準決勝第1試合は引き分けに終わった。この場合、再試合となるのだが――
「真剣勝負に再試合はない! 全米チャンプ、キース・ハワード! 貴様の実力は分かった。この勝負、預けておくぞ!」
海馬はそう言ってスタスタと退場してしまった。困ったMr.クロケッツがキースに目配せするが……。
「勝ってもいねぇのに進むほど図々しくはなれねぇな。俺様は辞退するぜ。ペガサス! テメェへのリベンジはまた今度だ!」
そう言ってキースも舞台を降りた。Mr.クロケッツが今度はペガサスへと目配せする。それを受けたペガサスは小さく笑って、レンの方に視線を向けた。
(……俺に決めろってか?)
しばし頭の中で逡巡したレンは、答えを口にした。
「彼らのプライドを尊重しましょう。次の試合を決勝戦にすればいいと思います」
「ではそうしまショウ。審判、進めてくだサーイ」
「ハッ。武藤遊戯、インセクター羽蛾。両者、前へ!」
名前を呼ばれたふたりの決闘者が舞台へ上がる。
少々アクシデントはあったが、これが最後の一戦。勝った方がペガサスへの挑戦権と賞金を手に入れることができる。
決勝トーナメントで敗れた者たちが見守る中、決勝戦がスタートした。
「これより決勝戦を開始します。武藤遊戯vsインセクター羽蛾。デュエル開始!!」
『デュエルッ!!』
「ひょひょ、先攻はもらった。ドロー! 永続魔法《補給部隊》を発動し、カードを1枚セット。そして《手札抹殺》を発動だ。お互いのプレイヤーは手札をすべて捨て、捨てた枚数分ドローする。俺は3枚捨て、3枚ドローだ」
「俺は5枚捨てて、5枚ドローするぜ」
遊戯の墓地を確認した羽蛾は小さくほくそ笑んだ。
(こいつが"エクゾディア"を持っているのは一回戦で確認済みだ。簡単に揃うようなモンじゃあないが、ここは確実に
「墓地に送られた《ゴキポール》の効果発動。デッキから《ジャイアントワーム》を手札に加えるぜ。そして伏せておいた《魂の解放》を発動。おまえの墓地にある《封印されしエクゾディア》、《ブラック・マジシャン》、《ジョーカーズ・ストレート》、《クリボー》、《魔法の筒》を除外する」
本命のエクゾディアに、遊戯のエースたるブラック・マジシャン、展開札であるジョーカーズ・ストレート、そして防御札であるクリボーと、カウンターでダメージを与える魔法の筒を撃ち抜いた。
上々の結果である。
「墓地の《
インセクター羽蛾 LP4000 手札1 モンスター2 伏せ1
ジ:ジャイアントワーム 攻撃力1900
セ:セットモンスター
■:伏せカード
補:補給部隊
■□補□□
□ジ□セ□
□□□□□
□□□□□
武藤遊戯 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。魔法カード《予想GUY》を発動。デッキから《エルフの剣士》を特殊召喚。さらに《エルフの聖剣士》を通常召喚し、その効果により《翻弄するエルフの剣士》を特殊召喚する」
3体のエルフの剣士が現れ、それぞれの構えで相手を威圧する。
「《団結の力》をエルフの聖剣士に装備。そしてカードを2枚セットする」
エルフの聖剣士 攻撃力2100 → 4500
エルフの聖剣士の攻撃条件を満たすため、遊戯はカードをセットし、バトルフェイズに入る。
「エルフの聖剣士でジャイアントワームを攻撃。聖剣十字斬り!」
まずは緑衣の剣士が突撃し、戦端を開く。
インセクター羽蛾 LP4000 → 1400
「戦闘ダメージを与えたことでエルフの聖剣士の効果発動。カードを3枚ドローするぜ」
「くっ、このダメージは想定外だぜ。だが俺も補給部隊の効果で1枚ドローだ」
「構わないぜ。続けてエルフの剣士でセットモンスターを攻撃!」
