割と平和な遊戯王   作:乾燥海藻類

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第04話 ペガサス島へようこそ

デュエルモンスターズに関わるようになって、レンは世界に疑問を持った。

 

(ここは漫画の世界じゃない。たぶんアニメの世界だ)

 

何が違うんだ? と思う方もいるかもしれないが、実は大違いである。漫画遊戯王とアニメ遊戯王は別の世界線なのだ。

世界線が違うというか、世界の成り立ちそのものが違う。

アニメ版の世界は1枚のカードから始まったとされるが、漫画版はそうではない。

 

オカルト関連にしても、漫画では主に千年アイテムに関わることだけであるが、アニメではドーマやらが出てきて色々とやらかしている。

端的に言って、アニメ世界の方がきな臭くオカルト色が強い。

 

レンがこのことに気づいたのは、デュエルモンスターズの大会入賞者に、GXのキャラがチラホラと見受けられたからだ。

もちろん本編よりも若い姿であるが。

ちなみに、GXはアニメ版遊戯王のその後を描いた作品である。

 

(マジック&ウィザーズではなくデュエルモンスターズの時点で気づくべきだったな)

 

漫画はマジック&ウィザーズ、アニメはデュエルモンスターズ、これが分かりやすい差異であろう。

 

(だがパラディウス社が存在しないのはどういうことだ?)

 

レンの記憶ではパラディウス社の総帥がドーマ編のボスだった。にもかかわらず、そのパラディウス社自体が存在しない。

まるで意味が分からない。

 

(戸籍を調べてみたが、海馬乃亜(のあ)もいないようだ。まあこれは剛三郎が隠蔽した可能性もあるが……BIG5の反応から考えても、いないと見る方が自然だ)

 

レンはBIG5との会話で、剛三郎の家族関係についても話を振ってみたが、慌てたり言いよどむような反応はなかった。

 

(それにあの姉弟(きょうだい)がいるのも腑に落ちない。GXも漫画とアニメは別世界線だったはず……。もしかしたら、漫画でもアニメでもない世界線なのかもしれん。俺がいること自体、もはや原作ではないのだし)

 

と、早々に考えることをやめた。

 

(まあ何かあっても主人公(遊戯)に任せておけばいいだろ)

 

自分は所詮モブ。そう考えていた。

そもそも世界を救おうだとか、不幸なキャラを救済しようだとか、そんな崇高な目的は持ち合わせていない。

精々が関わり合ったペガサスを護ろうと考えているくらいである。

 

そんなレンであるが、今はペガサス島で運営スタッフ(モブ)として働いている。社長のくせに現場に出ているのは、確認しておきたいことがあったからだ。

 

「やっと上陸だぜ! よっしゃー! 早速デュエルだ!」

「おい城之内! ちょっと落ち着けよ!」

 

聞き覚えのある声が聞こえてきて、そちらの方に目を向ける。

そこにいたのは3人の少年。遊戯と城之内と本田。参加者名簿の通りである。密航者の情報も上がっていないので、あの悪魔(獏良了)は来ていない。やはり随伴者不可にしたのは正解だったとレンは胸をなでおろした。

 

ちなみに、今回の大会ではフィールド・パワーソースなどというふざけたルールは存在しない。

 

(なんだよ攻守30%アップって。計算が面倒だろ。俺がやるわけじゃないけど)

 

なのでその地域に合わせたフィールド魔法が最初から発動しているというルールに変更してある。

 

「ん? 本田、あの人だかりはなんだ?」

「おまえ、説明聞いてなかったのかよ。あれはレアカード交換所だよ」

「なにぃ!? レアカードが貰えんのかよ! よし、行ってみようぜ!」

 

駆け出す城之内。それを遊戯と本田が追いかける。

けっきょく島内に作ったのは売店とレアカード交換所だけだった。

宿泊施設や食堂は、参加者たちを運んできた客船を停泊させて利用すればいいと気づいたのだ。

書面だけでは気づかないことは意外と多い。実際に動いてみれば、気づくことは多かった。

 

