恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

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 ギャクっぽく書きたい場面があるが、中々に難しいですね。あと二話ほど投稿できそうかと。筆が乗ったのならもうちょっと出来そう。


事後処理しか出来ないのが正道なのか?

 

 「すっかり夜遊び大名だ。それにしても酔いつぶれるほど飲むとはなぁ。」

 

 「夜遅くまで働いた(あそんだ)のに、次の日は夜明け前か。朝早く。変な役目を受けてしまったもんだ。」

 

 酔いつぶれて大イビキの小珠を担ぐ恭太郎に、『恵土の膿を出す仕事』を大御所・将軍両名から命ぜられた事をボヤく平太郎。

 

 「赤鰐党が居なくなったとはいえ、騒ぎに巻き込まれておりますので帰りはお気をつけて。」

 

 「丸の内の酒居様には事情を説明しておりますので、お叱りは無いと思いますよ。」

  

 夜陰に紛れるように裏口から出る三人を見送る和泉屋親子に頭を下げて店をあとにする。丸の内の酒居屋敷までの距離は大したことがないが、和泉屋源左衛門の言う通り気を抜いてバカを見ても困る。

 恭太郎と平太郎は雑談しながらも対応できるように刀の帯を締め直した。

 

 「亀の甲より年の功とはよく言ったもんだ。何事もなくて良かった良かった。」

 

 「御城の目と鼻だからな。気を抜いて万が一よりはいいではないか。それにしても全く目を覚ますことがなかったな。」

 

 酒居家の潜り戸まで小珠を運ぶと家臣たちに介抱を任せてると、夜遊び大名二人は酒居家門前で別れた。本当なら和泉屋に泊まっても良かったのだが、この場所なら双方の大名屋敷に戻ったほうが楽だと考えたからだ。

 平太郎の屋敷は神田錦町にあり近いのだが、恭太郎の屋敷のある半蔵門は御城を半周しなければならないが、昨日は小珠の騒ぎで連絡できず心配かけたので顔を見せようと言うわけだ。

 

 「殿様。殿様。勝蔵が参りましたよ。」

 

 だが、向かう前に出迎えが来たようだ。平太郎と別れるまで待っていたのだろう。

 

 「気を使わせて悪かったなぁ。ささ、帰ろうか。」

 

 「いえいえ。刀をお預かりますよ。」

 

 勝蔵に刀を渡し、一緒に屋敷に戻る恭太郎であった。

 

 

 

 

 

 

            ~ 一方、同時刻・恵土府内 ~

 

 

 

 恭太郎が屋敷に戻り、寝入った頃。夜が深くなった恵土府内では三件の事件は発生した。

 

 「ま、まて!まてまて!ぐぁあ!!」

 

 「仲間を斬り殺すとは正気か!貴様ら!ぎゃああああ!!」

 

 一件目は深川の建材屋『丸山』が襲われ、一家・奉公人・用心棒に至るまで惨殺され、金蔵を荒らされ有り金全部を盗まれるという凶行が行われ、疾風のような犯行だったために目撃者はおらず、叫び声と足音が消えたことで様子を見に来た隣家によって番所に届けられた。

 

 

 「よし。金を運び出せ。」

 

 二軒目は神楽坂にある寺『全福寺』。寺は小さいが高名な住職が評判で金蔵には各方面から預かった金があるとか。コチラも『丸木屋』と同じように全員が刀によって命を奪われていた。ただ違うのは『全福寺』では全員が一太刀で仕留められていた点だ。

 

 

 「話が違う!は、話が!!・・ぎゃあああああ!」

 

 三件目は日本橋にある材木問屋『大木屋』。コチラは被害と残酷さでは三件の事件の中では群を抜いていた。店の中に生存者はおらず、店主の大木屋忠右衛門を始めとした家人・奉公人や、売り物にならないであろう老女は惨殺。店に油を撒かれて放火された挙げ句に、若い娘は攫われる憂き目にあったとか。黒い噂があった『大木屋』だが、周囲の町民たちですら「なにもそこまで・・・。」と思う程の惨状だった。唯一の救いと言えば、ちょいと(・・・・)気晴らしに。他店の同郷の者と夜鳴きそばを手繰りに出ていた手代の一人が難を逃れたことだろう。

 

 

 

                  ~ 翌日 ~

 

 

 

 「なんともまぁ。奉行所の動きがヒドイもんだった。」

 

 両国・隅田川沿いにある船宿の一室。茶を飲む平太郎のもとに、日本橋と深川の事件現場を確認してきた恭太郎が入ってきた。うんざりした顔をした恭太郎に茶を入れる平太郎。

 

