Ace Combat -Retrieval of the sky-「空の奪還」   作:鳳翔

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#5 Agrios -アグリオス-

「ー残念だが、今回の作戦は失敗に終わった。」

 

「どこぞの石頭司令部のおかげでな!!」

「ヘッドクォーターだけに石頭ってか?おん?」

 

誰も諌めようとしない。皆同じ気持ちだ。

 

「敵施設に与えた被害は現在調査中だが、おそらく僅かなものだろう。」

 

「この野郎っ!!」

「何が『作戦を継続せよ』だ!結果は見え見えだろうがよ!!」

 

ブリーフィング室全体が、殺伐とした空気に包まれる。

1人が立ち上がり、プロジェクターの隣に棒立ちしている司令官ー、今回の作戦の張本人に殴りかかる。

 

誰も止める気力もないし、できることなら今すぐ同じようにしたいところだ。

 

ふと後ろを向くと、ロングキャスターが必死に泣きそうになるのを堪えていた。

 

ポケットからハンカチを取りだし、そっと渡してやる。

 

「確かに、今回の作戦で撤退指示が遅れたのは我々の責任だ。しかし、」

「なんだ!?今度はどんな奥の手の言い訳を用意してるんだ!?あぁ!?」

「聞いてやれ。」

「もう知らん!好き勝手言ってろ!!」

 

司令官はブリーフィング室からどたどたと足音を立てながら出て行った。

 

「説明責任も果たさずに逃げるってのか!!」

「ふざけんじゃねぇ!これじゃ死んでった仲間が浮かばれねぇよ!!」

「おい!逃げるな!戻って来い!さっさと...」

 

司令官を追いかけ部屋を駆け出して行った20人強の声と足音がフェードアウトしていく。

 

「ロングキャスター、大丈夫か?」

「ああ...。やっと落ち着いてきた...。」

「とりあえず、プレッツェルでも食いに行こうや。な?」

 

サイファーが声をかける。

 

プレッツェル...。ベルカで有名な、細長い生地をややこしく絡めたパンだ。

 

「ピクシー、トリガー、それとカウント、バートレット。お前らも行くか?」

「いや...俺は良い。」

 

冷静に考えれば、あの時俺が撤退していなければ、救えた命も少しは増えただろう。

しかもこっちは被弾した訳でもない。

 

ぶっちゃけていえば、あの時俺は自分の命しか頭になかった。

 

ただ、あの戦場から逃げ出したかった。

 

ハイエルラークに早く帰りたかった。

 

ある意味では、甘えかもしれない。

 

...ああいかん、またこんな話を考えてしまっている。

 

基地に戻ってきてから、ずっとこんな苦悩に苛まれている。

 

「IALA飛行部隊、ベルカで惨敗」「巨鳥アーセナルバードの前に抵抗虚しく」ー。

 

早速マスコミが報じている。

司令官は今回の作戦失敗の責任を取って辞任した。

 

生き残った俺たちは、ここハイエルラークからザップランドへ戻ることとなった。

 

「なお、ガルーダ隊、ガルム隊、ラーズグリーズ隊、シュトリゴン隊は、ユークトバニア連邦共和国の北、アネア大陸のエメリア共和国首都、グレースメリアへ向かえ。」

 

えっエメリア!?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ザップランドへ戻る部隊が、滑走路で離陸してゆく。

 

その中に混じって、行き先が全く正反対の我々が混じってタキシングする。

 

「ガルム3、離陸を許可する。」

 

短いハイエルラークでの生活を思い出しながら、ゆっくりと上昇してゆく。

 

ベルカよりさらに北の国、エメリア。

 

そこに4部隊だけ呼ばれるのに、何か特別な意味がないわけがない。

 

「エメリア...どんなとこなんだ?」

 

バートレットがつぶやく。

 

「とっても涼しくて、気持ちいい土地ですよ。私なんてエメリア生まれのエメリア育ちですが、ザップランドなんて暑すぎて死ぬかと思いました。」

 

そう答えたのは同行するガルーダ1「タリズマン」だった。

 

「涼しいのか...。いいな。」

 

同行するAWACSの名はゴーストアイ。機体にはかつてのエメリア空軍のラウンデルが貼られている。こいつが空域全体に超強力なジャミングをかけているせいで、レーベンは近づきにくいらしい。

 

