好きなウルトラマンに転生したけど、トレーナーやっています!   作:断空我

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アンケートの結果、新規ウルトラマン登場決定です。

次々回くらいになるかな?




ターゲット!アグネスタキオン

トレセン学園の教室は生徒やチーム、部活などによって使用されている。

 

その中の一角。

 

普通の生徒やトレーナーが立ち寄ってはいけないと言われている場所がある。

 

その場所は魔境と噂され、立ち寄ることは死を意味すると噂されていた。

 

「まぁ、実際のところ、身の危険ということは少ないんだけど」

 

立ち寄らない方がいいというのは正しいだろうな。

 

目的の教室に来たところでノックする。

 

返事は当然というべきか来ない。

 

「はぁ、野垂れ死んでいないといいけど」

 

予想していた状況なので迷わずに教室のドアを開ける。

 

開けた事で室内の空気が鼻をくすぐる。

 

届くのは薬品の香り。

 

目の前に広がる机の上には様々な薬品や書類が山のように積まれている。

 

これらすべてを一人の生徒が行っているなど、誰が信じるだろうか?

 

「おーい、アグネスタキオン、生きているかぁ?」

 

反応はない。

 

近くに小さな山みたいなのがみえる。

 

「ごはんだよう」

 

「遅いよ!餓死するところだったじゃないか!」

 

近くの山が音を立てて動いたと思うとこちらへ飛び掛かってくる。

 

ダボダボの白衣を着て、濁った瞳でこちらを見上げるウマ娘。

 

名前をアグネスタキオン、別名、マッドサイエンティスト。

 

怪しい実験を日夜行っており、隔離という形で教室を与えられているゴルシと別の意味で問題となっている生徒だ。

 

「むぐ!もぐもぐ!まったく!一週間も私を放置するなんてモルモット君の分際で舐めたもぐもぐ真似をもぐもぐ」

 

「食べるか喋るかどちらにしろ」

 

「もぐもぐ!」

 

「食べるのか」

 

用意した弁当(一応、手作り)を一心不乱に食べるアグネスタキオン。

 

彼女との出会いは俺が新人トレーナーとして学園に配属された日。

 

運悪く迷い込んだ場所がタキオンの研究室であり、一歩間違えたら人体実験をされるところだった。

 

幸いにもマンハッタンカフェというウマ娘に助けてもらった事で事なきを得たのだが、それ以降、何かと接点を持ち、こうして研究室へ食事を届ける事を引き受けている。

 

前に発生した怪獣事件においても協力してもらった。

 

防衛チームとかあったら真っ先にスカウトされそうな人材ならぬ、ウマ材だ。

 

「はぁ、美味しかった」

 

「満足してもらえたようで良かった。さて、俺はそろそろ」

 

「待ちたまえ」

 

去ろうとした俺の腕を掴むアグネスタキオン。

 

その目は光の加減のせいかギラギラしているように見える。

 

これはよくない兆候かもしれない。

 

「キミは暇かな?」

 

「残念ながらチームのウマ娘育成で忙しい」

 

「もう一度、聞こう、キミは暇かな?」

 

「忙しい、さらば、じゃ」

 

「まーてーよー!手伝ってほしいんだぁ~、モルモット君~~!」

 

「やめろ、腰にしがみつくな、力を入れるな!背骨を破壊するつもりだな!?」

 

必死に引きはがして距離をとるとアグネスタキオンはある機械を取り出す。

 

「この学園から少し離れた所に奇妙な電波が出ている!私はそれが気になって仕方ない!それを調べる為に外出届を出さなければならない。だが、一度、提出した届け出は却下された。危険の為、大人と一緒に行くようにと!大人が必要なのだよ!モルモット君!是非ともキミの力が必要なのだ!」

 

「よくもまぁ、矢継ぎ早に言えたもんだ。お前の場合、前科があるから生徒会や教師陣も警戒しているんだろうな」

 

外で騒ぎを起こしたら流石の学園もカバーしきれないものな。

 

まぁ、アグネスタキオンの研究もそうだが、彼女の脚質は目を見張るものがあり、一部のトレーナーがスカウトを試みたが失敗している。

 

「はぁ、その電波の反応を調べるだけだな?」

 

「協力してくれるようだね!ならば、明日の朝!早速」

 

「授業があるだろうが!やるなら放課後!それでなければ認めん!」

 

「強情だな!仕方ない。荷物も……モルモット君が手に入ったんだ。そこは妥協しようじゃないか」

 

