ヒーローと亜人   作:ガジャピン

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第46話 聖戦

 ギャングオルカたちは今、あらゆる選択を迫られていた。

 ギャングオルカのチームのヒーローが一人、佐藤が飛び下りたばかりの割れた窓に詰め寄り、そこから下を見る。すると、佐藤が国会議事堂のある方向に走っていくのが見えた。

 

「くそッ、佐藤が逃げてく!」

「シャチョー! 大丈夫ですか!」

 

 そのヒーローの行動の背後では、ギャングオルカの他のヒーローがギャングオルカを拘束しているヒーローアイテムの解除をしていた。拘束解除は拘束布を束ねているアイテムの外側に付いているボタンを押すだけのため、簡単に解除できる。

  拘束から解かれたギャングオルカは真っ先に佐藤が飛び下りた窓の方に近付こうとする。だが、立ち眩みがして足がふらついた。

 

「無理しないでください! 眼を撃たれたんです! 気力で痛みを耐えるのも限界があります!」

 

 ギャングオルカのふらついた体をサイドキックの一人が支えつつそう言った。

 確かに左眼からの出血は止まらず、痛みは収まるどころか増している。このコンディションで佐藤を追っても、周りのヒーローの足手まといになるだけかもしれない。今佐藤を取り逃がしたのも、元はと言えば自分が捕まえようと出しゃばったから、それを佐藤に利用され逃走手段の一つに使われた。

 ギャングオルカは佐藤を確保しようとした瞬間を思い返す。あの時、佐藤は素早く身を沈めて左眼の死角に移動し、更にはギャングオルカの突進力を逆に利用しヴィラン拘束用ヒーローアイテムを使った。つまりはギャングオルカ自らが当たりにいってしまったのだ。佐藤はただギャングオルカの進行先にヒーローアイテムを置いておくだけでよかった。それだけのことをその時の機転でやれてしまう。佐藤という人間の戦闘センスの高さが分かる戦闘だった。

 

「お前たちは佐藤を追え。俺はインカムで佐藤についての情報を共有する」

「了解!」

「お前たちは今から言うことを必ず遵守しろ。慎重に追跡しろ。先走るな。佐藤を見失わない距離を保ち、常に佐藤の位置情報を教えろ」

「分かりました! 気を付けて追跡します!」

 

 ギャングオルカの周りに二人だけ残り、それ以外の動けるヒーローたちは佐藤を追跡するためその場から駆け去っていく。

 それを片眼で見送りながら、ギャングオルカはインカムの発信ボタンを押す。

 

「こちらギャングオルカ。佐藤を取り逃がした。俺は左眼を撃たれて負傷。今は俺のチームに佐藤の追跡をさせている」

 

 ギャングオルカがそう言った途端に、インカムにざわめきのような音が入った。ギャングオルカの実力をよく知っているからこそ、捕まらなかったばかりか負傷させた佐藤に驚いている。

 

『……佐藤が逃走した方向は?』

 

 ホークスはざわめきの声が収まるのを待ってから訊いた。

 

「国会議事堂がある方向だ」

『佐藤は逃走より仲間の救援に向かったってことっすか……』

 

 そこでインカムから音が途絶えた。ギャングオルカが佐藤の確保に失敗した今、次の行動を考えなくてはならない。その思考時間による沈黙。

 

「……俺は佐藤の拳銃が左眼に突きつけられた瞬間、死を覚悟した」

 

 その沈黙時間。佐藤と直接対決したギャングオルカはその時に感じたものを伝えようとする。インカムからはハッと息を呑むような音が続々と響く。

 

「エンデヴァー、ミルコ。お前たちも感じた筈だ。佐藤と戦っている最中、死の恐怖を」

『……ああ』『ふん……』

 