「そういえば、だれかエメリアで何やるか聞かされてるか?」

カウントが聞く。

 

「さぁな。」

「分からん。」

「俺も知らんなぁ...。」

 

皆知らないとなると、とんでもない秘匿作戦に参加させられるのではないか。

 

一抹の不安と期待感が膨らむ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

たどり着いたのはエメリア首都グレースメリア...ではない。

 

あまりにも長距離移動なため、空中給油機ですら腹を空かしてしまうのだ。

 

我々がたどり着いたのはオーシア領の西の端、セント・ヒューレット軍港近郊の空軍基地だ。

懐かしいビル群、ここは俺の生まれ育った土地だ。

 

補給を終え、ハーリング元大統領が灰色の男たちに拉致された「エイカーソンヒル事件」で有名なエイカーソンヒルを横目にセレス海海上を行く。

 

またとんでもない距離の移動だ。

 

最初はペチャクチャ喋っていたメンバーも、疲れたのか無口になっていた。

かくいう俺も、だいぶ疲れがたまっていた。セント・ヒューレットで買った、すっかり常温に冷めたホットドッグを口に運ぶ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ガルム3、着陸を許可する。長距離の移動、ご苦労だった。」

 

グレースメリア空軍基地に到着した。

 

オーレッドやらファーバンティやらに比べると、やけに歴史的な街並みだ。

たしかここの旧市街は世界遺産に登録されていた。

 

せっかくだから観光を楽しみたいところだが、それどころでは無い。

 

「久しぶりだな司令官、元気してたか?」

「まずまずってところだ。」

 

元エメリア空軍のタリズマンと、今にも噛みそうな喋り方で喋る司令官らしき男が喋っている。

 

「よし、全員揃ってるな。ガルーダ隊、シュトリゴン隊、ガルム隊、ラーズグリーズ隊、よく来てくれた。グレースメリアに到着して、観光を楽しみたい気持ちはやまやまだが、残念ながら君たちには明日また少し『ラグノ要塞』まで飛んでもらわなければならない。」

 

本当に、よく噛まないな。

 

「君たちの飯代と寝床は用意した。今夜だけは存分に、美しきグレースメリアを楽しんでくれ。」

 

皆に封筒が渡される。中身は知らない模様の紙幣だ。

 

「こいつが『エメリアリラ』。5万リラだから大体...オーシアで言う30ドル強ってとこだな。」

 

30ドル...。晩飯1人分に配るには十分すぎる値段だ。

 

シュトリゴン隊のリーダー、トーシャ・ミジャシクがガルーダ1に話しかける。

「色々思うところもあるでしょうが...今夜は恨みっこ無しです。」

「ああ。」

 

そうか、彼らは2015年の戦争でのライバル同士なのか。

 

「みんな、今晩は一緒にピザでも食べに行かんか?」

 

タリズマンが言う。

 

「ピザか!本場のを1度食ってみたかったんだ!」

「いいじゃないか、俺も行く!」

 

「満場一致だな。じゃあ23人分予約を入れとく。」

 

ベルカ料理の次はエメリア料理か。

 

ー任務とはいえ、世界周遊ツアーも悪くない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌朝になった。

 

昨晩それぞれに親睦を深め合ったところで、今日の12時からまたラグノ要塞へ出発だ。

 

それまでは、機体の整備と互いの機体の褒め合いだ。

 

シュトリゴン隊の機体はSu-33。赤と黒の迷彩が特徴的だ。

 

ラーズグリーズ隊は、真っ黒のF-14に赤い帯。

 

ガルーダ隊は我々と同じF-15系列、対地攻撃タイプのF-15E型だ。

 

ガルーダ1は行先のラグノ要塞を攻略した経験もあるらしく、構造には割と詳しかった。

しかし彼でさえ、なんのためにラグノ要塞に向かうのか分からないという。

 

「秘密兵器でもあるんじゃねぇのか?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

グレースメリアを出発した。

 

ラグノ要塞へは、全速力で数時間。今までの超長距離移動に比べれば楽なもんだ。

 

「見えてきた。」

「あれがラグノ要塞だ。」

 

ダミ声AWACSゴーストアイがそう言う。

 

渓谷の大地の上に、巨大な要塞がある。

 

渓谷に目をやると...トンネル?

