休日の朝、早くに家のチャイムを鳴らされて、寝ぼけ眼を擦りながらインターホンを見てみれば、僕を早くに起こした犯人は、桜坂しずくだった。
彼女とは同じ部活の付き合いがある。何か急ぎの用事かとふと振り返ってみてもそんなに重要な事は無いはずだし、ライブもまだ先だ。
しかも彼女の家は神奈川県鎌倉市のため、東京にある僕の家までは大分時間が掛かるのだ。
「どうしてここに?」
未だ鈍い音を立てて回る歯車と一緒に僕は彼女に問いた。
すると、彼女は待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべて、まるでこれから劇を始めるみたいに大きく息を吸った。そして、嫌な予感がする笑みと共に言った。
「一週間お世話生活〜!これから一週間私がお世話しちゃいます!」
僕は「え?」と思った。まるでYouTuberの企画みたいに大きな声で言った。
「えっと、どういう事かな」
段々と回るようになってきた歯車を更に追い込む様に回転させて必死に考える。
別にお世話をするように頼んだ記憶も無いし、確かに家に1人かもしれないけれど、十分に生活を出来ている。何なら僕では無くてもっと最適な人が居るはずなのだ。名誉の為に個人名は伏せると、某朝香さんとかね。
「そのまんまの意味ですよ、私が貴方を一週間お世話します!あ〜んな事からこ〜んな事までです!」
語尾にハートマークが付きそうな甘い声で、彼女は言った。
「別に僕は一人で生活出来てるよ、ほらもっとお世話されるのに適任な人はいるでしょ?」
「貴方じゃなきゃダメなんです、これは私がお世話をして、そして私なしじゃ生きていけないダメ人間にする為なんですから」
「それは嫌だなぁ」
別にしずくちゃんにメリットは無いはずだけれど。もし人を堕落する姿を見るのが楽しいという腹黒的な面があれば別だけれど。
「なので、取り敢えず合鍵を下さい」
両手を僕の方に差し出す。成程、合鍵
「いや、ムリ〜」
「何でですか!これから貴方はずっと座ってるだけで家事等終わるんですよ!私が全てしますから貴方は何もしなくていいんです。なので合鍵ください」
「いや、無理だよ」
「そんな事も有ろうかともう鍵取りましたけどね?」
チャラっという音と共に彼女のポケットから鍵が出される。
「いつの間に!?」
「いつも鍵置く場所は私知ってますから。それじゃあ、一週間お世話生活、スタート」
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お世話生活一日目
無理やり始まってしまったこの一週間生活、どうにかしてやめて貰えないだろうか。
僕は何もしてないのに、しずくちゃんだけが働くのはちょっとね……
うーん、と考えていたらお腹が空腹を訴えた。
そう言えば、朝、何も食べてなかったな。
何か無いかとキッチンの方へ向かおうとすると、目の前に美味しそうな匂いをしたものが置かれた。
あれ?と首をひねって、よく見るとそれはホカホカの炊きたてのご飯、ワカメと豆腐の味噌汁、鮭の塩焼き、そして卵焼き。伝統的な日本の朝食みたいなものが僕の目の前に置かれていた。
「お腹空きましたよね?ご飯作ったので食べましょう?」
僕がじっとしずくちゃんを睨むと彼女はニコッと笑った。
「お世話するって言ったじゃないですか。忘れたんですか?」
「……一人で生活出来てるんだけれど」
「大量のカップ麺で。ですか?栄養バランスがよくありませんよ、めっ!です」
後ろのキッチンにあるカップ麺の残骸を指さしてから、その指をそのまま僕の方へ向ける。
僕を非難する様な目で僕をじっと彼女は見つめている。僕は悪い事がバレてしまった子供のような気持ちになっていた。
視線から逃げようと僕は目の前の食事に目を向けた。いただきます。と言って食べようとした時にある事に気がついた。
「箸がない」
箸を取りに席を立とうとした所、しずくちゃんがパッと手を出し制した。
僕が首を傾げていると、僕の隣の席に座って魚を一口分取って差し出した。
「はい、あーんです」
「いや、一人で食べれるって……」