そして件のレアカード交換所だが、交換所というだけあって、ただで貰えるわけではない。(スターチップ)と交換するのだ。この島において星は生命(いのち)である。

最初に配布された2つの星の1つを、早々にレアカードと交換するのはかなりの自信家だろう。実際あの人だかりもカードを確認しているだけで、交換している人はほとんどいない。

 

(ちゃんと《真紅眼の黒竜》も用意したぞ。頑張って手に入れてくれよ)

 

予選の日程は3日間。決勝に残れるのは先着で32名、星を10コ集めた者が通過できる。

彼らは果たして生き残れるだろうか。このデュエルサバイバルを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大会が開始されて数時間が経過した。

遊戯は順調に勝利を重ね、スターチップは6コまで増えていた。

予選は3日間行われるとはいえ、先着で32名という枠がある以上、あまり悠長にもしていられない。

特に、抽選ではなく招待選手として大会に参加している強豪デュエリストは、今日中にでも本戦出場を決めてしまうだろうと遊戯は睨んでいた。

 

「そろそろ俺もやった方がいいかもなぁ」

 

城之内の中にも焦りが生まれる。これまでは勉強という名目で遊戯のデュエルを観戦していたが、自分もそろそろ動き出さねばならないと思ったのだろう。

 

「ようやくおまえにも状況が理解できてきたか」

 

と訳知り顔で本田がウンウンと頷く。

 

「クッ、テメェが早々に敗退するからだろうが!」

 

そう、本田は勢い勇んでスターチップ2コ賭けでデュエルを挑んだものの、見事に敗北。初戦敗退となった。

自分が勝つことで城之内に勢いを付けようと思ったのだが、裏目に出てしまったようだ。

 

「城之内、過去を振り返っても意味はない。俺たちが目指すのは未来だぜ!」

「無駄にカッコイイこと言いやがって。まあいい。とっとと星を稼がねぇと本戦出場に間に合わねぇかもしれねぇしな。それに、あのカードも手に入れたいし」

 

レアカード交換所で見た《真紅眼の黒竜》のカード。それを一目見た時、城之内は運命のようなものを感じた。直感的に、これは絶対に手に入れるべきだと感じたのだ。

 

「おまえ、ただでさえ出遅れてんのに、そんな余裕ねぇだろうが。なぁ遊戯。おまえもなんか言ってやれよ」

「え? ああ、う~ん。そのことなんだけどさ……」

「どした遊戯。なんか気になることでもあんのか?」

 

言いよどんだ遊戯に対して城之内が問いかける。

 

「大会説明の時に、ペガサス会長は言ってたよね。スターチップを10コ集めた者が決勝トーナメントに進めるって」

「おう。しかも32人だろ。結構焦るぜ」

 

城之内が拳を握る。だが遊戯は別のところが気になっていた。

 

「その時に、星を回収するとは言ってなかったんだよね。つまり……」

「そうか! レアカードと星を交換するのは、本戦出場を決めた後がいいってことか!」

「うん、本田くん。ボクはそう思うんだけど、どうかな?」

 

もちろん言わなかっただけでキッチリ星を回収される可能性もある。だが、必ず誰かが抗議するだろう。そんなこと言ってなかったと。だからこれはかなり可能性の高い推測だ。

予選でデッキを強化することも、本戦出場を決めて強化することも、参加者(プレイヤー)の自由である。

遊戯はそれがペガサスの意図だと感じたのだ。

 

「なるほどな。勝ち上がった後のスターチップはボーナスみてぇなモンで、ただ同然でレアカードが手に入る……てことでいいんだよな?」

 

自分で口にしたものの、いまいち自信なさげに城之内は遊戯に伺いを立てる。

 

「たぶんね。この予選、想像以上に早く枠が埋まりそうな気がするんだ」

 

遊戯はそう呟きながら、遠くに見えるペガサス城に目を向けた。

 

(この予測が当たっていれば、本選ではみんな強化されたデッキになる。過酷なデュエルになりそうだ)

 

――ああ、相棒。だがそこに隙も生まれやすい

 

どんなに強力なカードでも、使い慣れていないカードは大きな隙を生む。そしてデッキ全体のバランスも崩しかねないのだ。

 

――とはいえこの大会、想像以上に厳しい闘いになりそうだぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「対戦ありがとうございました! 俺、キースさんとデュエルできたこと一生の自慢にします!」

「……おう」

 

礼儀正しくお辞儀をして去って行く少年を見送りながら、キースは今日何度目かのため息を零した。

 

(記念受験じゃねぇんだぞ! もっとこう……あるだろうが!)

