決勝トーナメント四回戦が始まる。
最後に残ったのは海馬と、タイムリミットギリギリに滑り込んできた女性デュエリスト。
そのふたりが天空決闘場にて向かい合う。
(マリクの闇人格が目覚めてしまった。もはや一刻の猶予もない。それが定められし運命だというのなら、私はあなたを――)
「海馬瀬人。私の持つ千年タウクには未来を透視する力が秘められています。あなたは私に敗北する。それが定められた未来です」
「クククッ、フハハハハッ!! そんな非ぃ科学的な論理で俺を惑わそうとはな。俺に貴様らの持つオカルトグッズの迷信など通用せん。そんなものはこの世の不合理性のゴミ溜めにでも捨てておけ!」
オカルトを信じない海馬は、イシズの言葉を一刀両断する。
「ふぅん、読めてきたぞ。あのマリクという男、貴様の身内だな。ヤツを
「…………」
「クククッ、問答は無用ということか。ならば語るまい!
「ハ、ハイ海馬サマ!
「来いッ! イシズ!」
「いいでしょう。私のターン、ドロー。手札の《宿神像ケルドウ》を捨て、《剣神官ムドラ》を特殊召喚。ムドラの効果でデッキから《墓守の罠》を表側表示で置きます」
「墓守の罠……だと?」
海馬の頭をよぎったのは、先のデュエルで
「墓守の罠の効果発動。手札を1枚捨て、デッキから《古衛兵アギド》を手札に加えます」
イシズが捨てたのは《現世と冥界の逆転》。墓地にこのカードが存在する限り、墓守の罠の効果で相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地のモンスターを特殊召喚できない。
海馬の操る《青眼の白龍》は最上級モンスター故、墓地からの特殊召喚を多用する。それを制限するのがイシズの狙いだと海馬は睨んだ。
「《ティアラメンツ・レイノハート》を召喚して効果発動。デッキから《ティアラメンツ・ハゥフニス》を墓地に送ります。そして墓地に送られたハゥフニスの効果発動。このカードとフィールドのレイノハートをデッキの下に戻し、《ティアラメンツ・キトカロス》を融合召喚します」
(ティアラメンツ……墓地融合を主体としたカード群か)
白藍の髪をたなびかせながら、少女たちが舞う。
「キトカロスの効果発動。デッキから《ティアラメンツ・メイルゥ》を手札に加えます。続いて自身を対象に、第2の効果も発動します。手札のメイルゥを特殊召喚し、キトカロスを墓地に送ります。さらに墓地へ送られたキトカロスの効果でデッキから5枚のカードを墓地に送り、メイルゥの効果で3枚を墓地に送ります」
キトカロスの3種の効果をすべて使い、イシズのデッキが回りだす。
「墓地に送られた《古衛兵アギド》の効果発動。お互いにデッキの上から5枚のカードを墓地に送ります。そして私の墓地に《現世と冥界の逆転》が存在するので、あなたのデッキからさらに5枚のカードを墓地に送ります。続けて《古尖兵ケルベク》の効果発動。お互いにデッキの上から5枚のカードを墓地に送ります。さらに追加効果で、墓地の罠カード《魔法の筒》を私のフィールドにセット。《シャドール・ビースト》の効果で1枚ドローし、2枚の《髑髏顔
ここで海馬はイシズの戦術に気づく。
(相手の墓地を封じ、デッキ破壊でプレッシャーと焦りを与え、攻撃を誘発する……といったところか)
「カードを2枚セットし、ターンエンド」
イシズ LP6000 手札2 モンスター3 伏せ3
ム:剣神官ムドラ 守備力1800
ル:ティアラメンツ・ルルカロス 守備力2500
メ:ティアラメンツ・メイルゥ 守備力2000
魔:伏せカード(魔法の筒)
墓:墓守の罠
■:伏せカード
■:伏せカード
魔□墓■■
□ムルメ□
□□□□□
□□□□□
海馬瀬人 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン!」
「あなたのドロー前に、墓守の罠の効果を発動します。ドローしたカードが、私の宣言したカードだった場合、あなたはそのカードを墓地へ送らなければならない」
「ふぅん。面白い。ならば当ててみるがいい」
「私が宣言するのは《青眼の白龍》!」
「ドロー! ぐっ、バカな!」
海馬がドローしたカードは、イシズの宣言通りのカード。海馬をそれを墓地へと送った。
「未来はすでに決まっています」
「戯言を! ならば何故俺に神のカードの収集を依頼した! 未来が見通せるというのならば、他にも方法があったはずだ!」
その問いにイシズは沈黙を持って答えた。
