男女比偏った世界ならモテるという甘えた考えは捨てろ   作:HIGU.V

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注意

ここからは時系列がやや煩雑になります。
一人ずつバックグラウンド、1幕の頃、空白期、現在とフォーカスするためです。
大まかな心でなんとななくで読んで下さい。


第2幕
見栄っ張りで臆病


春が来て、僕たちは3年生になった。そう、3年生になったんだ。

もう一回言うね。3年生に、なった。大事なことなので3回言った。

 

大見得切った手前恥ずかしいんだけれども、この春までの間十三の女性関係に関しては狙い通りの成果をあげられていない。

 

何も起こってないわけじゃないし、それなりにいい雰囲気になるイベントはあったみたいだけれど、十三が思ったよりも山上先生に意識をとられているのか、それとも大学受験に向けてバリバリ勉強しているからか、遅々として状況が進まなかった。まぁそれでもいい。大事なのはまず彼が前向きになることで、そういう意味では失敗はしてない。

 

なにせ、正直これは想定していたことではある。

 

まず大まかに僕が考えている十三と結婚してくれる可能性があるのは3人。竹之下純さんと鳥槇マキさんと駄場沙央里さん。この3人に十三を幸せにしてもらおうという計画だ。

 

あ、そうだ。僕にはとても良いことがあって。十三って呼んでいいって許可をくれたんだ。

去年廊下で鳥槇先輩と話している時に近くに行って、要件が終わった後に。

 

「十三って呼ばれるのは、嫌じゃなかったの?」

 

って聞いたら

 

「昔は好きじゃなかったけれど、今はあんまり気にしてない。どうせ社会人になれば呼ばれないしな」

 

なんて言ってたから、僕も十三と呼ぶことにした、ぶー君とかでいいのにとは言ってたけれど。

十三ってすごく格好良い名前だと思う古風な響きだし祐の女の子っぽい名前より十三っていうシンプルな漢数字だけで古強者みたいな響きがすごく好きなんだ。

 

……まぁそれは置いておこう。

 

原因として考えられるのは、やっぱり3人の内2人は昨年度中は忙しかったことだ。

 

竹之下さんは十三に彼女なりにせめてアプローチした、何でもいう事を聞く権利を渡すなんていう、なんてとんちきかつ変則的なアプローチをきれいに上げて落とされていた。そんな彼女がだ。

 

まぁそれ自体は、その後何を要求されるかで好感度とかを図ろうとする、玄人っぽい思考はいいけど。本人が結構ポンコツというか抜けてるからね。

 

ともかく、彼に「お前ならできるし信じてるよ」とまで言われて頼まれてしまえば、アルバイトをやめることはできないわけで。彼がやめて忙しくなった中、必死に苦学生をしていた。ご愁傷さまだ、受験生になるのでってもうやめるみたいだけど。

 

昨年度は時折土日に彼を誘ってダイエットの手伝いをしていた様子だ。それに平日も……でも結局は大きい進展はない、しかし今日からが本番という形である。

 

 

鳥槇先輩に関してはちょっとかける言葉がない。結局彼女はその……受験を失敗してしまったのだ。秋の選抜試験に落ちた後は相当へこんでいたようだ。亜紗美さんが僕とのデートを断って慰めに行ってたし、仕方ない。

その亜紗美さんと一緒に行きたかった学部は、かなり倍率が厳しいところのようで。普通受験だとほぼ不可能だったからだ。

 

色々あって、彼女は別の進路をとることになった。大学こそ亜紗美さんと一緒だが、学部は別の所に普通受験で入った。要するに去年からこの前まで、勉強で忙しかったし、いっぱいいっぱいだったのだ。

 

さすがにそんな状況で僕が騒動やイベントに巻き込むなんてできない。塩梅を間違えれば人生設計すら大きくかわってしまうから。

 

でも、受験失敗して荒れてた時期に、どうやら十三が結構親身になって励ましてた様子で……あいつたまにそういう所ある。いいよね……十三って辛いときに一緒にいてくれるんだ。

