「ベスト4が決まりまシタか。レン、アナタは誰が優勝すると思いマスか?」
「そうだな……」
レンは顎に手を当てて考える。答えはもちろん遊戯なのだが、この4人の中で遊戯の名を挙げるにはいささか不自然なのだ。
本命はキース・ハワード。実力・経歴ともに文句なくNo.1。
対抗は海馬瀬人。ジュニア時代から耳目を集め、全国大会で優勝した経験もある。社長に就任してからは、その忙しさゆえ大会からは遠ざかっていたが、高い実力は
注目はインセクター羽蛾。直近の全国大会優勝者である。実はペガサスから直接トロフィーを渡された数少ないデュエリストでもある。そういった意味でも注目を集めている。
(まぁあくまで予想だ。深く考える必要もないか)
「キース、というのは面白みのない回答だな。俺は大穴狙いでいくよ。武藤遊戯を推す。残った4人の中で唯一の一般参加枠だからな。頑張ってほしいところだ」
「ほぅ、あの少年デスか。確かに不思議な雰囲気を持っていマスね。それに、あの
最上段でそんな会話がされているとはつゆ知らず、デュエルリングで向き合うふたりの闘志は極限まで高まっていた。
「これより準決勝第1試合を開始します。キース・ハワードvs海馬瀬人。デュエル開始!!」
『デュエルッ!!』
「俺様の先攻か、ドロー。まずは《融合派兵》を発動するぜ。EXデッキの《ガトリング・ドラゴン》を公開し、デッキから《リボルバー・ドラゴン》を特殊召喚。カードを2枚伏せてターンエンドだ」
キース LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2
リ:リボルバー・ドラゴン 攻撃力2600
■:伏せカード
■:伏せカード
■□□□■
□□リ□□
□□□□□
□□□□□
海馬瀬人 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。お得意のコイン戦術か。だが俺には通用せん! まずは永続魔法《一点着地》を発動。続けて《高等儀式術》を発動だ。デッキから《青眼の白龍》を墓地に送り、手札から《
青眼の白龍に酷似したドラゴンが、藍色の翼を広げて飛翔する。
「バトルだ! 青眼の混沌龍でリボルバー・ドラゴンを攻撃! そして攻撃宣言時効果発動。相手モンスターをすべて守備表示に変更し、攻守を0にする! 喰らえ、カオス・バァァァストッ!」
「リバースカード《メタバース》を発動。デッキからフィールド魔法《
キースは攻撃宣言時にフィールド魔法を発動した。だが攻撃は止まらず、混沌のブレスがリボルバー・ドラゴンを焼く。
キース LP4000 → 1000
「ぐぅおおぉぉ!? か、貫通効果か!」
キースのライフは大きく減衰したものの、リボルバー・ドラゴンは健在であり、尚且つその瞳には怒りの炎が灯っていた。
「このフィールド魔法がある限り、俺様の機械族・闇属性モンスターは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されねぇ。そしてその戦闘で受けた戦闘ダメージを攻撃力に加えるぜ!」
混沌龍の効果で0にまで下げられた攻撃力が3000にまで回復する。
「ふぅん。さすがは全米チャンプといったところか。カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
海馬瀬人 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2
混:青眼の混沌龍 攻撃力3000
■:伏せカード
■:伏せカード
一:一点着地
□□一■■
□□混□□
鋼□□リ□□
□□□□■
リ:リボルバー・ドラゴン 守備力 0
■:伏せカード
鋼:鋼鉄の襲撃者
キース LP1000 手札3 モンスター1 伏せ1
――――――――――――
「俺様のターン、ドロー。《ツインバレル・ドラゴン》を召喚。そしてテメェのセットカードを対象に効果を発動するぜ」
成功確率は25%。当たれば儲けものといったところだろう。
「ハズレか。まあいい。永続魔法《魂吸収》を発動し、《強欲で貪欲な壺》を発動。デッキの上から裏側表示で10枚を除外し、2枚ドロー」
10枚除外というコストが、魂吸収とのコンボによって回復ソースへと変わる。これでライフを確保し、受けたダメージを攻撃力へと変換するのがキースの策であった。
キース LP1000 → 6000
「青眼の混沌龍は効果の対象にならねぇからリボルバー・ドラゴンの効果は使えねぇか。ならバトルで破壊するまでよ! リボルバー・ドラゴンを攻撃表示に変更。リボルバー・ドラゴンで混沌龍を攻撃!」
混沌のブレスと漆黒の弾丸が激突する。刹那の押し合いの末、ブレスを貫いた弾丸が混沌龍の翼を撃ち抜いた。
「フィールド魔法《鋼鉄の襲撃者》の効果により、リボルバー・ドラゴンは破壊されねぇ。さらに《鋼鉄の襲撃者》の第2の効果により、手札から《Kozmo-ダークシミター》を特殊召喚するぜ」
白と灰色を基調としたカラーリングの船体が空中を旋回する。