「言い直したが酷い事に変わりはないからな……はぁ、チームのみんなに話はするから今日は帰るぞ」

 

「構わんよ……そうか、キミはチームを結成したのだったね?かの皇帝もチーム入りかな?」

 

「うん?シンボリルドルフなら別のトレーナーが付いている筈だぞ?」

 

「おや?おやおやおやおやおや?」

 

面白いおもちゃを見つけた子供みたいに目を輝かせていた。

 

「なんだ、その表情は」

 

「なんでもないとも、そうかそうか、これは面白いことを聞いたぞ、うん」

 

アグネスタキオンの言葉に気になる部分がありながらも俺はチームのガレージへ戻るために彼女の研究室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、トレーナー、今、なんていった?」

 

「だから、明日はアグネスタキオンと外出するから練習は休みだ」

 

「トレーナーはタキオンと面識があるのか?」

 

「まぁ、本当はない方が良かったんだが」

 

「そういうことやない!と、トレーナー、大丈夫何か?」

 

「大丈夫って?」

 

首を傾げていると口をぱくぱくさせながらタマが詰め寄ってくる。

 

「“あの”アグネスタキオンと一緒に行動するってことは何をされるかわからんってことやで!?大丈夫なん!?緑色に発光したり、恐ろしい姿になったり、サングラスをかけたらおぞましい怪物になっているとか」

 

「そうなのか!?」

 

「落ち着け、噂は噂だから……後、最後の方は映画の見過ぎだ」

 

「……そう、なんか?」

 

「まぁ、確かに怪しい実験とかをしてはいるけれど、本当に体の害があるようなことはしないから大丈夫。外出といってもアイツの調査に付き合うだけだし」

 

「調査ですか?」

 

「あぁ、何でも外に気になる反応があるらしい」

 

チームのメンバーは一応の納得をしてくれた。

 

「ところで~」

 

タマとオグリの二人に左右を抑えられているクリークが不思議そうに尋ねてくる。

 

「なんだ?」

 

「トレーナーさんって、チームの私たち以外に知り合いのウマ娘ってどれだけいるのですかぁ?」

 

クリークの質問に目が点になる。

 

オグリとタマも予想外の質問だったのか、一瞬、動きが止まった。

 

しかし、すぐに再起動すると距離を詰めてくる。

 

「それは」

 

「気になるな」

 

「いや、三人とも距離が近いって、それくらいの事なら教えるから!」

 

じりじりと近づいてくる三人から離れながら俺は指を折る。

 

「確か、アグネスタキオンだろ?彼女の友人、マンハッタンカフェ、生徒会長のシンボリルドルフ、副会長のエアグルーヴ、同じく副会長のナリタブライアン、後、ゴールドシップ……マルゼンスキー、くらい……って?」

 

距離を詰めていた三人は急に離れると円陣を組んでいる。

 

「結構、おったな(ボソボソ)」

 

「ライバルは多いという事か(ボソボソ)」

 

「でも、負けるつもりはありません(ボソボソ)」

 

「おーい?三人とも?」

 

「なんでもないで」

 

「そうだ。トレーナーが気にすることはない」

 

「うふふふ」

 

これ以上、聞くなと三人の目が語っていたので追及することはしない。

 

以前に空気を読まずに愚かな発言をしたトレーナーがいた。

 

ソイツは担当ウマ娘を刺激した結果、翌日に失踪したという。

 

まぁ、どういう結果になったのか知らないが藪蛇を突かない方がいいという事だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、アグネスタキオンから校門の前で待つようにと言われたので俺が向かう。

 

「遅かったじゃないか、モルモット君」

 

「お前、その恰好は何?」

 

「探検気分というものさ!」

 

アグネスタキオンはいつもの白衣姿ではなく、テレビ番組でみるような探検隊の恰好をしている。

 

「あの服以外にあったんだな。着るもの」

 

「キミが私に対してどういう印象を抱いているのか、とても気になるところだが、さぁ、行くぞ!」

 

端末を片手に叫ぶアグネスタキオンの目はギラギラしている。

 

あれ、何日も寝ていないのではないだろうか?