 

あの日、ペガサスとのエキシビションマッチに敗北したことでキースの評価は落ちた。だが同じデッキで闘い、相手は会場に来ていた子供だったとしても、ペガサスのアドバイスを受けて、ペガサスの言う通りにカードを動かしていたので、実質の相手はペガサスだったということで、原作ほどキースの評価は落ちてはいなかった。

 

なにより、そこからキースは荒れなかった。むしろより一層デュエルモンスターズと真摯に向き合うようになり、それ以降も数々の大会で連勝を重ね、チャンプの顕在をアピールした。

そして想像以上の人気者になってしまったのだ。スポンサーも付き、賞金稼ぎを繰り返すよりも安定した生活を手に入れたキースは、持ち前のワイルドさを残しつつも穏やかな性格になっていった。

 

大会が始まった直後からキースは次々とデュエルを挑まれた。だが相手はいずれも彼のファンであり、デュエルの腕は悪くないとはいえ、キースの相手にはならなかった。

そもそも彼らからは、キースに勝ってやろうという気概が感じられなかったのだ。故にキースはファンサービスをしながら適当に相手をすることにした。それでも難なく勝てるところが全米チャンプの実力だろう。

グローブに嵌められた8コのスターチップを眺め、キースはまたため息を落とした。

 

(ダメだ。こんなヌルいデュエルで本戦に行っても調子が崩れたままだ。もっと緊張感のある、ヒリつくようなデュエルじゃなきゃぁ勘が鈍っちまう)

 

島内をうろつきながら相手を探す。

そこで、キースはひとりの女性を見つけた。

 

(あいつは確か……孔雀舞とかいったな。腕利きのディーラーで、デュエリストとしても一流だとか)

 

一時期カジノに入り浸っていたキースの耳にも、その噂は届いていた。デュエルモンスターズに傾倒するようになってからは足が遠のいていたが、その時のカジノ仲間の何人かが敗北したことも聞いている。

 

(面白れぇ。その噂が本当かどうか。確かめてやる!)

 

草を踏みしめて標的へと向かう。その隠しもしない気配に、舞も気付いた。

 

「――ッ!? アンタ、全米チャンプの……」

「おい、デュエルしろよ」

 

挨拶もなくいきなりデュエルを申し込んできたキースに面食らうものの、舞も一流のデュエリスト、視線は一気に鋭くなった。

 

「いいわ。スターチップはいくつ賭けるのかしら?」

「テメェは今いくつ持ってる?」

「……6コよ」

「ほぅ。順調そうだな。俺は8つだ。テメェには2つ賭けてもらうが、俺が負けた時は4つやるよ」

「なんですって!?」

 

キースの提案に舞は動揺する。これはどう考えてもおかしい。キースには損しかない提案だ。

 

「なにを企んでいるの?」

「別になにも企んじゃいねぇさ。今はリスクを背負いたい気分なんだよ。あるだろ? そういう時がよ」

 

とぼけた様子でキースは答える。だがそれは偽らざる本音だった。大した苦労もせずに入手したスターチップに執着などない。

 

「施しは受けないわ。お互いに2コ賭けで勝負よ」

「フッ、強情な女だ。まあいい。ならそれで構わねぇよ」

 

賭けは成立し、ふたりは近場のバトル・ボックスへと入った。

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

「私の先攻よ。ドロー!」

 

デュエルは舞の先攻で始まった。バトル・ボックスに設定されたフィールドは《草原》。戦士・獣戦士族モンスターの攻守を200ポイントアップする効果を持っている。

だが舞のデッキは鳥獣族主体の構築で影響は全くと言っていいほど受けない。

 

