割と平和な遊戯王   作:乾燥海藻類

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第16話 真紅眼の鼓動

最後にハッピーエンドになるからといって、わざわざその過酷な過程を見たいとは思わない。

マリクの策略により城之内が狙われていると知った遊戯はすぐさま街に向かって駆けて行った。

海馬もそれを追う。

残されたのはレンとモクバとレオンと、意識を失ったマリクの人形だけだった。

 

「さて、オレは本部から城之内の位置を探るとするか。おまえらは、進捗はどうなんだ?」

 

モクバに問われて、レンとレオンが顔を見合わす。

 

「私は6枚集め終わったよ」

「僕は4枚だよ」

 

それを聞いたモクバは目を丸くする。

 

「マジか。おまえらやっぱスゲェな。レンは一番乗りだぜ」

「……まだひとりなんだ。じゃあ僕にもチャンスは残ってる」

 

決勝トーナメントに進めるのは先着で8人。レオンはあと2勝、賭けるパズルカードによっては1勝で決勝に進める。

 

「僕も行くよ。また後でね、レンさん、モクバくん」

 

レオンは相手を探すべく駆け出していった。

 

「レンは決勝の場所に向かえよ。パズルカードを集めても、その場所にいなけりゃ決勝には参加できないからな」

「ああ、そうしよう」

「おう、んじゃまた後でな」

 

そうして、レンとモクバは違う方向に向けて進み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パズルカードに示された場所に向かいながら、レンは考えていた。

 

(このまま帰ろうかな)

 

レンがいなくともバトルシティは支障なく進むだろうし、むしろ異物のような自分がいない方がスムーズに進むのではないかとも考えていた。

原作で孔雀舞が闇マリクから受けた罰ゲームがトラウマ物だったというのもあるが。

 

(いや、モクバは俺が6枚集め終わったのを知っているからな。さすがに不自然か。俺がバックレたら海馬はどう思うかね。「ふぅん。蛟竜(みずち)だと思っていたが、ただの土竜(もぐら)だったようだな」とでも思うのかね。……それはそれでなんかムカつくな)

 

私情で契約を破棄するような男ではないが、激情型なのが海馬である。

そんなことを考えながら歩いていると、目的地が見えてきた。

 

(まぁ、やるだけやってみるか)

 

バトルシティ――G地区422地点。童実野スタジアム建設予定地。

 

「ようこそ、最終決戦の地へ」

 

海馬コーポレーションの黒服がレンを出迎える。

 

「高杉社長、あなたの決勝トーナメントの参加を認めます。この参加証(ID)をお受け取り下さい」

「ありがとう」

「他の通過者が集まるまで、少々お待ちください。飲み物、軽食などもご用意しておりますので、ご希望の際はお声がけを」

「ああ、その時は頼むよ」

 

タイムリミットまでは後5時間以上もある。レンは観客席のひとつに腰を下ろし、デッキの調整を始めた。

 

(神のカードなんてリリースしてしまえばいいと考えていたが、想定が甘かったな)

 

神には共通効果と固有効果がある。オシリスの効果を確認したレンは、「相手によってリリースされない」のは共通効果だと睨んだ。

 

(よもやオシリスだけということはあるまい。神を亀に変える策は破綻したな。これは抜本的な改革が必要だ)

 

神のカードだけではなく、"万が一"を想定して壊獣は実装していたが、まさか神の側が対策してくるとは思っていなかった。先読みがあだになった形である。

レンは嘆息しながら新たにデッキを組み始める。

 

(マリクとリシドはこれでいい。海馬は……そういえばオベリスクはどうなってるんだろうな。さすがに攻撃力∞はないと思うが……魔法カードは通じないと考えた方がいいな)

 

原作では神のカードは1ターンのみ魔法カードの効果を受けるという仕様であるが、レンの確認した《オシリスの天空竜》は「神属性以外のモンスター効果・魔法・罠カードの効果を受けない」と記されていた。

ならばオベリスクも同様と考えるべきだろう。

 

(しかも魔法カードも「上級スペル」しか通じないときた。洗脳が通じない辻褄あわせとしか思えないが、まあそこをツッコむのも野暮というものだろう)

 

原作の神効果は割と曖昧である。

 

(獏良は多分ウィジャ盤を使うだろうからバック除去のカードを多めにして、イシズはよく分からんな。未来予知がどの程度か予測もできん。というか、来るのか?)