 

だから正直彼女に関しては、あとほんの一押しな気もする。一人暮らしも始めたようだし、亜紗美さん経由で情報の行き来が出来るからね。

 

そんな亜紗美さんはなんと、ルームシェアを始めた。ゆかり先生と。先輩たちの大学も僕達の高校も同じ市内だから都合が良いとのことだ。

広い家に安く住めて、気心もしれているからという理由らしいけど、その、僕としてもちょっと考えなきゃと思う事ではある。特に金曜日に遊びに行くのはもう控えよう。

 

そして駄場さんは、駄場さんは…………少しだけ後押ししたら、変な方向にかっ飛んでいった。

おかしいな、機械系や映像編集とかもできる人だから、十三にアドバイスできるようにと思ったんだけれども。まぁいいや。

 

あの人とは昔少しだけ話した。その時に聞いたことは正直恐怖すら覚えたけれど。実害はでない……と思う。うん、多分。十三が嫌々相手にしてるんだったら対応を変えられるんだけど。

 

あの人に関しては、他人の色恋やら関係性に優劣をつけるのは烏滸がましいということを鑑みても。それでもちょっとね……てなる。

 

年齢とかは別にいいんだ。離れていても愛があれば。本人たちがしっかり納得するなら。特に言いたくないけど十三は年上が好きだし、もしかしたら母性を求めているかもしれない。彼には母親が、そのいないから。

 

でもその年齢まで使おうとするから、なんかダメに見えるんだよね。一旦保留だ。というより、職務上他の人と十三がくっついたら絶対影響が出るから。勝手に連鎖で終わりそうでもある。

 

 

そして、一応経過観察している山上先生。

 

キモオタモードと彼が言ってたわざとらしいドモリをやめて、授業でも普通に発言するし、みるみる痩せていき(それでも目標まではまだ太いけど)、成績も上昇。そんな十三を見て時折満足げに話しかけている。

 

その際に彼の腕とか肩を触って品評しているようで。十三が肩のラインがしっかりしてきたなとか、ふとももがしまってきたなと言われながら撫でられたと逐次僕に報告してくる。

 

十三、亜紗美さんもいるところでそれを僕に言うのは、もしかしてわかって駆け引きをしてるのかい?

 

いやぁないか。全く意識してないよ彼は。それどころか、受験全部失敗して浪人生になるくらいなら、鳥槇先輩は亜紗美先輩と祐がもらってやるべきでは? とか言うくらいだしな。

 

 

 

総評として確かに目論見通りだいぶ前向きになったけれど。たぶん誰かに明確に言い逃れできないほどに好意を伝えられない限り。これ以上は無理だと思う。

 

まぁそれでもだいぶましにはなったんだ。じっくりやっていければいいかな。

 

「それじゃあ、華お願いしてもいいかな?」

 

「うん、もちろん。二人の為だもんね」

 

助手席の彼女と席を変わってもらう。

というわけで、早速はじめようと思う。

僕なりの十三への仕掛けを。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

夕方、日が暮れる前に学校から帰ってくる。ローファーを脱いで、玄関から意味があるのかなというくらい短い廊下を抜けてリビングに入る。声をかけたけれど誰もいない。お母さんはフルタイムで働いているから、当然だ。

 

「玉ちゃん、ただいま」

 

もう何年も家族なのに、みゃーと声が返ってくるのに緩む頬を抑えられない。そんなに広くない1LKの私達の家。アタシの部屋に広めのリビングダイニングキッチンがあるだけの物件だけど、ペット可なのもあってここに住んでいる。

 

玉ちゃんを飼い始めるときにお母さんと決めたことだ。大きいお家と猫ちゃん。どっちがいい? って言われたから。

 

アタシの名前は純、竹之下純。どこにでもいる女子高生だ。

 

 

 

手洗いうがいを済ませて晩御飯の用意に取りかかる。小さいころから家事は私の仕事だった。姉妹はいない母との二人暮らしで、家事を覚える為の実践の機会に困ることはなかった。