(このフィールド魔法(ルール)、私にとっては邪魔なのよね)

 

舞の戦術はフィールド魔法《ハーピィの狩場》で相手の伏せカードを除去して安全に攻め込むというものだったが、今大会の予選ルールでは、バトル・ボックスのフィールド魔法は破壊されず、上書きもできないというもの。故に舞は戦術を大幅に修正せざるを得なくなった。

 

「魔法カード《予想GUY》を発動。デッキから《ハーピィ・レディ》を特殊召喚するわ。そして《万華鏡-華麗なる分身-》を発動。デッキから《ハーピィ・レディ三姉妹》を特殊召喚。さらに手札から《ハーピィ・オラクル》を特殊召喚するわ!」

 

瞬く間に3体のハーピィ・レディを展開した舞は、永続魔法《魅惑の合わせ鏡(スプリット・ミラー)》を発動し、カードを1枚セットしてターンを終えた。

 

「エンドフェイズにハーピィ・オラクルの効果で、墓地の《万華鏡-華麗なる分身-》を手札に加えるわ」

 

孔雀舞 LP4000 手札2 モンスター3 伏せ1

 

三:ハーピィ・レディ三姉妹 守備力2100

ハ:ハーピィ・レディ 守備力1400

オ:ハーピィ・オラクル 守備力1400

魅:魅惑の合わせ鏡

■:伏せカード

 

□□魅□■

□三ハオ□

 

□□□□□

□□□□□

 

キース LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺様のターン、ドローだ!」

 

舞の射抜くような視線を受けて、キースの身体が震える。

 

(これだ。この緊張感だ。ヤツは本気で俺様をぶっ倒そうと意気込んでいる。伝わって来るぜ。決闘者特有の殺気ってやつがよ!)

 

この大会で初めての真剣勝負。キースは己の身体にこびりついていた錆が落ちていくのを感じていた。

 

(予選の特殊ルールによりフィールド魔法は使えねぇ。まあいい。丁度いいハンデだ。アレは本戦まで取っておくさ)

 

奇しくも舞と同じく、キースも種族テーマのフィールド魔法を使うデッキだった。だがそれは予選ルールで使用できない為、予選用に調整したデッキを使っている。

 

(厄介なのはあの永続魔法だな。あれがある限り後続を呼ばれちまう)

 

ハーピィモンスターのほとんどは、フィールド・墓地にいる限りカード名を「ハーピィ・レディ」として扱うという特性を持っている。

また特殊召喚時の効果を持っているカードも多いため、魅惑の合わせ鏡を除去しないと、モンスターを戦闘破壊しても状況が悪化するという事態もあり得るのだ。

 

「ちと運任せになっちまうが、攻めデュエルが俺様の信条だ! 《融合派兵》を発動。EXデッキの《ガトリング・ドラゴン》を公開し、デッキから《ブローバック・ドラゴン》を特殊召喚するぜ」

 

頭部が拳銃の形をした機械龍が不気味な機械音を奏でる。

ブローバック・ドラゴンの銃口が《魅惑の合わせ鏡》へと向いた。

 

「ブローバック・ドラゴンの効果発動。コイントスを3回行い、その内2回以上が表だった場合、対象のカードを破壊するぜ」

 

「そう上手くいくわけが……」

 

「クククッ、俺様が50%を外すわけねぇだろ!」

 

舞い上がった3枚のコインの内、2枚のコインが表を示し、ブローバック・ドラゴンの銃口から弾丸が発射された。

 

(くっ、墓地にハーピィ・レディがいないため、魅惑の合わせ鏡の破壊時効果は発動できない。発動を早まったか……)

 

内心で臍を噛むが、全米チャンプ相手にカードを温存するのは危険だと判断したのだ。

 

「さらに《融合呪印生物-闇》を通常召喚するぜ」

 

「融合はさせないわ! ハーピィ・レディをリリースして《ゴッドバードアタック》を発動。《ブローバック・ドラゴン》と《融合呪印生物-闇》を破壊する!」

 

