最強おっさん騎士、目覚めたら美少女騎士になっていました   作:koshikoshikoshi

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美少女騎士(中身はおっさん)とクラスメイト達 その04

 

 夕方。授業の終わりのホームルーム。

 

 ルーカスとガブリエル、そしてレンとメルのクラスには、合計三十人ほどの生徒がいる。

 

 担任の女性教師からいつものとおりの連絡事項。そして、唐突に告げられた転入生の存在。

 

「こんな時期に異例ではありますが、みなさんに転入生を紹介します」

 

 一気にざわつくクラスメイト達。この学園にこんな時期に突然転入してくるなんて、いったいどんな事情があるというのか。

 

「授業は明日からですが、寄宿舎には今日からみなさんと一緒ということになります。お入りなさい」

 

 

 

 

 教室のドアを開き、ひとりの生徒が入ってくる。

 

 ……小さいな。この子がレンの言ってた転入生か。皇国からの留学生といってたけど。

 

 興味津々で身を乗り出す生徒達。全員テンションがあがりまくりだ。普段は野次馬的な感情を露わにしないルーカスも、この時ばかりは他の生徒と大差ない。

 

 転入生は、ゆっくりと教室正面に向かう。

 

 初見、女の子かと思った。とにかく小さくて華奢な体つきだが、制服は確かに男の子だ。……男の子、だよね?

 

 顔は伏せられてわからない。ショートカットの銀色っぽい髪は、染めたようにみえるけど。……え?

 

 ルーカスは目をこらす。どこかで見たことがあるような気がするのだ。

 

「彼は、国籍は皇国ですがお母様が王国人という複雑な事情があって、みなさんとはいろいろと常識が異なるところもあるかと思いますが、……と、と、とにかく、留学生ですから、学園生活になれるまではいろいろ気を使ってあげてください。……自己紹介、できますね」

 

 なぜかヒクヒクと頬を引きつらせている先生の横、少年(?)が、ゆっくりと顔をあげる

 

 えっ? えっ? えっ?

 

 体つきだけではなく、顔も小さい。すっきりとした目鼻立ち。とても東洋風には見えない。取って付けたような大きなメガネ。その奥、透明な瞳……。

 

「ウイリアム・俺王だ。ウイルとよんでくれ」

 

 鈴の音のような声。それにまったくそぐわないそっけない口調。憮然とした表情。

 

 

 

 

 ぶーーーー。

 

 それはルーカスとメル。転入生の顔をみた瞬間、ふたりの生徒が同時に噴き出した。

 

「ウーィル?」「お、おねえちゃん?」

 

 そしてもうひとり。ルーカスとメルの反応を見届けてから、お腹を抱えて笑い転げる少女。もちろん、レンだ。

 

「えっ、えっ、おねぇちゃん、その髪は? 制服は? メガネ? いったいなんのつもり?」

 

「ええええええ? ウーィル? どどどどういうこと? レレレレレンは、知っていたの?」

 

「はははは、本人に聞けばいいさ」

 

「そこの三人! 静かにしなさい。余計な事は言わないで、おねがいだから黙って!」

 

 先生が声を荒げる。他の生徒達があ然としている。

 

 

 

 

 

「で、では、オレオウ君の明日からの席はそこで」

 

 顔全体を引きつらせたまま先生が指をさす。それは、ルーカス殿下の隣の席だ。

 

 な、なるほど。昨日の不自然な席替えで私の隣がむりやり空席になったのは、このためだったのか。学園側も、よほどあわてて準備したとみえる。ということは、……公国政府や、もしかしたらお父様も承知の小細工なんだろうなぁ。

 

 転入生のオレオウ君は、無言のまま席に着いた。

 

「よ、よろしく。ウーィル。すぐ夕食だ。寄宿舎に案内するよ。……私を護るために来てくれたんだよね」

 

「……ウーィルってだれだ? オレは、皇国からの留学生、ウイルだ。メガネだし、髪だって銀色だろ」

 

 あいかわらず憮然としたまま殿下の顔を見ようともしない少女騎士、じゃなくて少年。だが、その横顔からルーカスは目を離すことができない。口元に笑みがこぼれるのをとめられない。

 

「ふふふ、そういう事にしておこう。……でも、いくらなんでも男の子というのは、小細工が過ぎるんじゃない?」

 

「オレもよくわからんが、騎士団や学園、最後には宮内省や陛下までまきこんで必死に考えた設定らしいぞ。オレの正体をできるだけ秘密にしたいのと、24時間殿下の側につけるために、だそうだ」

 

 やっぱり! 絶対おもしろがってるだろ、お父様。だけど……。

 

「そうか。24時間そばに居てくれるんだ……」

 

 うれしいな……。

 

 声に出すつもりのなかった言葉が、自然に声になる。そして、すこしだけ耳があつくなる。わずかに頬が赤くなる。

 

「……ああ。これからはヴァンパイアの心配なく、枕を高くして安心して寝られるようにしてやるぞ、殿下」

 

 あいかわらず正面を向いたままのウーィル。しかし、その憮然とした顔の頬も、少し赤くなっている。

 

「うん。よろしく」

 

 

 

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