 

気になりながらもアグネスタキオンと一緒に行動する。

 

「行くといっても学園の裏手にある山か」

 

「キミはここに詳しいと聞いていてね」

 

「まぁ、オグリの練習で使用しているからな」

 

「オグリキャップか彼女の脚は色々と興味深いものだ」

 

「俺の許可なくオグリに何かすれば、一か月は弁当持って行かないからな?」

 

「……ふむ、愛しているようだね」

 

「当然だ。俺の愛バだからな」

 

「ふむ。これは面白い。あの皇帝の歪んだ顔がみられるかもしれないねぇ」

 

何やら怪しい笑みを浮かべるアグネスタキオン。

 

余計な騒動を起こそうとしている目だ。

 

「おや、キミとはよく合うな」

 

注意しようとしていたら夏合宿で出会ったアイク特別捜査官がいた。

 

「特別捜査官がどうしてここに?」

 

「数日前に怪しい電波をキャッチしてね。まさかと思うがこの山へ行くつもりかな?」

 

「そうだとも、何か問題があるかい?」

 

俺の前に出てきてアグネスタキオンが声をかけてくる。

 

「いや、立ち入り禁止にしようと思ったのだが、ここはウマ娘の練習場でもあるという事から学園側が認めなかったのだよ。だが、怪しいものを見つけたらすぐに教えるように!」

 

伝えることを終えたらアイク捜査官は部下らしき人達を伴って去っていく。

 

「……行くの?」

 

「当然だとも!未知を前に動かぬなど、ありえぬ!」

 

変なスイッチ入っているなぁと思いながらアグネスタキオンと共に山の中へ移動を開始する。

 

山道はウマ娘が過酷な特訓を受ける為に手入れがされておらず、知らぬものが入れば道に迷ってしまう様になっている。

 

トレーナー達は迷わないように携帯端末に地図がインストールされている事と専用の道が用意されている。

 

アグネスタキオンのレーダーによるとどうやらトレーナー専用道の方で反応があるという。

 

「ほーう、この道に来たのは初めてだけど、そこそこ手入れされているねぇ」

 

「トレーナーの為の道だから、何かあれば担当ウマ娘と合流できるように道も作られているしな」

 

「ほう、それは興味深い、むっ、反応が近いぞ!」

 

端末を覗き込みながら歩いていくアグネスタキオン。

 

「はい、止まれ」

 

「むぐぅ!首が締まるじゃないか!」

 

「道をよく見ないと危ないぞ。ほら」

 

俺が指差すとアグネスタキオンは崖の方へ歩いていた。

 

止めるのが遅ければ、彼女は崖から落ちていた事だろう。

 

「むむ、キミに助けてもらったのは何回目だろうか?」

 

「覚えていないな。全くゴルシといい、お前も危ないことばっかりするな」

 

「その言い方だと、私が問題児みたいじゃないか」

 

「問題児なんだよ。って、それか?」

 

アグネスタキオンは両手で円筒形の物体を持ち上げている。

 

物体の端にチェーンらしきものがあり、その先は丸い物が風に吹かれて揺れていた。

 

「反応はこれから出ているようだ。持ち帰って調べようじゃないか」

 

「素手でもって大丈夫か?」

 

「放射能関係の心配はない。とにかく、コイツが電波を発しているなら調べてみなければ落ち着かないのだ!」

 

「傍から見ればマッドサイエンティストみたいな言葉だぞ」

 

「構わんさ。知的好奇心を抑えられないのだから」

 

不敵な笑みを浮かべるアグネスタキオンと共に下山する。

 

下山途中、アイク捜査官とその部下は身の丈を超える細長い何かをトラックに運び込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅむ、これはとても興味深い」

 

「戻ってきて一心不乱に調べているみたいだけど、睡眠はとるんだぞ」

 

「勿論だとも!」

 

ガリガリと土や汚れを落としながら一心不乱に作業をしているアグネスタキオンに声をかけて俺は彼女の研究室を後にする。

 

「や、やぁ、奇遇だね。トレーナー君」

 

廊下を歩いているとシンボリルドルフがやってくる。

 

動きがぎこちないが、どこか体調でも悪いのだろうか?