 

原作での決勝進出者は通過順に、マリク、リシド、海馬、遊戯、城之内、舞、獏良、イシズである。この世界ではすでにレンが通過を決めているため、この中から一人あぶれることになる。

普通に考えれば最後の通過者のイシズとなるが、未来が見通せるならそうはならないだろう。

 

しばらくしてふたりの通過者が現れた。黒い外套に身を包み、顔にタトゥーの入った長身の男と小柄な少年。どちらもエジプト系の顔立ちである。

 

「マリク・イシュタール、ナム、両名の参加を認める」

 

という黒服の声が聞こえてきた。そのふたりはレンとは正反対の位置の観客席へと向かって行った。

それからしばらくの時間が経ち、上空から降りてきたヘリから海馬が姿を現し、程なくして遊戯一行が現れた。

そして後を追うようにバクラも姿を見せる。

 

(静香ちゃんがいるということは、上手くいったみたいだな。というか、孔雀舞がいないな)

 

一行の中に孔雀舞の姿はなかった。

さらに時間が流れたが、最後のひとりは現れず、決勝の舞台である決闘艇(バトルシップ)に乗船することとなった。

レンは用意された部屋の扉を開け、ソファに身を沈める。

 

「さすが海馬コーポレーション。良い部屋だ」

 

そのまま本戦開始の時間まで待つ。離陸時間の10分前になった時、レンの部屋の扉がノックされた。

 

「どうぞ」

「失礼します」

 

ノックの主は赤毛の少年、レオンハルト・フォン・シュレイダーだった。

 

「まさか、キミが最後の予選通過者かい?」

「いえ、残念ながら……ほんの数分遅かったようです」

 

それからレオンはレンと分かれた後のことを語り始めた。最初はゴーストデッキの使い手とパズルカード2枚賭けで闘い、破れたこと。

次にハーピィ使いの女性デュエリストととも2枚賭けで闘い、それに勝利したこと。

4枚まで戻した後は相手探しに時間を取られ、6枚集まったのは時間ギリギリだった。

急いで童実野スタジアムに駆けつけたものの、タッチの差で本戦参加は叶わなかった。

 

「最後の通過者は女性だったそうです。僕はモクバくんの厚意で乗船を許可してもらいました。本戦ではレンさんの応援をしたいと思います」

「そうか。それは心強いな」

 

会話しているうちに、かすかな浮遊感が生じた。ついにバトルシップが飛び立ったのだ。

それから一時間後、デュエリストたちに招集がかかり、中央集会場にてトーナメント抽選会が行われた。

最初の対戦カードは、ナムvs城之内。

ついに決勝トーナメントの幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか一回戦で城之内くんと闘うことになるとはなぁ。お手やわらかに頼みますよ」

「へへっ、わりぃなナム。俺は友達(ダチ)だからって手加減するような甘ちゃんデュエリストじゃねぇぜ! いつだって全力さ!」

「わかったよ。じゃあお互い全力で闘おう」

「おう!」

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

「ボクのターン、ドロー」

 

ドローしたカードにニヤリと笑うナム。

 

(城之内、おまえ如きに「神」はもったいないよ。この表のデッキで十分さ)

 

「フィールド魔法《王家の眠る谷-ネクロバレー》を発動し、《墓守の司令官》を召喚。ネクロバレーの効果で攻守が500アップする。そして永続魔法《ネクロバレーの祭殿》を発動だ」

 

ネクロバレーの祭殿はお互いに「墓守」以外のモンスターを特殊召喚できない効果だ。言ってみれば相手だけの《虚無空間》である。

 

「カードを2枚伏せて、《命削りの宝札》を発動。カードを3枚ドローする。さらにカードを1枚伏せてターンエンドだ。残った2枚は墓地へ送る」

 

ナム LP4000 手札0 モンスター1 伏せ3

 

司:墓守の司令官 攻撃力2100

祭:ネクロバレーの祭殿

■:伏せカード

■:伏せカード

■:伏せカード

王:王家の眠る谷-ネクロバレー

 

■■□祭■

□□司□□王

 

□□□□□

□□□□□

 

城之内克也 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。特殊召喚封じか。厄介だぜ」

 

当然ながら城之内のデッキに「墓守」モンスターは入っていない。

 

「なんつってな! その程度じゃ俺は止まらないぜ! 《真紅眼の鉄騎士(レッドアイズ・メタルナイト)-ギア・フリード》を召喚。そんで、ちともったいねぇが《メタルシルバー・アーマー》をこいつに装備するぜ。そしてギア・フリードの効果発動。このカードに装備カードが装備された場合、そのカードを破壊する。その後、相手の魔法・罠カードを1枚破壊できるぜ」

 

「なるほどね。だけどそうはいかないな。ライフを1500払い、カウンター罠《神の通告》を発動。ギア・フリードの効果発動を無効にして破壊する」

 

突如出現した光がギア・フリードを包み、吞み込んでいった。

 

「なっ!? くっ、俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

城之内克也 LP4000 手札3 モンスター0 伏せ1

 

■:伏せカード

 

 ■□□□□

 □□□□□

 

