綺麗な言峰とか呼ばれ始めた奴   作:温めない麻婆=ちゃっぱ

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第二十七話 ティアマト戦まであと三日

 

 

 

 

 藤丸は麻婆聖杯をどう攻略するのかについて考えていた。

 なんせこのウルクはもはや麻婆に侵略されているようなもの。しかもその麻婆は本来ウルクに存在してはいけない禁忌なるものだと、藤丸は理解している。いや、ロマニやマシュからはもうちょっと詳しい説明をされていたけれど、とりあえず分かりやすく言えば『この時代に存在してはならないレシピ』ということだけは理解できた。つまり禁忌である。

 

 ギルガメッシュ王はあえてそれを広めた。

 何故ウルクが自滅する方へ導いたのかと言えば、ある意味ラフムを止めるための防波堤を作るため。麻婆教とはつまり、麻婆の泥で溢れてしまったウルクに対しティアマトが攻めてくるからそれを阻止するようあらかじめウルクの民全員に広めていたということだった。だから天草は利用されたとのこと。「麻婆聖杯は別にいらん。それを欲するというのなら好きにするが良い!」とギルガメッシュ王が言っていたからとりあえず命じられるがままに麻婆を売っていただけ────ということである。

 

 だからきっと、天草は麻婆聖杯を狙うだろう。

 その時に彼と敵対するかもしれない。しかしそれはティアマト戦が終わってからだと思う。……いや、そう思いたいと藤丸は願っていた。

 

 とりあえずウイルスバスターのごとく扱われた麻婆は今やウイルスそのものとなっている。

 ならばそれをどうにかするために、まずは麻婆の勢いを止めよう。そう考えて藤丸は動くことにしたのだ。

 

 

「麻婆ラフムが誕生してるなら、麻婆じゃなくすればいいんだ! つまり辛党を甘党へ惹き込むんだよ、マシュ!」

 

「な、なるほど……それでシドゥリさんから教わっていたあのバターケーキを……」

 

「……うん。シドゥリさんが亡くなって……その無念を晴らすためにも……私たちは前を向いて歩かなきゃいけない。シドゥリさんが頑張ってきたことを全部無下にしちゃいけないもん!!」

 

「はい!」

 

 

 バターケーキを作り上げてはそれをラフムにぶち込む。

 ほんのりとした麻婆の香りがするラフムはそれだけで動けなくなったのだ。何せ極限な辛さの固まりな身体に甘味をぶちまければそれだけで悶絶もの……であると思っているから。

 

 藤丸はもはや自分が何を言っているのか分かっていなかった。

 ただ「麻婆に対抗するならお菓子を食べさせればいいと思うよ!」という、マーリンが身体を震えさせながら言ったアドバイスに従って動いているだけだから。

 ────余談だが、話をした直後フォウがマーリンに向かって強烈な飛び蹴りを行っていた。そのせいでマーリンは腹痛を起こしてしまったらしい。

 

 というわけで、藤丸は考えたのだ。

 マーリンの言う通り麻婆聖杯を攻略するためにお菓子をというのなら、ウルク産のものを。シドゥリさんが亡くなってしまったと理解したあの日から、藤丸は忘れたことのないバターケーキをラフムたちの口にパイ投げのごとくぶち込むと決めていた。

 

 天草はちょっと遠い目で指示通りに行っている。

 ケツァルコアトルは楽しそうにプロレス技を決めながらもラフムたちの口にケーキを投入している。

 

 

「……麻婆の勢いは弱まってきたと思う」

 

「はい、きっと言峰さんは麻婆ラフムがいなくなればすぐ出てくるはずです……」

 

「うん、その時が勝負だよ。麻婆聖杯を奪って……言峰さんを……ことみね、さんを……」

 

「先輩……」

 

「……大丈夫。私はやれるよ……うん!」

 

 

 藤丸は前を向いた。

 シドゥリさんが犠牲になったのだから、覚悟を決めないといけない。

 

 アナがいなくなってしまったのだから、やらなきゃいけない。

 そう思っていたのに……。

 

 

「ああ、心が解放されたかのようだ。麻婆が消えていったからか……甘味は好きだ。もっと寄越せ!」

 

「う、牛若丸……!?」

 

 

 

 ティアマトの泥たるケイオスタイドに飲み込まれていた牛若丸。麻婆聖杯によって出来た防波堤みたいな泥とは違う勢力が、襲い掛かってきたのだ。

 

 

 

 

 





麻婆勢力 VS バターケーキ勢力 VS ティアマト





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追記
このまま勢いで書くと麻婆に負けそうなので今日はお休みしますね。明日(九月八日)またゆっくり書きます!

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