「せっかく作ったのに食べて貰えないなんて悲しいです……やはりお口に合わないでしょうか……」
目には涙を貯めて、俯き悲しそうに僕を見る。
「いや、箸を僕にくれたら全然食べるんだけど」
「悲しいです……しくしく……」
女優の卵なだけあって、遊びみたいな演技も中々に騙されそうになる。
でも嘘だとしても悲しい顔をさせるのは本意では無く、僕は渋々差し出されたものを食べた。
とってもおいしいのがなんとも腹が立った。
毎日無料メイドさん生活 二日目
「お風呂湧きましたよ」
そう言ってしずくちゃんはバスタオルを渡してくれる。
僕は「ありがとう」とお礼を行って、脱衣所に向かおうとするとその後ろをしずくちゃんが同じくバスタオルをもって付いてくる。
「先入る?」
流石に掃除とかしてくれたから、そっちが優先かなと僕はリビングへ戻ろうとするとガシッと腕を掴まれた。
「何で戻るんですか?一緒に入るんですよ?」
「流石にそれは無理だよ」
「一週間お世話するんです、お風呂のお世話くらい当然です!」
「もはや、それは介護の域だと思うんだけれど」
「もし貴方がヨボヨボのおじいさんになっても私はずっと貴方の近くにいますしお世話しますから安心してください。なので入りましょう!」
「無理!」
この後何とか一人一人入った。
***
普通に不法侵入で捕まえられそうな生活三日目
「起きてくださーい、遅刻しちゃいますよー」
朝、よく通る綺麗な声で起こされる。布団に潜り込んでいるのには目を瞑ることにする。
3日目にしてちょっとこの生活に慣れてきた自分を殴ってやりたい。
朝、起きると美味しい朝ごはんが出されていて、何もせずとも家事やら何やらが終わっている今の現状が全て悪いのだ。
そしてこんな企画を考えた彼女が悪いのだ、
「学校、行きますよ」
「いや、一緒に行くの?別々の方がいいんじゃ……」
恋愛系に敏感に反応する高校生に容易に話のネタを提供をしては行けないのだ。ただでさえ彼女はスクールアイドルだし、演劇部のエースの様なものだから。
「いいんです、むしろ周りに見せつけましょう!」
そういうと彼女は僕の腕取り、それを自分の腕に絡めた。まるで恋人がするみたいに。
そして、そのまま僕の方に頭を預けて、歩き始める。
振りほどこうにも万力に絞められたようにがっちりとホールドされ、僕は多くの方の視線を集めながら学校に向かった。
場所が変わって、スクールアイドル同好会部室。
「そう言えば今日しずくちゃんと来てたよね」
部活が終わってみんなが着替えている時、侑さんが僕に言った。
やばいと僕は思った。
「今、しずくちゃんがお世話生活だっけ?」
「え?知ってるんですか……?」
当てずっぽうだとしても絶対当たるはずのないものだし、もしかして同好会の人は知っているのだろうか。
いや、それはそれで問題だけど。止めて欲しかった。
「もちろんだよ、皆で決めたんだもん。くじ引きしたらしずくちゃんになったんだけどね?」
ウインクと共に恐ろしい事を言った。え?みんなの賛成を得て今回行われたの?
多数決さんにはもうちょっと頑張ってほしかった。
「本当は私が一週間作詞作曲生活でもよかったんだけど……もちろん泊まり込みでね!」
「ごめんなさい、遠慮させてください」
***
一週間お世話生活 最終日
「どうですか?私なしじゃ生きられなくなりましたよね?」
「いや、全然大丈夫だったけど」
「ぐぬぬ……次は1ヶ月にして……それかもうベットに縛り付けて何も自分から出来ないように……」
「次はやらせないし、まず鍵返して」
「嫌です♡」
次の日からことある事に僕の家に突撃してきたのは言うまでもないだろう。
本当は一週間分やりたかったけど、そこまでネタがなかった。
これから主人公やニジガク、Aqours、μ’s、Liella!の人達にやらせたい一週間生活がありましたら感想か多分活動報告にリクエスト募集があるはずなのでそこにお願いします。無い方はしずくちゃん可愛いと1日10回は一緒に唱えましょう。
ちょっと今回はお試しで、いい感じの一週間生活の書き方を考えなければ