綺麗な言峰とか呼ばれ始めた奴 作:温めない麻婆=ちゃっぱ
何故こうなったのかと言えば、タイミングが悪かったとしか言いようがないのだろう。
「くそ……ちくしょう……なんで、なんで……」
新しいヒトなるものが生み出されたはずだった。
しかし生まれてきたのは狂暴性の高い生き物。ウルクに住まう人と人を攻撃し合わせ、勝った方すら惨殺する。そんな無駄を好んでいるのは誰のせいか。
その影響は、誰に受け継がれたのか。
「……ことみね……きれい……っ!!」
ああ、奴のせいだ。
だってそうだろう。アレがこのウルクに侵入し、奴と協力し新しいヒトと共に母の命に従え。言い方は悪いが、母のために今まで動いていた。
あの男はウルクにおいて使い物にならないと判断し、所詮は欠陥品。古い方の人間であればマーボーのような妙な食べ物を追いかけ続けるのも仕方ないと言えよう。
キングゥにとっては、そんな欠陥品は必要なかった。
しかし無駄のないことをしたかったのだ。だから言峰をエネルギーとして使うことにした。
それが、この酷い結果を生み出したというのか。
言峰をエネルギーとして使い始めて一日でウルクに麻婆教なるものが誕生した。ウルクの女神たちに影響を与え始めた。
────そうして、ギルガメッシュ王が笑い死んだ。
意味が分からない。言峰は消えたというのに何故奴の影響が未だに残っているのか。
母が誤ったことをしたのか。
いや、母が目覚めたばかりだから────寝ぼけていたのか。
それとも、言峰が意図的にやらかしたのか。
「なんで……!」
ラフムと呼ばれた新しいヒトになるはずの生き物たちは皆無邪気に遊んでいる。
人を千切り、八つ裂きにし、楽しそうに弄んでいる。
そんな惨状だというのに、次第に増えていく泥は何故か────あれほどまでに苦しめられた麻婆の香りがした。
奴らは自分を裏切った。
母さんは、自分を捨てたんだ。
自分が言峰なんかをエネルギーとして使おうとするから、麻婆なんぞというものがウルクに溢れかえるようになった。そう認識していた。
「キャハハハハハハ!!」
「っ!」
聞こえてきた笑い声はラフムのもの。
麻婆を飲み干しているのか。それとも人間を引きちぎっているのか。
自分は裏切られた。
負傷を負い、このまま見つかればきっと玩具として扱われるだろう。酷い死に方を、してしまうのだろう……。
そう思っていたというのに────。
「ああ、その顔……そうか。貴様も私を敵と認識しているのか。……またしても私のせいか」
「っ────言峰ッ!!」
「そう狼狽えるな。お前に手土産を用意したぞ」
奴はキングゥ自身を見つけ近づき、攻撃してきたラフムたちを追い払った。
そうして背中から降ろしたのは一匹のラフム。
ラフムから守ってくれたというのに、何故ラフムを土産にされなきゃならないのか。
言峰の思考回路がよくわからないキングゥは、目が死にかけた。
「あっ……あぁ……」
「えっ」
その声は、聞いたことのあるもの。
とても優しい女性だったはずの声がする。
「まにあった」
彼女の言葉に目を見開いたキングゥは、言峰が微笑んでいた理由を知らない。
今回は言峰視点じゃないので短いです。
ついでに言うと、手負いのラフムを担ぐ全裸言峰綺麗のスチルというのが凄い面白過ぎて、誰かイラスト描いていただける方いたら欲しいです。イラストとしてなら概念礼装みたいな感じかなと。
いや、もしもですがね……もしも描いてくれたら嬉しいな程度です。
その背景は白煙が辺りに舞っており、周囲は木々に覆われ、腰布タオルからはポロリしそうな程度にギリギリな状態のムキムキ言峰がいる感じでしょうか。ちなみにムキムキが重要ですよ!
その背中に白い布を付けたラフムを担いでいる姿。しかしラフムは戸惑い困惑しているような様子。
ちなみに遠くからは怒れるイシュタルが空を飛んで周囲を見渡しているような感じ。あと大きな鳥に乗りながらも「ことみねさーん!」って叫びつつ号泣気味の藤丸がマシュに慰められている姿があります。まあ全部欲しいってわけじゃないんですが、ものすごく細かい描写として書くならこんな感じかなと。
もしも描いてくれる人いたら嬉しいです。
この作品が面白いと思ってくれた方、期待してくれた方は高評価や感想などしていただけたら嬉しいです。やる気補充のためによろしくお願いいたします。
追記
本日(九月一日)は事情があり、お休みしますね。また明日書きますのでよろしくお願いいたします!