綺麗な言峰とか呼ばれ始めた奴   作:温めない麻婆=ちゃっぱ

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第十八話 それは藤丸に必要な壁

 

 

 

 冥府での問答。イシュタルとまだ友好的な関係になってはいないはずだが、冥府へ降りる際に「あら、貴方たちもギルガメッシュを笑いに行くの?」と言いながら楽しそうについてきたのが始まりだった。

 

 いくつかのギャグのようなシーンを乗り越え、一行が目にしたのは王座のような椅子に座り上機嫌なギルガメッシュ王と、地面に両膝をつき、泣きながら何かを訴えているイシュタルに似た誰か。

 

 カルデアの藤丸達を見た瞬間、彼女は顔を真っ赤にし先ほどの醜態を恥じているようだった。照れ隠しに「ごほん、よくぞ冥府へ来たのだわ! ……ちょっと所々赤いし変な臭いもするけれど、貴方たちを歓迎します。そして早くこの事態を終わらせるために────まずは貴方たちの力を試しましょう! やるのだわ!」という感じで無理やり戦闘をすることになった。

 

 しかしというべきか、周囲に漂う麻婆臭があるせいかイシュタルに似た女神──エレシュキガルはこの冥府の惨状を恥じているのか徐々に体力が削られ、宝具も打てない巨大なガルラ霊状態になって戦っていた。ちなみに周囲にいたガルラ霊はほのかに赤色をしていたのに対し、巨大なガルラ霊となったエレシュキガルは真っ白であった。彼女もまた影響を受けて赤色になっていたならきっとその状況を理解した時点で恥じて即死が入っていたことだろう。そう藤丸は考える。

 

 ────ちなみに余談だが、ギルガメッシュを笑いに来たイシュタルは冥府の惨状にドン引きしつつ、問答によって彼女自身の身体が小さくなっていくことに対し恐怖を覚えたのか「ねえ私から麻婆の臭いなんてしてないわよね。麻婆に影響なんて……こ、この金星の女神たる私がそんな……ねえちょっと、何でそんな目でそっぽ向くのよ。ねえ!?」と叫んでいたこともあった。

 

 麻婆臭は周りにも漂っていたため、イシュタルから発しているのか分からない状態だったと藤丸は思い返す。

 

 

 

「ふん。来るのが遅い!」

 

「何言ってるんですか。これでもあなたの命令に従って麻婆をばらまいていたんですよ」

 

「まあまあ、とりあえず無事でよかったよ」

 

「ちっとも無事なんかじゃないのだわ! どうしてくれるのよこの冥府!」

 

 

 泣き叫ぶエレシュキガルに同情した藤丸は彼女に寄り添いいろいろと話を聞くことにした。冥府の復興に出来るだけ協力もしようと約束すらしてしまった。

 

 そうしていくうちにエレシュキガルは藤丸に対する心が開かれたのか、ほのかに頬を赤く染めながらも嬉しそうに笑って「しょうがないから協力してあげるのだわ。あの麻婆の元凶をどうにかしないといけないもの」と言ってくれたのだった。

 

 その様子を見ていたギルガメッシュは目を細める。

 

 

「おい、雑種」

 

「え、私ですか?」

 

「そうだ。……貴様、言峰に執着しているようだな?」

 

「執着とは違うような気が────」

 

「貴様、本当に分かっているのか? いや分かってないままここまで来たのだな。フハハハハハ!! 愚鈍さを笑ってやろう!」

 

「ええと、どういう……」

 

 

 藤丸がマシュと顔を見合わせ、お互いに首を傾ける。

 どういうことなんだろうかと藤丸はマシュ以外にも周りのサーヴァントたちを見た。 

 

 マーリンは楽しそうに。アナは冷めた目で。

 天草は何を考えているのか分からないような微笑を浮かべて────そうして、イシュタルとエレシュキガルはギルガメッシュの笑い声を不快に感じたのか眉をひそめていた。

 ちなみにイシュタルの今の身体は小さいため、ギルガメッシュに近づいたら吹っ飛んでしまいそうな儚さを感じる状態である。

 

 

 ギルガメッシュは楽しそうに笑ったあと、真顔で藤丸を見た。

 

 

「このまま進めば貴様はこの先────あの言峰を殺すことになるぞ」

 

「……えっ」

 

 

 

 




まだ真白のガルラ霊「エレシュキガル様が麻婆を嫌っておられるならば、排除せねば……」
ちょっぴり赤いガルラ霊「あれ、麻婆って美味しい……?」
ほのかにピンクのガルラ霊「麻婆美味しiiiiiiii!!」
真っ赤に染まったガルラ霊「麻婆があれば生きていけ────Arrrrrrrrrr!」

エレシュキガル「どうしてこうなったのだわ!?」




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