる。

 

「続報です。オーレッドでの大規模な爆発ですが、核爆発の可能性が高いということです。依然として詳細は不明ですが、核爆発の可能性があるということです。えー...はい、ただいま入った臨時ニュースです。首都オーレッドで執務を行っていた大統領、全ての大臣と連絡が取れないようです。...」

 

核爆発?

 

「エルジア海軍省によると、オーレッドへの一連の攻撃は、エルジア海軍から離反した艦艇によるテロ行為の可能性があるとのことです。オーレッドでの核爆発は、エルジア海軍から離反した艦艇によるテロ行為の可能性があるとの事です。」

「続報が入ってきました。現在エルジアのファーバンティでエルジア王国のコゼット王女と和平交渉を行っているハーリング元オーシア大統領は、至急オーシアに帰国するとのことです。ハーリング元大統領は...」

 

目が覚めた。

 

とんでもない悪夢だ。

 

あの日から定期的に、こんな夢を見るようになった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌朝ー。

 

結局その後は寝付けずに徹夜した。

 

コーラを買いに自販機に向かう途中、ゴーレム4とすれ違う。

すれ違い様に思いっきり睨みつけてやったが、向こうは「私が何かしましたか?」といった目で俺を振り返ってくる。いや撃ったの間違いなくあんたやろがい。

 

それからも、基地に飛んでくるレーベンをただただ追い払うだけの日々が、1か月ほど続いた。

 

特にこれと言って面白いニュースもなかった。無人ドローンで空撮をしていた男が、離陸直後にちょうど頭上でレーベンに撃墜されたドローンに頭をぶつけ死んだくらいだ。そもそも民間人は一切の飛翔体を飛ばすことが禁止されているのでかわいそうともあまり思えない。

 

ぶっちゃけ、暇だ。

 

砂漠にふきっさらしの自分の機体を眺めたり、他の人の機体を自慢されに行ったり、あとはただスマホを弄り回すだけの生活には、もう飽きた。

何か新しいミッションはないのかと司令官室に凸りにも行った(自慢ではないがその戦績のおかげでIALA内での発言権は結構ある)が、「現在検討している」の一点張りである。戦局が膠着しているらしい。しかも向こうは新たな無人機を開発していることが、前の戦闘で明らかになっている。

 

暇が過ぎて実家に数日間帰る奴も増えてきた。

 

何か新しい刺激はないものか。

 

そんなことを考えながら誰もいない夜の食堂で、新しく公開されるらしい戦闘機映画のPVを眺めていた。

 

突然ガラガラガラ、と誰かが入ってくる。

 

「んおっ」

 

突然すぎて変な声が出た。

 

振り向いたところには、棒立ちしたゴーレム4「アサシン」が居た。

 

「何しに来た?」

 

...?

 

「どうした?」

 

なぜ何も言わない?

 

俺は嫌な予感がした。

 

...!

 

彼が突然動き出した瞬間、彼の手にナイフg

 

 

グサッ




まあ、そりゃこうなりますよね...()
グランダーも出る杭は打っておきたいでしょうが...。
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