聖剣士に続き、元祖エルフの剣士がセットモンスターに素早い攻撃を繰り出す。
「俺がセットしたモンスターは《共鳴虫》だ。効果は知ってるよな。デッキから2体目の《共鳴虫》を特殊召喚するぜ」
「……俺はこのままターンを終了するぜ」
遊戯の場にはまだ攻撃権の残っている翻弄するエルフの剣士がいたが、前回のデュエルでヒーローたちを苦しめた羽蛾のレベルアップモンスターを警戒し、遊戯は攻撃を中止した。
「おっと、その前に罠カード《戦線復帰》を発動だ。墓地の《究極変異態・インセクト女王》を守備表示で特殊召喚するぜ。そしてエンドフェイズに女王サマの効果発動。「インセクトモンスタートークン」1体を特殊召喚」
武藤遊戯 LP4000 手札3 モンスター3 伏せ2
エ:エルフの剣士 攻撃力1400
翻:翻弄するエルフの剣士 攻撃力1400
聖:エルフの聖剣士 攻撃力4500
団:団結の力(対象:エルフの聖剣士)
■:伏せカード
■:伏せカード
団□■□■
□エ翻聖□
□共□究ト
□□補□□
共:共鳴虫 守備力1300
究:究極変異態・インセクト女王 守備力2400
ト:インセクトモンスタートークン 守備力100
補:補給部隊
インセクター羽蛾 LP1400 手札2 モンスター3 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。《ネオバグ》を召喚し、共鳴虫と究極変異態・インセクト女王を攻撃表示に変更。バトルだ! 共鳴虫でエルフの剣士を攻撃!」
「自爆特攻で効果を使うつもりか!?」
共鳴虫が羽ばたき、エルフの剣士に突撃する。しかし剣の一撃で共鳴虫は両断された。
インセクター羽蛾 LP1400 → 1200
「ひょひょ、安い代償さ。共鳴虫の効果でデッキから《ゴキポール》を特殊召喚。さらに補給部隊の効果で1枚ドロー。続けてゴキポールでエルフの剣士を攻撃!」
羽蛾は再び自爆特攻でゴキポールの効果を発動する。
インセクター羽蛾 LP1200 → 800
「ゴキポールの効果でデッキから《
ゴキポールの体当たりにより、エルフの聖剣士が倒れる。
「今度は女王サマでエルフの剣士に攻撃だ!」
羽蛾のエース、究極変異態・インセクト女王がエルフの剣士に一撃を加え――
「ダメージステップ終了時にインセクトモンスタートークンをリリースし、女王サマの効果発動。連続攻撃で翻弄するエルフの剣士を攻撃!」
さらなる追撃が遊戯のライフを削り取る。
武藤遊戯 LP4000 → 2600 → 1200
「だが翻弄するエルフの剣士は、攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない」
「だがダメージは受けてもらうぜ。続けてネオバグで攻撃だ! こいつの攻撃力は1800。翻弄するエルフの剣士を撃破!」
武藤遊戯 LP1200 → 800
「これでとどめだ! 甲虫装甲騎士でダイレクトアタック!」
「リバースカード《パワー・ウォール》を発動。デッキの上から4枚のカードを墓地に送り、この戦闘で発生するダメージを0にする!」
甲虫装甲騎士の剣が遊戯を切り裂く直前で、見えない壁によって弾き返される。
「チィ、しぶといヤツだ。俺はカードを1枚伏せてターンエンド。エンドフェイズに女王サマの効果で「インセクトモンスタートークン」1体を特殊召喚するぜ」
インセクター羽蛾 LP 800 手札2 モンスター4 伏せ1
ト:インセクトモンスタートークン 守備力100
究:究極変異態・インセクト女王 攻撃力2800
ネ:ネオバグ 攻撃力1800
甲:甲虫装甲騎士 攻撃力1900
■:伏せカード
補:補給部隊
■□補□□
ト究ネ甲□
