割と平和な遊戯王   作:乾燥海藻類

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第10話 機械龍、激動

「ベスト4が決まりまシタか。レン、アナタは誰が優勝すると思いマスか?」

「そうだな……」

 

レンは顎に手を当てて考える。答えはもちろん遊戯なのだが、この4人の中で遊戯の名を挙げるにはいささか不自然なのだ。

本命はキース・ハワード。実力・経歴ともに文句なくNo.1。

対抗は海馬瀬人。ジュニア時代から耳目を集め、全国大会で優勝した経験もある。社長に就任してからは、その忙しさゆえ大会からは遠ざかっていたが、高い実力は(みな)が認めるところであろう。

注目はインセクター羽蛾。直近の全国大会優勝者である。実はペガサスから直接トロフィーを渡された数少ないデュエリストでもある。そういった意味でも注目を集めている。

 

(まぁあくまで予想だ。深く考える必要もないか)

 

「キース、というのは面白みのない回答だな。俺は大穴狙いでいくよ。武藤遊戯を推す。残った4人の中で唯一の一般参加枠だからな。頑張ってほしいところだ」

「ほぅ、あの少年デスか。確かに不思議な雰囲気を持っていマスね。それに、あの首飾り(アクセサリー)も気になりマス。少し話してみてもいいかもしれまセンね」

 

最上段でそんな会話がされているとはつゆ知らず、デュエルリングで向き合うふたりの闘志は極限まで高まっていた。

 

「これより準決勝第1試合を開始します。キース・ハワードvs海馬瀬人。デュエル開始!!」

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

「俺様の先攻か、ドロー。まずは《融合派兵》を発動するぜ。EXデッキの《ガトリング・ドラゴン》を公開し、デッキから《リボルバー・ドラゴン》を特殊召喚。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

キース LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2

 

リ:リボルバー・ドラゴン 攻撃力2600

■:伏せカード

■:伏せカード

 

■□□□■

□□リ□□

 

□□□□□

□□□□□

 

海馬瀬人 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。お得意のコイン戦術か。だが俺には通用せん! まずは永続魔法《一点着地》を発動。続けて《高等儀式術》を発動だ。デッキから《青眼の白龍》を墓地に送り、手札から《青眼の混沌龍(ブルーアイズ・カオス・ドラゴン)》を儀式召喚。一点着地の効果で1枚ドロー!」

 

青眼の白龍に酷似したドラゴンが、藍色の翼を広げて飛翔する。

 

「バトルだ! 青眼の混沌龍でリボルバー・ドラゴンを攻撃! そして攻撃宣言時効果発動。相手モンスターをすべて守備表示に変更し、攻守を0にする! 喰らえ、カオス・バァァァストッ!」

 

「リバースカード《メタバース》を発動。デッキからフィールド魔法《鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)》を発動するぜ」

 

キースは攻撃宣言時にフィールド魔法を発動した。だが攻撃は止まらず、混沌のブレスがリボルバー・ドラゴンを焼く。

 

キース LP4000 → 1000

 

「ぐぅおおぉぉ!? か、貫通効果か!」

 

キースのライフは大きく減衰したものの、リボルバー・ドラゴンは健在であり、尚且つその瞳には怒りの炎が灯っていた。

 

「このフィールド魔法がある限り、俺様の機械族・闇属性モンスターは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されねぇ。そしてその戦闘で受けた戦闘ダメージを攻撃力に加えるぜ!」

 

混沌龍の効果で0にまで下げられた攻撃力が3000にまで回復する。

 

「ふぅん。さすがは全米チャンプといったところか。カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

海馬瀬人 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

混:青眼の混沌龍 攻撃力3000

■:伏せカード

■:伏せカード

一:一点着地

 

 □□一■■

 □□混□□

 

鋼□□リ□□

 □□□□■

 

リ:リボルバー・ドラゴン 守備力 0

■:伏せカード

鋼:鋼鉄の襲撃者

 

キース LP1000 手札3 モンスター1 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺様のターン、ドロー。《ツインバレル・ドラゴン》を召喚。そしてテメェのセットカードを対象に効果を発動するぜ」

 

成功確率は25%。当たれば儲けものといったところだろう。

 

「ハズレか。まあいい。永続魔法《魂吸収》を発動し、《強欲で貪欲な壺》を発動。デッキの上から裏側表示で10枚を除外し、2枚ドロー」

 

10枚除外というコストが、魂吸収とのコンボによって回復ソースへと変わる。これでライフを確保し、受けたダメージを攻撃力へと変換するのがキースの策であった。

 

キース LP1000 → 6000

 

「青眼の混沌龍は効果の対象にならねぇからリボルバー・ドラゴンの効果は使えねぇか。ならバトルで破壊するまでよ! リボルバー・ドラゴンを攻撃表示に変更。リボルバー・ドラゴンで混沌龍を攻撃!」

 

混沌のブレスと漆黒の弾丸が激突する。刹那の押し合いの末、ブレスを貫いた弾丸が混沌龍の翼を撃ち抜いた。

 

「フィールド魔法《鋼鉄の襲撃者》の効果により、リボルバー・ドラゴンは破壊されねぇ。さらに《鋼鉄の襲撃者》の第2の効果により、手札から《Kozmo-ダークシミター》を特殊召喚するぜ」

 

白と灰色を基調としたカラーリングの船体が空中を旋回する。

 

「ダークシミターでダイレクトアタック!」

 

「クッ、リバースカード《戦線復帰》を発動。墓地の《青眼の白龍》を守備表示で特殊召喚する!」

 

「ならそいつを攻撃だ!」

 