でも料理はそこまで好きじゃない、お菓子作りの方が好き。同じじゃないの? と友人に言われても、違うんだよ。としか言えない。理由はわからないから。

 

「あ、こらダメでしょ。玉のご飯はさっきあげたじゃない」

 

調理台によって来るかわいい妹を足で追い払う、今刃物も火も使ってるのごめんね。

 

別に母と二人での生活に困っていることはない。玉ちゃんがいるから泊りは難しいけれど、お母さんとよく旅行に行ったしプレゼントも服も周りの娘と同じか、もしかしたらそれ以上にもらってる。でも男気の全くない家だ。

 

アタシの家にお父さんがいないのは、人工授精だからかそれともお母さんともう会ってないだけなのかはわからない。ただ母に結婚歴がないのは修学旅行でパスポートをとった際に知ったけれども。

 

まぁ今どき珍しいことじゃない。それでも生活には全く不安はないし、私のアルバイトだって家にお金を3割入れようとしたら怒られたくらいだ。1割でいいわよって。

そんな今のこの国にはきっとどこにでもいる女の子だ。

 

男の子は小学校のころ隣のクラスにいたなというくらいで、なんというか、いないのが普通で、別の世界の出来事みたいな、そんな感覚だった。

いつか、先輩に聞いたら、日本人しかいないのが当然みたいな感覚ですか? と聞いてきたのでそれが近いかも。隣のクラスに一人外国人がいるのと同じ感じ。

 

だから周りが女子しかいないのも普通で。女の子達と女の子だけでずっと遊んでいた。中学からも変わらずおしゃべりばっか。結局6年間男子と同じクラスにはならなかった。

高校からは私立の女子高に通って、なんとなくでアルバイトを始めた。

 

アルバイト先は学校からの帰り道ので働くのが嫌で、少しルートから外れているところにした。コンビニにしたのは簡単そうかな? と思ったから。特別な理由はない。

 

電話で面接の予約を入れて、そうしたら直ぐ採用が決まって。

 

 

 

「初めまして。君に仕事を教える出部谷です」

 

バイト先で先輩に出会った。アタシのOJTをしてくれたのが、出部谷先輩だった。

そして実は人生で初めて同年代の男の子と話すことになったのだ。

 

「見た目と違って優しい子だから、安心してね竹之下ちゃん」

 

「は、はい」

 

当たり前だけど男の人だ。たまーにアパレルの店員さんとかとは話すことはあっても、こんなに近くというか日常的に話すのは初めてで。正直先輩はかなり第一印象が悪いというか怖かった。

 

格闘家みたいなとまではいわないけど、体が大きくて。目つきが鋭くて。顔が爛れているから。アタシの中の男の子っていうのは、格好良かったり可愛かったりするテレビのアイドルや漫画のヒーローと同じで。普通の人、というかあまり外見の良くない人がいるんだっていう。変な感心があった。よく考えれば街を歩けば見そうなものなのに。

 

それにアルバイトがはじめてで、かなり仕事の飲み込みは遅かった。思ったよりもずっとコンビニのアルバイトは覚えることが多くて難しかった。

 

 

「それは違います、いいですか────」

 

「昨日も伝えましたが、少し髪が邪魔になってますね。髪留めか何かで整えてください」

 

男の子ってこんなに声が低いんだとか、目の前で言われると怖いとか、そんなにお仕事って厳しいのとかで。色々打ちのめされて正直最初の1週間でもう無理かなぁって思ってた。でも────

 

「竹之下さん、これを」

 

週明けのシフト初日にそう言って渡されたのは、私が初日にこのコンビニで買ったメモ帳と同じ用紙にかかれた、仕事のチャートだった。

 

「先週で大まかな流れの把握と、あとは機械系の操作が苦手そうだったから、まとめておきました。参考にしてください」

 