 ギャングオルカの言葉に対し、エンデヴァーは苦々し気に。ミルコは不機嫌そうにそう返した。

 エンデヴァーとミルコはそれぞれ佐藤と戦闘した時のことを思い返す。エンデヴァーは佐藤が自爆する直前。ミルコはスタングレネードを食らった時と透明な何かの音を聞いた時。二人が佐藤の戦闘を思い返した後の表情は真剣そのものの表情になっている。ギャングオルカが何を伝えようとしているのか、理解しようとしている。

 

「俺は佐藤に不覚を取った。ヤツは俺と戦う前に音波を感知する器官を潰し、俺の超音波を効かないようにしていながら、超音波が効いた振りをした。その一瞬の油断を突かれた。それと、俺はその後本気で佐藤を殴り、殴った感触で骨を粉々にしたことが伝わったが、佐藤はすぐ起き上がって平然と動いた。これらのことから、ヤツの個性はミルコが予想した通り、『条件付き再生能力』と確定していいだろう」

『再生できるからって、自分を傷付けられるなんて……』

 

 リューキュウがそう呟いた。その声には信じられないという響きが含まれている。

 リューキュウだけではない。声に出さないにしても、ギャングオルカが負傷した経緯は佐藤という人間の異常性と狂気を浮き彫りにするには充分すぎた。

 

「この話で重要なのは、俺と『戦闘する前』に超音波の対策をしてきたという部分だ。そして、俺だけではない。エンデヴァー、ミルコといった二人も死ぬかもしれないという瞬間があった。そのことから、俺はこう佐藤を分析する。佐藤は俺たちヒーロー一人一人の個性を調べ上げていて、かつそれぞれのヒーローの個性や戦闘スタイルを加味したうえでの対策や倒し方を考えていると。

俺は今まで通り戦って佐藤にやられた。ヤツに勝つためには今まで通り戦うのではなく、個性や戦闘スタイルを変化又は今より洗練させなければならない。そう俺は考える。肝に銘じておいてくれ」

 

 そこからは佐藤の追跡をどうしていくかという話になった。その話でギャングオルカは追跡を続けると言ったが、まずは左眼の治癒が最優先とのことで、燃輪のヒールボトルで治癒完了後に追跡に合流ということになった。

 インカムで話し合いが終わった後、ギャングオルカは気力によって保たせていた意識が遠のいていくような感覚に陥った。血を流しすぎている。

 

「シャチョー! 僕らが見てますんで、今は休んでください!」

「負傷したサイドキックやヒーローたちと、殉職した者の死体を頼む」

 

 その言葉に、ギャングオルカの傍にいたヒーローたちは目を潤ませた。仲間の死を実感したからだ。

 

「任せてください!」

 

 その言葉を聞きながら、ギャングオルカは意識を手放した。

 その後のインカムのやり取りでヴィラン連合の目撃報告が上がっていたが、今のギャングオルカにはどうすることもできない話である。

 

 

 

    ◆     ◆     ◆   

 

 

 

 (さとし)らは沙紀と佐藤の合流地点目指して走っている。高層ビルが左右に並んでいる通りに差し掛かったところで、ヒーローの一チームと鉢合わせ。お互い咄嗟に距離を取って建物の陰に隠れた。

 怜は建物の陰からヒーローたちを窺いつつ、苛立たし気に舌打ちする。こんなところで時間を無駄にしたくないという焦りからきたイラつきだ。

 そんな時、怜の耳にヒーローたちの話し声が入ってきた。

 

「子どもだ、子どもがいた」

「歳は?」

「多分高校生くらいだ。何か理由があって佐藤の仲間になっているんだろう。俺が説得してあの子を助けてみる」

 

 ──……は? 助ける?