 

「タキオンの研究室で何をしていたのかな?」

 

「彼女の知的好奇心を満たす手伝いかな?」

 

「それは……彼女と契約を結ぶという事だろうか?」

 

探るようにこちらをみるシンボリルドルフ。

 

「いや、今のところ、俺から契約を結ぶつもりはないよ。彼女から走りたいという言葉を聞いたわけじゃないし、しかし、まさかルドルフも心配してやってきているなんてな」

 

「彼女はトレーナーがいないからね。生徒会長として心配していたのさ」

 

「すべてのウマ娘の幸福を願うシンボリルドルフらしいな」

 

「そうでもないさ。一番の幸せというものが手に入らないからね」

 

「一番の幸せ?」

 

続きを聞こうとしたところで曲がり角からエアグルーヴがやってきた。

 

「会長、こちらにいらっしゃいましたか」

 

「エアグルーヴか、どうしたんだい?」

 

「実は理事長が急ぎの用事があると」

 

「わかった。急いで向かう……では、またトレーナー君」

 

手を振りながらエアグルーヴの方へ向かうシンボリルドルフ。

 

彼女の後姿が心なしか寂しそうにみえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アグネスタキオンSide

 

彼と一緒に見つけた物体はとても興味深い事だった。

 

まず、正体不明。

 

それがわかっただけでも一科学者として刺激がありすぎるものだった。

 

私はウマ娘の神秘について赴きを置いているが、最近は地球外の物資というものに興味を持っている。

 

それは少し前に地球に現れている巨大不明性物、もとい怪獣が出現していた。

 

トレセン学園の近くに出現した怪獣もそうだが、おそらく世界各地で怪獣は現れている。

 

だが、政府の人間等が意図的に隠している可能性もあるが、それはどうでもいい事だ。

 

何より私が興味を示しているのは学園を襲撃した怪獣を倒した赤い巨人。

 

「ウルトラマンマックスか」

 

赤い巨人をゴールドシップがいつからか呼び始め、いつの間にかその呼称は世間に浸透しマスコミも彼をウルトラマンマックスと呼ばれていた。

 

ウルトラマンマックスはそれからいくつかの事件を解決している。

 

ウマ娘を誘拐していた地球外生命体の団体を撃退。

 

少し前では、海辺で出現したコウモリ型の巨大不明性物を撃退しているのもウルトラマンマックスだ。

 

「もしかしたら、この物質を調べればウルトラマンマックスについて何かわかるかもしれない……というのにモルモット君ときたら」

 

興味なさげに帰っていった彼の事を思い出してため息を零す。

 

彼との出会いは一年と少しくらい前になるだろうか?

 

ある薬を試すために近くにふらふらとやってきたところを拉致した事が出会いだった。

 

あの時はカフェに邪魔されて失敗してしまい、もう会うこともないと思っていたのだが、偶然が重なって、交流が続いている。

 

普通のトレーナーやウマ娘なら私を恐れて距離をとるというのにとんだ変わり者がいたものだよ。

 

そんな彼だが、ある不幸な出来事から担当ウマ娘が不在の時期が続いていたのだが、タマモクロスというウマ娘と契約を結んでからアイドルウマ娘のオグリキャップ、期待のルーキースーパークリークと契約を重ねている。

 

「とても興味深い」

 

彼女達の脚に興味もあるが、こうも続けて個性的なウマ娘と仲良くなれる彼の事が非常に興味深い。

 

元パートナーである皇帝サマと契約を結んではいないようだし、自分から契約を結んでみたいと進言をしてみようかな?

 

ピシリ。

 

そんなことを考えていると調査の為に持ち帰った物体に亀裂が入る。

 

「む?」

 

何かぶつけてしまっただろうか?

 

否、

 

これはひとりでに亀裂が入った。

 

身構える私の前で亀裂が次々と入っていく。

 

亀裂の入った部分を払いのけていくと金属のようなものが見えてきた。

 

「これは、調べてみないとわからないが」

 

ワクワクと無邪気な子供というほどではないが興味が出てくる。

 

色々と調べなければと手を伸ばした時。

 

カチャリという音が室内に響いた。

 

「おや?」

 

音の方を見ると自分の右腕。

 

右腕に机の上に置いてあった筈の物体が巻き付いていた。

 

しかも、側面の結晶部分らしきものが発光しているではないか。

 

これはまるで信号のように思える。

 

「ふむ、これは」

 

――モルモット君に相談だな。

 

問題の先送りを選択した。

 

 

 

アグネスタキオンSideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイク捜査官たち、特別機関が発見した未知の物体は科学センターに運び込まれた。

 

土色の化石のような物体は科学センターの一室に運び込まれていた。

 

専門家を呼んで詳しい調査をするために一日、科学センターの一室で保管されることとなる。

 

当然のことながらアイク達も交代制で監視することになってはいた。

 

事件は夜中に起きる。

 