見た目の厳つさとは対象的に、几帳面な子が作ってみんなでコピーするノートみたいな、短く簡単にまとめられた紙にはきれいな文字と図形が並んでいた。

 

「あ、ありがとうございます」

 

思わず受け取ってメモ帳に挟む。私が聞きながらとったメモなんかよりずっとわかりやすくて。この後後輩が入って教えるときにコピーしたものを渡したほどだった。

それでも今日から本格的に仕事だし、怖いなぁと思って。引継ぎを聞きながらよくわからないなぁと相槌をうっていると。

 

「竹之下さん、わからないことがあったらすぐに聞いてくださいね」

 

「は、はい」

 

「お客様からのじゃなければ、急いでやる必要もないから慌てなくていいですよ」

 

「え、えっと。じゃあお客様のは」

 

それはつまり、急げという事なの? 今日からOJTは外れて一人で動くのに。もう無理ですといういっぱいいっぱいの気持ちで聞けば、何でもないように先輩は言ってきたのだ。その言葉はずっと覚えている。

 

「そういう時は、笑顔で少々お待ちくださいって言ってから私に聞きに来てください。竹之下さん、笑顔は満点だから大丈夫ですよ、多分」

 

それだけ言って彼は店側に歩いて行ってしまった。今ならきっと少しドキドキしたと思うけど、あの時は何言ってんの? そんな笑顔とかできないよ!? と不安でいっぱいだった。

 

でも、そうしろと具体的に言われれば案外人間出来るもので、コピー機の使い方とか、郵便物の出し方とかいろいろお客さんに聞かれたけど、全部笑顔で時間稼ぎをした。怒られることはなかった。

そしてお店があんまり混んでないからか、直ぐに先輩が対応を代わってくれて。

 

レジもわからないことはメモ帳を見れば、バーコードがない商品や、切手の販売方法、チケットの印刷まで、直ぐに分かった。

 

気がついたらできることも増えて、バイトが楽しくなってきた。

 

そして笑顔で怒られなかったのは、多分研修中バッジのおかげだって、鏡で笑顔を作ったときに思った。そうじゃなかったらちょっと嬉しかったけどな。

 

 

先輩はとても人のことを見ていて、できることできないことをわかってる。先輩は別になんでも仕事ができるわけじゃないけど。誰が出来るとか、これは店長の案件だとか。すぐに線引きして、わかる人のところに持ってく。そういう事ができる人だった。

 

だからすごいなぁ、いつから働いてらっしゃるんですか? って聞けば。4月からと割と最近で、しかも私と同い年どころか誕生日は私の方が早かった。なんか恥ずかしくなって、思いっきり後輩っぽく接するようになったのは、この時からかな?

 

正直に言って、先輩の見た目はあまりよくない。いい人なのはわかるけれど、魅力的な男性でも、少なくとも格好良い人じゃない。

 

そして頼られてはいるけど女性人気がある人ではない。他の先輩方、主に大学生や主婦のパートの方はちょっと太りすぎ、そういう目では見れない。という感じだった。アタシもですよねーって返して納得したと思う。ビル清掃のおばちゃんは男前だよねぇって言ってたけどあの人からしたら孫くらいの年だしね。

 

アタシが仕事を覚えてくると、シフトが一緒になることが増えて、いつの間にか2人だけでという時間も増えた。

先輩と二人だけのシフトは、雑談をしても注意をしてくる人が先輩自身しかいないから、楽しくて気が楽で、つい店長にお願いして増やしてもらったりした。

 

曖昧だけれども1年生の間は、先輩のことを変に意識はしていなかった。ただ一番身近な男の人で、頼りになる先輩だった。

 

でも、私も年頃の女の子で。ずっと近くにいると気になってきてしまう。

あの人のここが好きになったとか。こういう事をしてもらってとか。そんな漫画みたいな理由はなくて。いつも一緒にいて気が付いたら、ちょっと、本当にちょっと意識してしまった。いつか結婚して幸せな家庭をなんて空想するときに、偶に先輩の顔がちらついたり、漫画の男性の声が先輩の声で脳内再生されたり。そんな感じだ。

