好きなウルトラマンに転生したけど、トレーナーやっています! 作:断空我
最後にアンケートをのせております。
意見をいただけると助かります。
海岸沿い。
一組のカップルが夜空の下を歩いていた時だ。
「あら?」
「どうした?」
彼女の方が何かに気付いて彼氏が尋ねる。
「あそこ、誰かいるわ。ベンチのところ」
言われた方をみると、暗くてわからないが誰かがベンチに腰かけている。
時計を彼氏がみると既に夜の十一時を過ぎていた。
心配した彼女が近づいて声をかける。
「あの、こんな遅い時間にどうされたんです?どこか体の調子でも悪いんですか?」
親切心で声をかけた彼女。
しかし、座っている人物は何も答えない。
「あの?」
「救急車でも呼びましょうか?」
彼氏の方も心配になり声をかけた時、俯いていた人物が顔を上げる。
「っ!?」
耳まで裂けたような口は大きく開いており、白い歯が並んでいる。
鼻がなく、何より目。
本来なら二つあるはずの目の部分が一つしかない。しかも、顔の端から端までに広がるほどの大きな目が一つしかなかった。
悲鳴を上げる暇もないまま、カップルは目から放たれた光線によって倒れてしまう。
「ヒッヒッヒッヒッ」
もし、暗がりでなければ座っていたソレがマネキンであると気づいただろう。
倒れたカップルの体は真っ白になり、それっきり動かなくなる。
立ち上がったマネキンは暗闇の中に消えていく。
これが事件のはじまりだった。
エリートレーナーにクリークが勝利して夏合宿において豪華な場所を確保した俺達のチームはその後、オグリ、タマがいくつかのレースで勝利を得た。
まぁ、チームレースをしようにも、肝心のチームメンバーが足りないから個人の成績で誤魔化しているという状況の為、残りのメンバーもそろえないといけないという問題は抱えつつもチームの初夏合宿がはじまろうとしていた。
「へぇ~、流石はエリート様、素敵なコテージだな」
ワゴン車から降りて俺はエリートトレーナーが夏合宿で予約していたコテージを見上げる。
「と、と、と、と、トレーナー、こ、こんな、こんな豪華な所で泊まるんか!?そ、その、変な事したら料金請求されるとか」
「タマちゃん、落ち着いてください。大丈夫ですよ」
豪華なところに慣れていないタマは青ざめているが、母性本能全開のクリークにあやされている。
よだれかけとガラガラもたされそうになって全力で抵抗しているからまだ理性はあるんだろうな。
うん。
「トレーナー、お腹が空いたのだが」
「オグリさん!?さっき、俺の分のアイスまで食べたよね?」
「そうなのだが、足りない……」
車内でお菓子やアイスをさんざん、食べていたというのにまだ足りないと申すか。
この腹ペコオグりんめ。
「この後、トレーニングもするんだから腹八分目で我慢しておきなさい。夕飯はバーベキューだしな」
「ばーべきゅー、わかった。我慢する」
「既に口から涎ドバドバ出ているのは我慢ってことにしておくか、うん」
三人へ荷物を置いたら体操着で集合と告げてコテージの中に入る。
エリートトレーナーが予約はしていたが、学園の管理しているコテージの為、ウマ娘の為に様々なものが用意されている。
一室はトレーニング用の道具がおかれているし、食事などはウマ娘の為に大量の食材が買い置きされている。
この食材はおそらく一日でオグリのお腹に消えてしまう事だろう。
「失礼だぞ。トレーナー、翌日の朝には平らげる自信がある」
「そんな自信はいらないって、もう着替えてきたのか?」
「勿論だ」
頷くオグリ。
こういう素直なところは可愛いな。
「じゃあ、管理人へ挨拶をするからついてくるか?」
「うん」
オグリと一緒にコテージの管理人へ挨拶に伺うことにした。
「どうも。トレセン学園からきました」
「よろしく頼む」
「おぉ、礼儀正しい学生さんだね。頑張ってね」
管理人のおじさんはとてもやさしい人だった、
いつもと違う人であるというのに深く聞かずに色々と教えてくれる。
ちらりと、管理人室からみえる外をみると、何やら若者たちが携帯片手に騒いでいる姿がみえた。
「外が騒がしいですけど、何かイベントでもあるんですか?」
「え?あぁ、アレか」
「どうかしたのだろうか?」
管理人の表情が少し険しくなり、俺とオグリは首を傾げる。
「あぁ、いや、その、私が言ったという事は黙っていてくれますか?あまり生徒さん達を不安にさせるわけにいかないんで」
「えぇ、俺は口が堅いですし、オグリも」
黙らせるために口の中にチョコを放り込む。
「もぎゅもぎゅ、大丈夫だ」
「それなら、実は」
「吸血鬼ねぇ」
「トレーナー、吸血鬼とはなんだ?」
管理人さんの話していた内容を考えていると隣を歩いていたオグリに尋ねられる。
「吸血鬼、知らないのか?」
「食べ物ではないのか?」
一瞬、この娘の頭の中は食べ物しか考えがないのだろうかと不安になった。
「神話上の怪物だよ」
「そんなものがあるのか」
「あぁ、だが、実際に存在するかどうかわからないけれどな」
歴史上の神話や空想上の産物と言われている存在の正体は理由があったりするものなのだが、この世界ではどうなのだろうか?