 

 怜の中の苛立ちはその言葉で加速した。右の人差し指でアサルトライフルの銃身をトントンと叩く。

 

「金髪の君! どんな事情があるかは知らないが、その先にあるのは破滅だけだぞ! 今ならまだやり直せる! 俺たちのところに来い!」

 

 プツリと、怜の頭の中で何かが切れた。

 

「おい!」

 

 怜のチームにいる長身で筋肉隆々のヴィランは怜が建物の陰から通りにふらりと出ていくところを見て制止の声をあげたが、怜は無視した。

 怜はアサルトライフルをだらりと下げて、通りの真ん中に立つ。顔は俯いていて、ヒーローたちから表情は分からない。それでも、出てきてくれたということで説得が成功したと明るい気持ちになる。

 

「分かってくれたんだね!」

 

 そうヒーローが言っても、怜は何の反応もしない。ヒーローたちは明るい気分から一転不安になってきた。

 

「君、危ないからその銃は捨てて──」

「助けるっつったな、俺を。意味が分からねえんだが」

 

 ヒーローの言葉を遮り、怜が口を開いた。その言葉を聞き、ヒーローたちは顔を見合わせる。数秒の沈黙の後、ヒーローは自分の伝え方が悪かったと反省。分かりやすく伝えようと頭を捻る。

 

「え〜と……そうだ! いいかい? 今、君は『破滅へと向かう船』に乗ってるんだよ! このまま佐藤と共にいれば、君は取り返しがつかなくなる。でも、今ならまだ間に合う。俺たちに自首して佐藤の情報を教えてくれれば、情状酌量で君の罪は軽くなるんだ! 佐藤たちからの報復を怖がっているなら、大丈夫! 俺たちヒーローが君を守ってみせるよ!」

「……ククク……」

 

 怜はヒーローの言葉を聞き、静かに笑う。だが、その笑いには影があった。

 

「君……?」

「ハハハ、ハハハハハハ! 笑わせてくれるぜ! そりゃそう言うよな、アンタらは!」

 

 怜は体をのけ反らせながら笑う。唐突に笑い出した怜に、ヒーローたちも困惑。

 

「……どういう意味かな?」

「アンタらはさあ、産まれた時から個性に恵まれて、乗りたいって思った船に乗れる人生を今まで送ってきたんだろ? だからそうやって簡単に『他の船にも乗れる!』って言えるんだ。けどなあ、俺は無かったんだよ。俺が乗れる船が。今まで生きてきて一つも無かったんだ」

 

 怜はこれまでの人生を振り返る。同級生から弾かれ、両親から弾かれ、社会からも弾かれ続けた。

 

「アンタらに分かるかよ? どこにも馴染めず、誰からも必要とされない気持ちが。空虚な人生なんだぜ。なんで今生きてんのかすら分からねえ。そんな気持ちになったことあんのか……?」

 

 だから、怜は自分を馬鹿にして弾いた連中を見返してやると、無理やり自分の人生に目標を作った。自分が誰も必要としないのと同様に、自分は誰からも必要とされなくていいと強がった。佐藤に会うまでは……。

 

『君がいてくれて助かったよ』

 

 佐藤に言われた言葉が脳裏に再生される。

 

 ──佐藤さんだけは、俺の『個性』を馬鹿にせず、興味を持ってくれた。俺はそんな佐藤さんに救われた。

 

 怜は両拳を握りしめる。

 

「佐藤さんはなあ、俺のことを認めてくれるんだ。褒めてくれるんだよ。ズルいぜ、アンタら。ずっとこんな気持ちいい気分を味わってたんだもんな」

「何を言ってるんだ……? そんなの普通に生きていたら当たり前のことじゃないか!」

「当たり前? その当たり前すら許されねえ人間がいるんだよ! アンタらの常識の外にいる人間がなあ!」

 

 怜は乱雑に頭を右手で掻いた。

 

ヒーロー(アンタら)見てると思い出すぜ……」

 

 学生の頃、怜を虐めていた連中は揃ってヒーロー志望だった。

 

『お前みたいな無能を俺たちが守ってやるから感謝しろ』『個性があってもヒーローになれないザコ個性じゃなあ、未来ねえよ』『クソ弱個性の稲穂ちゃん、必死に生きてて偉いねえ』

 

 学生の頃言われていた言葉の一部が、怜の脳裏に響く。

 