 

もし学校の先生が男の人だったら、きっとモテモテになるのと同じで。

あたしには他に男の人が周りにいなかったからそうなっただけ。

だから変な風に意識してるだけだなって。そう思った。

 

そんなある日、お母さんに好きな男の子でもできたのって? って聞かれた。

 

何のことかと思ったけど、表情も明るくなって、鏡の前にいる時間が増えたり、買う雑誌が漫画からファッション誌になったりと。そういうのでもしかしたらって言われたときに。

 

はい、アタシはやっと自分の気持ちが、どっちに向いているかをわかってしまった。

ネガティブな方向ではない、人間として先輩として少なからず意識して好ましく思っている。

まだそんなに好きってわけじゃない、ちょっと異性として気になるだけ。

 

そうなんだと自分に言い聞かせて、あいも変わらずあたしはバイトを楽しみにしてた。

 

 

 

このアルバイトを始めてから、いろいろ失敗はしたけれど。一番の失敗は

 

「彼氏? もちろんいますよ? 先輩はいないんですか? 彼女」

 

「いませんよ、それより私語は慎んでください」

 

この日だと思う。

 

彼氏どころか、男の子の友達すらいたことなくて、先輩が初めてお話しする男の子ですなんて。恥ずかしくて言えないって思ってしまったからだけれど。

それにしたって、口は止まらなかったのかと、あの日の自分を思い出して思う。

 

彼氏がいるアピールで、相手と距離を詰めるテクニックとか、彼氏がいる女の子に男性は惹かれる!? みたいなそういう言葉のページをその日すごい巡回してから寝て。

 

翌日になって全部のことが恥ずかしくなって、ぎゃーって奇声を上げて、起こしに来てくれたのか、窓の外を見に来たのかわからない玉をびっくりさせてしまった。

 

 

 

何で見栄はったの? 何で先輩にはったの? なんで先輩に言っちゃったの? なんでそれを取り返そうとしたの? なんでそれで距離を詰めようとしたの?

 

ぐるぐる頭が回って、その日は学校に行きたくなかった。お母さんに叩き出されたけど。

 

開き直って、学校では彼氏がいるの隠してたってことにしたけど。心理学的には昇華? とかそういう逃避行動になるのかな?

 

 

そしてある日、いつものように先輩をからかうように話して、何とかこっちを見てもらおうと……いやただの暇つぶしで話していたら。

 

「やぁ、もうあがりだよね?」

 

金髪でふわふわの髪、クリっとしてる目と長くてぴんと上向いた睫毛。きゅっと細く高い鼻に色っぽい小さな唇。そんな男性が微笑を浮かべながら、楽し気に歩いてくる姿は、まごうことなき王子様。【それ】が先輩を訪ねてきて、親し気に話しかけていたのだ。

 

先輩は、あんなに格好の良い男の子を見てもドキドキしないのかと驚いたけど、どうやら先輩の親友らしいし、なにより先輩は男だから男の子に普通はあまりドキドキしないのだった。そんなことも分からなくなるくらいびっくりしてた。

 

そして、一言二言話して、その後すぐにあがって帰っていった先輩をみて。

 

「え、なにあれ、本物のイケメン?……実在したんだ……」

 

 

イケメンが本当に世界に存在することとにアタシは気がついた。

 

そしてもう一つ気づいてしまった。

 

今日のドキドキ、あの王子様が近くに来た時のものは。それは仕事を始めた時のドキドキと同じだった。

 

でも先輩と楽しくおしゃべりしている時の小さなドキドキとは違っていた。

あんなに格好良い男の子が近くにいた時に高鳴ったこのアタシの気持ちとは違うことに。

 

 

 

アタシはあの日、気づいちゃいました。

 

 

 





竹之下編開始です。
一番素直でシンプルな娘です。

300人を超える評価、6000お気に入りを頂戴しました。
ありがとうございます。励みになります。
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