 

岩山をトンネルで貫通したのか?正気じゃない。

 

「こちらラグノ飛行基地。レーダーで貴機を確認した。着陸を許可する。」

 

こりゃまたザップランドに似た黄色い大地だ。しかしその大地は砂ではなく、岩肌だ。

 

首尾よく滑走路へ着陸し、指定されたハンガーに機体を止める。

 

「よくぞお越しいただきました。皆さん、ハンガーを出て、救護室の横を右折してください。それから...。」

 

誰かの放送が聞こえる。なんの放送だ?これは。

言われるがままに基地内を歩く。

 

「一体何が待ってるんだ?」

「この流れはアニメじゃデスゲームが始まるな。」

「冗談じゃねぇ。」

 

たどり着いたのは...小さな小屋。

 

その前に、1人の男が立っている。

 

「皆さん、どうも。この度は遠路はるばるお集まりいただきありがとうございます。」

「んで、一体用事は何だ?」

「すぐにわかります。どうぞ。」

 

そういうとその男は小屋のドアを開ける。

 

中は大きめのエレベーターだった。

 

全員、エレベーターに乗り込む。

 

「ガラガラガラ」という音と共に、柵でできたゲートが閉まり、ゆっくりとエレベーターは下降する。

 

「申し遅れました。私、元エストバキア空軍所属の、ヴォイチェクと申します。このプロジェクトの総責任者です。」

「プロジェクト...?」

 

低めな声のおじさんだ。

 

かれこれ20秒は下っただろうか。

 

その時、周囲の壁が途切れ、空間が見えてきた。

 

真っ暗で巨大な空間に、上から照らすライトが多数。

学校の体育館を巨大化させたような空間だ。

 

「おい!なんだこりゃ!?」

「本当にデスゲームでも始まるんじゃねぇんだろうな!?」

 

その時、1人が下を指さしながら口を開いた。

 

「オイ、あれを見ろ...!」

「なんだこいつぁ...!?」

「驚いた...。」

 

すると、ガルーダ隊の1人が何かに気づいたように目の色を変えて言った。

 

「おい、こいつは...。」

「どうした、アバランチ?」

「間違いない...。」

 

「P-1112重巡航管制機『アイガイオン』...。」

 

「おい、なんだそりゃ!?」

「お気づきになられましたか。」

 

「デケぇ...!」

「あんなの見たことねぇよ!」

「アーセナルバードよりデカいんじゃないのか?」

 

「詳しいことは下でお話しします。」

 

さらに30秒ほど下り、空間の地面に到着する。

 

「ここまであなたたちに何も伝えなかったのは、これが最高峰の機密作戦だからです。」

「しかし、なんのために?」

「IALAは、先の作戦でアーセナルバードを前に大きな被害を負いました。そのアーセナルバードに対抗する兵器が、こちらです。」

 

「その名も、『アグリオス』。」

 

「たいそうな名前だが、何ができるってんだ?」

「まず、艦載機の空中発艦・空中着艦。あと空中炸裂巡航ミサイルの発射。30パーセントの確率でレーベンを撃墜する高性能な対空ミサイルを1斉射20発発射可能です。それに、前世代の『アイガイオン』に比べステルス性を1.2倍にまで向上させました。」

 

「新型スマホの売り文句みたいだな。」

 

「もちろん補給中の前方レーダーの脆弱性も解消されています。」

 

「すげぇや...でもこんなものいつから作ってたんだ...?」

「元々は、戦争終結から2年経った2017年、後エメリア・エストバキア・ユークトバニアで共同開発を行っていた高性能な重巡航管制機です。しかし第二次ベルカ事変、無人機が空を支配し始めた後、計画が頓挫しました。しかし2021年、エメリア・エストバキア・ユークトバニアが共にIALA条約に批准、最高司令部の命令の元開発を再開、現在まで開発しています。」

 

「で、俺達はここから飛び立て、と。」

「そういうことです。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「我々の攻撃から逃げ出したIALA各部隊は、ザップランドへ帰還するようです。監視衛星が離陸する機体をレーダーで捉えました。」

「そうか...。ゲフィオンのさらなる改良も進んでいる。アーセナルバードの光学迷彩も、実際に使えることが証明された。戦局は、圧倒的に我々が優位にある。」

「はい。」

「司令官、ハイエルラークから離陸した数部隊が、ザップランドと反対方向へ飛び立ちました。」

「なんだと?監視を続けろ。」

「ダメです!強力なジャミング電波を探知!見失いました!」

「間違いなく何かある。捜索を続けろ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、製造はどこまで進んでるんだ?」

