無意識に主人公を酷い目に合わせてしまう私がいる。
どうして.....
まあ救済あるからヨシ!
「化け物っ....!」
ふと、思い出す言葉がある。
未だ耳に残るそれは、少々、いやかなり、私を堪えさせた。
毎夜と、昼寝の度に垣間見る夢の世界でも生きる私は、
あまりこの世界を現実だと自覚できない身であるけれど、
逆に、その言葉を思い出す度に、ここは現実なんだと胸に刻むのだ。
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ウマ娘である母と、一般男性である父から産まれた異質の
唐突に雑草を食べ始める可笑しな児という二人の認識は、
なんと大型トラックとの完全衝突事故でも生き残る児となった。
血だらけで。■■は散らばり、歯は欠け、目玉は飛び出して、尻尾はちぎれ飛んでいる。
大型車のタイヤ痕が服の上からくっきりと残り、
骨と硬いものがぶつかる音が小さく響く。
けれど、生きていた。
しかも、立ってしまった。
そうして、交差点で手を伸ばしたまま固まる二人へと歩む。転ぶ。立ち上がる。よたよたと歩む。
ポロリと色々道路に転がる。ぺチャリと紐が垂れ下がる。
未だ現実を認知できず、痛みを痛みと理解できない私は、
二人に「大丈夫?」と尋ねた。
後の話は推して知るべし。
私はいつの間にか病院にいて、
手紙とお金と家と、幾つかが残されていて、
小学生となった私に、母の母が謝ってくる日々が始まった。
私は愚かで、何もわからないままに、
どちらが夢なのか。本当にわからないままに、
二つの世界を生きていくこととなった。
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中学生になった。
学校はあまり得意ではなくなった。
噂というものは、案外耳に刺さるものだ。
特にウマミミというものは精度が高すぎる。
人もウマ娘も、真実と言い難い話が好きなようだった。
小学生になる前、少し遠くなった話だというのに_____いやそれが良くなかったのか、
噂は拗れに拗れた。嘘の割合が増えた。食い違いが多くなった。
面白い部分が増えた。少しずつ、悪意というものを知っていった。
悪意というものは、結構面倒だった。
ぼんやりしていることが多かったせいだろうか、
わけのわからないうちに嫌われて、初めて
ウマ娘というものは、基本的に美貌だ。
身体能力は桁外れで、頭の回転もそこそこ良い。
そうした、即ち非凡と平凡が入り交じる学校環境は、
心が不安定になるこの時期に発生する余多の種族的、性能的、心理的区別、
様々なインフェリオリティーコンプレックスを抱かせた、のだろう。
自分は、全てに対して鈍感で、夢見心地だった。
エスカレートしていく有象無象の悪意の嵐は、ついに明確な害意となった。
背には衝撃。天地は反転し、くるりと重力に煽られて、胃が浮くあの感じ。
私は黄昏の空と、夕日に照らされる校舎を眺めながら、強く地面とハグをした。
実に5階建ての学校であった。
私は頭から綺麗に落ちた。
何かが割れた。血が吹き出た。
それでも。
うん、まあ、生きていた。
夜になって、なぜか学校の裏山で目が覚めて、
血で固まった土を髪から削ぎ落としつつ、
歪んだ身体をその辺の木の棒で支えて山を降りた。
数回転んだ。数回へばった。数回頭が割れるように傷んだ。
そうして、ふらふらと夜道を下校がてら、警察に捕まった。
いつの間にか深夜になっていて、
下校姿を通行人に通報されたらしい。気づかなかった。
事件は解決した。
突き落としというものは、結構証拠が残るらしい。
裏山に私を運んだのも裏目だったようだ。
私と彼女達は引っ越した。
新たな中学校を過ごして、やっぱり馴染めなくて、
母の母にお願い事をした。快く叶えてくれた。
初めて勉強を意識した。全くもって夢での経験は役に立たなかった。なんせ旅とロバ似の獣の夢である。寝る時間を削って勉強に充てた。
必死というものがあった。
夢うつつだった認識が、覚め始めるのを感じていた。
夢と現実をいつに間にか区別していた。
勉強のなかで、眠気を知った。
それを勉強の為に抑えることへの精神的苦痛を知った。
痛みがあった。
身体のそこかしこが痛み始めていた。
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入学試験を受けた。これに合格した。
嬉しかった。お婆さんも喜んでくれた。
いっぱいお祝いをしてくれた。
いっぱいお礼を言った。約束をした。
一年に数回、帰ることにした。
これを上京というのだろうか。
地元より、ウマ娘がいっぱいいた。賃貸物件も手頃なものがあった。
ウマ娘の多い高校に入った。
そこそこの公立である。内申点をおざなりにしていた私は、一般受験で席を勝ち取った。
そこで、先生に出会った。地理と日本史を担当する先生だった。
旅が大好きな先生だった。先生が授業の合間に話す旅の話は、共感できるものがあった。
先生が顧問する部活は、地理歴史的あれこれを調べながら、合法的に旅をするというものだった。私は入った。先輩と、同部活のクラスメイトと、そして先生と仲良くなった。
私は
先生は、夢と現実の齟齬を指摘しなかった。私の話は、どうも古い話が多かったようだった。
ある日、先生は、私を知ってくれた。言い当ててくれた。
身体の痛みはついに耐えきれないほどになっていて、
一緒に住んでくれていたお婆さんから逃げた理由も知られちゃって。
あの夢は夢で、この夢は現実だと先生は断言してくれて、
私はついに、それを認め
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それが、今までの私のお話。どうかな、暇潰しになった?