「ヨーロッパのことわざに、地獄への道は善意によって舗装されているってやつがある。俺を地獄へ追いやったのは、ヒーロー社会そのものだった。『破滅の船』? それがどうした。どの船にも乗れねえよりは百倍マシだぜ」

 

 怜はアサルトライフルに手を掛ける。それを建物の陰から覗き見て、ヒーローたちは狼狽え始めた。

 

「ま、待つんだ。社会は必ず君を受け入れる。自暴自棄になってはいけない! それに、佐藤がこれまでどれだけの人間を殺してきたか、君は見てきただろう! そんなことは絶対に止めなくちゃいけない! 佐藤は君の心につけ込んで言い様に使っているだけだ! 君だって本当は人殺しなんてしたくないだろ!」

 

 ヒーローの言葉を聞き、怜の目に残忍な光が宿った。

 怜は思い出す。インタビューや雑誌でのヒーローの言葉を。人助けをたくさんしたい、人をヴィランから守りたい、困っている人の力になりたい等、立派なことをいつも言っている。だが、怜にとってヒーローになる奴とは、怜を排除し虐めてきた奴だ。だから、怜はヒーローの自信満々の表情を見ていると、吐き気にも似た感情がせり上がってくる。

 

 ──気持ちわりいんだよ、その(ツラ)

 

「アンタらのそのご立派な面の下に隠れた醜い本性ってやつを、俺が引きずり出してやるよ……」

 

 怜はアサルトライフルの銃口をヒーローが隠れている建物へ向け、引き金を引く。銃声と建物に銃弾が当たる音が重なり、耳をつんざくような轟音が響いた。銃弾が建物に火花を散らす。

 銃に撃たれたことのないヒーローの一人は、その強烈な殺意に満ちた攻撃にパニック状態になった。

 

「こ、殺される! 俺たちを殺そうとしている! ど、どどど、どうする!?」

 

 怜を説得しようとしたヒーローは怜の言葉にショックを受け放心状態になっていたが、銃声とパニック状態になったヒーローを見てハッと我に返る。冷静な判断力を取り戻し、このまま戦ったらこっちは皆殺しにされると考えた。

 

「一旦退こう。俺たちは三人しかいないが、向こうは一瞬見えただけでも四人はいた。もしかしたらもっと仲間がいるかもしれない。このまま戦闘に入っても全滅するだけだ」

「わ、分かった」「助かったぁ……」

 

 緊張した面持ちで頷くヒーローと戦闘しなくていいとホッと胸を撫で下ろすヒーロー。

 方針が決まった彼らはすぐさま行動を開始。インカムで相手の位置情報を伝えつつ、その場から撤退。

 銃を撃ちつつ前進していく怜と、そんな怜の背後から付いてきた味方たちは、ヒーローたちの隠れていた場所に差し掛かった。ヒーロー三人が逃げていく姿が見える。

 

「逃がすかぁ!」

 

 怜は走りつつ銃を連射。弾を撃ち切ったらリロード動作を挟み、また連射。

 

「ひっ……!」

 

 ヒーローの一人が怯えた声を出した。ヒーロー三人は背後を顔だけ振り向いて見つつ、遮蔽物に慌てて隠れる。

 

「俺の『個性』で足留めする。君たちは逃げろ!」

 

 そう言いつつ彼は右手を地面に向けた。すると、舗装された道路が盛り上がり、壁となる。

 

「そんな……! 俺も一緒に──」

「そうですよ! みんなで逃げましょう!」

 

 一人はそのヒーローを置いて逃げることに負い目を感じ、もう一人は全員で逃げようと提案した。だが、壁を作ったヒーローは静かに首を横に振る。

 

「右手を向け続けないと簡単に突破されるだろう。俺はここで壁を強化し続ける。行け!」

「……ッ!」

 

