割と平和な遊戯王   作:乾燥海藻類

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第09話 英雄散華

3回戦もこれでラストとなった。対戦するのは全日本少年の部優勝者の虫使いと、全日本青年の部優勝者のヒーロー使い。

爆発力で言えばヒーローに分があるかもしれないが、レンが早すぎると判断したヒーローたちはまだ実装されていない。

勝利の可能性はどちらにもある。

 

「これより決勝トーナメント3回戦第4試合を開始します。響紅葉vsインセクター羽蛾。デュエル開始!!」

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

「ひょひょ、俺の先攻だ。ドロー。モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

羽蛾は不気味なほど静かな動きでターンを終えた。

 

インセクター羽蛾 LP4000 手札3 モンスター1 伏せ2

 

セ:セットモンスター

■:伏せカード

■:伏せカード

 

■□□□■

□□セ□□

 

□□□□□

□□□□□

 

響紅葉 LP4000 手札5 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「僕のターン、ドロー。手札から《E・HERO ソリッドマン》を召喚し、効果発動。手札から《E・HERO ブレイズマン》を特殊召喚するよ。そしてブレイズマンの効果でデッキから《融合》を手札に加え、そのまま発動!」

 

「かかったぁ! カウンター罠《封魔の呪印》を発動! 手札の《超進化の繭(魔法カード)》1枚を捨て、その発動を無効にする。そしてあんたはこのデュエル中、同名カード(融合)を発動できない!」

 

「な、なんだってっ!?」

 

いまさらだがこの大会、カードの持ち込み枚数に制限はない。極論を言えば、毎回デッキを変えて闘うことも可能だ。しかしそうするデュエリストは少ない。

まず練度の問題がある。複数のデッキを同じ練度で扱えるデュエリストもあまりいないだろう。

 

そしてカード自体の問題だ。いくらカードが安い(・・)といっても、そうそう完成度の高いデッキは作れない。

だから大体は、相手に合わせて数枚のカードを入れ替える程度にとどまる。

今回はそれが上手く機能したというところだ。

 

「ひょひょ、ヒーローデッキについては研究したさ。融合しなければ、ヒーローの強さはたいしたことない」

 

羽蛾の言う通り、現状単体で強力なヒーローはエッジマンくらいである。

 

「確かに融合はヒーローデッキの根幹ともいえる要素だ。だが、ヒーローの強さは融合(それ)だけじゃない! バトルだ! ソリッドマンでセットモンスターを攻撃!」

 

「セットモンスターは《共鳴虫(ハウリング・インセクト)》だ。攻撃力がちょいとばかし足りなかったようだね」

 

「それはどうかな? 手札から速攻魔法《マスク・チェンジ》を発動」

 

「そのカードを対象に、速攻魔法《濡れ衣》を発動。お互いのプレイヤーはこのデュエル中、その表側表示のカード以外の、対象のカードと同名カードの効果を発動できない」

 

「な、なにっ!?」

 

羽蛾は融合に続いてマスク・チェンジを封じる。この2枚を封じられては、ヒーローデッキは確実に機能不全に陥る。

 

「だが今回の発動は通る! ソリッドマンを墓地へ送り、《M・HERO ダイアン》を特殊召喚!」

 

白銀の騎士が蒼いマントをなびかせながら登場し、手にしたレイピアが共鳴虫を一閃した。

 

「ダイアンの効果発動。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキからレベル4以下のヒーローを特殊召喚できる」

 

「俺も共鳴虫の効果発動するぜ。デッキから2体目の《共鳴虫》を特殊召喚」

 

「僕はデッキから《E・HERO エアーマン》を特殊召喚する。そしてエアーマンの効果でデッキから《E・HERO キャプテン・ゴールド》を手札に加える。エアーマンで《共鳴虫》を攻撃!」

 

「再び共鳴虫の効果発動。デッキから《アルティメット・インセクト LV3》を特殊召喚するぜ」

 

「……メインフェイズ2へ移り、《E・HERO キャプテン・ゴールド》の効果発動。このカードを墓地へ捨て、デッキから《摩天楼 -スカイスクレイパー-》を手札に加える。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

響紅葉 LP4000 手札3 モンスター3 伏せ1

 

エ:E・HERO エアーマン 攻撃力1800

ダ:M・HERO ダイアン 攻撃力2800

ブ:E・HERO ブレイズマン 攻撃力1200

■:伏せカード

 

■□□□□

□エダブ□

 

□□ア□□

□□□□□

 

ア:アルティメット・インセクト LV3 攻撃力1400

 

インセクター羽蛾 LP4000 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。スタンバイフェイズにアルティメット・インセクトは進化するぜ。LV3を墓地に送り、デッキから《アルティメット・インセクト LV5》を特殊召喚する。そして毒鱗粉の効果であんたのモンスターの攻撃力は500ダウンする!」

 

《M・HERO ダイアン》 攻撃力2800 → 2300

《E・HERO エアーマン》 攻撃力1800 → 1300

《E・HERO ブレイズマン》 攻撃力1200 → 700

 