ハーピィ・レディがその身を弾丸にして2体のモンスターを撃ち抜く。

 

「ほぅ。そんなカードを伏せていたなら、ブローバック・ドラゴンが出てきた時に使うべきだったなぁ。クククッ……」

 

キースが挑発を込めて小さく笑う。ゴッドバードアタックは鳥獣族モンスターをリリースした上で、フィールドのカード2枚を対象として発動しなければならない。

あの時、キースのフィールドにはブローバック・ドラゴンしかいなかった。発動していれば3:1交換となり大きなディスアドバンテージとなる。破壊が不確定の効果を恐れて使うのはあまりに非効率的だったのだ。

 

(クククッ、破壊が不確定だからこそ発動を躊躇(ためら)う。計算高いヤツらほどハマるって寸法よ)

 

単純なアドバンテージだけではなく、心理的にも優位に立つ。それがキースのコイン戦術だった。

 

「モンスターを除去して安心ってところかぁ? だが悪ぃな。結局は同じことよ。《オーバーロード・フュージョン》を発動。墓地の《ブローバック・ドラゴン》と《融合呪印生物-闇》を除外して、《ガトリング・ドラゴン》を融合召喚するぜ!」

 

現れたのは三つ首の機械龍。その頭部はすべてガトリング砲を模しており、脚はなく代わりにトゲ付きの車輪という異形の姿だ。

舞の額に冷たい汗が流れる。

 

「ガトリング・ドラゴンの効果発動」

 

「効果を使うですって!?」

 

ガトリング・ドラゴンの効果はコイントスを3回行い、表が出た数だけ、フィールド上のモンスターを破壊するというもの。

つまり3回表が出れば、ガトリング・ドラゴン自身も破壊しなければならないのだ。

 

「クククッ、博打ってのはハズレたら痛い目見るから面白ぇのよ。さあやりな! ガトリング・ドラゴン!」

 

とはいえキースにも勝算はあった。3回コイントスを行い、3回とも表が出る確率は12.5%。対して1回、2回表が出る確率はそれぞれ37.5%。圧倒的にキースが有利なギャンブルなのだ。

 

「結果は……クククッ、とことんツイてないようだな。《ハーピィ・オラクル》と《ハーピィ・レディ三姉妹》を爆殺!」

 

2門のガトリングが火を噴き、2体のハーピィを葬り去る。

これで舞のフィールドはがら空きとなった。

 

「さぁお待ちかねのバトルだ。ガトリング・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

弾丸のシャワーが舞の身体に降り注ぐ。

 

「くっ、だけど次のターンで華麗に逆転してみせるわ! 私のハーピィデッキは……」

 

「クククッ、残念だな。テメェに次のターンはねぇ。機械族には一撃必殺のカードがあることを知らねぇのか?」

 

「――まさかっ!?」

 

「手札から《リミッター解除》を発動。ガトリング・ドラゴンの攻撃力は倍になる! これが本当の一撃必殺ってやつよ! ワハハハハハハッ!」

 

ガトリング・ドラゴンの冷たい雨に撃たれ、舞のライフは0となった。

 

(1ターンキル。完全試合(パーフェクトゲーム)。これが全米チャンプ、キース・ハワードの強さ……)

 

数々の大会を総なめにしてきた実力は本物だった。

 

「くっ、だけど私を甘く見ないことね。必ず本戦出場を果たし、本気のデッキでアンタにリベンジするわ!」

 

スターチップと同時に、舞は挑戦状をも投げ渡す。

 

「クククッ、そりゃあ楽しみだ。その時は俺様も本気のデッキで応えてやるよ」

 

「なっ!? 本気のデッキですって!?」

 

「一足先に「上」で待ってるぜ。テメェの運が良けりゃ……いや、運が悪けりゃまた闘うこともあるだろうよ。じゃあな」

 

そう言い残し、キースはペガサス城に向かって歩き出した。

 

 

 




本作ではちょっとだけ綺麗なキースさんでいきます。
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