俺のいた宇宙の太陽系第三番惑星地球において神話上の吸血鬼や妖怪等の一部は宇宙人が正体だったりする。
この星の神話上の存在はどうなのだろうか?
俺がこの星に来てからダダやソリチュラが姿を見せている。
もしかしたら昔に地球へ来訪している宇宙人もいるかもしれない。
「トレーナー?どうかしたのか?」
「あぁ、いや、何でもないよ」
「ちょっとよろしいかな?」
気付くと丸いサングラスをかけた外国人が話しかけてくる。
「私、特別捜査官のアイク・ユベロスという者です」
「特別捜査官?」
「そういえば、怪事件などの調査を目的とした機関が設立されたってニュースで見たような」
「えぇ、その特別捜査官です」
サングラスを外しながらにこりと微笑むアイク捜査官。
「実は、この近辺で怪事件が起きているのですよ。それで話を聞いており」
「そうなんですか。ですが、俺達は今日、この土地へやってきたばかりであまり詳しいことは……」
「そうですか、もし、何かあれば、こちらへ連絡を」
「はい。あ、こちらも名刺を」
差し出されたアイクの名刺を受け取って、こちらも名刺交換をする。
車に乗って去っていくアイク捜査官。
見た目がグレートに出てきたアーミーの人と似ているけれど、同姓同名だろうな。多分。
「怪事件とは、この前のようなものだろうか?」
「そうかもしれないな」
「怪事件とは、あっちこっちで起こっているのだろうか?」
オグリの疑問に俺は答える事が出来なかった。
翌日。
練習の為、海岸沿いでトレーニングをしていた。
ウマ娘達はスクール水着で走っている。
「トレーナー、終わったで!」
「お疲れ様、水分補給をしっかりとるんだぞ」
「トレーナーさんもしっかり水分補給です」
「いや、俺はしっかぐぅ」
遮るようにクリークにペットボトルを押し込まれる。
これって、クリークの飲みかけじゃあ?
「って、飲みかけやないかい!新品を飲ませんかいな!?」
「トレーナー、私のも飲むといい」
「やめんかい!」
無表情でペットボトルを差し出してくるオグリにタマが叫ぶ。
視線をそらしているとパトカーが数台止まっているのが目に入る。
「何か事件でしょうか?」
「怪事件じゃないか?」
「怪事件やて?」
首を傾げるクリークとタマに昨日の出来事を話すオグリ。
「きゅ、吸血鬼なんて、そ、そんなものおるわけないやろ!?」
過剰反応のような震え方をするタマに違和感を覚えつつも、手を叩く。
「ほら、まだ練習は終わっていないんだからストレッチしてもう一周だ」
練習の為に動き始める彼女達の中でタマが少し青ざめていることが少し、気になった。
――嘘や、あれは絶対に違う……見間違いに決まっている!
