マリクの闇人格は倒れた。このデュエルの勝利を確信していた闇人格は
結局はその
「アンティルールにより、これはあなたのものです」
磯野が恐る恐る神のカードを拾い上げ、レンへと渡す。レンも内心ではおっかなびっくりであったが、表には出さずにそれを受け取った。
そしてしずしずとイシズが近づいてくる。
「今、分かりました。あなたがマリクの"光"だったのですね」
(んなわきゃねンだわ。未来予知って結構ザルか? もしかして本人の願望も多少影響されるんじゃないか? いや、この段階だともうその力は失ってるんだったか)
むしろオカルトを科学的に考えようとしているレンの方が、前世の常識を引きずりすぎているとも言える。
(神を
海馬は視線を宿敵へと向ける。
「遊戯ッ! 俺たちの決着をつける時だ!」
「望むところだぜ! 海馬!」
遊戯と海馬、宿命のデュエルが、いま始まる。
『デュエルッ!!』
「俺のターン、ドロー! 魔法カード《ジョーカーズ・ストレート》を発動。手札を1枚捨て、デッキから《クィーンズ・ナイト》を特殊召喚し、《キングス・ナイト》を手札に加える。その後、いま手札に加えた《キングス・ナイト》を召喚する。さらにキングス・ナイトの効果でデッキから《ジャックス・ナイト》を特殊召喚!」
(最速召喚能力を秘めた三剣士を呼び出したか。いきなり呼ぶつもりだな! 遊戯!)
海馬は警戒の色を強める。と同時に、その表情には喜色が浮かんでいた。
「速攻魔法《神速召喚》を発動。デッキから《オシリスの天空竜》を手札に加え、召喚する!」
絵札の三剣士が空へと昇り神を呼ぶ。
「カードを2枚伏せてターンエンドだ。そしてエンドフェイズに墓地の《ジョーカーズ・ストレート》と《ジョーカーズ・ワイルド》の効果を発動するぜ。《キングス・ナイト》と《ジャックス・ナイト》をデッキに戻し、この2枚を手札に加える」
武藤遊戯 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2
天:オシリスの天空竜 攻撃力3000
■:伏せカード
■:伏せカード
□□■□■
□□天□□
□□□□□
□□□□□
海馬瀬人 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー! 《トレード・イン》を発動。手札の《青眼の白龍》を捨て、カードを2枚ドローする。《復活の福音》を発動。墓地より蘇れ! 《青眼の白龍》!!」
白き龍が翼を広げてフィールドに降り立つ。その瞬間、天より稲妻が降り注いだ。
「オシリスの効果発動。召雷弾!」
「くっ、だがブルーアイズは倒れん! 手札の《高等儀式術》を公開し、《魔神儀-キャンドール》の効果を発動。このカードと、デッキから《魔神儀-タリスマンドラ》を特殊召喚する」
再び天より稲妻が迸る。だが魔神儀たちは平然とその場で踊り続けていた。
「さすがだな海馬。もうオシリスの穴を見つけたか」
「ふぅん。当然だ」
オシリスの能力は、自身の効果で対象のモンスターの攻撃力か守備力が0になった場合に破壊する効果である。
つまり元々の数値が0の場合、オシリスの効果が適用されないのだ。
「タリスマンドラの効果でデッキから《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》を手札に加える。いくぞ遊戯! 貴様が神を呼ぶというのなら、俺もそれに応えねば無作法というもの。見るがいい! 俺が従えし神! 《オベリスクの巨神兵》を!!」
3体のモンスターを贄に、破壊の巨神が大地に立つ。だがその直後にオシリスの召雷弾を受け、攻撃力は半減する。
「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
海馬瀬人 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2
巨:オベリスクの巨神兵 攻撃力2000
■:伏せカード
■:伏せカード
■□□□■
□□巨□□
□□天□□
■□■□□
天:オシリスの天空竜 攻撃力3000
■:伏せカード
■:伏せカード
武藤遊戯 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「俺のターン、ドロー」
お互いに最初のターンは神を召喚したことで終わった。同格の神とはいえ、先に出したオシリスの方が攻撃力は圧倒的に高い。
だからこそ――
(海馬は攻撃を誘っている)
遊戯は警戒する。神には魔法も罠も通用しない。それは海馬も承知しているはず。
「だが臆するわけにはいかない! バトルフェイズ! オシリスの天空竜でオベリスクの巨神兵に攻撃!」
「やはり攻めてきたか! 罠カード《溟界の呼び
オベリスクの両脇に小さな蛇が2体出現する。その攻守は0であり、オシリスの召雷弾をすり抜ける。
「この2体をリリースし、オベリスクの効果発動。オシリスを破壊し、貴様に4000のダメージを与える! ゴッド・ハンド・インパクトォォ!!」
オベリスクの拳がオシリスを貫き、その余波が遊戯に直撃する。その刹那――
「罠カード《エネルギー吸収板》を発動。オベリスクのダメージを回復へと変換する!」
遊戯は1枚のリバースカードを開示し、必殺の攻撃を防ぐ。
「ふぅん。これを防ぐか。面白い」
「まだだぜ海馬。まだ俺のバトルフェイズは終わっちゃあいない。《マジシャンズ・ナビゲート》を発動。手札から《ブラック・マジシャン》を特殊召喚し、デッキから《ブラック・マジシャン・ガール》を特殊召喚する。ブラック・マジシャンでオベリスクの巨神兵を攻撃!
