恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

34 / 49
 新撰会の話はここで終わりになります。次回から妖怪みたいなモノを出せる話にしていきます。少しずつですけど。


新撰会は滅び……

 

 「美濃守屋敷から回収した小判や銭から『呪』が掛けられていたと?」

 

 「うむ。かなり強力なモノでな。寺社・天文方の話では欲を刺激するものらしくてな。」

  

 美濃守襲撃から一週間後。恵土城の御目見得の間では、将軍・家基が、強く香を炊いた恭太郎と平太郎に調べの内容を説明していた。

 

 ((血の匂いが、まだとれない。))

 

 二人が浴びて染み付いた血の匂いを誤魔化すために香を炊いたのだが、流石に匂いが強すぎて気分が悪くなってきている二人。

 それでも関わった事件なので、話は聞いている。気にならないといえば嘘になる。

 

 「欲を刺激。……でございますか?」

 

 「『呪』を込めて、数日間蓄積するモノらしいが、よくわからぬ。」

 

 なるほど。美濃守が最後に『金にさわるな。』と言ったのは、金が惜しかったわけではなく、『呪』があるから気をつけろ。と、言ったのかもしれない。本音は発言者がこの世にいないので確かめようがないのだが。

 

 「谷久保美濃守も、代替わりの政争で大番頭を罷免されたところで、『呪』を受けてから出世欲に取り憑かれ、新撰会なるものを作ったのかもしれぬな。」

 

 将軍・家基は同情的な語りをするが、表情はとてもじゃないが同情しているようには見えない。むしろ、可能性の話をしているだけのようだ。

 

 「しかし、コレで恵土も多少は静かになりますな。」

 

 「平太郎の言う通りかと、そう言えば、西尾隼人正はどうなりますかな?」

 

 ようやく隠密のような刺客のような仕事が一段落すると思った平太郎が嬉しそうに話す。続いて、恭太郎が有力者で唯一の生存者。町奉行でありながら、悪行に加担していた男の名前をあげた。

 なんでも救援を頼むために屋敷から出てきたところを『覆面一味』に捕まっていたとか。

 

 「アヤツには新撰会の首魁として磔にする予定になっておる。」 

 

 なるほど。新撰会の幹部が丸々捕まって幕府のメンツが潰れる大騒ぎになるよりは、

 

 『町奉行が悪行の主犯だった。それ故に町奉行所が動けなかった。』

 

 と、話を作り、庶民の怒りの矛先をそちらに向けさせる流れなのだろう。政治とは怖いものだ。

 家基が気に入らない顔をしてるところを見ると、大御所・家治と沼田意次が助言したのだろう。

 

 「恭太郎、平太郎。何はともあれ悪党。恵土の膿。その一つを出してくれて感謝するぞ。大義であった。」

 

 機嫌が悪いらしく、淡々とした態度の家基は奥部屋に下がっていった。が、すぐさま戻って来てから、

 

 「下がって良いぞ。」

 

 と、告げると、また奥部屋に下がっていった。面倒臭いが、この言葉がないと城から帰ることもできない。思い出したから慌てて戻ってきたのだろう。

 恭太郎と平太郎は、そんな様子を見て微笑ましい気持ちになった二人は、誰にも止められることもなく、そのまま藩邸に戻れることにホッした。

 谷久保美濃守を始めとした旗本たちの大量死で城内は噂が広まっており、昨日まで登城すれば何かと聞かれたものだ。

 

 「「くせぇな!!」」

 

 駕籠に乗り込み、大手門を出たのを見計らって駕籠を開け放った二人。密閉されている駕籠に香の匂いが充満した空間は不愉快で、思わず大声を出してしまうほどだった。

 

 「じゃあ、あとでそっちにいくから。」

 

 「頼むわ。」

 

 匂いが追い出し、大手門前で改めて判定に向けて出発されるのであった。

 

 

 

 

 

 「「ああ〜……終わったぁ。」」

 

 和泉藩邸の自室にて大名二人はグッタリ寝転んだ。もう何もしたくない。事件後の一週間は武具の片付けや手入れ、後処理やアリバイ工作も行ったので、今日ようやく休めたのだ。

 ダラケきった今の二人には、一寸たりとも気を張る余裕もない。……だが、休ませてくれるほどの優しさは、

 

 「遊びに来たぞ!」

 

 この暴走姫様・小珠にはなかった。今日も、グッタリしている二人に、事件のことを根掘り葉掘り聞くだけではなく、酒を飲み酔いつぶれ、後片付けなどの後処理を全部放ったらかして寝てしまうなど、まさにやりたい放題であった。

 

 ((勘弁してくれよ。))

 

 疲れていた二人は酔いつぶれた小珠の後処理をしている途中に電池が切れたようにぶっ倒れるのだった。  

 

 「ぎゃあああ!!!」

 

 「「ゴッブゥ!」」

 

 翌日、目覚めた小珠によって朝一から殴り飛ばされ、床を転がる二人に善太夫と勝蔵は同情するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グッダグダのいつもの騒ぎになっている三人とは違い、恵土府内の某所では……

 

 「闇将軍様。申し訳ありません。」

 

 御簾の向こうにいる自分の主に向けて頭を下げるのは、黄蛸党の親玉・重菱屋清左衛門。

 

 「構わぬ。所詮は試し。この程度の事件で傾く幕府なら奪う価値すらないわ。谷久保美濃守は思ったより使えなかったのは間違いないがな。……それにしてと白装束の男とは誰であろうか。」

 

 「そこはなんとも。」

 

 「ふふふ。まぁ、良いわ。次の手を行うか。」

   

 「お任せくだされ。我らにはまだまだ手札がございますからな。そうですな。白装束が面白い相手かどうか試してみましょうか。」

 

 「なるほど。任せる。」

 

 フハハハ!!と、笑う闇将軍に深々と、頭を下げる十菱屋清左衛門は手をたたき、部下の一人を呼ぶのだった。




 少しずつ非現実が増えるってクトゥルフかな?と思いながら流れを書きなぐる今日このごろ。

二人目の女性キャラは……

  • 戦士系
  • 魔法系
  • 僧侶系
  • 賢者系
  • 盗賊系
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。