「緑光です」
「通れ」
「紫光です」
「通れ」
「朱光&神巫です」
「(チューナーだから)通さない」
「虹光です」
「(シンクロだから)通さない」
「聖光です」
「(エクシーズだから)通さない」
「虚光です」
「(リンクだから)通さない」
「神光&崇光です」
「(デュエルがつまらなくなるから)通さない」
「!?」
「鮫島校長~、がんばれ~!」
観客席から十代の声援が飛ぶ。鮫島は手を振ってそれに応えた。
「校長センセイ、アツいデュエルを期待してますわ!」
その反対側の席から雪乃の声援が聞こえた。レンは手を上げてそれに応える。
「お互い負けられませんな」
「ええ。では――」
『デュエルッ!!』
「むっ、私の先攻ですか。ドロー」
先攻を取らされたのは鮫島。さすがのレンもサイバー流に後攻を渡したりはしない。原作の鮫島は半ば引退状態であったが、この世界の鮫島は師範は退いたものの、未だに研鑽を続けている。
年に一度のこの日の為に。
「手札の《サイバー・ダーク・カノン》の効果発動。このカードを捨て、デッキから《サイバー・ダーク・キメラ》を手札に加えます。続けて《サイバー・ダーク・クロー》の効果発動。このカードを手札から捨て、デッキから《サイバネティック・ホライゾン》を手札に加えます。そしてそのまま発動。手札から《サイバー・ドラゴン》、デッキから《サイバー・ダーク・キメラ》を墓地に送り、デッキから《サイバー・ドラゴン・コア》を手札に加え、EXデッキから《サイバー・エンド・ドラゴン》を墓地に送ります」
サーチと墓地肥やし、さらに限定的とはいえEXデッキのカードまで墓地に送る効果に会場がどよめく。
「墓地に送られたサイバー・ダーク・キメラの効果発動。デッキから《サイバー・ダーク・エッジ》を墓地に送ります。《サイバー・ダーク・キメラ》を召喚して効果発動。手札の《
サイバー流の代名詞でもある究極の融合魔法、パワー・ボンドが鮫島の手札に加わる。
「サイバー・ダーク・キメラの効果により、1度だけ墓地のモンスターを除外して融合素材にできる。出し惜しみはしませんよ。《パワー・ボンド》を発動、フィールドの《サイバー・ダーク・キメラ》と、墓地の4体の「サイバー・ダーク」モンスターを素材に、《鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン》を融合召喚!」
黒き機械竜が、鋭利な牙のような翼を広げて飛翔する。だがそれすらも布石にすぎない。
「鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴンの効果発動。墓地の《サイバー・エンド・ドラゴン》を装備します。そしてサイバー・エンドを装備したこのカードをリリースし、EXデッキから《鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン》を特殊召喚!」
さらに深い漆黒の翼を翻し、
「鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴンの効果発動。墓地の《サイバー・ダーク・キメラ》をこのカードに装備します。私はカードを2枚伏せてターンエンド。エンドフェイズにパワー・ボンドの効果で2000のダメージを受けます」
鮫島 LP2000 手札1 モンスター1 伏せ2
皇:鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン 攻撃力5000
キ:サイバー・ダーク・キメラ(装備カード)
■:伏せカード
■:伏せカード
キ□■□■
□□皇□□
□□□□□
□□□□□
高杉レン LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「私のターン、ドロー」
鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴンは、相手の発動した効果を受けないという強力な耐性を持つ。
ちなみに、「発動した効果」なので、発動しない永続効果は受けたりする。
「《レスキューラビット》を召喚して効果発動。このカードを除外して、デッキから《E・HERO スパークマン》2体を特殊召喚」
デッキから2体のヒーローが姿を現す。
観客席でこのデュエルを観戦していた十代は興奮のあまり立ち上がっていた。
「うぉぉ~! 相手の校長もヒーロー使いか!」
「落ち着け十代。高杉校長は毎年デッキを変えているらしいぞ」
三沢が十代の肩を掴んで席へと戻す。
「へぇ、複数のデッキを使うのか。おまえみたいだな、三沢」
「……俺とはレベルが違うさ」
三沢は小さく笑った。その笑いに自嘲が含まれていた。
「まあ、あの校長は交流戦が終わった後にデッキレシピを公開しているからな。参考にさせてもらうさ。今回はヒーローデッキだから、キミも興味あるんじゃないか?」
「ん~、俺はあんまり……カード選びは大体直感だからなぁ」
「そうか、まあキミはその方がいいかもな。さて、続きを見ようか」
「お、そうだな」
ふたりはデュエルリングへと視線を戻した。
「《
スパークマンの首に、フレイム・ウィングマンの絵柄が記されたドッグタグがかけられる。
――俺はフレイム・ウィングマン、俺はフレイム・ウィングマン
「スパークマンとフレイム・ウィングマン……その組み合わせは!?」
鮫島が目を見開く。その2体から呼び出されるのは、交流戦第1戦でフィニッシャーとなったヒーローモンスター。
「《融合》発動。現れろ、《E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン》!」
2体のスパークマンが融合し、光のヒーローが生まれる。
「シャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃力は墓地の「E・HERO」の数×300アップします。さらに《フェイバリット・ヒーロー》を装備。バトルフェイズに入ります。そしてバトルフェイズ開始時、フェイバリット・ヒーローの効果発動。デッキから《摩天楼 -スカイスクレイパー-》を発動。そしてシャイニング・フレア・ウィングマンの守備力を攻撃力に加える」
シャイニング・フレア・ウィングマン 攻撃力2500 → 3100 → 5200
「まさか鎧皇竜の攻撃力を上回るとは……さすがですな」