□□□□□
■□□□□
■:伏せカード
武藤遊戯 LP 800 手札3 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。モンスターをセット。カードを3枚伏せてターンエンドだ」
「ひょひょ、打つ手なしかい? だがトークンはエンドフェイズ毎に増えるんだぜ」
武藤遊戯 LP 800 手札0 モンスター1 伏せ4
セ:セットモンスター
■:伏せカード
■:伏せカード
■:伏せカード
■:伏せカード
■■□■■
□□セ□□
ト甲ネ究ト
□□補□■
ト:インセクトモンスタートークン 守備力100
甲:甲虫装甲騎士 攻撃力1900
ネ:ネオバグ 攻撃力1800
究:究極変異態・インセクト女王 攻撃力2800
ト:インセクトモンスタートークン 守備力100
補:補給部隊
■:伏せカード
インセクター羽蛾 LP 800 手札2 モンスター5 伏せ1
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。いくぜ遊戯、これがラストターンだ。どんなカードを伏せたか知らないが、俺の昆虫軍団は無敵だ!」
フィールドに究極変異態・インセクト女王と、他の昆虫族モンスターが存在する場合、羽蛾の昆虫族モンスターは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
無敵と言うには大げさだが、かなりの耐性であるのは確かだ。
「甲虫装甲騎士でセットモンスターを攻撃!」
剣の一閃によって、《熟練の黒魔術師》が倒れる。
「最後は女王サマでとどめだ!」
究極変異態・インセクト女王が飛翔し、毒のブレスを吐く。
「まだだ! リバースカード《リビングデッドの呼び声》を発動。墓地の《バスター・ブレイダー》を特殊召喚するぜ!」
遊戯の墓地より、竜破壊の剣士が蘇る。
「ひょひょ、パワー・ウォールで落ちたカードか。だがその程度の攻撃力じゃあ、女王サマの敵じゃないぜ」
「そう思うのなら攻撃してきな」
遊戯は挑発めいた口調で羽蛾に攻撃を促す。
(……罠か? いや、だとしても、俺の昆虫軍団は無敵だ。たとえヤツがミラーフォースのような逆転のカードを伏せていたとしても、俺の昆虫軍団には無意味)
羽蛾は一瞬躊躇したものの、遊戯のライフは風前の灯火。勝負は一撃で決まる。
「そんなハッタリで切り抜けられると思うなよ! 女王サマでバスター・ブレイダーに攻撃!」
「その過信が命取りだぜ、羽蛾! 俺は罠カード《輪廻独断》を発動!」
「な、なにっ!?」
「これはおまえのフィールドにいるモンスターに作用するカードじゃない。お互いの墓地に存在するモンスターの種族を変更するカードだ。俺は「ドラゴン族」を宣言するぜ」
リクルートモンスターを多用した羽蛾の墓地には大量のモンスターが眠っている。
「いいやっ! まだ終わらねぇ! 墓地の《共鳴虫》を除外し、罠カード《ライヤー・ワイヤー》を発動。おまえのバスター・ブレイダーを破壊する!」
チェーン発動したことで、まだ種族変更は行われていない。昆虫族モンスターを除外するというコストは支払うことはできた。これが羽蛾の奥の手。だが、遊戯はその先を行く。
「無駄だ! 《トラップ・ジャマー》を発動。ライヤー・ワイヤーの発動と効果を無効にして、破壊する!」
「バ、バカな!?」
1体除外されたことで上昇量は減ったが、羽蛾のライフを削り切るには十分な攻撃力だ。
「破壊剣一閃!」
竜破壊の剣士の一撃が、女王の腹に突き刺さった。
◇
一方その頃、ペガサス島のとある場所では――
「そろそろ狩るか」
邪悪な意思が
羽蛾は緻密な戦略を練った上で、詰めを誤るタイプですね。