「だんまりか。所詮未来を見通すなどその程度よ。それを今から証明してやる。魔法カード《ライトニング・ストーム》を発動。貴様の魔法・罠カードをすべて破壊する!」
「ライフを1000払い、罠カード《現世と冥界の逆転》を発動。さらにチェーンして墓地の《宿神像ケルドウ》の効果発動。続けて墓地の《剣神官ムドラ》の効果発動」
ここでチェーンは終わり、逆順処理に入る。
《宿神像ケルドウ》と《剣神官ムドラ》の効果で海馬の墓地から合計10枚のカードがデッキに戻り、続けて《現世と冥界の逆転》の効果が適用され、デッキと墓地が入れ替わる。
最後に海馬の発動した《ライトニング・ストーム》がイシズの魔法・罠カードを破壊する。
「これであなたのデッキは6枚。勝負は決しました」
その6枚のカードも、イシズが脅威ではないと判断したカードだった。
「ふぅん。この程度で勝利を確信するとは……笑止! もう一度言ってやろう。貴様の未来予知など所詮その程度よ! 俺の墓地とデッキを操作したなら分かっていよう。そこに神のカードがなかったことにな!」
イシズもそれには気づいていた。海馬はすでに神のカードを握っていることに。
「しかもおあつらえ向きに3体の生贄まで用意するとはな。速攻魔法《交差する魂》を発動! 貴様のモンスター3体をリリースし、《オベリスクの巨神兵》を召喚!」
破壊の力を秘めた巨神が覚醒する。
それでも平静を装うイシズを、海馬はさらに追い立てる。
「貴様の予知など俺のロードには不要! 未来は俺が決める! オベリスクで貴様にダイレクトアタック!」
巨神の拳が天高く振り上げられる。だが――
「とでも言うと思っていたのか? 貴様が仕掛けた最後の罠。俺が気づいていないとでも思ったか!」
「…………」
「ククッ、なかなか
「……まさか」
「貴様の未来予知……大抵の人間には通用したのだろう。だがそんなもので俺を縛ることはできん。貴様は未来予知という「安心」に溺れた。リスクこそがデュエルの本質。そこから逃げた貴様に勝利はない!」
海馬は神に
「神を生贄にする! 現れろ! 《偉大魔獣 ガーゼット》!」
神を生贄に、悪魔が召喚される。
「《偉大魔獣 ガーゼット》の攻撃力は、リリースしたモンスターの元々の攻撃力の倍となる」
偉大魔獣 ガーゼット 攻撃力8000
「一撃で仕留めれば《ヴォルカニック・カウンター》の効果も発動できまい」
「そんなカードは、あなたのデッキにはなかったはず……」
「ふぅん。こいつはこのデュエルの寸前にモクバから受け取ったカードだ。それは読めなかったようだな。何度でも言ってやろう。貴様の未来予知などその程度だとな」
(運命とは……逃れられないものだと決めつけていましたが、あなたは
「運命をねじ伏せて俺は進む! 喰らえ! アトミック・バァァァン!!」
悪魔の胸から放たれた光の奔流がイシズを包み込む。その爆発が海馬の勝利を決定づけた。
オベリスクの巨神兵 神属性 レベル10
攻撃力4000 守備力4000 幻神獣族/効果
このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。
①:このカードの召喚は無効化されない。
②:このカードの召喚成功時には、魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
③:このカードは元々の属性が神属性以外のモンスターの効果を受けず、魔法・罠カードの効果を受けない。
④:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのカードをリリースできない。
⑤:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、他の自分のモンスターは攻撃宣言できない。
⑥:自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊し、相手に4000ポイントのダメージを与える。この効果は相手ターンでも発動できる。この効果は無効化されない。
⑦:このカードが特殊召喚されている場合、エンドフェイズに発動する。このカードを墓地へ送る。
感想欄でご指摘のあった通り、⑤の効果でオシリスとオベリスクが並ぶとセルフロックがかかりますね。
オシリスとオベリスクは仲が悪かった……?
それはそれとして、ティアラメンツ(というかイシズ系)は文字にするとかなり分かり難いですね。
世界大会のアレとか文字に起こしたらどんな感じになるんだろうか。