黒魔術師の杖から漆黒の稲妻が迸り、神を撃つ。
「ブラック・マジシャン・ガールでダイレクトアタック!」
「それは通さん! 罠カード《リビングデッドの呼び声》を発動。墓地より《青眼の白龍》を特殊召喚!」
白き龍が再臨し、魔法少女の進撃を阻む。
「くっ、攻撃はキャンセルだ。メインフェイズ2へ移り、《星呼びの天儀台》を発動。ブラック・マジシャン・ガールをデッキの一番下に戻し、カードを2枚ドローする。俺はカードを2枚伏せてターンを終了するぜ」
武藤遊戯 LP8000 手札2 モンスター1 伏せ2
ブ:ブラック・マジシャン 攻撃力2500
■:伏せカード
■:伏せカード
■□□□■
□□ブ□□
□□青□□
リ□□□□
青:青眼の白龍 攻撃力3000
リ:リビングデッドの呼び声(対象:青眼の白龍)
海馬瀬人 LP3500 手札2 モンスター1 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドロー! 《高等儀式術》を発動。俺はデッキから――」
「待ちな海馬! 俺はチェーンして《手札断殺》を発動。お互いに手札を2枚捨て、2枚ドローする」
「なんだとっ!?」
海馬の手札は2枚。よって今持っているカードをすべて捨て、新たに2枚ドローしなければならない。
「くっ、俺の手札に儀式モンスターはいない。《高等儀式術》は不発になる。だがこの程度では止まらん! フィールドの《青眼の白龍》をリリースし、《アドバンスドロー》を発動!」
「甘いぜ海馬! 俺は墓地の《マジシャンズ・ナビゲート》の効果を発動するぜ! このカードを除外し《アドバンスドロー》の効果を無効にする!」
「甘いのは貴様だ遊戯! フィールドに残った《リビングデッドの呼び声》を墓地に送り《マジック・プランター》を発動。カードを2枚ドロー!」
窮地から2枚のドローカードを引き込む海馬の剛腕に、遊戯は昂揚を隠せなかった。海馬瀬人、やはり尋常のデュエリストではない。
「《竜の霊廟》を発動。デッキから《青眼の白龍》を墓地に送り、追加効果で最後の《青眼の白龍》を墓地に送る。いくぞ遊戯! 《竜の鏡》を発動。墓地に存在する3体の《青眼の白龍》を素材として除外し、飛翔せよ! 《
白き翼を広げた三つ首の龍が雷雲を裂いて飛翔する。
「これが至高にして究極。ブルーアイズの最強進化系の姿だ! ブラック・マジシャンを攻撃! ハイパー・アルティメット・バァァァーストッ!!」
真青眼の究極竜とブラック・マジシャンが激突するその瞬間、光が広がった。周囲の景色が一変し、あたりは遺跡内部のような光景に変わる。
――神のもとに、黒き魔術師と白き龍が交じり合う時、記憶の扉が開かれる
イシズの手に預けられていた千年
その記憶の光の中で、ふたりは俯瞰でデュエルを見ていた。
対峙しているのは
黒き魔術師を操る若き王と白き幻獣使いの神官。
「――ッ!!」
「――ッ!!」
ふたりが何事かを叫び、互いのしもべがぶつかり合う。その衝撃によって、海馬と遊戯は現実に引き戻された。
「なんだというのだ……あのビジョンは……」
「……ようやく理解したぜ海馬。俺たちが闘うことは3000年前からの宿命だった。俺たちは闘うべき運命にあったとな!」
「ふぅん。3000年前がどうのなど非ぃ科学的なことはどうでもいいが、俺たちが闘う宿命だったというのは否定せん。だが遊戯! その勝負もこれで決した! ダメージステップ終了時、EXデッキから2枚目の《真青眼の究極竜》を墓地に送り、このカードは再度攻撃できる」
「連続攻撃だとっ!?」
「所詮、神ですらも俺たちの闘いの添え物でしかなかったということだ! やはり貴様にとどめを刺すのは、神をも超越した我が最強のしもべ、ブルーアイズ!」
再び至高のブレスが遊戯を襲う。
「ぐぁぁああぁぁっ!!」
「まだだ! 真青眼の究極竜の効果は1ターンに2度まで発動できる。EXデッキから最後の《真青眼の究極竜》を墓地に送り、最後の攻撃を行う! 俺の記憶に巣食う石板ごと粉砕してくれるわ! 喰らえ! ハイパー・アルティメット・バァァァーストッ!!」
勝利を確信した海馬のラストアタックが遊戯を襲う。だがその光の奔流が遊戯に届く直前、黒い毛玉が遊戯の盾となった。
「まだだ! ダメージ計算時に《クリボー》の効果を発動。戦闘ダメージを0にするぜ!」
「この攻撃も防ぎきるか。面白い。ターンエンドだ」
「エンドフェイズに墓地の《ジョーカーズ・ストレート》の効果を発動するぜ。《クィーンズ・ナイト》をデッキに戻し、このカードを手札に戻す」
海馬瀬人 LP3500 手札0 モンスター1 伏せ0
真:真青眼の究極竜 攻撃力4500
