「クッ、海馬のヤツまた勝ちやがった」
城之内は海馬の勝利を苦々しい思いで見ていた。普通なら自分に勝った相手には勝ち進んでもらいたいと思うものだが、基本的に海馬を良く思っていない城之内にとっては、さっさと負けて「ザマーミロ!」してやりたいというのが本音だった。
「やっぱり海馬くんは強いね」
対して遊戯は、海馬の勝利に少し喜んでいた。
遊戯は海馬とクラスメイトだったが、親交があったわけではない。きっかけは、彼が自分の店を訪れたことだ。
みんなで祖父の
海馬にとっては自分の持つカードこそが『本物』で、それ以外はすべて『偽物』という認識だったのだ。
祖父の思い出を踏み躙り、あまつさえ友情のカードを『偽物』呼ばわりされては、遊戯も黙っていられなかった。
おい、デュエルしろよ。となるのは無理からぬことであろう。
結果は、
ここから遊戯と海馬の因縁は始まったのだ。
基本的にパワーカードを好み、使えないカードをザコカードと断ずる海馬と、使えないカードなんかないというスタンスの遊戯とでは、深い部分で分かり合うのは不可能なのかもしれない。
しかし『デュエリスト』としては互いに認め合っていたのだ。
「僕たちも負けてられないね」
――ああ、相手は全国大会の決勝まで残った猛者だ。油断せずに行こうぜ、相棒!
遊戯は気を引き締め、デュエルリングへと向かう。
「これより決勝トーナメント3回戦第3試合を開始します。ダイナソー竜崎vs武藤遊戯。デュエル開始!!」
『デュエルッ!!』
「俺の先攻、ドロー。魔法カード《手札断殺》を発動。お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、2枚ドローする」
「いきなり手札交換かいな。まあええ、ワイにとっても好都合や」
「手札の《ジョーカーズ・ナイト》の効果発動。デッキから《ジャックス・ナイト》を墓地に送り、このカードを特殊召喚する」
黒衣の道化師が遊戯のフィールドに出現し、手にした白銀の剣をシャランと鳴らす。
「さらに《蛮族の狂宴LV5》を発動。墓地の《サイレント・ソードマンLV5》と《ジャックス・ナイト》を召喚」
墓地から2体の戦士が蘇る。だがこの効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、このターン攻撃できない。
とはいえ、先攻ゆえに攻撃できないデメリットはないに等しいが。
「ジャックス・ナイトを墓地に送り、《馬の骨の対価》を発動。カードを2枚ドロー。続けてサイレント・ソードマンLV5を墓地に送り、《レベルアップ!》を発動。デッキから《サイレント・ソードマンLV7》を特殊召喚するぜ!」
サイレント・ソードマンの最終進化系、レベル7。それはフィールドの魔法カードを、チェーンブロックを作らず無効にするという強力なもの。チェーンを組まないので、カウンター罠でも無効にすることはできない。
「カードを2枚伏せてターンエンドだ」
武藤遊戯 LP4000 手札1 モンスター2 伏せ2
ジ:ジョーカーズ・ナイト 攻撃力2000
サ:サイレント・ソードマンLV7 攻撃力2800
■:伏せカード
■:伏せカード
■□□□■
□ジ□サ□
□□□□□
□□□□□
ダイナソー竜崎 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「ワイのターン、ドローや。魔法カードが使えへんのは痛いな。まあええ、まずは《二頭を持つキング・レックス》を召喚。さらに《游覧艇サブマリード》を特殊召喚や。こいつはワイのフィールドに通常モンスターがおる時に特殊召喚できるんやで」
双頭の恐竜に続いて、空を泳ぐように魚型の恐竜がゆらりと登場する。
「バトルや! サブマリードでジョーカーズ・ナイトを攻撃!」
「くっ、だがこの程度で!」
武藤遊戯 LP4000 → 3800
「カードを1枚伏せてターンエンドや」
「エンドフェイズに墓地の《ジョーカーズ・ナイト》の効果を発動するぜ。墓地の《ジャックス・ナイト》をデッキに戻し、このカードを手札に加える」
ダイナソー竜崎 LP4000 手札3 モンスター2 伏せ1
二:二頭を持つキング・レックス 攻撃力1600
游:游覧艇サブマリード 攻撃力2200
■:伏せカード
□□□□■
□□□二游
□サ□□□
■□□□■
サ:サイレント・ソードマンLV7 攻撃力2800
■:伏せカード
■:伏せカード
武藤遊戯 LP3800 手札2 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。リバースカードオープン。デッキから《ジョーカーズ・ストレート》を墓地に送り、《ジョーカーズ・ワイルド》を発動するぜ。このカードの効果は墓地に送った魔法カード発動時の効果と同じになる」
「なんやてっ!? 罠カードやのに魔法カードの効果を得るって、ずっこいな!」
「そういう効果だからな。手札を1枚捨て、デッキから《クィーンズ・ナイト》を特殊召喚し、さらに《キングス・ナイト》を手札に加え、召喚する。そしてキングス・ナイトの効果でデッキから《ジャックス・ナイト》を特殊召喚するぜ!」
あっという間に展開する絵札の三剣士。この攻撃が通れば勝負は決する。
「バトルだ!」
「ちょいまち! メインフェイズ終了時にこのカードを発動するで。ライフを半分払い、《ダイノルフィア・フレンジー》を発動や。デッキから《ダイノルフィア・テリジア》を、EXデッキから《ダイノルフィア・ステルスベギア》を墓地に送り、《ダイノルフィア・ケントレギナ》を融合召喚するで!」
恐竜というよりは鱗を持ったヒト型の獣といった感じの女性が、紅い剣を掲げて出現する。
(竜崎はダイノルフィアを選んだか)
ダイノルフィアはカードの発動コストにライフが要求され、ギリギリのラインで闘うテーマである。またデッキ構築にも特徴があり、罠カードが多めになる。
(だが、どうも強めのカードを突っ込んだだけっぽいな。元々竜崎は罠カードを多用するプレイングスタイルじゃないし、手持ちの罠カードも少なかったんだろう。さてどうなるか)
レンが静かに考察しているとも知らず、竜崎は猛攻を続ける。
「まだまだいくで! さらにライフを半分払い、墓地の《ダイノルフィア・フレンジー》を除外して、ケントレギナの効果発動や。このカードの効果は除外した罠カードの効果と同じになるで。つまりもう1回や!」
「甘いぜ竜崎! チェーンして《ブレイクスルー・スキル》を発動だ。ダイノルフィア・ケントレギナの効果をこのターン終了時まで無効にするぜ!」
「……なん……やて……」
竜崎の表情が驚愕で強ばる。ダイノルフィアは効果が強力な分、多大なライフコストを必要とする。すでに竜崎のライフは1000になっていた。
「不用意にライフを削りすぎたな。サイレント・ソードマンLV7で二頭を持つキング・レックスを攻撃!
「んなっ、んなアホなぁぁぁ!?」
二頭を持つキング・レックスが沈黙の剣士に両断され、第3試合は幕を閉じた。
別に竜崎をディスるつもりはありませんが、原作でも《真紅眼の黒竜》をただ強いからという理由で投入していたので、まぁそういう傾向はあるのかなと。