「ダークシミターでダイレクトアタック!」
「クッ、リバースカード《戦線復帰》を発動。墓地の《青眼の白龍》を守備表示で特殊召喚する!」
「ならそいつを攻撃だ!」
艦砲射撃により白き龍が倒れ――
「ツインバレル・ドラゴンでダイレクトアタック!」
攻撃はついに海馬へと届いた。
海馬瀬人 LP4000 → 2300
「ダメージを受けた時、このカードは発動できる。《運命の発掘》を発動。カードを1枚ドローする」
「ただのドローカードか。カードを1枚伏せてターンを終了するぜ」
キース LP6000 手札1 モンスター3 伏せ2
ダ:Kozmo-ダークシミター 攻撃力3000
リ:リボルバー・ドラゴン 攻撃力3000
ツ:ツインバレル・ドラゴン 攻撃力1700
■:伏せカード
■:伏せカード
魂:魂吸収
鋼:鋼鉄の襲撃者
■■魂□□
□ダリツ□鋼
□□□□□
□□一□□
一:一点着地
海馬瀬人 LP2300 手札3 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー! 手札の《
儀式をサポートする奇妙なモンスターたちが、海馬の道を切り開いていく。
「《カオス・フォーム》を発動。墓地の《青眼の白龍》を除外し、手札から《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》を儀式召喚!」
混沌を統べる龍が、稲妻を帯びた蒼き翼を羽ばたかせる。
「一点着地の効果で1枚ドロー。魔法カード《闇の護封剣》を発動。貴様のモンスターをすべて裏側守備表示に変更する」
天から降り注いだ闇の
「バトルだ! カオス・MAXでツインバレル・ドラゴンに攻撃! 混沌のマキシマム・バァァァストッ!!」
「ツインバレル・ドラゴンをリリースして《闇の閃光》を発動。このターンに特殊召喚されたモンスターをすべて破壊する!」
海馬のフィールドが漆黒の波導に包まれる。魔神儀2体は闇に包まれて消失したが、青藍の龍は依然として健在だった。
「フハハハハッ! カオス・MAXは効果では破壊されん。残念だったな」
「だが攻撃対象がいなくなったことで、攻撃の巻き戻しが起こるぜ」
「ふぅん。気づいていたか」
カオス・MAXには貫通ダメージを倍にする効果がある。あのまま攻撃を受けていればキースは敗北していた。
「ならばダーク・シミターを攻撃だ!」
キース LP6000 → 1600
「くっ、鋼鉄の襲撃者の効果でダーク・シミターは破壊されねぇ。そして受けたダメージ分攻撃力をアップするぜ」
Kozmo-ダークシミター 攻撃力3000 → 7400
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
海馬瀬人 LP2300 手札1 モンスター3 伏せ1
M:ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン 攻撃力4000
■:伏せカード
一:一点着地
闇:闇の護封剣
■□一□闇
□□M□□
鋼□□リダ□
□□魂■□
リ:リボルバー・ドラゴン(裏側守備表示)
ダ:Kozmo-ダークシミター 守備力1800
魂:魂吸収
■:伏せカード
鋼:鋼鉄の襲撃者
キース LP1600 手札1 モンスター2 伏せ0
――――――――――――
「俺様のターン」
闇の護封剣が場にあるかぎり、キースのモンスターは表示形式を変更できない。今キースの手札にあるのは、単体ではあまり役に立たないカード。このドローで勝敗が決まる。
「ドロー! 《人造人間7号》を召喚!」
ちょこんと現れたのは、小さな体躯の改造人間。それを見た海馬は鼻で嗤った。
「そんな貧弱なモンスターでどうするつもりだ?」
「こうするのさ。まずはリバースカード《非常食》を発動。《魂吸収》と《鋼鉄の襲撃者》を墓地に送り、ライフを2000回復する」
キース LP1600 → 3600
「そして《人造人間7号》に《
属性や種族の縛りがなく、2000の攻撃力アップは破格である。だが当然デメリットはある。装備モンスターの戦闘で発生する戦闘ダメージはお互いに受けることになるのだ。
「さあ行くぜ。人造人間7号は攻撃力が低い代わりに、直接攻撃が可能なモンスターだ。人造人間7号でダイレクトアタック!」
この攻撃が通れば、お互いに2500のダメージを受ける。海馬のライフは尽き、キースのライフは残る。
「俺をここまで追いつめるとは……。だが! 俺は
「今さらカオス・MAXの攻撃力を上げようが関係……ハッ! まさかテメェ!」
「俺が選択するのは《人造人間7号》だ! この効果を受け、そいつの攻撃力は4000となる!」
「クソッ、あの時に非常食を発動していれば……」
前のターン、《闇の閃光》にチェーンして《非常食》を発動していれば、回復量が1000増え、結果は違っていた。
さらに巨大となった脆刃の剣が海馬のライフを刈り取る。そして
海馬って意外と負けてるんですよね。