遅くなって、短く申し訳ない。
歩き歩いて、夜が更けた頃。ようやく到着したのは回向院と御米蔵に挟まれるように並ぶ武家屋敷の一つ。
元々は七百石の旗本の屋敷だったらしいが、今は門には太い竹が打ち付けられ入ることは出来ず、中はホコリまみれだろう。
「なるほどな。没収通りとはよく言ったもんだ。武士の身からすれば恐ろしいもんだがなぁ。」
と、恭太郎は目の前の封鎖された屋敷から視線をそらして、左右の屋敷を見る。隣接する武家屋敷も同じ様に竹が打ち付けられていた。
通りに面した五つの旗本屋敷。数年前から続けざまに家禄没収された武家の持ち物だったらしい。面倒事に巻き込まれたくない。と、敬遠していた町人たちも封鎖された今では、面白がって『お潰れ通り』とも『没収通り』などと呼んでいた。昼間ならともかく、夜は明かりも少なく、人通りもない。そんな場所に三人は立っていた。
「うーむ。ウンともスンともしてらんぞ?」
人通りはないが、なにかあっては。と、周囲を確認する平太郎にニヤリと笑う小珠。なんというか。人柄もあるのだろうが、イタズラのような笑顔ではなく、嫌味な笑顔というのが似合わない。
似合わないからだろうか?余計に平太郎に焦りを生ませ、
「変われ。」
と、土台になっている恭太郎の肩を叩く。いまさらになって、賭けにもならない悪ふざけ。いや、小珠の場合は本気でやりかねない
「まだわからんから、落ち着け。」
恭太郎が止めた。自分の勝手という事は理解していたらしく、平太郎は腕を組みつつバツが悪そうに顔を背けた。
「忍び込んでも良いが?」
「止めとけ。今日は様子見だ。なにせ、勢いでここに来たから準備もない。正直、刀は新調したんだが、無策であんなバケモン相手にしたくない。何かあったら逃げる。」
ウズウズしている小珠を止めて、情けないことを言う恭太郎。反発するかな?と、思っていたのだが、小珠も平太郎も渋々。本当に渋々といった様子で頷いた。
『なにか面白いニオイがするし、忍び込みたい。』
『何もなかったら、今度から事件があれば、小珠の相手もしないといけないから何か手掛かりがほしい。』
といった勝手な。いや、自分の考えを持ちつつも、心のどこかで、
『『恭太郎が言うのだから仕方がないな。』』
そう思っているところもあるのだろう。なにせ元服前の、いわゆる『黒歴史』時代では色々と引っ張り回していたこともある関係だ。
大人になったとはいえ、中々に関係というのはかわらない。のだが、平太郎が宥め役と以前書いたこともあるが多少の変化はあるのだろう。……失礼、話がまた本筋からズレた。
ともかく、三人は『何かあったら逃げの一手』と決め、閉鎖された屋敷を次々に覗くが何もない。
「むぅ。やはり忍び込むべきか?」
「飛び込んで万が一があると困る。」
「かと言っても、出てきた手前、何もなしというのは納得がいかん。」
勢い良く。いや、勢いだけで来たのいいが、なんとも煮えきらない態度の三人。
他の人間や事情を知る者が居れば、『何しに来たんだよ。』と、言うところだ。
ボソボソと話す三人は腕を組んで悩むが、結果が出ない。
グゥゥ〜…
と、小珠の腹が鳴ったことで、更に気が乗らず三人は腹ごしらえをする事を優先することとした。
なにも成果を得られず、気も逸れて、全くもって不甲斐ない勢いだけの探索はココで終わった。
「……ゥルル」
しかし、それが三人を危機から遠ざけることになった。
5つ目のアンケートを募集してます。4つ目のアンケートは参考になりました。ありがとうございます。
最凶の大名は?(ちょっと詰まっているので、候補から。三傑は殿堂入り)
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独眼竜が筆頭格・伊達家
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ウッカリが大惨事・上杉家
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ルール無用の残虐ファイト・武田家
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御屋形様以外は大暴れ・北条家
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騒動多く、死人も多い・前田家
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義絶・絶縁・キチ◯イ多数・浅野家
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恨みは根深く、身分も五月蝿い・毛利家
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内乱寸前、藩祖はヤンデレ・細川家
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官兵衛以外、曲者・黒田家
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薩人マシーン等の異名多し・島津家
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分家や親族にはトンだやつが?・真田家
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フィクションでは大悪党・柳生家