綺麗な言峰とか呼ばれ始めた奴   作:温めない麻婆=ちゃっぱ

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プロローグ

 

 

 

 

 気が付いたらよくわからない場所にいた。

 

 

 

「やぁ、君がラスプーチンかい?」

 

「……ああ」

 

 

 

 召喚後混乱しているが、必死にそれを表に出さないように苦労した。

 なんせ今の俺はラスプーチンなのだから。

 

 頭に直接叩きこまれたのは様々な記憶────というか、記録か。

 愉悦神父とかいうあの言峰のとっても楽しそうな嘲笑うような声と共に「後は任せたぞ」とか言って全部ぶん投げやがったのはどういうことか。あとでぶん殴ってやろうか。いや、あいつぶん殴っても自分が苦悩しいろいろ迷った末の愚かな行動とかいろいろ愉悦しそうなんだよなぁ。

 

 まあ、つまりだ。

 俺は何らかの原因で死んで生まれ変わった……いや、生まれ変わったと言えるのか?

 とにかく、俺はかの有名なゲームたるFateな世界に転生したらしい。

 

 そして『ラスプーチン』とかいうやべえサーヴァントになったようである。そう、FGOという聖杯探索をしている人理保障機関カルデアが中心のストーリー。第一部第二部と物語が続いていくその中で、ラスプーチンは第二部の敵側に登場するサーヴァントであった。

 

 何故かは知らないが、そのカルデアに第一部のストーリーがまだ始まってない状態で召喚され協力する形となったのだ。

 第一部が始まったわけじゃないが、藤丸立香なる主人公らしき姿を見つけたので、おそらくそろそろ始まる頃だろう。

 

 第一部が始まったらきっと言峰の姿を知るサーヴァントが召喚されるかもしれない。

 特に第五次とか。

 

 まあでもあれだ、警戒されるのはちょっと嫌だが────俺の性格って言峰神父みたいなやべえ感じじゃないんだが。どちらかというと苦労人。ワカメにも似たあの慎二君よりはちょっとだけ一般人というか、お人好し成分はあるはず。

 

 まあ自分で言うのもなんだが、そんな綺麗な言峰()とかいう状態な俺はこれからどう動けばいいのか迷ってしまった。

 

 心の奥底に必死に押さえつけている言峰本来の愉悦成分を存分に使って楽しむか? まあバッドエンド間違いなしになってしまうが。

 それか普通にダヴィンチちゃんみたいに協力者として登場し、どっかで退場するか?

 

 うーんどうせなら面白おかしく退場したいものだ。

 ラスボスひっかきまわしてもみたい。……っていう心がこの依り代たる言峰本来の感情であって、魂は俺、性能はラスプーチン的な感じで三つ巴の感情で揺れてるんだよなぁ。なんだこれ、俺の心内戦状態か?

 

 戦闘は────なんとか可能。身体能力が凄まじいのもあるせいか、自然と戦うためにどうすればいいのか理解できている。しかしダヴィンチちゃんのように裏から支えるというのは俺の性に合わない。あと主人公のために尽くすというのもなんか違う気がする。うーん。

 

 とか言ってる間にレフなんちゃらが俺に「裏切らないか?」とか言ってきやがった件について。

 この言葉にピーンと思い浮かんだのはとある悪だくみ。

 

 これはあれか? 

 裏切ると思わせてからの裏切って敵の敵は味方みたいな感じで二重スパイするべきか?

 

 主人公を曇らせて味方だったはずのあいつが敵だと思ったら実は味方で必死に尽くしてたんだよって言われて泣かせて発狂案件にさせてやるべき計画でも立てろとおっしゃる?

 それで奇跡的に生き残ったなら次に来るであろう本物のラスプーチンに面白おかしい愉悦を提供できるだろうし……ああ、なんかだんだん言峰か何かに影響受けてやがるな。本来の俺はこんな感情持ってなかったはずなのに。

 

 

 

(とりあえず第二部直前までは死なずに頑張るか……)

 

 

 

 

 

 

藤丸立香は男か女か

  • 男主人公
  • 女主人公

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