恵土転生〜え?江戸じゃないの?〜   作:塩焼きサンマ

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恭太郎。いや、神原基康登城する。

 

 徳河将軍の一日は、判で押したような一日という人がいる。それは間違いではない。現将軍・徳河家基も毎日毎日似たような日々が続き、うんざりしていた。

 

 「老中・沼田意次様。お目通りを〜」

 

 「良きに計らえ。」

 

 「御一門・一ツ橋治済様。お目通りを〜」

 

 「良きに計らえ。」

 

 幕閣や血縁など直接、将軍と会える人間から『結果の決まった仕事の報告』や『それに対する反論』を受けるだけ受けると、

 

 (珍味や美味の食事ではあるが、冷え切ってると侘びしいのぉ。)

 

 毒味で冷めきって、絢爛豪華なだけの食事を決められた回数箸をつけ、

 

 「本日も御成はない。と?」

 

 「父。いや、大御所様も天下第一であったはずだが?」

 

 大奥からの催促をうけ、女達のネットリとした嫌な視線を躱しつつ寝床に入る。朝も朝で起床時間前に目覚めても満足に動くこともできない。

 

 (西の丸時代が楽しくて仕方なかったわ。)

 

 何も言わないからと乱雑。とまでは言わずとも力加減を間違っている髪結に我慢できず、大きなため息を吐いた。

 

 「なんでも無い。続けよ。」

 

 下手な髪結にイライラしつつ、家基はまた同じような日が続くのに心底うんざりしていたが、本日は違った。

 

 「本日最初に会いに来るの誰だ?」

 

 「神原和泉守様になりまする。」

 

 「はよう通せ!」

 

 お目見えの名前を聞くと、イライラは吹き飛んた家基は茶と菓子を用意するように告げるとワクワクしながら、到着を待った。

 

 

 (やっぱり御城は居心地が悪い。)

 

 恵土城の『溜の間』と呼ばれる控室に、榊恭太郎。もとい、神原和泉守基康は冷や汗をかきながらお呼びが掛かるまで待機をしていた。

 

 (気疲れするわい。全く嫌な目で見るなよ。)

 

 この『溜の間』は大名の中でも幕府や将軍に影響を与える力のある数少ない有力者が詰める控室であり、恭太郎。いや、基康の周囲にいる大名たちも老中や家格の高い功臣たちの末裔だ。

 何代もかけて、血脈と政治努力と年月を費やしてこの控室に来た面々や、元々いるような特権階級からすれば『ぽっと出』の基康に良い感情を覚える人間はほとんど居ないだろう。

 

 (一応、神原家も徳河四天王と呼ばれる面々の末裔なんだけどなぁ。和泉一国の国主大名になったのが悪かったな。)

 

 当代将軍の覚えよく、和泉二十二万国の国持、国の経営だけではなく、多数の発明や発想で改革し、札差からの借財もない。噂によれば大店との付き合いで懐も温かい。そんな話を聞けば、ヒイヒイ言って領国経営している大名たちからすれば嫌味や嫉妬の視線で済んでる分マシだろう。

 

 「和泉守さま。こちらに。」

 

 長く感じた待機時間も終わり、将軍・家基との面談とために小姓に案内され、無駄に長い通路を通って将軍の前に平伏する。

 

 「面を上げい。」

 

 と、普通ならば側用人やら、なんやらが将軍の代弁をするのだが、

 

 「恭太郎よ。さ、近う。近うよれ。」

 

 待ってましたとばかりに御簾をあげた家基が、目と鼻の距離にある座布団を示して手招きをする。

 周囲には人の気配がせず、家基と恭太郎だけであったのでホッとしつつ遠慮なく目の前に座ることにした。

 

 「上様?さすがに危ないと思いますが?」 

 

 「何をいうか。恭太郎が居ればなんとでもなろうに。余が西の丸時代、なんど暗殺されかけ、その度にそちに救われたか。」

 

 (まー、そのせいか暗殺の主犯にされかけたこともありましたなぁ。)

 

 恭太郎としては、この江戸時代っぽい世界に生まれて、何の因果か大名の子供兼将軍の遊び相手になってしまったために何事も精一杯やっただけなのだが。

 

 「それより一年ぶりの恵土はどうじゃ?」

 

 「思ったより羽虫が多いですな。昨日も恵土に着き、蕎麦を食ってたら赤鰐党なる輩が来まして、蕎麦を無駄にされましたわ。」

 

 あ、思い出したら、もう少し殴っておけばよかったかな?と、拳を握る恭太郎。が、いくら気に入られて多少の無礼が許されるとはいえ、目の前の人間はこの日ノ本での最高権力者。

 

 「ご無礼をいたしました。」

 

 頭を下げる恭太郎を手で制する家基。嫌な感情は覚えているような素振りは見えない。それどころか楽しそうに笑っていた。

 

 「ふふふ。良い良い。それにしてもそちの悪い癖は変わっとらんのお。大名が浪人に化けて物見遊山か。」

 

 「ゴホン。あー、それで上様?本日何用でしょうか?」

 

 「なに。参勤の挨拶ついでに頼みがあってな。聞いてくれるか?」

 

 これで嫌だ。と言えるのは京の都にいるやんごとなき(・・・・・・)お方でも少数のみだろう。

 それに元服前からの付き合いで、多少の無茶振りもなれたもの。恭太郎は頷いた。

 

 「実はのお。」

 

 家基は扇子を開き、恭太郎にそれなりの時間耳打ちした。

 

 「頼めるか?」

 

 「……はぁ。承りました。しかしながらよろしいので?」

 

 「良い。これにて話は終わりとする。じゃが、7日に1度は登城せよ。」

 

 家基は「話は終わった。」と、態度を堅苦しく戻した。茶を一気に飲み干した恭太郎は平伏して、御目見得の間から出ると『溜の間』に戻った。

 




アンケート1件返信あり。ありがたやー。(2022/08/07現在)

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