恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

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 合計2000ユニークアクセスありがとうございます。次の話はちょっと冗長というか。変な詰め込みをしてるかも。


赤鰐党は消え、一眠りの休み。

 

 「そうか。やはり幕臣に関係者がおったか。それにしても町奉行が動かぬ原因が、賄賂か、圧力によっての怠慢とは情けない。」

 

 恵土城の一室。天守内にある御目見得の間で将軍・家基が苛立ちをぶつけるように扇子で畳を叩く。人払いをしているので見ているのは榊原基康と本田基政。つまりは恭太郎と平太郎のみだ。

 嘆く家基だったが、外に出れず常に何かを介して情報を得る将軍としては仕方がないとこだろう。

 

 「どうにかして罷免できぬものか。恵土の治安を守る奉行が我が身大事、御家大事で何もせぬとは。」

 

 扇子が折れそうなぐらい畳を叩く家基だが、罷免はできないだろう。もしも、将軍が「辞めさせるぞー!」と言えば、簡単にクビには出来るだろう。しかし、そんな事をすれば、

 

 「将軍に信用されず、恥ずかしい!死ぬ!(意訳)」

 

 と、真っ当な武士や、硬骨漢に限ってバタバタ腹を斬るだろう。これ以上の俗物以下の幕閣が増えるのも嫌だし、権威も落ちる。武士道って面倒だ。ホント、なんでこんなトコだけ厳しい世界なんだよ。

 今回なら事なかれ主義のような奉行たちは腹を切らず、調べきれなかった目付衆や老中、若年寄の関係者や担当者が腹を切りかねない。罷免して治安だけではなく政務も滞るのは、たまったものではない。

 

 (かと言って、職務怠慢では有るが、そんなことで奉行を成敗してたら誰もならないしなぁ。)

 

 ポリポリと頬を掻く恭太郎がそんな事を思っていたら、ついに扇子を叩き折った家基。簡単に折っているが、奥狩野派の絵が描かれているので安く見積もっても二十両は下らない。

 

 (こういう癇癪を起こすのも家基さまの欠点といえば良いのかねぇ。)

 

 頬を掻く恭太郎の横では、落雁をつまみつつ平太郎が失礼なことを考えていた。正直、夜明け前に沼田意次から呼び出され、報告とお褒めとお叱りを受けた。

 案内された『御城の抜け穴』からの入ったので、正装で登城するために藩邸に戻って駕籠を用意して移動という二度手間、三度手間を行ったために多少の疲れを感じていた。

 だが、平太郎。自分のを食べたからと恭太郎の落雁まで勝手に食べ始めるのは大名というより人としてどうなのよ。

 

 「ふぅぅぅ。この騒ぎが終わりまでは我慢しよう。老中たちと相談して何処か左遷先をみつけなければ。ところで、その不心得者の幕臣は誰じゃ?」

 

 扇子を破壊し、大きく息を吐いて落ち着いのか。幕臣が聞いたら震えるような事を言いながら家基は、悪党たちの親玉を尋ねる。しかし、二人は「捜索中で。」と、分かっていることを話さなかった。万が一にも話した結果、目付などが動けば候補の四人はすぐさま動きが分かる伝手を持っているので逃げられかねないと考えたからだ。

 

 「朗報を期待しておる。下がってよい。数日は呼ばぬようにする。度々呼び出せば、なにか感づくヤツも出てくるからな。」

 

 その後、愚痴や弱音、不安を話すだけ話した家基は二人に調査の継続を命じた。

 最高権力者として気が抜ける場所が少ないのだろう。こういう時は小姓や側用人、御伽衆が気を紛らわす対応をするはずなのだが、事情があるのか。間に合っていないのか。

 少しばかりの心配を覚えた二人は深々と頭を下げて溜の間に戻っていった。  

 

 

 

 

 ((なんで今日に限って集まってんだよ。全然、気が抜けねぇ。))

 

 待合室である溜の間に戻った二人は、大名モードで澄まし顔のまま茶をすする。しかし、内心はすぐさま下城したかった。なにせ……

 

 (右を見れば新老中の得川定信。)

 

 目だけで定信を確認してから、その反対側に座る人間を確認する。

 

 (左を見れば前老中首座の沼田意次。)

 

 夜明け前に会った老人から視線を外して正面を向き直す。苛立ちを隠そうとしない定信に、気にしない意次。政治方針や性格が合わない老中二人に挟まれ茶の味も鈍い。

 案内する茶坊主なり、小姓なりを待つ時間は大層居心地が悪かった。少し鬱陶しい。と、いつもは思っていた茶坊主が迎えに来たときには「助かった。」と思うほどであった。

 

 「「大義。」」

 

 すまし顔で礼を述べつつ、そそくさと逃げるように下城して藩邸に駕籠を向かわせた恭太郎だった。

 

 

 

 

 

 「余は疲れた。しばし、奥にこもるぞ。」

 

 藩邸に戻った恭太郎はすぐさま快適空間(自室)に飛び込んみ、裃を脱ぎ散らかすと寝っ転がった。

 

 「殿。まだ人目がございますぞ。」

 

 「こう何度も何度も呼び出されるとは思わなかった。」

 

 恵土家老・村上善太夫が諌めるが、気にせずにゴロゴロする恭太郎。前世の時は羨ましいと思ったものだが、『最高権力者に好かれるのは疲れる。』と言っていた意味がわかる今なら同意できる。

 

 「それで調べの方はどのように?巷間では赤鰐党が消えたことで、本所周辺では昨晩の大火事の被害の話より、喜びの話が勝っているとか。」

 

 「耳が早くて本当に助かるよ。そいで?頼んでいた幹部たちの情報はないかい?」

 

 「申し訳ありません。赤鰐党の話は入ってきますが他の新撰会構成組織については何も。急に鳴りを潜めたように耳に入りません。これは?」

 

 ぐったりしつつ懐から油紙で包まれた人物画を善太夫に渡した恭太郎。

 

 「昨日の襲撃犯。死んでるが顔が分かれば浪人者だから何かしら分かるはずだ。一番上の男は信州浪人・米子信次郎らしい。すまぬが頼む。」

 

 お任せください。と、頭を下げて部屋を出る善太夫。安心したのか。疲れが出てきたのか。ゴロゴロしていた恭太郎はそのまま昼寝ることにした。

 

 しかし、ゆっくり出来たのは、この昼寝の間だけであり、目が覚めて街に繰り出した恭太郎は、またしても騒ぎに巻き込まれることとなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




 やっぱり赤鰐党というか。権八はもう少し使えばよかったかな。
 

登場シーンで一番と思う時代劇は?(今後の参考・指針に。)

  • 余の顔を見忘れたか。(暴れん坊将軍)
  • この紋所が目に入らぬか。(水戸黄門)
  • 閻魔様の御使ぇよ。(江戸の牙)
  • 天に変わって破れ奉行。(破れ奉行)
  • 地獄へ落ちな 等(必殺仕事人)
  • テメェら人間じゃねぇ!(破れ傘刀舟)
  • 手向かう者は斬れ!(鬼平犯科帳)
  • 桃から生まれた桃太郎!(桃太郎侍)
  • 白州で裁けぬ悪を斬る(鬼役)
  • この金さんの桜吹雪… (遠山の金さん)
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