割と平和な遊戯王   作:乾燥海藻類

7 / 39
第07話 龍の咆哮

一戦目の熱も冷めやらぬ中、2回戦の決闘者たちがデュエルリングへ立つ。

 

「これより決勝トーナメント3回戦第2試合を開始します。サイバー鮫島vs海馬瀬人。デュエル開始!!」

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

「ふぅん。先攻の有利を捨て、敢えて後攻を選ぶか。ならば老骨の意地を見せてもらおうか。俺のターン、ドロー」

 

もはや御曹司の猫かぶりモードではなく、社長としての威厳ある顔つきで対戦者を眺める。相手は老骨というよりは壮年という感じだが、十代の海馬にとっては関係ない。

 

「《竜の霊廟》を発動。デッキから《青眼の白龍》を墓地に送り、さらに《暗黒竜 コラプサーペント》を墓地に送る。《復活の福音》を発動。墓地より甦れ! 《青眼の白龍》!!」

 

海馬のエース、伝説の白き龍が天より舞い降りる。

 

「……何度見てもふつくしい。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

海馬瀬人 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2

 

青:青眼の白龍 攻撃力3000

■:伏せカード

■:伏せカード

 

■□□□■

□□青□□

 

□□□□□

□□□□□

 

サイバー鮫島 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「1ターン目から最上級モンスターを呼び出すとは、恐ろしい男ですね。だからこそ挑みがいがある。私のターン、ドロー! 《サイバー・ドラゴン・コア》を召喚。効果によりデッキから《サイバネティック・オーバーフロー》を手札に加えます。そして《機械複製術》を発動。デッキから2体の《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚!」

 

「ふぅん。中々のコンボだ」

 

サイバー・ドラゴン・コアはフィールド・墓地ではカード名を《サイバー・ドラゴン》として扱う効果を持っている。この効果により、機械複製術とのコンボが可能になる。

 

「バトルフェイズに入ります。サイバー・ドラゴンで青眼の白龍に攻撃、エヴォリューション・バースト!」

 

「攻撃力の劣るモンスターで攻撃だと? 何を考えている……迎え撃て、ブルーアイズ!」

 

白き龍が翼を広げ、迎撃態勢に入る。

 

「ダメージ計算前に、速攻魔法《リミッター解除》を発動。私のフィールド上の機械族モンスターの攻撃力を倍にします」

 

「なるほど、機械族にはそれがあったな」

 

海馬瀬人 LP4000 → 2800

 

巨大に膨れ上がった機械竜の怪光線を受け、白き龍の鱗が剥がれ落ちる。しかし代わりに墓地から《復活の福音》が除外され、白き龍は命を繋いだ。

 

「2体目のサイバー・ドラゴンで続けて攻撃!」

 

「甘いぞ鮫島! リバースカードオープン《攻撃誘導アーマー》! 攻撃対象をブルーアイズから、貴様のサイバー・ドラゴン・コアに変更する!」

 

「なんですとっ!?」

 

「自分のモンスターに焼かれるがいい。フハハハハハッ!!」

 

「ならば! チェーンして《禁じられた聖槍》を発動。サイバー・ドラゴンの攻撃力を800下げる代わりに、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない耐性を与えます」

 

聖なる槍の輝きが海馬の発動した罠カードを弾く。

 

「バトル続行。エヴォリューション・バースト!」

 

海馬瀬人 LP2800 → 2400

 

「ふぅん。少しはやるようだな」

 

「最後にサイバー・ドラゴン・コアでダイレクトアタック!」

 

海馬瀬人 LP2400 → 1600

 

「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2へ。フィールドのサイバー・ドラゴン2体とサイバー・ドラゴン・コアを墓地に送り、《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》を特殊召喚。カードを2枚伏せてターンを終了します」

 

サイバー鮫島 LP4000 手札1 モンスター1 伏せ2

 

キ:キメラテック・フォートレス・ドラゴン 攻撃力3000

■:伏せカード

■:伏せカード

 

■□□□■

□□キ□□

 

□□□□□

□□□□■

 

■:伏せカード

 

海馬瀬人 LP1600 手札2 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。手札の《青眼の白龍》を公開し、《青眼の亜白龍》を手札から特殊召喚する」

 

どう考えてもゆるい(・・・)条件である。コストではなく見せるだけなので実質コストなしで攻撃力3000のモンスターが特殊召喚できるのだ。

 

「召喚成功時に《サイバネティック・オーバーフロー》を発動。墓地の《サイバー・ドラゴン》を除外し、《青眼の亜白龍》を破壊します」

 

「青眼の亜白龍だけだと。俺をなめているのか?」

 

サイバー・ドラゴン・コアは次のターンの為に温存したかったのだろう。厳然と響いた海馬の声は、ひどく冷ややかに聞こえた。

 

「リバースカード《リビングデッドの呼び声》を発動。墓地の《青眼の亜白龍》を特殊召喚する。そして効果発動。キメラテック・フォートレス・ドラゴンを破壊する!」

 

「くっ!」

 

「フィールドの《青眼の亜白龍》をリリースして《アドバンスドロー》を発動。カードを2枚ドローする」

 

効果を使用した青眼の亜白龍は攻撃できない。そのデメリットを補うため、さらなる一手のために、海馬はカードを引き込む。

 