「バトル。シャイニング・フレア・ウィングマンで鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴンを攻撃!」
「甘いですな! 攻撃宣言時、速攻魔法《決闘融合-バトル・フュージョン》を発動! 鎧皇竜の攻撃力は戦闘する相手モンスターの攻撃力分アップします!」
鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン 攻撃力5000 → 10200
「ダメージ計算前に、手札の《オネスト》を捨てて効果発動。相手モンスターの攻撃力を加算します」
シャイニング・フレア・ウィングマン 攻撃力5200 → 15400
「……あなたなら、それくらいやってくると思っていましたよ。しかし! オネストの効果処理後に《リミッター解除》を発動。鎧皇竜の攻撃力を倍にします!」
黒き鋼の巨体がさらに大きく膨れ上がる。
鎧皇竜-サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン 攻撃力10200 → 20400
この時点で鮫島は勝利を確信していた。ダメージ計算時にフィールド魔法の効果でシャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃力は1000アップするが、それでも2体の攻撃力の差は4000。
レンのライフは一撃で消し飛ぶ。
だが闇のブレスと光の拳がぶつかり合う、その瞬間――
「ダメージ計算時、手札の《D-HERO ダイナマイトガイ》を捨てて効果発動。この戦闘で発生するダメージを0にし、お互いに1000のダメージを受けます」
運命の戦士が発生する衝撃波を受け止めた。
「なっ!? くぅっ!」
高杉レン LP4000 → 3000
鮫島 LP2000 → 1000
「私はこれでターンエンド」
「エンドフェイズにリミッター解除の効果を受けたモンスターは破壊されます。ですが破壊されたサイバー・ダーク・キメラの効果で、デッキから《サイバー・ダーク・カノン》を墓地に送ります」
高杉レン LP3000 手札0 モンスター0 伏せ0
摩:摩天楼 -スカイスクレイパー-
□□□□□
□□□□□摩
□□□□□
□□□□□
鮫島 LP1000 手札1 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「私のターン、ドロー! 《サイバー・ドラゴン・コア》を召喚して効果発動!」
ここで鮫島はサーチするカードに悩む。攻撃を優先するなら《サイバー・レヴシステム》。防御を優先するなら《サイバネティック・オーバーフロー》あたりとなる。
(攻撃力400のコアを残しておくのは不安が残る。ならば……)
「私は《サイバネティック・レボリューション》を手札に加えます。バトル! サイバー・ドラゴン・コアでダイレクトアタック!」
高杉レン LP3000 → 2600
「メイン2へ移り、墓地の《ギャラクシー・サイクロン》の効果発動。このカードを除外し、《摩天楼 -スカイスクレイパー-》を破壊します。カードを1枚伏せてターンエンドです」
鮫島 LP1000 手札1 モンスター1 伏せ1
コ:サイバー・ドラゴン・コア 攻撃力400
□□■□□
□□コ□□
□□□□□
□□□□□
高杉レン LP2600 手札0 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「私のターン」
レンもまた苦しい状況だった。手札は0。相手の場に伏せられているのは《サイバネティック・レボリューション》だろう。
「ドロー」
ドローカードを確認したレンから笑みが漏れる。
(なんだこの主人公みたいな引きは)
長くデュエルを続けていれば、こういった劇的なことも起こる。レンの脳内にカン☆コーンという音が鳴り響いた。
「魔法カード《ミラクル・フュージョン》を発動。墓地のシャイニング・フレア・ウィングマンとスパークマン2体、ダイナマイトガイの4体を素材として除外します」
「4体もの素材を!?」
「《Wake Up Your E・HERO》を融合召喚!」
複数のヒーローたちが、1体のヒーローとなって現れる。
「《Wake Up Your E・HERO》の攻撃力は素材としたモンスターの数×300アップします」
Wake Up Your E・HERO 攻撃力2500 → 3700
「バトル。サイバー・ドラゴン・コアを攻撃!」
「させません! サイバー・ドラゴン・コアをリリースし、《サイバネティック・レボリューション》を発動。EXデッキからサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!!」
サイバー流・裏の切り札に続き、表の切り札が姿を現す。その攻撃力は《Wake Up Your E・HERO》を超える4000。
「……攻撃を続行。サイバー・エンド・ドラゴンを攻撃!」
「なんですとっ!? ならばサイバー・エンドで迎撃!」
機械竜から放たれた光のブレスがヒーローを包み込む。戦闘はサイバー・エンド・ドラゴンの勝利に終わった。だが――
「ダメージ計算後に《Wake Up Your E・HERO》の効果発動。戦闘を行った相手モンスターを破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果は《Wake Up Your E・HERO》が戦闘破壊される場合でも発動します」
「なっ!? ぐわぁああぁぁっ!!」
鮫島 LP1000 → 0
「あっちゃぁ、校長負けちゃったか。でもあのヒーローカッケーなぁ。あんなカード初めて見たぜ。三沢は知ってるか」
「……いや、知らないな。そういえば、来月I2社から新パックが発売されるらしい。もしかしたら、そのお披露目……宣伝だったのかもな」
「へぇ~。よし、あのヒーロー、絶対引き当ててやるぜ!」
そしてデュエルリングに視線を戻せば、両校長が試合後の握手を交わしているところだった。
そこで司会のクロノスが再びマイクを握る。その隣には、いつの間にかひとりの女性が立っていた。
「ではこれヨーリ、勝者の高杉校長にプレゼントが贈られるノーネ。ささ、トメさん、よろしくお願いしまスーノ」
「まかせておくれ!」
レンに学園のアイドルから熱いキッスが贈られる。
その光景を、雪乃は複雑な表情で眺めていた。
……おや!? 雪乃の 様子が……!