王□□司□□

 □祭□■■

 

■:伏せカード

■:伏せカード

司:墓守の司令官 攻撃力2100

祭:ネクロバレーの祭殿

王:王家の眠る谷-ネクロバレー

 

ナム LP2500 手札0 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「ボクのターン、ドロー。伏せていた《墓守の石板》を発動。墓地の《墓守の霊術師》と《墓守の審神者(さにわ)》を手札に加える。そして《墓守の霊術師》を召喚して効果発動。このカードと手札の《墓守の審神者(さにわ)》を墓地に送り、《墓守の異能者》を融合召喚する」

 

白髪の悪鬼が手にした錫杖を鳴らす。

 

「墓守の異能者の効果発動。エンドフェイズにデッキから「墓守」モンスターか「ネクロバレー」カード1枚を手札に加えることができる。バトルだ。墓守の異能者でダイレクトアタック!」

 

「ここで罠カード《大捕り物》を発動! 《墓守の異能者》はいただくぜ!」

 

「なんだとっ!?」

 

ネクロバレーの効果はフィールド全域に及ぶ。よって相手のフィールドにいる「墓守」モンスターも強化(バフ)を受けるのだ。

 

(チッ、無駄なあがきを)

 

「ボクはこれでターンエンドだ。エンドフェイズに墓守の異能者の効果で、デッキから《王家の眠る谷-ネクロバレー》を手札に加える」

 

ナム LP2500 手札2 モンスター1 伏せ1

 

司:墓守の司令官 攻撃力2100

■:伏せカード

祭:ネクロバレーの祭殿

王:王家の眠る谷-ネクロバレー

 

■□□祭□

□□司□□王

 

□□異□□

大□□□□

 

異:墓守の異能者 攻撃力3900

大:大捕り物(対象:墓守の異能者)

 

城之内克也 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。おし! 速攻魔法《サイクロン》を発動。おまえのフィールド魔法を破壊するぜ!」

 

巨大な竜巻が、フィールドの景色を一変させる。そして《王家の眠る谷-ネクロバレー》が破壊されたことで、墓守の司令官のステータスが下がり、《ネクロバレーの祭殿》も破壊された。

 

「《墓守の異能者》をリリースして《真紅眼の凶雷皇(レッドアイズ・ライトニング・ロード)-エビル・デーモン》をアドバンス召喚。行くぜ! エビル・デーモンで墓守の司令官に攻撃! 紅雨の魔降雷!」

 

「罠カード《攻撃の無敵化》を発動。ボクはモンスターを破壊から守る効果を選択する」

 

「だがダメージは受けてもらうぜ!」

 

天より降り注いだ紅い稲妻が、墓守の司令官を直撃する。

 

ナム LP2500 → 1600

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

城之内克也 LP4000 手札1 モンスター1 伏せ1

 

デ:真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン 攻撃力2500

■:伏せカード

 

■□□□□

□□デ□□

 

□□司□□

□□□□□

 

司:墓守の司令官 攻撃力1600

 

ナム LP1600 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「ボクのターン、ドロー!」

 

(ボクが2枚目のネクロバレーを握っていることは城之内も承知しているはず。ならばあの伏せカードは特殊召喚系のカードか)

 

ナムは城之内のプレイングから戦略を立てる。

 

「《墓守の石板》を発動。墓地の《墓守の霊術師》と《墓守の審神者(さにわ)》を手札に加える。フィールド魔法《王家の眠る谷-ネクロバレー》を発動し、《墓守の霊術師》を召喚。そして墓守の霊術師の効果を発動する。このカードと手札の《墓守の審神者(さにわ)》を墓地に送り、再臨せよ、《墓守の異能者》!」

 

墓守を守護する白髪の悪鬼が再び姿を現した。手に持つ錫杖を鳴らし、目前の悪魔と向き合う。

 

「墓守の異能者の効果発動。エンドフェイズにデッキから「墓守」モンスターか「ネクロバレー」カード1枚を手札に加えることができる。さらに《ワンダー・ワンド》を墓守の司令官に装備」

 

墓守の司令官 攻撃力2100 → 2600

 

「バトルだ。墓守の異能者でエビル・デーモンを攻撃!」

 

城之内克也 LP4000 → 2600

 

「これで終わりだ! 墓守の司令官でダイレクトアタック!」

 

「そっちは通さねぇ! 速攻魔法《スケープ・ゴート》を発動。羊トークンを4体特殊召喚するぜ」

 

城之内に攻撃が届く寸前、綿毛のかたまりが盾となる。

 

「チッ、ボクは墓守の司令官とワンダー・ワンドを墓地に送り、カードを2枚ドローする。カードを1枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズに墓守の異能者の効果で、デッキから《ネクロバレーの祭殿》を手札に加える」