心の中で必死に否定しながらもタマモクロスは青ざめていた。
合宿初日。
深夜に眠りが浅かったのか目を覚ましたタマモクロスは喉が渇いて一階へ降りようとした。
その時、窓から見える景色から偶然にも見つけてしまったのだ。
一つ目の不気味な人ならざる存在。
見間違いか、と目をこすりながら何度も確認しようとしたところで姿が消えていた。
だが、タマモクロスの耳は捉えていた。
――ヒッヒッヒッ。
不気味に笑う声。
あの声が頭にこびりついて離れない。
翌日にオグリキャップ達から聞かされた吸血鬼と怪事件について。
見間違いだと思いたい。
あれが吸血鬼のわけがない。
あの記憶を振り払う様にタマモクロスは練習に意識を集中する。
自然と夕方になるとタマモクロスは聞いていた噂を忘れていた。
忘れていたのだが。
「自分の愚かさを呪いたいぃぃぃ」
夜。
持ち物で足りないものに気付いたためにコンビニへ足を運んだ。
向ったものの。
「うぅ、誰もおらん、おらへんねん」
近くの木々の茂みに耳と尻尾がビーン!と反応しながらもタマモクロスは急ぎ足でコテージへ戻ろうとする。
――ヒタ、ヒタ。
「!?」
後ろから何か音が聞こえた。
振り返るも誰もいない。
「き、気のせいやんな」
息を吐きながら再び歩き出す。
――ヒタヒタ。
「(う、嘘やろ!?)」
歩き出したら聞こえてくる足音。
気のせい、気のせい、気のせいと必死に首を振る。
立ち止まらないように抗いながら歩く速度を上げようとした時。
――ヒッヒッヒッ。
聞こえる笑い声。
タマモクロスの耳がしっかりと捉える。
初日に聞いたあの笑い声だ。
ぶるぶるとタマモクロスが震えだす。
「そ、そうや、と、トレーナーに助けを」
震える手でポケットから携帯電話を取りだした。
その肩をポンと叩かれる。
「ぎゃああああああああああああああああああ!」
「え?警察?」
携帯に着信が入って通話モードにすると警察官からだった。
夜の遅い時間に一人で出歩いていたので声をかけると悲鳴を上げられたという。
「わかりました。迎えに行きます。すいません」
そういって通話を終えると心配そうにこちらへやってくるオグリとクリーク。
「タマは大丈夫なのか?トレーナー」
「心配です。私も一緒に行った方が?」
「二人とも学生だからここで待っていて。くれぐれも俺以外の人がきたら入れちゃダメだからな」
「うふふふ、トレーナーさん。私達、そこまで子供じゃないですよ?」
「俺からすれば、キミ達はまだまだ子供だから」
加えて俺は宇宙人だから、余計にこの子達はまだ子供に思ってしまう。
タマの身を案じながら持ってきていた自転車に乗って走り出す。
連絡を受けた場所は自転車で五分くらいあれば到着できる。
しばらく自転車を漕いでいたら立っている警察官の姿を見つけた。
「あぁ、すいません。連絡を受けた……」
警察官に声をかけた所で俺は動きを止めてしまう。
目の前に立っていた警察官はこと切れている。
その顔は恐ろしいものに遭遇したように歪んでおり、体は真っ白になって血という血が抜き取られていた。
「まさか、タマ!?」
呼びかけるもタマモクロスの声は聞こえない。
連絡を受けて数分しか経っていない。
まだ近くにいるかもしれない。
自転車を置いて、俺は近くの茂みの中へ飛び込む。
「タマ!どこだ!どこにいる!」
茂みをかき分けて腰から下げている懐中電灯で周囲を照らす。
声がカラカラになるまでタマの名前を呼んでいた時だ。
「――ナー!」
「タマ!」
ほんの僅かだが聞こえた。
「こっち…」
意識を集中しながら声の方へ走る。
茂みをかき分けて、ライトを照らすと怯えているタマモクロスの姿。
「タマ!」
「と、トレーナー!」
涙目のタマが腰にしがみついてくる。
「大丈夫か?」
「う、ウチは、でも、警察官のおっちゃんが……」
「あぁ、とにかく、ここを離れよう」
ガサリ。
近くの茂みが揺れて――ヒッヒッヒッと不気味に笑う声。
「き、来た!」
震えが強くなるタマモクロスを抱きしめ返しながら茂みの方へ目を向ける。
暗闇の中で十字に輝く瞳。
茂みの向こうからゆっくりと現れる一つ目の怪物、否、宇宙人。
「タマ、この道を真っすぐに全力で走れ」
「え、でも」
「大丈夫。タマの脚なら奴は追い付けない。俺はその後を追いかけるから」
「でも、トレーナーに何かあったら」
「大丈夫、大丈夫!俺は不死身だからさ」
「……わかった」
小さく頷いていたタマは涙を拭ってレースに挑む時の顔になる。
「よし、行け!」
俺の合図と共に走り出すタマモクロス。
彼女が駆け出した事を確認して腰のポーチからマックススパークを取り出す。
「お前に俺の愛バへ手出しはさせない!」
――ヒッヒッヒッ!
