割と平和な遊戯王   作:乾燥海藻類

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第06話 チャンプ対決

「予選は1日で終わった。何を言っているのか分からねーと思うが、俺もこんなに早く予選が終わるとは思わなかった」

「みんなやる気があるようで何よりデース」

 

ペガサスは呵々と笑った。

バトル・ボックスの稼働状況はすべて把握できるようになっているが、ほとんどひっきりなしに稼働していた。

どの決闘者もやる気満々だったのだ。

 

ちなみにデュエルディスクはまだ存在していない。レンは海馬に色々と入れ知恵をしているが、完成にはまだ時間がかかるようだった。

あの投げる円盤(ヨーヨー)はめんどくさいので却下した。

 

(なんで完成図を見せてるのに円盤が出てくるんだよ。新しいおもちゃのアイデアが出てきたのは分かったが、それをデュエルと合体させるなよ)

 

海馬は原作通り、持ち前の才覚を発揮して海馬コーポレーションの社長になった。

当然この大会にも招待されているし、当然のように予選を突破している。

 

そして今日は決勝トーナメントの初日。ペガサスとレンの眼下では次々とデュエルが繰り返されている。

今日1日で16戦を行い、2回戦に駒を進める16人を決定するのだ。

 

 

 

「甘ーい! あなたが攻撃したのは《ニードルワーム》。リバース効果によりあなたのデッキはさらに5枚削られる。私の戦術に対策して60枚デッキにしたことは評価してあげますが、その程度で私の戦術は崩れません!」

 

「別にあなた対策じゃないわ。私はいつも60枚デッキよ。それに、ふふっ、いい感じで墓地にモンスターが溜まってる。次のターンで決着をつけるわ! ねぇテリーちゃん」

 

その宣言通り、小さなメガネっ娘は次の自分ターンに《生者の書-禁断の呪術-》で墓地の《シャドウ・グール》を蘇生し、デュエルに勝利した。

 

(いち早く墓地の有用性に気づいたのは、さすがジーニアスといったところか。60枚デッキはまだまだ異端扱いだからな)

 

 

 

「俺は「黒焔トークン」1体をリリースし、《人造人間-サイコ・ショッカー》をアドバンス召喚! これで貴様は罠カードを発動できない。ダイレクトアタック! サイコエナジーショーーーック!!」

 

「ぬぅぅ、さすがですね。しかし私も新流派設立を目指している身。負けるわけにはいかないのです。私のターン、ドロー。手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚。そして私のサイバー・ドラゴンと、あなたのサイコ・ショッカーを墓地に送り、EXデッキから《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》を特殊召喚します」

 

「俺のモンスターを使って融合したぁ!?」

 

正確には融合ではない。なので「融合召喚できない」といったような制限には引っ掛からなかったりする。

 

(まあ相性が悪すぎたな。サイバー流の前では機械族はただのエサでしかない。サイバー流はまだないけど)

 

 

 

「ふふふっ、デュエルとはすなわち数学だ。俺の場に《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》がある限り、レベル4以上のモンスターは攻撃できない」

 

「随分と陰湿な戦術ね。だけど私には通用しない。直接攻撃を優先して、私の場にモンスターを残したことが運の尽きね。《ハーピィ・ガール》を召喚し、リバースカード《スノーマン・エフェクト》を発動。ハーピィたちの攻撃力を、すべてハーピィ・ガールに集める。ハーピィ・ガールで逆巻く炎の精霊を攻撃!」

 

グラヴィティ・バインドはロックカードの1枚であるが、レベルを持たないモンスターが登場して以降めっきり見なくなった。

だがこの時代では強力な拘束力を持つカードである。

 

(イリアステルが来ると困るからシンクロを実装するつもりはないが、シンクロより先にエクシーズを実装したらどうなるんだろ。まさかベクターが来ることはないよな?)

 

――よかれと思って!

 

うるせぇ!

