緋弾のアリア -黒砂ー   作:silentr

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12.反転

 イタイ――

 

 何でこんなことしているのだろう?

 

 イタイ――

 

 なにしているんだろう?あたし。

 

 クルシイ――

 

 こんなに痛くて、苦しいのに。

 

 イタイ、クルシイ――

 

 アイツ…いないし。

 

 イタイ――

 

 一人だし。もういいかな。一人だし。

 

 ズット――

 

 一人だし。

 

 もういいでしょ、もうやめていいでしょ、仕方ないでしょ、勝てるわけがないでしょ、痛いからもういいでしょ、苦しいからやめていいでしょ

 

 だって一人だし――ずっと一人だしーーこんなの無理よ、あたし一人だし。

 

 

 

 

 身体が――脳が――思考のすべてが止めたがっていた。

 諦めたがっていた。痛くて、悲しくて、寂しくて、悲鳴を上げていた。

 

 

 

 

 ――い?

 

 何?

 

 ――寂しい?

 

 誰の声?――なによ、寂しくないわ。

 

 ――嘘

 

 あたしの声?――嘘じゃないわ。いつも一人だし。

 

 ――ねえ、寂しい?

 

 何言ってるのあたし――うるさい。寂しくないっていってるでしょ。

 

 ――嘘つき。泣いてる。

 

 ナイテナイ

 

 ――嘘。サビシイ。

 

 サビシク――ダッテ、イナイノ。

 

 ――ねえ、彼?

 

 アイツ、イナイ。

 

 ――ねえ、彼がホシイの?

 

 ソバニイテ、コンナニモーー

 

 ――ほら、呼んでる

 

 キンジーー?

 

 

 ――アリ

 

 イテホシイ、アタシ、コンナニモーーナノニ

 

 ――アリア

 

 イテホシイ、イテホシイ、アタシハ、アたしは、あたしは――

 

 ――アリア!

 

 キンジ!側にいて、あたしはーーキンジ!近くにいて、あたしはあんたが!――キ――

 

 

 

 「そんなの知ってる!!うるさい!!黙れ、あたし!!!」

 

 

 呪縛が解けたように声が出た。砂埃を巻き上げながら跳ね起きた。

 

 いきなり叫んで、飛び起きたアリアに何が起きたのかわからず、土佐の反応が遅れる。

 

 ギラリとした肉食動物のような赤い眼光が土佐をとらえる。ターゲットを見つけ、弾丸のごとく疾走する。

 

 はしる――走る――奔る。

 

 土佐の4丁の拳銃が消えて、その手元に2丁が残り、構える。

 

 跳躍。

 

 土佐の目の前にアリアが跳んでくる。

 

 土佐はアリアを狙って、引き金に力を込める。

 

 アリアは土佐の前に着地――少し遠い。急ブレーキをかけるように踵を地面に突き立てて、ガリガリと地面を削る。

 土佐に向かって浴びせかけるように削られた砂が飛ぶ。土佐とアリアの間に砂煙が舞い上がり壁を作った。

 

 「ちっ!」

 

 アリアを見失い舌打ち。左右を警戒。左側、一瞬赤い髪がゆれるのが見える。土佐が銃を向けて発砲。

 

 パァン――弾丸が砂の煙を貫き吹き飛ばす。

 

 アリアの赤いツインテール。そこにはその片方だけが揺れていた。

 

 アリアの突然行動に土佐の判断が崩される。土佐の目が大きく開かれ、『しまった』と焦りの色で染まる。

 

 「バーカ、はずれだ」

 

 アリアの声。砂の煙幕の壁を突き破り、土佐の目の前に黒と銀の二丁拳銃が現れる。

 

 アリアは引き金を引き絞り。

 

 ガガガガン!――銃がその咆哮をあげた。アリアを祝福するように。

 

 

 

 ――まったく、うるさいわよ、あたし――

 

 

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