「墓地の《超進化の繭》を除外して効果発動。《共鳴虫》をデッキに戻してシャッフル。その後、1枚ドロー。墓地の《アルティメット・インセクト LV3》を除外し、手札から《ジャイアントワーム》を特殊召喚。さらに《火器付機甲鎧》をジャイアントワームに装備するぜ」

 

ジャイアントワーム 攻撃力1900 → 2600

 

「バトルだ! アルティメット・インセクトでブレイズマンを、ジャイアントワームでダイアンを攻撃!」

 

2体の巨大昆虫がヒーローたちを薙ぎ払う。

 

響紅葉 LP4000 → 2400 → 2100

 

「そしてジャイアントワームは相手に戦闘ダメージを与えた時、効果が発動する。デッキの上からカードを1枚墓地へ送ってもらうぜ」

 

この墓地送り効果は相手に利する可能性もあるが、強制効果ゆえに必ず発動するのだ。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

「……ありがとう、羽蛾くん。キミのおかげで、強力なヒーローを呼べるよ」

 

「ひょ?」

 

「罠カード《死魂融合(ネクロ・フュージョン)》を発動。墓地の《E・HERO ブレイズマン》と《E・HERO バブルマン》を裏側表示で除外し、《E・HERO アブソルートZero》を融合召喚!」

 

「墓地融合だとっ!?」

 

封魔の呪印を跳ね返し、ついに響紅葉が動き出す。

 

インセクター羽蛾 LP4000 手札2 モンスター2 伏せ0

 

ジ:ジャイアントワーム 攻撃力2600

ア:アルティメット・インセクト LV5 攻撃力2300

火:火器付機甲鎧(対象:ジャイアントワーム)

 

□火□□□

□ジ□ア□

 

□ア□エ□

□□□□□

 

ア:E・HERO アブソルートZero 攻撃力2000

エ:E・HERO エアーマン 攻撃力1300

 

響紅葉 LP2100 手札3 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「僕のターン、ドロー! まずは舞台を整える。フィールド魔法《摩天楼 -スカイスクレイパー-》を発動!」

 

無数のビルが出現し、ヒーローの戦う舞台が整う。

 

「《E・HERO リキッドマン》を召喚し効果発動。墓地の《E・HERO キャプテン・ゴールド》を特殊召喚!」

 

ヒーローデッキの要とも言える2種のカードを封じられながらも、紅葉はヒーローたちを展開していく。

 

「水属性モンスターが増えたことでゼロの攻撃力がアップする。バトルだ! まずはキャプテン・ゴールドでアルティメット・インセクトに攻撃! そしてスカイスクレイパーの効果で、ダメージ計算時のみ「E・HERO」の攻撃力は1000アップする。銀色の銃弾(シルバー・バレット)!」

 

「ちぃぃ!」

 

宙を舞う巨大蛾が銀の弾丸に貫かれて地に落ちる。毒鱗粉の効果も消え、ヒーローたちが本来の力を取り戻した。

このまま総攻撃でデュエルは決着すると誰もが思ったが――

 

インセクター羽蛾 LP4000 → 3850

 

「ひょひょ、勝ったと思ったかい? 手札の《スモーク・モスキート》の効果発動。このカードを特殊召喚し、受けるダメージを半分にする。そしてバトルフェイズを強制的に終了するぜ」

 

「なにっ!? くっ、僕はこれでターンを終了する」

 

響紅葉 LP2100 手札2 モンスター4 伏せ0

 

リ:E・HERO リキッドマン 攻撃力1400

エ:E・HERO エアーマン 攻撃力1800

ア:E・HERO アブソルートZero 攻撃力3000

キ:E・HERO キャプテン・ゴールド 攻撃力2100

摩:摩天楼 -スカイスクレイパー-

 

□□□□□

リエアキ□摩

 

□□スジ□

□□□火□

 

ス:スモーク・モスキート 守備力 0

ジ:ジャイアントワーム 攻撃力2600

火:火器付機甲鎧(対象:ジャイアントワーム)

 

インセクター羽蛾 LP3850 手札1 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー! 来たぜ! 墓地の昆虫族2体をゲームから除外して、手札から《デビルドーザー》を特殊召喚!」

 

フィールドを埋め尽くさんばかりの巨大な多足昆虫が大地を割って出現する。

 

「さらに装備魔法《魔界の足枷》を発動。そうだなぁ、せっかくだから、あんたのエースモンスターに装備させてもらうぜ」

 

氷のヒーローの足首に黒い鉄球が巻き付き、その力を吸い取っていく。

 

E・HERO アブソルートZero 攻撃力3000 → 100

 

「バトルだ! デビルドーザーでアブソルートZeroを攻撃!」

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

デビルドーザーの一撃によって響紅葉のライフは尽き、勝負は決した。

 

 

 




????「俺の戦略が先取りされた気がする」
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