未知の物体に突如、亀裂が入ったかと思うとそのまま真っ二つに裂ける。

 

「ファッファッファッ」

 

裂けた箇所から現れるのは昆虫を思わせるような不気味な怪人。

 

頭頂に触角のようなものを持ち、左右に広がるほどの大きな顎。

 

裂け目から出てきた怪人は右手についている端末を操作する。

 

端末の音を聞いてある方向へ歩き出す。

 

不幸な事に科学センターの見回りをしていた警備員が異変を察知する。

 

彼は懐中電灯を片手に音がするエリアに続く階段をあがろうとした。

 

「はっ!?」

 

上がろうとした警備員は階段を下りてくる怪人に気付く。

 

「だ、誰か!」

 

驚きながらも応援を呼ぼうと無線機に呼びかける。

 

怪人の触角が怪しい光を放つ。

 

「っ!」

 

悲鳴を上げる暇もないまま、放たれた光弾によって警備員の体は灰と化した。

 

その後、続いてやってきた警備員、外で見回りをしていた警備員を殺害。

 

怪人は監視カメラにその姿を映しながらゆっくりとトレセン学園がある方角の中へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、眠い」

 

「トレーナー、眠たそうだな」

 

ふらふらとトレセン学園の道を歩いていると制服姿のオグリと出会う。

 

「あぁ、オグリか、昨日、学園の裏山をアグネスタキオンと探索して歩き疲れたんだよ」

 

「あそこか、トレーニングに最適だな」

 

「まぁな。目的の物が見つかって彼女は大喜びしていた」

 

「何が見つかったんだ?」

 

「あぁ、円筒形の化石みたいなもの?」

 

「彼女は発掘作業が趣味なのか?」

 

あまりアグネスタキオンの事について詳しくないオグリの疑問に俺は何と答えたらいいか少し悩んでしまう。

 

あの物体は地球外の物だろうけれど、危険なものかと問われると判断に難しい。

 

まぁ、大体、ウルトラシリーズにおいて空からの贈り物や地底から発見された物体って危険な物なんだけど、果たしてそれがこの地球に当てはまるかと言われるとなぁ。

 

「おや、あの人は」

 

オグリが学園の門をみると慌てた様子のアイク捜査官と部下の姿がある。

 

「こんなところで会うなんて奇遇ですね」

 

俺が声をかけるとサングラスを取って柔和な笑みを浮かべているが何やら焦って

いるようにみえる。

 

「や、やぁ、確かにこんなところで会うなんて奇遇だな」

 

「何か事件ですか?」

 

「事件、あぁいや、事件というほどではないのだよ。その、あまり公表するわけにいかず」

 

「ボス!反応がこの学園にありますよ!」

 

「チーフと呼べ!後、大きな声で報告するな!あ、あぁ、すまない。我々は急ぐので、これにて」

 

小太りのサングラスの男へ怒鳴りながらアイク捜査官は学園、理事長室があるエリアに向かう。

 

あの様子からして昨日、発掘した物、あれが関係している可能性があるが……。

 

「見つけました。トレーナーさん」

 

校門をくぐった所でアグネスタキオンの友人であるマンハッタンカフェが駆け寄っている。

 

いつも淡々とした態度を取っている彼女なのだが、今日はどこか焦っているように見えた。

 

「おはよう、マンハッタンカフェ。どうし――」

 

「私の、友達が教えてくれたんです。タキオンさんが」

 

呼吸を整えながらマンハッタンカフェが伝えた内容。

 

――別宇宙でも、発掘物は警戒しなければと後になって俺は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、まさか、こんなことになるとはねぇ」

 

アグネスタキオンは学園の裏山へ来ていた。

 

乱れた呼吸を必死に整えながら周囲を警戒する。

 

「できるならコイツを無力化したいところだが、この星の技術で不可能だろう」

 

コツンと試しに近くの岩にぶつけてみるも彼女の腕に装着されている物体はびくともしない。

 

「全く、これが腕輪だったとはねぇ」

 

アグネスタキオンが見つけた物体。

 

それは腕輪。

 

しかも、只の腕輪ではない。

 

「あくまで推測でしかないが、あの怪物が私を狙っていることから推測するに、この腕輪は連中にとって必要なもの、もしくはまぁ、バカらしい考えだが、得点かな?」

 

アグネスタキオンが腕輪の事を件のトレーナーに報告しようとした時に現れた異形の怪物。

 