「ご覧の通り、ほとんど完成しています。まもなく地上にあげられ、ラグノ要塞より離陸します。」

「こいつには今までの機体で乗り込むのか?」

「ああ...その事ですが...。皆さんを艦載部隊『ブルーハ隊』として再編成し、新型の機体に乗り換えていただきます。」

 

「新型ってのは...ラプターか?それともライトニングか?」

 

「いえ...あちらに見える、あの機体です。」

 

ヴォイチェク中佐が指を指した先には、デルタ翼でフランカーに少し似た赤い機体が置いてあった。

 

「あれは...兄貴の...。」

 

「CFA-44A。2015年の戦争で使用された戦闘機の、改良型です。CFA-44の設計図を元に50機を生産しました。翼上面からは垂直発射ミサイル『ADMM』を射出可能、下面には格納式のEMLを装備しています。」

「すげぇや...。」

 

「では、早速乗り込んで頂きましょう。」

 

乗り込み口まで、バスに乗りこみ走り出す。

 

下から眺めると、改めて巨大だ。

 

機体下部のハッチが開いている。

 

「どうぞ。」

 

クジラのような機体の横っ腹から出た階段から、内部に入る。

 

その巨大さあって、内部はまるでホテルのような空間だ。

 

「ここからが、皆さんの自室になります。」

 

なんと、1人1部屋用意してある。俺は手前から5番目の部屋だ。

 

「前世代とはレベルの違う綺麗さだな。」

 

シュトリゴン隊のメンバーが口々に言う。前世代機とやらに乗ってたんだろうか。

 

「驚いた。こいつが空を飛ぶのか?」

 

カウントが言う。

 

「どうやらそんなとこみたいだな。」

「バートレット...こいつぁ現実か?」

 

「それで、こいつが地上に出るのはいつなんだ?」

「あと4日後です。」

「4日!?」

 

「離陸後は、空中着艦・発艦訓練を行った後、実戦配備されます。」

「朝飯前だぜ。」

「本当か?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日が来た。

 

「まもなく、アグリオスが離陸する。総員、衝撃に備えよ。」

「来るぞ!」

 

ヴーッヴーッヴーッという警報音が全体に響き渡る。

 

「地下ハンガー、ハッチ開け!」

「了解。ハッチ開きます。」

 

今度はドドドドドドドドドという音が響く。様々な機械音が鳴り響き、かなりうるさい。

 

すると、天井から光が刺してきた。

 

なんと、天井のハッチを開いている。

 

「おい!上を見ろ!」

「これは...」

「驚いた...。」

「どうなってんだ!?」

 

「よし、ハンガー内の全員退避を確認!VTOLエンジン、点火!」

 

ギュイィィィィィィィンというエンジン音が鳴り出す。エンジンを起動したのだろう。

 

「第2・第3エンジン点火!下向き90度!」

 

またエンジン起動の音がする。

それと共に機体の振動が激しくなる。

 

「良いぞ!第1・第4エンジン点火!」

「係留解除!行ってらっしゃい!」

 

ガクン、という衝撃と共に、機体が浮くのを感じる。

 

「おい、機体が浮かんだぞ!」

「こいつぁすげぇ...。」

「VTOLか...!」

 

機体は空へ向けて上がっていく。

 

窓を見ると、ハンガーの壁にいる整備士達が手を振っている。

 

ついにハッチの高さまで来た。

 

「アグリオスの離陸を確認!」

「ついにやったぞ!」

「すっげぇ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「注意!アネア大陸中央部、ラグノ要塞付近に巨大な機影を探知!」

「監視衛星に切り替えろ!」

「これは...!」

「機体識別表と見比べろ!」

「カメラで確認!ありました!P-1112重巡航管制機『アイガイオン』です!しかし...細部が違う!」

「そんなことはどうでもいい!SWBMをぶち込め!味方のはずがない!」

「ダメです!射程圏外!」

「クソっ!」

「付近の自己増殖したレーベンにやらせられないか!」

「ダメです!奴らは最上位の命令を受け付けない!」

「じゃあこっちから打ち上げろ!」

「了解!レーベン射出準備!」

「IALAが新兵器を作ったかもしれん。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

発艦・着艦訓練が始まった。

 

