恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

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 この不調というか。書いても書いても納得できないのはなぜだろうか。……かと言ってこのまま投稿しないのも消化不良だなぁ。と、思いつつ投稿します。


腹が減っては戦はできぬ

 

 「ガルルルルル……」

 

 「小珠。ついに女を捨てたか。」

 

 「だいぶ前からそうだったとは思うが、今回に限っては何も言えんなぁ。」

 

 もはや別宅とでも言えばいいのか。何時も集まる和泉屋の離れでは探索でのグダグダはどこに飛んでいったのやら。夜食の鍋料理を独り占めにしつつ、周りを威嚇する小珠。そして呆れるような、悲しむような態度の恭太郎と平太郎。

 

 『四足ぃ?しかも鍋とは。くさみが強くてなぁ。』

 

 などと言っていたにも関わらず『試作黒豚(うまいブタ)』を『合わせ味噌(うまいみそ)』で作られた豚鍋を食べるなりこの様子。

 付き合いと性格を知っている二人がこの様子なのだから、他の人間が見たらドン引きも通り過ぎて、現実逃避しかねない。

 

 (すき焼きとか出したらどうなるのやら。)

 

 仕事と知識をひけらかすことばかりの昔とは違い、恭太郎はこのような身近な生活改善を楽しみにしているフシがあり、小珠の行動を呆れつつも、少しばかり嬉しさも感じていた。……まぁ、少しとは言うが、わずかに近いものだが。

 

 「仕方ない。たしか干物があったはずだから、それでメシを食おうか。」

 

 次回からは分けてもらえるだろう。と、諦めて恭太郎は蔵の一つに向かおうと障子に手をかけた。

 

 「確かに仕方ないな。この様子ではなぁ。それにしても、他人の家なのに干物まで用意してるとは案外図太いな。恭太郎も。」

 

 御用商人で、絵図面を引いた恩人とは言え、ここまで自由にすれば文句の一つでも出るだろうと思っていた平太郎たが、和泉屋の面々の顔を思い出し、その考えを消した。そんな小物というか、俗に染まりすぎた人間が思い出せなかったからだ。

 

 「オレも行くぞ。小珠の食いっぷりを見てたら余計腹が減った。今回は不首尾に終わってしまったが、次はこうはいかん。腹が減っては戦はできぬ。だな。」

 

 いや、グダグダに終わったのは空腹とかではないのだが。と、ツッコむ人も居らず、平太郎も干物を物色するために立ち上がった。

 離れから蔵までは母屋を挟んだ向こう側。普段なら通路を順序よく通って向かうのだが、面倒くさい。

 行儀は悪いが、草履を履いて抜けてしまおう。

 

 「なんか腰回りが落ち着かないな。」

 

 普段ならば、軽装に脇差しなのだが、妙な不安を覚えた二人は草履を履くと大刀を腰に差して離れを出た。

 

 (おや?なんか変だな。)

 

 目と鼻の距離にある蔵に近づく二人は中途半端に開いた扉に違和感を覚えた。不寝番の用心棒が定時の確認を行ったのか?とも考えたが、開いている蔵。つまりは、恭太郎たちの目的の干物蔵には盗まれて困るものはない。そもそも、用心棒もいない。

 

 「源左衛門さんか。源兵衛さんが、つまみ食いでもしてるのか?」

 

 まさかぁ。とは考えたが、他に鍵を持っている人間は思いつかない。ともかく開ければ分かる。と、恭太郎は中途半端に開いた蔵の扉に手をかけるが、嗅ぎなれた嫌な臭いが鼻に入ってきたことで扉を締めた。

 

 「血の匂いがするな。」

 

 「閂はあったが、錠前がないぞ。」

 

 扉を押さえている恭太郎に同じ様に異変を感じたに平太郎が、物陰に転がっていた閂を投げ渡す。

 

 「これで外には出れん……はずだ。」

 

 「並の人間ならな。……この流れは良くない流れに決まってる。」

 

 閂で蔵の扉を封鎖した二人は油断しない。二人の脳裏には『獣人間』の姿が浮かんでいた。先刻のグダグダ調査で、封鎖された屋敷に乗り込まなかったことに安堵した。

 巣であったら物陰に隠れていた獣人間に不慣れな地形でタコ殴りされていたかもしれない。考えるだけで生きて帰れた気がしない。

 

 「だよな。どうする?」

 

 「中に生存者は居ないだろう。あの蔵の中に何匹いるかで考えよう。」

 

 「近くに居たのが追ってきたのか。平太郎の予想通りあの辺りが巣なのか。」

 

 「一匹ならなんとかなるだろうが、事前準備もなしで数匹は無理だ。……とりあえず覗くか。」

 

 「そうだな。」

 

 メシを食いに来ただけなのに、和泉屋にとんでもない迷惑をかけたなぁ。と、後悔しつつ二人は蔵の窓から中を覗く。月明かりのみで、わずかにしか見えないが『毛むくじゃら』の足は二本だけのようだ。床や見える範囲の干物や保存食は猟奇的な状態であり、おぞましい咀嚼音も聞こえるので、予想通り蔵の中には生存者はいないようだ。

 恭太郎としては、誰が犠牲になったかが気になるところだが、まずは脅威の排除を優先することにした。

 

 「食事に夢中のようで。」

 

 「火気系統は駄目だ。恵土府内では火事は厳罰になる。水攻めできる水もない。」

 

 「かと言ってこのまま封鎖して置くのも、難しいだろうなぁ。」

 

 「結局、コレかぁ。」

 

 と、二人は刀を叩く。その音に気付いたのか。食事が終わったのか。どちらかはわからないが、蔵の扉が叩かれ始めた。

 

 「騒動に好かれすぎだろう。」

 

 「休む時間がほしいが、せめて考えるだけの時間がほしいな。……そいうえば和泉屋の奉公人たちは大丈夫か?」

 

 「完全に抜けてた。疲れか?ともかく、騒ぎになれば逃げるだろうよ。」

 

 「たまに酷いよな。オマエ。」

 

 飛び出てくるであろうバケモノに対して大刀を抜く二人であった。

 

 

 

 

 

 

 




 感想、誤字脱字、評価、アンケート参加ありがとうございます。なんというか、ここまで評価していただきありがとうございます。設定とか流れが半端に噛めてないので、精進します。

最凶の大名は?(ちょっと詰まっているので、候補から。三傑は殿堂入り)

  • 独眼竜が筆頭格・伊達家
  • ウッカリが大惨事・上杉家
  • ルール無用の残虐ファイト・武田家
  • 御屋形様以外は大暴れ・北条家
  • 騒動多く、死人も多い・前田家
  • 義絶・絶縁・キチ◯イ多数・浅野家
  • 恨みは根深く、身分も五月蝿い・毛利家
  • 内乱寸前、藩祖はヤンデレ・細川家
  • 官兵衛以外、曲者・黒田家
  • 薩人マシーン等の異名多し・島津家
  • 分家や親族にはトンだやつが?・真田家
  • フィクションでは大悪党・柳生家
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