前に学園を襲った怪獣、少し前に人を拉致した植物怪人とも異なる新たな存在。

 

あれが自分を狙ってきたことからタキオンはいくつかの推測を立てていた。

 

そのうちの一つが突拍子もないもので。

 

「もし、私が忌避している仮説が正しいのであれば、これを企画した連中は恐ろしい存在だね。全く」

 

やれやれとため息を零していたところですぐ近くに気配を感じて崖からおそるおそる顔を出す。

 

――いた。

 

タキオンはゆっくりと顔を隠す。

 

探すように周囲を見ている異形の存在。

 

「あれは太古の生物か、はたまた宇宙人か、どちらにしても狙いは私、もしくはこの腕輪なのだろうねぇ」

 

少しでも距離をとろうと一歩を踏み出した時、足元の一部が崩れて石が音を立てて落ちていった。

 

「っ!」

 

振り返らずにスタートダッシュするアグネスタキオン。

 

少し遅れて光弾がタキオンのいた場所に直撃する。

 

「フッフッフッ」

 

小馬鹿にしたような笑い声をあげながら追いかけてくる。

 

その動きはおそらくウマ娘を超えるほどの動き。

 

「捕まったらなんて考えている場合じゃないね。全力を出さねば」

 

この時ばかりはトレーナーでも見つけて鍛えておけばよかったと軽く後悔するタキオン。

 

だが、彼女もウマ娘。

 

宇宙人だろうと古代人だろうとそうやすやすと追い付かれるなんてことはない。

 

そう考えていた彼女の前に奴は立っていた。

 

「なっ!?」

 

驚くタキオンは顔を殴られて地面に倒れる。

 

「どうし……」

 

疑問の声を漏らそうとしたところでタキオンは気づく。

 

「トレーナー専用道を通って先回りしたのか!」

 

裏山はウマ娘の訓練スペースとして使用されている。

 

だが、山道で事故や何か問題が起こった場合に救急隊やトレーナーがすぐ駆け付けられるように秘密の通路がいくつか存在する。

 

目の前の相手はその道を知っていて、先回りしたのだ。

 

不気味に笑いながら青い瞳がこちらを見下ろしている。

 

「ここまで」

 

――諦めるな!

 

怪物の動きが鈍った。

 

「あ」

 

呆然とした表情で見上げるタキオンの前。

 

怪物に飛び掛かっている彼の姿がそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諦めるな!タキオン!」

 

マンハッタンカフェから怪しい存在がアグネスタキオンを狙っているという話を聞いた俺は彼女の友達の言う場所に全力で向かった。

 

その場に到着した時、彼女は諦めた表情で相手の顔を見ている。

 

気付いたら叫んで相手に飛び掛かっていた。

 

「逃げろ!逃げるんだ!」

 

「キミ、どうして、いや、そもそも、どうやって?!」

 

「そんなことはどうだっていいだろ!奴の狙いはお前だ。すぐに」

 

「無理だね」

 

アグネスタキオンは腕を掲げる。

 

正確には腕輪をみせていた。

 

「それは」

 

「コイツが信号を発する限り、ソイツはどこまでも追いかけてくるのさ。ウマ娘に匹敵する身体能力を持つ相手だ。モルモット君、キミが叶う相手でもない。すぐに」

 

「うだうだうるさい!」

 

相手に蹴りを入れながら俺はタキオンの腕を掴む。

 

「お前、自分はやりたい研究があるとか、俺に話をしていただろう。そんな夢を果たしていないのに、こんな志半ばに諦めてしまうような事なのか!?」

 

「それは」

 

「目の前の壁があれば、乗り越える。それは研究もそうだし、レースも同じだ!諦めたらそこで終了なんだよ!」

 

彼女を無理やり立たせながら俺は相手を、ムザン星人を睨む。

 

ムザン星人、それはウルトラマンティガに登場した宇宙人。

 

捕虜にした宇宙人に発信機をつけ宇宙に解き放ち、ハントするという残忍な事をしている宇宙人だ。

 

アグネスタキオンの装着させられている腕輪に発信機が埋め込まれており、奴はそれを追ってここまできたのだろう。

 

「それに、こんな奴に、アグネスタキオンの夢が潰されていいなんてことはない!そんなことは俺が、絶対に認めない!」

 

「も、モルモット君」

 

バカにするように鼻息を漏らしながらムザン星人がこちらへ光弾を撃とうとした瞬間。

 

「撃て!」

 