「おう! その話が続いているってのが一番面白いな! このゴルシちゃんも登場人物ってことだろ、それ! もちろん主人公だよな!主人公じゃないと許さんぞーい!」
いやそんなこと言われても....ゴールドシップが主人公のお話、私には少し難しくて。
「ふむ、ゴルゴル星の子供でも理解できるようにしてるっていうのに、固いのはこの頭かー?うりうりー!」
痛い痛い痛い痛いその痛みは初めてだからムリーやめれー
コラーッ!ゴールドシップ。またどっかに行ったかと思えばっ、その人に何をなさっているのですか!?
「お、ハロハロー、マックイーン。紹介するぜ、コイツがテレイドスコープだ!めっちゃ面白いやつだぞ~!」
初めまして、テレイドスコープです。メジロマックイーンさん、噂はかねがね聞いております。仲良くしていただければ。
「これはご丁寧に、改めましてメジロマックイーンですわ。.....ゴールドシップがご迷惑をおかけして、申し訳ございませんわ。」
いえいえ、良い友達でいてくれていますよ。彼女の明るさが本当に助けになっています。
「おい、褒め殺す気か?そういうのゴルシちゃんだーい好き♡」
ぐぺ
「あ、こらっゴールドシップ!止めなさい!テレイドスコープさんの顔が青くなっていますわよ!こらっ、ゴールドシップッ!」
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「一緒に走ろうぜ、テレイドスコープ。そっちの方がぜってえ楽しいぞ。」
「うん、そうしたいけど。私にはもっと他に、したいことがあるんだ。」
「なんとなくわかるぜ、親御さんを見つけたいんだろ、おまえ。」
「........うん。会えなくてもいいから、手紙だけでも渡せたらって。」
「あーあ、つまんねーの。やっぱり頭カチカチかー?」
「........。」
「そんなの私達と走って有名になっちゃえば解決するだろ。どうせなら一緒にぱかチューブやるかぁ? ふむ、お主には人気度が足りてないようじゃな。出直せい!」
「うわぁ、あっちから出向いてこいっていうのか.....。考えもしなかった。」
「いいアイデアだろ? これであっちから出てこなかったら、こっちから改めて探し回ればいい。レースに出れば、ガッポガッポだし、探す方法にも彩りってな!」
「前提条件。私は走ったことないよ。勝てっこないさ。」
「武器はその頑丈性があるだろ。レースに
「ひっどい皮肉だよ、まったく。........考えてみる。」
「待ってるぜ、テレイドスコープ。このゴルシちゃんがわざわざ誘うなんてめんどくさい手段なんかそうそう使わないんだ。喜べよほらほらほらほら」
「くすぐったい、くすぐったいってゴールドシップッ!」
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未だに、決めきれないでいる。
高校2年生の今。
頂点の頂点。スポーツエンタメの源泉。
莫大な資金が回る仕事場。プロへの挑戦。
才能と運の篩にかけられた砂金のピラミッドに、私は挑めるのだろうか。
夢の中で旅をしながら、ぼんやりとそんなことを考える。我が旅人は、優しく背を撫でてくれる。それが少し嬉しくて、再び私は四本脚で歩み出す。
夢は何も応えない。
されど、安らぎがここにはある。
ならば、少し、頑張ってみようか。
四肢に力を込める/彼女に注意を呼びかける
彼女は応える/軽く私の腹を足で撫でる
駆ける/走る
彼女は笑っている/私も良い気分だった
景色が変わる/風が吹いている
カシャリカシャリと/タタタンタタタンと
荷台が揺れる/蹄が鳴る
うん、確かに、
走るというものは時に、こんなにも楽しいものだった。
素晴らしき力に、代償はつきものさ。
無毀の肉体といえど、歪みは確かに生じている。
特に、精神にも。