この巨大重巡航管制機のために編成された「ブルーハ隊」の1番機は、ラーズグリーズ隊1番機、TACネーム「ブレイズ」。2番機は、シュトリゴン隊隊長のトーシャ・ミジャシク。3番機は、我らがガルム隊隊長のTACネーム「サイファー」。4番機は、ガルーダ隊1番機、「タリズマン」。そして5番機が、俺だ。

 

...いや、なにも初めて乗る機体でさせなくても。

 

皆で新型機に乗り込む。

 

なんだこれ。このCFA-44Aとかいうやつ、えらく近代的なコックピットをしてやがる。

 

「すみませんねぇ...ベルカでの大損失で、急いで兵力をまとめないといけないらしいもんで...ハイ...。」

整備兵はそう言っていた。

 

渡されたマニュアル通りにコックピットをいじる。

 

「これが...バッテリー。んでこれが...APU。えっとそれで...?ここをこうして...よし、エンジン始動。」

 

慣れないタッチパネル操作に少々手こずるも、エンジンの始動に成功。ただでさえ時差ボケ治りかけの人間にこんなことさせるんじゃねぇ。

 

「ブルーハ1、ブルーハ2、離陸位置に着いた。カタパルトセット。」

 

「こちらアグリオス航空管制センター。ブルーハ1、離陸を許可する。」

 

「了解。」

 

ドッドォォォォォォォォォッ...。

 

目の前の滑走路で、ブルーハ1が電磁カタパルトに乗って離陸する。

 

「ブルーハ1、アウェイ。」

 

「ブルーハ2、離陸を許可する。ブルーハ3、射出準備に入れ。」

 

「了解。」

 

ドッドォォォォォォォォォッ...。

 

「ブルーハ2、アウェイ。ブルーハ4、射出準備。」

 

「了解した。」

 

「ブルーハ3、アウェイ。」

「ブルーハ5、射出準備に入れ。」

 

機体をまっすぐ進め、カタパルトの上に移動する。

 

地上(?)要員がフックをセットし、「ガチャン」という音が聞こえる。

 

「ブルーハ5、離陸を許可する。」

 

スロットルを全力で押し込む。

 

「射出!行ってこい!」

 

ドッドォォォォォォォォォッ...。

 

カタパルトが貯めてきたエネルギーが一気に放出され、その勢いで機体が少し前傾する。

 

そのまま、ふわっと空中へ投げ出された。

 

「ガルム3...いやブルーハ5!生きてるな?良かった。」

「何気に人生初のカタパルトからの離陸でしたので...緊張しました。しかも慣れない機体操作...。」

「心配すんな、俺もだ。そのうち慣れる。」

 

「ブルーハ隊」は全機で23機。全機が離陸するのに10分はかかる。

 

ちょうど16番機が上がってきたその時。

 

「警告!多数の敵機が接近!4...5...いや8機!」

「離陸作業中のブルーハ17は離陸、ブルーハ18から23はその場で待機せよ!」

「ブルーハ隊全機、交戦は禁止。散弾ミサイルで片付ける。」

「ニンバス射出準備!」

「了解、ニンバス射出準備。」

 

「ニンバス?なんだそいつァ!?」

 

「ブースター点火!」

「発射口開け!」

 

アグリオスの背中のミサイル発射口がひとつ開く。

 

「目標、接近中の敵機!」

「よし、撃て!」

 

「ロンチ!」

 

ドゴォォォォォォォッ、という音とともに、アグリオスからミサイルが打ち出される。

 

「ブルーハ隊全機、ニンバスの着弾範囲をデータリンクする。全機、レーダーの円から離れろ!」

「了解!急げ!」

 

レーベンがアグリオスに接近している。

 

「着弾まで5秒!」

「4...3...2...着弾!」

 

ドゴォォォォォォォッ...

 

「何だ!?」

「驚いた...!」

「こいつは現実か?」

 

巨大な爆発の円から、炎を上げながら墜ちていくたくさんのレーベンが出てくる。

 

「目標の破壊を確認。」

「すげぇ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「レーベンがレーダーから消えたぞ!?」

「散弾ミサイル!?」

「と、とにかく、レーベンが全部一気に消えたんだ!」

「そんな馬鹿な!?」

「クソっ、間違いない。IALAの新兵器は我々の想像を超えている。」

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