山道からやってきたアイク捜査官とその部下達が一斉に発砲する。

 

回転式拳銃から撃たれた弾丸が次々とムザン星人の体に直撃する。

 

「ブォッ!」

 

弾丸を体に受けたムザン星人は彼らの方を見ると、スパークに包まれながらその体を巨大化させる。

 

頭部に人型だった部分を残しながらゴツゴツした体皮、鋭い爪、どんなものも踏みつぶせてしまいそうな足。

 

それは怪獣というべき姿だった。

 

「退避!退避ぃ!」

 

怪獣と化したムザン星人をみて、腰を抜かしそうになりながら叫ぶアイク。

 

俺は彼女を近くの岩場に座らせた。

 

「ここにいるんだぞ。アグネスタキオン」

 

「も、モルモット君。キミは何を」

 

「動くなよ。いいな!」

 

岩場に彼女を残して俺はマックススパークを掲げてウルトラマンマックスに変身する。

 

眩い閃光と共にムザン星人の前に立つ。

 

怒りを抱きながらも頭の中はクールにムザン星人に挑む。

 

ムザン星人の厄介な事は身体能力の高さもさることながら二足歩行の怪獣姿から首を伸ばして四足歩行の姿に変化することだ。

 

しかも、ギリギリのところまでその姿にならず相手の油断を突く戦法をとる。

 

迫るムザン星人の拳を躱しながらその胴体に高速で拳のラッシュを叩き込む。

 

少し距離が開いたところに左キックでさらに遠くへ飛ばすように蹴る。

 

後ろに大きくのけぞった所で俺は左腕を空高く掲げるように伸ばす。

 

 

――お前はここで倒す。

 

 

太陽エネルギーを溜めこんだ必殺技、マクシウムカノンを放つ。

 

ムザン星人は逃げることも反抗することもできず光線を受けてその体を爆発、四散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後。

 

 

 

「そういうわけで今日からキミ達のチームに入る。よろしく頼むよ」

 

「「「トレーナー!?」」」

 

翌日の、チームガレージに四人目のメンバーがやってきている。

 

言わなくても誰かわかると思うが、そう、アグネスタキオンだ。

 

「ど、どうして、あのマッドサイエンティストのタキオンがうちに!?」

 

信じられないと目を限界まで見開いているタマ。

 

俺も朝に書類を持ってきたタキオンの姿を見た時、同じ気持ちだったよ。

 

「何、モルモット君から熱烈な抱擁と素敵な言葉を頂いてね」

 

「あらあら?トレーナーさん、浮気ですか?」

 

目が全く笑っていないクリーク。

 

これ、背骨砕かれるかも?

 

「成程、チームメンバーが増えることは嬉しいな。よろしく頼む」

 

オグリだけが普通に彼女と接してくれることが救いだった。

 

「さて、モルモット君。契約時に話した事だが、私はやりたい研究がある。キミはその研究の為に手取り足取り、働いてもらうからね。あ、勿論、レースも頑張るとも、色々とよろしく頼むよ」

 

「やる気があることは結構。色々とブランクあるだろうけど、よろしく頼むぞ」

 

あのカオスの出来事から十分後。

 

自らの覚悟を語ったタキオンと俺は握手をする。

 

「それと、あんな無茶をしたら許さないからね」

 

ボソリと呟いてタマ達の方へ向かうタキオン。

 

ムザン星人を倒した後、彼女の前に姿を見せた時の事は忘れることがないだろう。

 

俺の安否を確認して滝のように涙を零していた彼女の安心した顔。

 

原因が俺にあるとはいえ、あんなことがないようにしないとな。

 

「そういえば」

 

ムザン星人の件で少し気になっていることがある。

 

アイク捜査官の話によれば、奴はカプセルのようなものに閉じこもっていたらしい。

 

俺の記憶が確かなら宇宙船に乗ってきている筈。

 

周辺を後で探してみたが宇宙船らしきものがなかった。

 

奴はどうやってこの星へ来たのだろうか?

 

目的を達成して帰ろうとして何かトラブルでもあったのか?

 

その疑問の答えは見つからなかった。

 

 




今回、いくつかの情報と四人目のメンバーになったアグネスタキオンです。

次回は、学園七不思議的なものにするか、チームのエピソードにするか、

いくつか候補はありますが、まだ、構想中なので出来上がり次第、投稿します。

ぶっちゃけた話、この作品の続きみたい?

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