 「それで?恭太郎よ。どうだった?」

 

 「小珠の話通りだよ。町方同心がほとんどやる気がない。普段は働きが悪いはずの岡っ引きがバリバリ動いてるよ。・・・・事件のことだろ?わかってるよ。腑抜け同心に金を掴ませたら喜んで現場や死体を見せてくれたよ。」

 

 コチラもお茶をすする恭太郎。実際に目が濁って働かない同心たちを見ると愚痴の一つも言いたくなるものだ。ともかく事件で仕入れてきた情報を平太郎に伝える。

 

 「深川と日本橋の一件。凶器は十中八九。いや、確実に刀だろう。短刀ではなくコレよ。」

 

 京太郎は脇に置いてある自分の刀をポンと叩く。なんでわかるかって?そりゃあ、胸は張れないが自分たちも何人も斬っているし、斬殺死体も見ている。その経験からの結果だ。

 

 「深川の死体は酷いもんだったよ。死人は八人。いくつかの方向から斬られ、刺されてた。死体の詳細を聞くか?」

 

 「やめとくよ。そんな趣味はない。」

 

 四方八方から攻撃され、数体は倒れた後で何度も刺されたと聞けば、とんでもなくスプラッターな状態だろう。断った平太郎の顔は若干青い。ともかく話を続けることにした恭太郎。

 

 「死人以外の被害は、金蔵にあった推測だが四百六十両。大金だ。」

 

 「その数倍は和泉屋に預けてる人間が言うことか?まぁ、いい。」

 

 茶々を入れたのはそっちだろう。と恭太郎は思ったが話を続けた。次は日本橋の材木問屋『大木屋』の一件だ。

 

 「手代がひとり生き残ったが、残りは全滅。若い女は売るのか何なのか。今朝の隅田川に連れ去られた女の一人捨てられていたと。酷い話だ。」

 

 何なのか。とは、二人は理解していたが、流石に口に出すのを憚られた。女の経験が少ない二人は胸糞が悪くなった気分を茶で流し込んだ。

 

 「無惨に殺され、放火で黒焦げにされて無念この上なかっただろう。・・・コッチも刀で切られ、刺されていた。この流れだと神楽坂の一件も・・」

 

 「凶器は刀。だが、寺での皆殺しは全員一太刀。押し込み強盗にするには惜しい腕だ。」

 

 深川の建材屋『丸山』で八人。神楽坂の寺『全福寺』で十二人。日本橋の材木問屋『大木屋』で死者・拐かさた者合わせて二十九人。合計約五十人の人生が奪われたと理解すると気分が悪くなる。

 

 『お前らも人の命を奪い、大名としてやりたい放題しているだろうが!』

 

 と、斬ってきた者。切り捨てられた者には言われるかもしれないが、自分たち悪いことを悪いと解ってやるような悪党ではないと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・事後処理しか出来ないのが正義なのか?そう思うことがあるぞ。」

 

 差料の和泉守国貞派の刀を握りしめ呟く恭太郎。

 

 「妙なことを考えるなよ。恭太郎。同じことは考えたがな。」

 

 平太郎も同じように古備前派の刀を握る。妙な空気が流れ、黙り込んだ二人だったがこの仕事も、大名も辞めるわけもいかない。ダン!と卓を叩くとどちらともなく、

 

 「船でも出そうか。」

 

 船宿に頼んで、屋形船を用意してもらう二人だった。

 

 

 

 

 

 




 アンケート結果ですが、やっぱり暴れん坊将軍が強いですね。暴れん坊将軍・水戸黄門・必殺仕事人は長期シリーズですからなぁ。
 暴れん坊将軍といえば、加賀前田家が各期ごとに酷い目にあってる気がする。

登場シーンで一番と思う時代劇は?(今後の参考・指針に。)

  • 余の顔を見忘れたか。(暴れん坊将軍)
  • この紋所が目に入らぬか。(水戸黄門)
  • 閻魔様の御使ぇよ。(江戸の牙)
  • 天に変わって破れ奉行。(破れ奉行)
  • 地獄へ落ちな 等(必殺仕事人)
  • テメェら人間じゃねぇ!(破れ傘刀舟)
  • 手向かう者は斬れ!(鬼平犯科帳)
  • 桃から生まれた桃太郎!(桃太郎侍)
  • 白州で裁けぬ悪を斬る(鬼役)
  • この金さんの桜吹雪… (遠山の金さん)
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