艦砲射撃により白き龍が倒れ――

 

「ツインバレル・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

攻撃はついに海馬へと届いた。

 

海馬瀬人 LP4000 → 2300

 

「ダメージを受けた時、このカードは発動できる。《運命の発掘》を発動。カードを1枚ドローする」

 

「ただのドローカードか。カードを1枚伏せてターンを終了するぜ」

 

キース LP6000 手札1 モンスター3 伏せ2

 

ダ:Kozmo-ダークシミター 攻撃力3000

リ:リボルバー・ドラゴン 攻撃力3000

ツ:ツインバレル・ドラゴン 攻撃力1700

■:伏せカード

■:伏せカード

魂:魂吸収

鋼:鋼鉄の襲撃者

 

■■魂□□

□ダリツ□鋼

 

□□□□□

□□一□□

 

一:一点着地

 

海馬瀬人 LP2300 手札3 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー! 手札の《魔神儀(デビリチャル)-キャンドール》の効果発動。手札の《カオス・フォーム(儀式魔法カード)》を公開し、デッキの《魔神儀(デビリチャル)-タリスマンドラ》とこのカードを特殊召喚する。そしてタリスマンドラの効果で、デッキから《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》を手札に加える」

 

儀式をサポートする奇妙なモンスターたちが、海馬の道を切り開いていく。

 

「《カオス・フォーム》を発動。墓地の《青眼の白龍》を除外し、手札から《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》を儀式召喚!」

 

混沌を統べる龍が、稲妻を帯びた蒼き翼を羽ばたかせる。

 

「一点着地の効果で1枚ドロー。魔法カード《闇の護封剣》を発動。貴様のモンスターをすべて裏側守備表示に変更する」

 

天から降り注いだ闇の(とばり)がフィールドを包み込む。キースの機械龍たちは項垂れながらカードの裏へと沈んでいった。

 

「バトルだ! カオス・MAXでツインバレル・ドラゴンに攻撃! 混沌のマキシマム・バァァァストッ!!」

 

「ツインバレル・ドラゴンをリリースして《闇の閃光》を発動。このターンに特殊召喚されたモンスターをすべて破壊する!」

 

海馬のフィールドが漆黒の波導に包まれる。魔神儀2体は闇に包まれて消失したが、青藍の龍は依然として健在だった。

 

「フハハハハッ! カオス・MAXは効果では破壊されん。残念だったな」

 

「だが攻撃対象がいなくなったことで、攻撃の巻き戻しが起こるぜ」

 

「ふぅん。気づいていたか」

 

カオス・MAXには貫通ダメージを倍にする効果がある。あのまま攻撃を受けていればキースは敗北していた。

 

「ならばダーク・シミターを攻撃だ!」

 

キース LP6000 → 1600

 

「くっ、鋼鉄の襲撃者の効果でダーク・シミターは破壊されねぇ。そして受けたダメージ分攻撃力をアップするぜ」

 

Kozmo-ダークシミター 攻撃力3000 → 7400

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

海馬瀬人 LP2300 手札1 モンスター3 伏せ1

 

M:ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン 攻撃力4000

■:伏せカード

一:一点着地

闇:闇の護封剣

 

 ■□一□闇

 □□M□□

 

鋼□□リダ□

 □□魂■□

 

リ:リボルバー・ドラゴン(裏側守備表示)

ダ:Kozmo-ダークシミター 守備力1800

魂:魂吸収

■:伏せカード

鋼:鋼鉄の襲撃者

 

キース LP1600 手札1 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺様のターン」

 

闇の護封剣が場にあるかぎり、キースのモンスターは表示形式を変更できない。今キースの手札にあるのは、単体ではあまり役に立たないカード。このドローで勝敗が決まる。

 

「ドロー! 《人造人間7号》を召喚!」

 

ちょこんと現れたのは、小さな体躯の改造人間。それを見た海馬は鼻で嗤った。

 

「そんな貧弱なモンスターでどうするつもりだ?」

 

「こうするのさ。まずはリバースカード《非常食》を発動。《魂吸収》と《鋼鉄の襲撃者》を墓地に送り、ライフを2000回復する」

 

キース LP1600 → 3600

 

「そして《人造人間7号》に《脆刃の剣(もろはのつるぎ)》を装備。攻撃力が2000アップするぜ」

 

属性や種族の縛りがなく、2000の攻撃力アップは破格である。だが当然デメリットはある。装備モンスターの戦闘で発生する戦闘ダメージはお互いに受けることになるのだ。

 

「さあ行くぜ。人造人間7号は攻撃力が低い代わりに、直接攻撃が可能なモンスターだ。人造人間7号でダイレクトアタック!」

 

この攻撃が通れば、お互いに2500のダメージを受ける。海馬のライフは尽き、キースのライフは残る。

 

「俺をここまで追いつめるとは……。だが! 俺は負けんぞ(・・・・)! 手札を1枚捨て、罠カード《ライジング・エナジー》を発動。フィールドのモンスター1体の攻撃力を1500アップする!」

 

「今さらカオス・MAXの攻撃力を上げようが関係……ハッ! まさかテメェ!」

 

「俺が選択するのは《人造人間7号》だ! この効果を受け、そいつの攻撃力は4000となる!」

 

「クソッ、あの時に非常食を発動していれば……」

 

前のターン、《闇の閃光》にチェーンして《非常食》を発動していれば、回復量が1000増え、結果は違っていた。

さらに巨大となった脆刃の剣が海馬のライフを刈り取る。そして同時に(・・・)、キースのライフをも焼き尽くした。

 

 

 




海馬って意外と負けてるんですよね。
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