……まぁ、いいか。
「あら?」「ほう。」
回向院近くにあった封鎖された旗本屋敷。少し前に恭太郎たちが調べに来た場所では、数体の獣人間が円に集まりロウソクが消えたことに声も出せずに驚く。その中に真っ当な人間の姿をした男女が声を漏らした。
「まさか闇将軍さまが言ってたようになるとは。少々舐めすぎていたのかもしれんなぁ。いやはや。いやはや。」
闇の中で声を漏らすのは、黄蛸党の親玉であった重菱屋清左衛門。送った獣人間が返り討ちにあったことを『この不穏な集まり』の中で唯一驚いてない。
「どこか嬉しそうですね。そこそこの駒をではあったのですよ?損を受けているのに。アナタらしくない。」
「これは失礼。ですが、嬉しくもあるのですよ。商人としては食いでのある相手でないと。あっけなく私の手以外で倒されては、新撰会で受けた失敗分を取り戻しても嬉しくないのですよ。それに失ったのは『駒』。補充は出来ますよ。」
と、重菱屋清左衛門は両手にチャラチャラと、いつも手に持っていた銭ではなく、将棋とチェスの駒をもてあそんだ。
駒に例えられたことに周囲の獣人間が不満そうに唸りを上げるが男女の一瞥すると大人しくなった。
「手応えがないと、食い出がないのはアナタも困るでしょう?」
重菱屋清左衛門が隣に座る女性に告げると、複雑そうな顔をした。しかし、すぐさま表情を平常に戻すと、
「確かに。少々、少々ですが気に食わないのは間違いないですけど、アナタの言うとおりですね。」
大刀を持って立ち上がった。見るからに狒々爺で商人と分かる重菱屋清左衛門とは違い、着物に袴。男羽織を着て、長い髪は適当にまとめ、なんとかギリギリ茶筅髷と言えるざっくりとしたものだ。体つきはどう見ても美しい女性なので、格好と合わせるとなんともチグハグしたモノになっていた。
「いつ見ても、下手な男装ですな。」
重菱屋清左衛門が言葉を発するが、女性は言葉を返さず一刀にて首をはねた。コロリと首が畳を転がる。
「冗談でも、本音でも話せませんなぁ。いえいえ、私が悪ぅございましたよ。」
しかし、重菱屋清左衛門は何事もなかったように首を戻し、言葉を続けた。さすがにこんな軽口で2つも命を落としたくない。
「まったく。どういうカラクリなのやら。昔から数えても少なくとも十は越すほど斬った覚えがあるが。」
「企業秘密とでも言っておきましょう。ささ、血糊を拭かずに鞘に納めたら、いかなる名刀でも錆びますぞ。」
懐から上質な紙を取り出して渡す重菱屋清左衛門に、女侍は不機嫌になりつつ紙で刀から血を拭き取る。
「興味が湧いたわけではないが、闇将軍さまとお前が一目置くヤツを試してこよう。」
それを興味が湧いた。というのでは?と重菱屋清左衛門は思ったが口には出さず、
「この度の駒退治の件を報告するかと思いますので、その道中を狙えばよろしいかと。」
と告げて二枚の人相書きを渡すと闇に溶けた。駒を失った一件を報告にでも行ったのだろう。
「新陰流の相手も少しばかり続きすぎたからな。こちらで良いか。」
女侍の選んだ人相書きは、恭太郎の方だった。
敵サイドの幹部二人目参上。予定では5人前後の予定ですが、あんまり強くすると、謎の黒幕・闇将軍もメチャクチャになりそう。……コレも今更かぁ。
最凶の大名は?(ちょっと詰まっているので、候補から。三傑は殿堂入り)
-
独眼竜が筆頭格・伊達家
-
ウッカリが大惨事・上杉家
-
ルール無用の残虐ファイト・武田家
-
御屋形様以外は大暴れ・北条家
-
騒動多く、死人も多い・前田家
-
義絶・絶縁・キチ◯イ多数・浅野家
-
恨みは根深く、身分も五月蝿い・毛利家
-
内乱寸前、藩祖はヤンデレ・細川家
-
官兵衛以外、曲者・黒田家
-
薩人マシーン等の異名多し・島津家
-
分家や親族にはトンだやつが?・真田家
-
フィクションでは大悪党・柳生家