「さらに《青眼の白龍》を捨て、《トレード・イン》を発動。2枚ドローだ。墓地のコラプサーペントを除外し、手札から《輝白竜 ワイバースター》を特殊召喚」

 

青眼の白龍よりも一回り小さい白竜を呼び出し、海馬はバトルフェイズに入る。

 

「バトルだ! ワイバースターでダイレクトアタック!」

 

サイバー鮫島 LP4000 → 2300

 

「速攻魔法《銀龍の轟砲》を発動。墓地より蘇れ! 《青眼の白龍》!!」

 

白き龍が翼を広げ、海馬のもとへと舞い降りる。

 

「とどめだ! 青眼の白龍でダイレクトアタック!」

 

「ダメージ計算時に《ガード・ブロック》を発動。その戦闘によって発生するダメージを0にし、カードを1枚ドローします」

 

「ふぅん。凌いだか。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

海馬瀬人 LP1600 手札0 モンスター2 伏せ1

 

ワ:輝白竜 ワイバースター 攻撃力1700

青:青眼の白龍 攻撃力3000

リ:リビングデッドの呼び声

■:伏せカード

 

リ□□□■

□ワ青□□

 

□□□□□

□□□□□

 

サイバー鮫島 LP2300 手札2 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。墓地の《サイバー・ドラゴン・コア》を除外して効果発動。デッキから《サイバー・ドラゴン・ネクステア》を特殊召喚。そしてネクステアの効果で、墓地の《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚します。さらに《アイアンドロー》を発動。カードを2枚ドローします」

 

2枚のカードを引き込み、鮫島の目がカッと見開く。

 

「ふぅん。良いカードを引けたようだな」

 

「えぇ、まあ」

 

鮫島は曖昧に頷く。確かに攻撃が通れば勝てる。だがそう簡単に攻撃が通るだろうか。そんな不安もあった。しかし動かないわけにもいかない。

 

「《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》を通常召喚」

 

鮫島のフィールドに3体の「サイバー・ドラゴン」が揃う。

 

「魔法カード《融合》を発動。フィールドの3体を融合。現れよ! 《サイバー・エンド・ドラゴン》!」

 

三つ首の機光竜が咆哮を上げて光臨する。

 

「墓地に送られたヘルツの効果で、デッキから《サイバー・ドラゴン》を手札に加えます。バトルです。サイバー・エンド・ドラゴンでワイバースターに攻撃。エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 

放たれた3つの光線が渦を巻いてワイバースターを襲う。

 

「リバースカード《収縮》を発動。サイバー・エンド・ドラゴンの元々の攻撃力を半減する!」

 

大きく力を落とした機光竜だったが、それでもワイバースターを葬り去るには十分な火力だった。

 

海馬瀬人 LP1600 → 1300

 

「ふぅん。ワイバースターの効果で、デッキから《暗黒竜 コラプサーペント》を手札に加える」

 

「私はカードを1枚伏せてターンを終了します」

 

サイバー鮫島 LP2300 手札2 モンスター1 伏せ1

 

エ:サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力4000

■:伏せカード

 

□□■□□

□□エ□□

 

□□青□□

□□□□リ

 

青:青眼の白龍 攻撃力3000

リ:リビングデッドの呼び声

 

海馬瀬人 LP1300 手札1 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー! フィールドに残った《リビングデッドの呼び声》を墓地に送り、《マジック・プランター》を発動。カードを2枚ドロー!」

 

新たに引き入れたカードを眺め、海馬の口角が上がる。

 

「《スタンピング・クラッシュ》を発動。貴様の伏せカードを破壊して500のダメージを与える」

 

ここで鮫島は考える。伏せたカードは《融合解除》。壁の枚数を増やすか、サイバー・エンド・ドラゴンを維持するか。

サクリファイスエスケープとして使うのなら躊躇する必要もなかったのだが、この場合は判断に迷う。

 

「チェーンはしません。そのまま破壊されます」

 

鮫島はサイバー・エンド・ドラゴンを残した。

 

(これでいい。攻撃力4000はそう簡単には超えられないはず……)

 

だが鮫島のそんな想定を、海馬は軽く超えていく。

 

「魔法カード《竜の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》を発動。墓地の《青眼の白龍》2体と、青眼の白龍として扱う《青眼の亜白龍》を除外し、《青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)》を融合召喚!」

 

三つ首の白き竜が鎌首をもたげ、眼下の獲物に狙いを定める。

 

「バトルだ! 青眼の究極龍でサイバー・エンド・ドラゴンを攻撃! アルティメットバァァァストッ!!」

 

三条の光線がぶつかり合い、鮫島の背筋に冷たいものが走る。

 

「フゥーハハハハッ! これで終わりだ! 青眼の白龍でダイレクトアタック! 滅びのバァァァストストリィィィム!!」

 

「ぬぅわああぁぁっ!!」

 

滅びブレスが鮫島を包み、勝負は決した。

 

 

 




デュエル後の一幕?

「貴様、何やら新流派がどうのと言っていたな」
「は、はい。いまだ未熟なれど、いずれは新流派を立ち上げたいと思っています」
「ふぅん。ならばまた俺に挑んで来い。その結果いかんでは、援助してやらんでもない」
「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。