恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

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 現在、登場人物編集中。明日の朝までに編集を終えますので少々お待ちくだされ。ヒロインアンケートありがとうございました。次話か次々話に登場予定。


これは仕事が増えるな。しかも面倒なヤツだ。

 

 「はぁぁぁ。」

 

 和泉屋での騒ぎが起こった明朝。悪党たちの宴の場面から数時間後。若干眠い目をこすりながら(かみしも)を着た恭太郎は恵土城内の控室『溜の間』で、定位置と化しつつある席に座って溜息を何度も吐いていた。

 

 (恵土府内の騒ぎ。つまり、事の成り行きがまとまるまで登城しないと思い込んでいたわ。)

 

 

 

 

 時間は少し戻り、和泉屋前で起こった騒ぎ収めた死体の処理を和泉屋源左衛門に任せると刀の手入れをして夜明けまで寝るべく布団に入った。

 

 (明日は何処から調べるべきか。あー、キツネ目の男が来るし武士の目線以外での話を聞くのが第一か。)

 

 忘れかけていた。いや、思い出したキツネ目の男こと『稲荷屋』との約束を思い出しつつウトウトしていたところに、事情を知っている和泉藩邸の下男・勝蔵が飛び込んできた。

 多分、昨日は敵味方問わず恭太郎の関係者は駆け回った日だったろう。それを知るのは天のみだろうが。

 ともかく、「至急に登城すべし。」とのご下命だったので、全力で藩邸に帰宅すると、正装に着替て供回りのみをまとめて、何とか時間に間に合った。

 

 (これで、去年や一昨年のように『大奥の女が恐ろしい。(意訳)』なんて話だったら、心の中の大久保彦左衛門を発動してやろうか?)

 

 などと、登城した時は思っていたが2時間経つが未だにお呼びがない。おかしい。将軍・家基は、色々無茶は振ってくるが時間が遅れる時は連絡をするような人間ではない。かと言ってコチラから催促も確認もできない。

 

 (この城内のやたら細かい決まりウゼーな。それに頭の中で色々考える時間はありがたいが、流石に手持ち無沙汰で眠たくなってきたぞ。)

 

 

 

 更に一時間経過して、冒頭の場面に戻るわけだか、未だに何もない。救いといえば嫌な顔と態度をする一部古参大名が来ないことだろうか。

 

 「お茶のおかわりはいかがでしょうか?」

 

 「よい。ご苦労。」

 

 来るのは心付けというなのお礼金がほしい茶坊主ぐらいだ。お茶で溺れ殺してくれるわ!というぐらい今日はお茶を飲んだので、今来た茶坊主に小判を一枚渡して、もう来るな。と暗に頼んだ。しかし、連絡も呼び出しもこない。

 

 「この待ち時間が無駄すぎる。」

 

 思わず小声で漏らした恭太郎。大名モードもお休みしそうだったが、

 

 「コチラでお待ち下さい。」

 

 と、襖の向こうで小姓が誰かを案内してきたことで大名モードが再起動。見本にしたいほどの瞑目しながらの正座をしていた。

 

 「おや?和泉守どのではないか。」

 

 「ん!?……コホッ。これは中務大輔どの。」

 

 久々に見たよく知った顔に大名モードが飛んでいったが、中務大輔と呼ばれた同年代の男に手を差し出されて大名モードを係属する。

 キョロキョロと周囲見渡す二人は誰も居ないことを確認すると小声で会話を始めた。

 

 「恭太郎。二年ぶりか?」

 

 「まぁ、お前が家督を継いでからだからそんぐらいだろ。」

 

 大名や武家の話し方というより、町の悪友たちが砕けて話すような形で話す二人。

 

 「それにしても平太郎。上手く大名やってるようで何より。」

 

 「参勤交代の距離も上方の和泉に比べて上総大多喜は近いからな。気苦労も少ないしな。」

 

 ニッシッシと屈託のない笑顔をうかべる恭太郎と良く似た体格をしたこの男。本田中務大輔基政。通常は平太郎。恭太郎と同じ様に現将軍・家基の遊び相手として選ばれた一人。

 それだけの繋がりではなく、先祖が神原康政と本田忠勝であり、家督相続前には御府内にお忍びに出て、遊んでた仲でもあったので、未だに腹を割って話せる相手として中々顔を会わせる事がない現在でも手紙のやり取りしている。

 

 「また手合わせ願いたいもんだが、大名になるとそんな機会もありゃしない。」

  

 そんなことを言う平太郎に乾いた笑いで答える他なかった。雑談をしていると小姓が入ってきた。

 

 (ようやくお迎えか。)

 

 十分前後の雑談ではあったが親しい友達と話が出来ただけで登城した甲斐はあった。

 

 「それでは中務大輔どの。失礼致す。」

 

 「いえ、和泉守さま。中務大輔さま。お二人をまとめて案内しろとのお達しで。」

 

 はて?と、同僚二人はおかしなお達しに首を捻るが、ともかく行かねば話にならない。案内する小姓のあとに付いていくが…

 

 「「ん?」」

 

 将軍お目見えのために天守に進む方向とは違う通路に思わず声が出る二人。足を止めて周囲を見るが子供の頃に通された西の丸への道でもない。

 

 (恭太郎。覚えは有るか?オレはないぞ?)

 

 (知らんな。御城全部を理解してるわけじゃないが、少なくても生きてる間には通ったことはない。)

 

 二人は御法度の反するとは思ったが、脇差しを抜けるように場所を移し、裃も脱げるように少し緩めた。

 結果的に言えば、この警戒は無意味だった。通された部屋には御簾はあり重要な部屋ではあるらしい。しかし、部屋に覚えがないが、中にいる人間には覚えがあった。

 

 「沼田主殿頭さま?」

 

 前の老中首座。一時代を作った人間。将軍の代理人。例える言葉は難しいが、ともかく老獪とも老練とも言える人間が出てきたことで、自分たちを呼びつけた人間を理解できた。

 

 「大御所様である。頭が高い。」

 

 「「ははぁ。」」

 

 通された大名二人は御簾の前に慌てて平伏した。そして二人は確信した。 

 

  ((これは仕事が増えるな。しかも面倒なヤツだ。))

 

 

登場シーンで一番と思う時代劇は?(今後の参考・指針に。)

  • 余の顔を見忘れたか。(暴れん坊将軍)
  • この紋所が目に入らぬか。(水戸黄門)
  • 閻魔様の御使ぇよ。(江戸の牙)
  • 天に変わって破れ奉行。(破れ奉行)
  • 地獄へ落ちな 等(必殺仕事人)
  • テメェら人間じゃねぇ!(破れ傘刀舟)
  • 手向かう者は斬れ!(鬼平犯科帳)
  • 桃から生まれた桃太郎!(桃太郎侍)
  • 白州で裁けぬ悪を斬る(鬼役)
  • この金さんの桜吹雪… (遠山の金さん)
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