 

 

 

「《マスク・チェンジ》を発動。フィールドの《E・HERO アブソルートZero》を墓地に送り、《M・HERO アシッド》を特殊召喚。この2体のコンボにより、あなたのフィールドのカードをすべて破壊する。アシッドでダイレクトアタック! アシッド・バレット!」

 

「……ふっ、完敗に乾杯」

 

(やっぱM・HEROを作ったのは早すぎたかな。でもヒーローカードは子供たちに人気で、新しいヒーローのリクエストも多かったからなぁ)

 

 

 

「《時の魔術師》の効果発動。俺は「表」を宣言するぜ。コイントスは――「表」だ! これでテメーのブルーアイズは全滅だぜ!」

 

「ふぅん。凡骨らしい見落としだな。墓地の《復活の福音》を除外し、破壊の身代わりとする」

 

「バカヤロー城之内! 墓地確認はちゃんとしろって遊戯にさんざん言われただろうが!」

 

「うるせーぞ本田! これはあれだ! つ、使わせたんだよ!」

 

(1回戦で海馬と当たるなんて運がないな。まあ町内大会ベスト8から、決闘者の王国(デュエリスト・キングダム)本戦進出(ベスト32)はかなり躍進したと思うが)

 

 

 

そんなこんなで激闘の初日は終了し、2日目の2回戦も問題なく終了した。

そしてついに、決闘者の王国(デュエリスト・キングダム)ベスト8が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明けて翌日。決勝トーナメントも後半に入り、準々決勝が始まる。

デュエルリングで向かい合う全欧チャンプと全米チャンプ。初回から注目を集めた一戦が始まろうとしていた。

 

「これより決勝トーナメント3回戦第1試合を開始します。クロノス・デ・メディチvsキース・ハワード。デュエル開始!!」

 

進行役兼審判のMr.クロケッツがデュエル開始を宣言する。

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

「ワタクシのターン、ドロー。《古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)》を召喚し、効果を発動するノーネ。あなたに600ダメージを与えるーノ」

 

「チッ、先攻でもダメージを与えてきやがるか」

 

「続けて古代の機械猟犬のさらなる効果を発動するノーネ。このカードと手札の《古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)》を融合。現れるノーネ! 《古代の機械魔神(アンティーク・ギア・デビル)》!」

 

機械仕掛けの魔神が、闇から這い出るように出現する。他のカード効果を受けないという強力な耐性と、戦闘破壊された場合でも後続を呼べるリクルート効果も内蔵したモンスターだ。

 

「古代の機械魔神の効果で、さらに1000ダメージを与えるノーネ」

 

「チマチマと削ってきやがる」

 

「カードをセットし、フィールド魔法《歯車街(ギア・タウン)》を発動し、ターンを終了するノーネ」

 

クロノス LP4000 手札2 モンスター1 伏せ1

 

魔:古代の機械魔神 守備力1800

歯:歯車街

■:伏せカード

 

■□□□□

□□魔□□歯

 

□□□□□

□□□□□

 

キース LP2400 手札5 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺様のターン、ドロー。……《ライトニング・ストーム》を発動だ。テメェの魔法・罠カードをすべて破壊するぜ」

 

少し間があったのは、伏せカードは破壊したいが、歯車街は破壊したくないという葛藤だろう。

破壊された伏せカードは、《競闘-クロス・ディメンション》。さすがアンティーク・ギア、殺意が高い。

 

古代の機械魔神の効果で古代の機械巨人をリクルートし、次のターンに攻撃力を倍にした古代の機械巨人で攻撃。これで1キルが成立する。

古代の機械巨人が攻撃する時、相手は魔法・罠カードを発動できないので、成功する確率はかなり高い。

 

「歯車街の効果発動ゥ。デッキから《古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)》を特殊召喚するノーネ」

 

「折り込み済みさ。《BM-4ボムスパイダー》を召喚し、効果発動。コイツとテメェの古代の機械巨竜を破壊するぜ。そして機械族・闇属性モンスターが破壊されたことで、コイツを特殊召喚できる。出番だぜ! 《デスペラード・リボルバー・ドラゴン》!」

 

拳銃を模した頭部をもつ機械竜が雄叫び代わりの銃声を轟かせながら出現し、機械の魔神に狙いを定める。

 

「バトルだ! デスペラード・リボルバー・ドラゴンで古代の機械魔神を攻撃! アサルト・ガン・ショット!」

 

「この瞬間、古代の機械魔神の効果を発動するノーネ。デッキより現れるノーネ。《古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)》!」

 

クロノスの代名詞ともいえる機械巨人がギリギリと歯車を回しながら拳を握り登場する。

 

「ついに出やがったか。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

キース LP2400 手札2 モンスター1 伏せ1

 

