恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

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 本日中にあと二話ぐらい投稿したいなぁ。隣の・・と言っても結構離れている親戚からドジョウ貰ったんですけど、30匹も食べれるかな。


大身旗本相手でも殴り込みしそうだ。

 

 「それで?音羽の盛り場で暴れていた理由はなんだ?」

 

 頭の血管が切れるんじゃないか?というほど顔を真っ赤にした平太郎が、御珠姫こと小珠にたずねた。

 いつもは宥め役の平太郎がキレかけているので、小珠も和泉屋への道中のように余裕満々の軽口を出すことも出来ない。

 恭太郎ですらビビっているので横から口も出せそうにない。

 

 (和泉屋で目一杯説教してやる。民間の盛り場に、世間知らずの姫様なんて危ないにもほどがある。)

 

 と、思っていたのだが、朝一から藩邸から抜け出して和泉屋で朝飯を食っていた平太郎に説明したら大激怒。今に至るという流れだ。

 

 

 

 「それで?音羽の盛り場で暴れていた理由はなんだ?」

 

 これで四度目の問いかけである。さすがに反応しないとマズイ。何がマズイって?平太郎の横には刀があるからだよ。

 

 「そろそろ答えたほうがいいぞ?俺が説教した方が良かったな。すまないが、運の悪さを恨むんだな。」

 

 「数年ぶりに会った恩師の娘に脅すやつがあるか!どんな頭をしとるのだ!平太郎は!」

 

 「それで?音羽の盛り場で暴れていた理由なんだ?」

 

 「ひぃ?!」

 

 助け舟にならない助けを出す恭太郎に噛みつく小珠。しかし、平太郎の五度目の問いかけに背筋を伸ばす。平太郎の横にある彼の刀が恐ろしいのだ。沈黙にも、返答にも困った小珠がヤケクソ気味に吠えた。

 

 「抜き身の刀を畳に刺して問い詰めるのは、説教ではないわ!脅しではないか!」 

 

 何時も集まる和泉屋の離れの中心にはギラリと光る刀身が、畳だけではなく地板まで貫いて直立してる。置いてあるだけならともかく、コレは怖い。

 

 (しかもアレ。古備前派の名刀だったはず。三百両は下らない価値はあるのに。)

 

 まさか説教に使われるとは刀自身も考えもしないだろう。手入れをしているとはいえ、直近で数人斬り殺しているからそういった(・・・・・)圧もあるだろう。

 

 「あのな。実はな。……お、怒るでないぞ?」

 

 六度目の問いかけになる前に観念した小珠はジリジリと下がると恭太郎にしがみついた。盾にする気だろう。

 

 「赤鰐党は知っておるか?先日、縄張り争いと火事で壊滅した無頼集団じゃ。」

 

 知ってるも何も親玉・鰐手の権八を斬り、幹部数名とザコもあの世に送ったのは恭太郎と平太郎の二人だ。

 へぇ。と、知ってるような知らないような曖昧な答えを返すと小珠は話を続けた。

 

 「我が敦賀酒居の屋敷で、その話を聞いた私はまぁ、その、な?お主らも分かるであろう?本所の火事が気になってな。」

 

 抜け出して火事跡を見るついでに、恵土府内で遊び、ストレス発散をしにいったわけか。小珠の屋敷は丸の内だから女の足でも簡単に行ける距離だしな。

 

 「私としても日暮れ前に帰るつもりだったが、気になる事を耳にしてな。屋敷に戻ったあとで再度抜け出して神楽坂にむかったのだ。」

 

 (気になること?)

 

 それにしても騒ぎがあったのは音羽のなのに、小珠が向かったのは神楽坂だと言う。二人は相槌を打ちつつ、話を続けさせた。

 

 「『次の仕事は神楽坂。日暮れから。』などと言ってたからの。何かあるかとグルリと回ったが何もなくてのぉ。ハズレを引いて退屈してたら通りすがりの町人たちの話が聞こえて音羽に言ったのだよ。」

 

 正座を崩してあぐらを座り直す小珠。嘘を言っているようには見えないので、平太郎も畳から刀を引き抜いて鞘にしまった。引き抜いたときに小珠がビビったのは見ないでおくのが人情だろう。さらに話が続く。

 

 「音羽についたらヤクザ、香具師と町方同心たちが喧嘩をしてて喧嘩見物しようかと。」

 

 ((面白そうだから。気になったから。それだけで動くのは全然成長してねぇな。この馬鹿。))

 

 餌を出された野良犬のように楽しさに食いつく小珠に呆れる二人。それにしても町方同心が喧嘩するとは。町奉行所の統制はどうなってるのやら。・・・いや、赤鰐党の件で腑抜けっぷりは広まってるから今更か。

 

 「喧嘩見物していたら、喧嘩の原因はヒドイもんだ。」

 

 小珠が話した喧嘩の原因を聞いて頭痛や呆れを通り越して呆然としてしまった。開いた口が塞がらないとはこのことだろう。

 

 『赤鰐党が居なくなったから盛り場から袖の下やショバ代をもらうため。邪魔だからどいてろ。』

 

 などという、くだらない事この上ない理由を聞けば、こんな反応にもなるというものだ。

 

 「聞いてたら頭に来てな。気がついたら数人ぶっ飛ばしてたのよ。」

 

 その後に恭太郎に倒された。と、笑っていた小珠と、先程の話を聞いたら毒気が抜かれた二人は、その場に座り込んだ。苦労した訳では無いが、赤鰐党がなくなったのに働いて信頼を取り戻すよりも小金稼ぎかと思うと力も抜けるものだ。

 

 「まぁまぁ、何に気を張っていたかはわからんが、赤鰐党がいなくなったのだ。しばらくすれば恵土も平穏になり、また騒がしくなろう。ま、飲め。」

 

 いつ用意したのか。恭太郎と平太郎に猪口を渡し、徳利から熱燗を注いで、自分は徳利でラッパ飲みをする小珠。

 

 「あのときの酒居屋敷で集まった面々の大半が集まったのだから、羽目を外しても良いだろう。」

 

 グイグイ酒を飲む小珠。久々に個人として集まったことに乾杯だ。と言うが・・・

 

 「「すまんが、酒はまだ飲めん。」」

 

 「付き合い悪いぞ!お前ら!」

 

 酒を断る二人にゲンコツを入れる小珠であった。

 

 (これでまだ悪党が残ってると言えば、容疑とはいえ、大身旗本相手でも殴り込みしそうだ。)

 

 出来上がっている小珠をよそに、平穏よりも悪党の動きがつかめない不安が勝る二人であった。その悪い予感が当たるのは今日の夜の話であった。

 

 

 

 

 

 




 多数の誤字脱字修正報告ありがとうございます。また連日の閲覧によって日間ランキングに数日載っていること大変ありがとうございます。
 

登場シーンで一番と思う時代劇は?(今後の参考・指針に。)

  • 余の顔を見忘れたか。(暴れん坊将軍)
  • この紋所が目に入らぬか。(水戸黄門)
  • 閻魔様の御使ぇよ。(江戸の牙)
  • 天に変わって破れ奉行。(破れ奉行)
  • 地獄へ落ちな 等(必殺仕事人)
  • テメェら人間じゃねぇ!(破れ傘刀舟)
  • 手向かう者は斬れ!(鬼平犯科帳)
  • 桃から生まれた桃太郎!(桃太郎侍)
  • 白州で裁けぬ悪を斬る(鬼役)
  • この金さんの桜吹雪… (遠山の金さん)
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