 ヒーロー二人は彼の覚悟と願いを感じ取り、全速力でその場から駆け出した。

 残ったヒーローはそんな二人の後ろ姿を一瞥した後、再び壁の強化に集中。

 その強化した壁を、唐突に赤く熱された棒が二本突き抜けた。そのまま二本の棒は四角形を壁に描き、壁から四角形をくりぬく。そして、くりぬかれた四角形が蹴られ、ドスッと前に倒れた音を響かせた。

 

「何!? この壁をこんな簡単に突破するだと!?」

「俺の刃は全てを溶かし斬り裂く防御不可の刃。壁など無意味なんだよ」

 

 怜が四角形の穴から姿を現し、くり抜いた四角形の壁の上に立つ。両手に赤く熱された棒を二本持っているが、すぐに形が崩れて消えていった。

 

「持続時間が短すぎるのは短所だけどな、まあいいさ。今の俺にはコイツがある」

 

 怜は首から下げたアサルトライフルを再び右手で掴み、壁を強化していたヒーローに向けて発砲。

 

「がはッ!」

 

 その銃弾はヒーローの腹部を撃ち抜き、ヒーローはその場に倒れる。

 

「君は……人を殺すことを……なんとも思わないのか……」

 

 倒れながら、ヒーローは苦し気に怜に問いかける。

 

「なんとも思わないな。俺のことを認めないヤツが何人死んだところでどうでもいい。俺にとっちゃゴキブリ同等の価値だぜ、お前らの命なんて」

 

 怜は平然とそう言い切った。ヒーローはその言葉に驚愕。

 

「君は……佐藤と戦争でも始めるつもりか……?」

「そう、戦争だ……でもただの戦争じゃねえぞ……」

 

 怜の唇が吊り上がる。

 

「俺たちがやるのは、この国に蔓延する個性差別主義者を排除し、この国の歪みを矯正し浄化する戦争……聖戦だ! 佐藤さんみたいな人がこの国を導いた方が今より平等で健全な国になるだろうよ!」

「それは……間違っている……そんなのは……ただの破壊行為だ……」

「もういい、楽にしてやる」

 

 怜はヒーローの頭に向けて銃口を向け、引き金を引く。銃声とともに、ヒーローは動かなくなった。

 

「ふん、偽善者が……」

 

 怜はそうヒーローに向かって吐き捨てた後、振り返る。すると、怜のチームであるヴィランたちと目が合った。途端に、怜は自分の感情を思いっきり吐き出したことを恥ずかしく感じた。

 

「みっともねえとこ見せちまったな」

 

 怜は彼らから目を逸らしながら、ぶっきらぼうにそう言った。

 

「いや、別にそうは思わねえよ」

 

 ヴィランたちの中の一人、筋肉隆々の長身男は怜の本心を聞いても怜を馬鹿にしたりしなかった。怜はそのことを意外に思い、そのヴィランに視線を合わせる。

 

「お前の気持ちは分かるぜ。どの輪にも入れねえって辛えよな」

 

 その言葉は、怜にとってはさっきのヒーローとは比べものにならないほどに心に響いた。

 よく人間は共感し合える動物だと言われる。しかし、共感できても共感した相手に言葉を届かせられるかどうかは別の話である。言葉には言う人間の人生が宿り、どれだけ耳障りの良い言葉を並べようが何も感じない相手がいる。その一方で、簡単な言葉であっても深く心に響かせられる相手もいる。

 怜はこのヴィランの言葉の中に、自分と同じ苦労と痛みを味わってきたのだろうと感じた。だからこそ、怜は素直にその言葉を受け止めることができた。 

 

 ──馴れ合う仲間なんざ俺にはいらねえって思ってた。けど……こいつらみたいな連中なら別に悪くねえのかな。まだよく分からねえや。

 

 怜は視線を落とし、アサルトライフルを見る。

 

 ──佐藤さん……俺はアンタと共に生き、アンタの前に立ち塞がる敵を殺す。そうすればアンタは俺のこと、もっと褒めてくれるよな……。

 

 怜らは気を取り直し、再び沙紀と佐藤の合流地点を目指し始めた。

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