デ:デスペラード・リボルバー・ドラゴン 攻撃力2800

■:伏せカード

 

■□□□□

□□デ□□

 

□□巨□□

□□□□□

 

巨:古代の機械巨人 攻撃力3000

 

クロノス LP4000 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「ワタクシのターン、ドロー。魔法カード《古代の整備場(アンティーク・ギアガレージ)》を発動ゥ。墓地の《古代の機械箱》を手札に加えるノーネ。そしてこのカードは、ドロー以外の方法でデッキ・墓地から手札に加わった時に効果が発動できるノーネ。デッキから《古代の機械素体(アンティーク・ギアフレーム)》を手札に加えるノーネ」

 

サルベージとサーチでクロノスの手札が潤っていく。

 

「《古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)》を召喚して効果を発動ゥ! 説明は不要なノーネ。相手に600のダメージを与え、このカードと手札の《古代の機械箱》、《古代の機械素体》の3体を融合するーノ。現れるノーネ! 巨人を超える巨人、《古代の機械超巨人(アンティーク・ギア・メガトン・ゴーレム)》!」

 

機械巨人よりもさらに巨大な6腕6脚の巨人が出現し、周囲を威圧するように睥睨する。

 

「バトルゥ! 古代の機械超巨人で――」

 

「待ちな! バトルフェイズ開始時、デスペラード・リボルバー・ドラゴンの効果を発動するぜ!」

 

3枚のコインが宙を舞い、運命を定める。その結果は――

 

「表は1枚か。古代の機械巨人を破壊するぜ」

 

「甘いノーネ! 墓地の《競闘-クロス・ディメンション》を除外して、破壊の身代わりとするーノ。バトル続行! 古代の機械超巨人でデスペラード・リボルバー・ドラゴンを攻撃!」

 

機械の6腕が巨大に膨れ上がり、破壊の力で機械龍を襲う。

 

「クククッ、確かにテメェの古代の機械(アンティーク・ギア)モンスターはダメージステップ終了時まで魔法・罠カードの発動を封じる強力なカード群だ。だが有名になりすぎるってのも考えモンだよなぁ! 当然対策はしてたぜ。手札の《ダーク・オネスト》を墓地に送って効果発動。そいつの攻撃力を攻撃力分ダウンするぜ」

 

「攻撃力分でスートッ!? つまり攻撃力は……」

 

「ゼロだ!」

 

「ゼェェロォォ!?」

 

急速に縮小した機械の超巨人は、反撃の弾丸に貫かれた。

 

クロノス LP4000 → 1200

 

「クゥゥ、しかしまだ古代の機械巨人の攻撃が残ってルーノ。アルティメット・パウンド!」

 

鉄の拳が銃身を打ち砕く。

 

キース LP1800 → 1600

 

「チィィ! 墓地に送られたデスペラード・リボルバー・ドラゴンの効果を発動するぜ。デッキから《ツインバレル・ドラゴン》を手札に加える」

 

「ターンを終了するノーネ」

 

クロノス LP1200 手札1 モンスター1 伏せ0

 

巨:古代の機械巨人 攻撃力3000

 

 

□□□□□

□□巨□□

 

□□□□□

□□□□■

 

■:伏せカード

 

キース LP1600 手札3 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺様のターン、ドロー。クククッ、魔法カード《おろかな副葬》を発動だ。デッキから《銃砲撃(ガン・キャノン・ショット)》を墓地に送るぜ。そして《ツインバレル・ドラゴン》を召喚だ」

 

キースは前のターンにサーチした小型の機械龍を召喚する。通常ならツインバレル・ドラゴンの効果の成功率は25%と低い。だがコイン戦術は様々なカードとコンボすることで確率を上げることもできる。その確率を100%にすることも。

 

「《古代の機械巨人》を対象に、《ツインバレル・ドラゴン》の召喚時効果を発動。その効果にチェーンして、墓地の《銃砲撃》の効果発動だ。このカードを除外して、ツインバレル・ドラゴンのコイントスの結果を全て表が出たものとして扱う」

 

頭部のダブルデリンジャーが火を噴き、鉄の巨人を粉砕する。

 

「ノォォォ! マンマミーア!」

 

キースはそのままダイレクトアタックを敢行する。

どちらが勝ってもおかしくない勝負だったが、軍配は全米チャンプに上がった。

 

 

 




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