「は?今なんと?」
和泉屋での戦闘から一週間後。背中の傷が癒えたころにちょうどよく登城の連絡を受けた恭太郎と平太郎は、例の秘密部屋にて前老中首座・沼田意次から耳を疑う話を聞いて、思わず聞き直した。
平太郎もポカンと驚きすぎたのか意識が少し飛んでいったかに見えた。
「お主たちに頼んでいた『
意味がわからなかった。仕留めたのは二匹。恵土府内には、まだ何匹潜んでいるかわからないのに?しかも、大御所と将軍からの密命を、大御所の側近とはいえ、代理人が中止を告げる?
納得いかない恭太郎と平太郎。雰囲気だけではなく、顔にも出ていたのだろう。意次もその気持ちを理解してたのか。
「これ!慎め!」
と、一言だけ怒鳴ると、扇子で二人を近くに呼んだ。秘密の部屋ではあるが、万が一にも面に出せない話なのだろう。
「お主らに頼んだ一件を止めるのはな。例のバケモノがある場所でな。多数討ち取られたのじゃよ。五日前の事じゃ。」
「「は?」」
あのバケモノが多数討ち取られた?と、またもや理解できない言葉を聞いて思考が止まる二人。一匹でも苦労したのに。それが多数討ち取られたという話を、信じられない。
これでも、腕っぷしというか。武芸には覚えもあって、一家言もある。たがらこそ、獣人間を多数打ち取る。そんな腕のある人間が思い出せずに話に納得できない。
「もしや、御野派一刀流や楊生新陰流の道場や屋敷に乗り込んだのですか?」
思いついたことを話した平太郎。たしかに、将軍家武芸指南の武芸者なら斬れるだろう。数匹現れたとしても、新陰流を修めているなど武の心得がある面々が多い場所に飛び込んだのなら納得できる。
しかし、意次は首を振り、予想外の場所を告げた。
「白河藩の上屋敷じゃ。公方様が直々にお褒めと、口止めをされておるからな。お主らの耳にもはいっておらんたろう。和泉屋で仕留めたバケモノを検分して数日の間が空いたのは、得川定信殿との話し合いがあったからじゃ。」
「そんなバカな!?」
「白河藩にそんな腕前のヤツ居りませんぞ!?」
納得できないことが続いた二人は思わず声を大きくするが、意次が扇子を自分の口元当てると、『静かに』との合図に気が付き、二人は頭を下げて謝った。
「気持ちはわかる。ワシも同じだ。しかし、数体のバケモノを討ち取った結果が事実ある。……詳しい過程は分からぬが、お主らも結果で周囲を黙らせ、認めさせた人間。ココで騒ぐ無意味さは理解しているだろう。」
「む…。」
恭太郎も平太郎も結果を出した側の人間。そう言われては全く返す言葉が浮かばない。特に恭太郎は武士らしさ・垣根を放り投げてまで、この世界では若くして、政治・財務・軍事・人材で自画自賛するわけではないが、別格の結果を残している。
結果で示せ。と、言われれば口が裂けても、妙な言葉が出るわけもない。
「失礼しました。お許しを。」
再び頭を下げる恭太郎と平太郎に、どこか満足気にうなずく意次は得川定信から受けた報告内容を話し始めた。
25日まで投稿できるかわかりません。あと、文についてのアンケートを集めますので、参加よろしくお願いします。
文面について
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このままで問題ない。書き続ければよし。
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書き方自体は問題ないが、今より本文を短く
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書き方自体は問題ないが、今より本文を長く
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砕けて書いて、文字量はこのまま。
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砕けて書いて、今より本文は短く
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砕けて書いて、今より本文は長く
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文面は固く、本文はそのまま
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文面は固く、今より本文を長く
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文面は固く、今より本文を短く。