□□□□□
□□真□□
□□□□□
■□□□□
■:伏せカード
武藤遊戯 LP1500 手札2 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「俺のターン、ドロー! 《ジョーカーズ・ストレート》を発動。手札を1枚捨て、デッキから《クィーンズ・ナイト》を特殊召喚し、《キングス・ナイト》を手札に加える。その後、いま手札に加えた《キングス・ナイト》を召喚する。さらにキングス・ナイトの効果でデッキから《ジャックス・ナイト》を特殊召喚!」
「ふぅん。壁を並べるだけか? ならば次のターンに粉砕するだけだ」
「慌てるなよ海馬。《クィーンズ・ナイト》を墓地に送り、《馬の骨の対価》を発動。カードを2枚ドローするぜ」
その瞬間、遊戯の目がカッと見開いた。
(城之内くん。キミの
決勝で闘おうと約束した親友は、無念にも一回戦敗退という結果になった。
そして託された
(俺の失われた記憶を取り戻すために、海馬! 俺は貴様を倒す!)
遊戯の前に光の道が浮かび上がる。
「勝利のピースはすべて揃った。リバースカード《ジョーカーズ・ワイルド》を発動! デッキから《絵札融合》を墓地に送り、その効果を適用する。そして絵札融合は俺のフィールドに絵札の三剣士のいずれかが存在する場合、デッキのモンスター1体を融合素材とすることができる。俺は手札の《真紅眼の黒竜》と、デッキの《バスター・ブレイダー》を融合する。現れろ――」
稲妻が迸り、巨大な剣が舞う。それを掴み取ったのは白銀の鎧を身に纏うドラゴンスレイヤー。
「《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》!!」
それは、剣というにはあまりにも大きすぎた。大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。
竜を狩るためだけに作られた竜殺しの魔剣。その剣の前では、いかなるドラゴンであっても膝を折る。
「このカードがモンスターゾーンにいる限り、相手のドラゴン族は守備表示となり、ドラゴン族の効果は発動できない」
「それが貴様の切り札か!」
「さらにこのカードの攻撃力・守備力は、相手のフィールド・墓地にいるドラゴン族の数×1000アップする」
青眼の白龍3体は除外されてしまったが、海馬の墓地にはブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンと、2体の真青眼の究極竜がいる。
竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー 攻撃力2800 → 6800
「だがその程度の攻撃力では、俺を倒し切ることはできんぞ!」
バスター・ブレイダーが貫通能力を持っているといっても、真青眼の究極竜の守備力は3800の上、海馬の墓地にはドラゴン族を破壊から守る《復活の福音》がある。海馬のライフを削り切るにはわずかにとどかない。
「言ったはずだぜ海馬。勝利のピースはすべて揃ったと。速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動。除外されている3体の《青眼の白龍》をおまえの墓地に戻す。これにより、竜破壊の剣士-バスター・ブレイダーの攻撃力はさらに3000アップ!」
竜殺しの魔剣は必殺の剣となって、その切っ先を白き龍へと突きつける。
「海馬、独りの力をいくら極めようと、結束の前には敵わないぜ!」
「ぐっ、そんな妄言は聞き飽きたわ!」
「思い出せ海馬! かつての貴様も、
遊戯の熱のこもった言葉に海馬はたじろいだ。そしてチラリと視線を移す。海馬剛三郎という人間に人生を狂わされる前、海馬にも確かに在ったのだ。
「過去は葬り去るものじゃない。乗り越えていくものだ! 海馬! 貴様の闇を切り裂く! 竜破壊の剣士-バスター・ブレイダーで真青眼の究極竜に攻撃! 破壊剣一閃!!」
竜殺しの魔剣が白き龍の鱗を切り裂く。この一撃により、宿命のデュエルは決着した。
未来予知について。
「断片的に未来を見ることができ、絶対にはずれない」らしいですが、海馬に覆されています。
絶対にはずれないとは一体……。
断片的に、というところがミソな気がします。すべてを見通せるわけではない、と。
まあすべてを見通せるなら海馬を利用しなくてもマリクの捕獲くらいできそうなもんだと思うんですよ。イシズはエジプトでかなり高い権限を持っているので、ある程度人は動かせるでしょうし。
なので未来予知については、ある程度ガバ設定ということでお願いします。