綺麗な言峰とか呼ばれ始めた奴   作:温めない麻婆=ちゃっぱ

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追記
誤字報告ありがとうございます!



第五話 求めていたアーチャーじゃない

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、カルデアのマスターさん」

 

「こ、んにちは?」

 

「ところでここにとっても面倒臭い神父を気取ったおじさんがいると思うんですけど、何処にいます?」

 

「あ、言峰さんの関係者の方?」

 

「はい、横暴な頃の僕ではないですが、僕が来た方が良いという予感がしたので召喚されました。嫌な予感がしたので。主に大爆笑しながら大惨状という感じの……」

 

「大爆笑しながら大惨状? ……ええと、君の名前は?」

 

「あ、僕はギルガメッシュ。気軽にギル君と呼んでくださいね。マスター」

 

 

 にっこりと微笑んだその顔に、藤丸は少しだけ驚いた。

 ある意味初めてだろうか。言峰さんの関係者だというのに、嫌悪感を抱かず自ら進んで関わろうとしてきているのは。

 

 望んでいたアーチャーとはちょっとだけ違う。でも、言峰の関係者なら藤丸にとっては運が良かったといえよう。それも英雄王の幼い頃の姿なのだから。

 

 そう思っていたのだが、ギル君と呼んでほしい少年はちょっとだけ予想と違う動きをした。

 ギル君が言峰さんに会いたいと言ったので藤丸自身の部屋に招待したのだ。

 

 そこで言峰さんと会ったギル君は小さくため息を吐いた。

 

 

「あーあ。まさかあの言峰綺礼がここまで堕落しきってたとは思わなかったなぁ」

 

「ほう? この私が堕落か……」

 

「だって貴方は言峰綺礼だけど、ラスプーチンでもあって、違う『魂』でしょう? 言峰綺礼の名を借りた偽物に過ぎないじゃないですか。つまり言峰は何もせず見ているだけ。それで自分すらも愉悦してるってことじゃないですか」

 

 

 藤丸は二人の話についていけない事実に困惑する。いや、なんとなく言っている内容は分かる。しかし彼らの距離は近い。それでもって、藤丸からは遠い。

 何かの線が引かれているかのように彼女は感じた。

 

 少し気まずい思いをしている藤丸に気づいたのか、言峰は彼女の背中をポンッと叩いた。それに少し安心する藤丸。しかし藤丸自身の背中を叩いてくれた瞬間、ギル君の顔が歪んだのが見えた。

 

 

「フェイカーと名乗ったらどうかな。ラスプーチン」

 

「……ふむ、当たらずも遠からずだな。流石は英雄王だ。しかしその名は辞退しよう。私はどんな『魂』をしていようとも、ラスプーチンであったとしても、ガワは言峰綺礼なのでな」

 

「……本当に、あの横暴な頃の僕が来なくて良かったですね。いろんな意味で」

 

 

 深いため息を吐いたギル君に向かって藤丸は口を開く。

 

 

「あの、ギル君。言峰さんは、何か大爆笑で大惨状な予感がしたっていったよね?」

 

「そうですよマスター。言峰はそういう人で、かつ横暴な頃の僕が来たらまた面倒な事態になりますから」

 

「そっか……」

 

「怖くなりましたか?」

 

 

 言峰が部屋のなかで話を聞いている。それでも彼について問いかけてくるギル君は少し意地悪かもしれないと藤丸は思えた。

 でもやっぱり藤丸は言峰のことを怖いとは思えない。そう考えながらも首を横に振る。

 

 

「あのねギル君。私に言峰さんのことを教えてくれると嬉しいな」

 

「藤丸立香。私がここにいるというのにこの小さな英雄王に聞くのかね?」

 

「だって言峰さんってば自分の過去を話したがらないし……キャスターのクー・フーリン達に話を聞いても変な顔して悪いことばっかり話すだけだから……でも悪いことでもいいからたくさん聞いてみたい。言峰さんが生きていた頃を知って、いつか恩返しがしたいから!」

 

 

 相手を知ることで絆が深まる。そう藤丸立香は思っている。でも断言した藤丸を、言峰とギル君の二人は薄ら笑いで返した。

 

 ちょっとだけ嫌な感じの笑みだった。

 

 

「今回のマスターは真っ直ぐすぎる良い子ですね」

 

 

 そう言ったギル君が、ゆっくりと話してくれた。

 

 その間、いつの間にか言峰の姿が消える。そういえばこの時間は見回りの仕事だったなと、藤丸は言峰のルーティーンを思い出した。

 

 言峰がいないのならと、藤丸はギル君の話に集中する。

 

 それは、とある日の出来事。習慣化している神父としての活動。そして聖杯戦争で起こした悪役としての全てを。

 

 キャスターのクー・フーリン達から聞いていた話と似ているけれど、ちょっとだけ違う。

 

 

「なんか、共犯者側から話してるみたいな……」

 

「横暴な頃の僕と言峰の話ですからね。そりゃあそうなりますよ。あっ、そうだマスター。もしかしてと思ったんですが、またすぐ召喚しますか?」

 

「えっ、うん。良く分かったね? あと一人、召喚するつもりだよ。ギル君が来てくれたから次はランサーかな」

 

 

 

 

 

 







 慌てた様子で駆けるロマニ・アーキマン。それは書類を出し忘れていたことで言峰に迷惑がかかる案件だった。

 この時間なら言峰は部屋にいるだろう。そう思い彼は扉を開ける。


「言峰さん! ちょっと話が……えっ?」

「むっ、電波が悪いようだ失礼する」

『貴様────っ!!』



 一瞬見えたあり得ない敵の姿に、ロマニは夢かと思った。


「………………えっ?」





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