 

ナム LP1600 手札2 モンスター1 伏せ1

 

異:墓守の異能者 攻撃力3900

■:伏せカード

王:王家の眠る谷-ネクロバレー

 

■□□□□

□異□□□王

 

羊羊羊□□

□□□□□

 

羊:羊トークン 守備力 0

羊:羊トークン 守備力 0

羊:羊トークン 守備力 0

 

城之内克也 LP2600 手札1 モンスター3 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー! 手札の《真紅眼の亜黒竜》を墓地に送り、《紅玉の宝札》を発動。カードを2枚ドローするぜ。その後、デッキから《真紅眼の黒炎竜》を墓地に送る。続けて《カップ・オブ・エース》を発動。よっしゃ! 2枚ドローだ!」

 

(チッ、運の良いやつだ)

 

「《伝説の黒石》を召喚。そんでこのカードをリリースして効果発動。デッキから《真紅眼の黒竜》を特殊召喚するぜ!」

 

黒き竜が、その翼を広げて天に舞う。

 

「これで終わりだぜ、ナム! 《黒炎弾》を発動!」

 

「それを受けるわけにはいかないな。カウンター罠《地獄の扉越し銃》を発動。このダメージはキミに受けてもらうよ」

 

墓地より放たれた黒炎弾が黒き扉に跳ね返されて城之内を襲う。

 

「ぐぁっちちっ! くっ、やるじゃねぇかナム。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

城之内克也 LP 200 手札0 モンスター4 伏せ1

 

真:真紅眼の黒竜 攻撃力2400

羊:羊トークン 守備力 0

羊:羊トークン 守備力 0

羊:羊トークン 守備力 0

■:伏せカード

 

 □□■□□

 真□羊羊羊

 

王□□□異□

 □□□□□

 

異:墓守の異能者 攻撃力3900

王:王家の眠る谷-ネクロバレー

 

ナム LP1600 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「ボクのターン、ドロー。墓守の異能者の効果発動。エンドフェイズにデッキから「墓守」モンスターか「ネクロバレー」カード1枚を手札に加えることができる」

 

(まあ必要ないとは思うけどね)

 

ナムは内心でほくそ笑む。城之内のライフはわずか200。このまま墓守の異能者で真紅眼の黒竜に攻撃すれば勝てる。

 

(だがあの表情はなんだ? 負けを覚悟した目には見えない)

 

城之内の目は諦めた者の目ではなかった。

 

(だがここで手を緩めるのは論外だ。また黒炎弾のようなカードを引かれる可能性もある)

 

「永続魔法《ネクロバレーの祭殿》を発動。《墓守の長槍兵》を召喚」

 

ナムはもちろんこのターンで決めるつもりだが、何かを感じ取ったのか新たなモンスターを展開した。

 

「バトルだ。墓守の長槍兵で羊トークンを攻撃!」

 

墓守の長槍兵は貫通効果を持っている。この攻撃が通れば勝負は決する。

 

「攻撃宣言時に《モンスターBOX》を発動。コイントスを1回行い、裏表を当てる。当たった場合、その攻撃モンスターの攻撃力は、このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、バトルフェイズ終了時まで0になるぜ!」

 

「ここでそんなギャンブルカードをっ!?」

 

「俺は表を宣言するぜ。さぁ、運命の時間だ」

 

巨大なコインが空を舞い、フィールドに落ちる。それが示したのは――

 

「表だ。墓守の長槍兵の攻撃力は0になるぜ」

 

勢いよく突き出された長槍が急激に速度を落とし、綿毛に跳ね返される。

 

(チッ、どうする……このターンは引くか?)

 

ナムは手札に視線を落とす。このカードを防御用に使えば、次のターンは恐らく凌げる。

 

(違う。それは弱い考えだ。ボクはそれに反逆する)

 

ナムは自身の考えを即座に否定する。

次のターンに何が起こるか分からないのがデュエルだ。

 

(カップ・オブ・エースにモンスターBOX、そろそろやつの運も打ち止めだろう)

 

ナムは手札を切った。

 

「手札から速攻魔法《エネミーコントローラー》を発動。羊トークンの表示形式を変更する」

 

羊トークンの1体が綿毛を逆立てて威嚇を始める。そこに墓守の異能者が錫杖を突き出し呪言を唱え始めた。

 

「再度モンスターBOXの効果発動。俺はもう一度表を宣言するぜ!」

 

再びコインが空を舞う。それが示したのは――

 

「ゲッ!? う、裏だとぉ!?」

 

羊トークンは爆散し、城之内のライフは0となった。

 

 

 




孔雀舞は犠牲となったのだ。まぁ罰ゲームを受けずに済んだのは幸運かもしれない。
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