不気味に笑うマネキンの怪物、否、宇宙人の前で眩い光と共に本来の姿のウルトラマンマックスに変身する。
マネキンの怪物はこちらの正体に驚いた様子を浮かべるも手から放ったスラッシュ光線が直撃。
マネキンが爆発してその中から本来の姿であるドラキュラスが姿を見せる。
吸血宇宙星人ドラキュラス。
帰ってきたウルトラマンに登場した宇宙人であり、カーミラ星から人間の女性を皆殺しにするためにやってきた。
今回の個体はどういうわけか女性の血以外も吸血しているが、ウルトラマンジャックと戦った相手と別なのだろう。
『だからといって地球人やウマ娘達に手出しはさせない!』
『貴様、同じ宇宙人の癖に未開拓惑星の生命体に味方するのか!』
ドラキュラスが赤い光線を放つも横に跳んで回避する。
『宇宙人とはいえ、その星の生命の命を無暗に奪う事は許されていない!』
『宇宙人に味方しない裏切り者め!』
叫ぶドラキュラスに左腕のマックススパークを頭上へ掲げる。
眩い光が周囲を照らす。
夜行性のドラキュラスは日光に弱い。
太陽のエネルギーをチャージするマックススパークの輝きにドラキュラスの動きが鈍る。
『お前達みたいな宇宙人の味方をするくらいなら私は裏切り者でいい!』
叫びと共にマクシウムカノンを放つ。
怯んでいたドラキュラスは回避することもできず、光線の直撃を受けて灰となって消滅する。
「なんだ、今の爆発は!」
音の方へ視線を向けると回転式拳銃を片手にこちらへやってくるアイク捜査官の姿。
「宇宙人か!?」
アイクが拳銃を向ける前に高速でその場から離脱する。
吸血鬼事件については根源を撃退した事から翌日から起こることはなかった。
問題があるとすれば、特別捜査官があっちこっちへ翻弄されていることだろうか。
赤い宇宙人を見なかったか!?としきりに走り回っている姿に申し訳ない気持ちとGに登場しているコミカルな面を思い出して笑いそうになった。
「トレーナー!終わったで!」
「おう、タマ、今日も元気だな」
「当然や!ウルトラマンに助けてもらったんやから頑張るでぇ~!」
ドラキュラスを撃退した所をどうやらタマは見ていたらしい。
ウルトラマンという呼び名については学園にいるゴルシやタキオンが名付けたという。
ウルトラマンマックスというフルネームという事になんか運命力めいたものを感じてしまった。
「タマ、次は負けないぞ!」
「トレーナーさん、ギュッとしますね」
「正面からやめろ!」
やる気を見せるオグリ。
隙を見せれば水着姿で抱きしめようとしてくるクリーク。
「場を考えや!クリーク!」
間に止めに入ろうとして身代わりになるタマ。
「タマは犠牲になった」
「オグリ、その言葉、どこで知ったんだ!?」
「うがぁああああ!このままやられるウチやないでぇええええええ!」
「あらあら?」
クリークの拘束を逃れたタマはそのまま走り出す。
「まぁ、深い傷を負って塞ぎこむよりあぁやって元気な姿の方がいいよな」
「うぅ、ぐすっ、ひぐっ」
「何を泣いているんですか?」
公園の片隅で泣いているウマ娘へ一人の青年が声をかける。
「うぅ、ライス、ライスのせいで、みんな不幸になる」
「どうして、そのような考えになったのですか?」
「うぅ、貴方、誰?」
「あぁ、失礼。私、こういうものになります」
泣いているウマ娘に青年は胸ポケットから取り出した名刺を差し出す。
「第0号って、どういうことなの?」
「これは失礼。私、外星人、いえ、宇宙人なのですよ」
にこりと青年は微笑んだ。
最後のあれは誰なんだろうなぁ?
マネキンについては、イメージについてはドラマの悪魔くんに出てきたマネキンをイメージしてもらえば、それに近いもので。
ちなみに最後の方の登場はしばらく先になります。
多分。
この話、続き見たい人、どれくらいいるかな?
他のウルトラマン来訪あり?(来訪アリの場合、昭和、平成から登場予定)
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あり
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なし