好きなウルトラマンに転生したけど、トレーナーやっています! 作:断空我
今回、タイトル詐欺に近いことになっておりますが、いまいち決まらずこのタイトルにしました。
「お?なんだこりゃ?」
ゴールドシップはその日、裏山の練習場にてオカリナを拾った。
大理石のような色合いを放つ独特なデザインをしたオカリナ。
「面白そうだな」
ニコリと笑いながらゴルシはオカリナをトレセン学園に持ち帰る。
それが事件の始まりだった。
朝、俺は不幸だった。
「お、トレピッピじゃん!チース!」
「出たな、ゴルシ!」
「おうよ!可愛いゴルシちゃんだぜって、後ろにいるのは噂のサブピッピと後輩ピッピか~?」
「そうだが、変なことに巻き込むなよ」
「失礼な!そんな言い方だと変なことに巻き込んでいる奴に聞こえるぞ!」
「実際にそうだから言っているんだよ!」
被害を受けたトレーナーは一人だけじゃないから言っているんだ。
全く、コイツを引き受ける担当者は。
「あれ、そういえば、お前、担当は?」
「ゴルシちゃんの担当は、そーいや、いないな」
「いないのかよ!?」
「ま、いいや~。ゴルシちゃんはやることがあるから失礼するぜ~!」
ゴルシは懐から取り出したものを取り出して口にあてる。
「それは、オカリナか?」
「おう!じゃーなー!」
ゴルシは颯爽と去っていく。
「あの、トウマ君。彼女は」
離れた所で様子を伺っていた勝人君や桐生院君が声をかけてくる。
「ゴールドシップ、優秀な脚を持っているウマ娘なんだけどなぁ、奇行が目立ってスカウトされないんだよ」
「そう、なんですか?」
「あれ、それなら、トウマ君がスカウトすればいいんじゃ?」
「ゴルシは良い脚あるけど、本人がやる気を出さないなら無理にスカウトするつもりはないんだよ」
「でも、仲良いんでしょ?そうすれば、チーム解散は」
「勝人君」
俺はやんわりと彼をみる。
「仲良しごっこでチームを組むわけじゃないんだ。理由があるからチームを組む、それがなくなったら多分、チームは続かない。そこは忘れない方がいい」
「わ、わかりました!」
「私も勉強になります!流石、ベテラントレーナーです!」
「いやいや、俺はベテランとかじゃないから」
キラキラした瞳でこちらをみてくる桐生院に押されながら俺達はオグリ達のところへ向かう。
「トレーナー、遅かったな」
「そうか?途中でゴルシと話していた」
「ウチ思うんやけど、トレーナー、ゴルシとよう仲良くやるなぁ」
「どうだろうな?仲が良いというか、一方的に懐かれているというか」
「まさか、ゴールドシップにご飯をあげているのか!?それならば許さないぞ!トレーナー!」
ぐいぐいと距離を詰めてくるオグリ。
口の端からポタポタと涎が零れている。
少し前なら減食させているせいか、何でも食事の話に結び付けようとしてしまう。
苦笑しながら桐生院さんが止めてくれた。
「落ち着いてください。オグリキャップさん。トレーナーさんはご飯をあげていませんから、というか、お腹の音が」
「おやおや、飯を聞いてお腹が反応しているか、興味深い」
にやりと笑い近づいてくるタキオン。
“前にされた事”を思い出してオグリキャップは走り出す。
「あらあら、オグリちゃん?」
「いつもどおりやな、いくで~」
「逃がすつもりはないよ」
走り出したオグリを追いかける四人。
その様子を観察する勝人君と桐生院君。
いつも通りの日常が始まっていた。
「ふ~!おっかしいな、何か詰まっているのか?」
ゴルシことゴールドシップは裏山で手に入れたオカリナを吹こうと躍起になっていた。
「うーん、こういう時は腹に力を入れるんだったな!よし、気合入れるぞ!」
大きく息を吸い込んでオカリナに吹きかける。
ぶ~~と音が鳴った。
「うし!とりあえず鳴った!がまだだ!ゴルシちゃんの本気を見せてやるぜ!」
音を鳴らして綺麗に奏でられれば合格だ。
オカリナでうまぴょい伝説でも吹いてやろうかなぁとゴールドシップが考えていた時、
少し離れた所にテレポーテーションで現れる一体の怪獣。
独特な姿をした赤い瞳を持つ怪獣はふらふらと周囲を探っていた。
しかし、目的のものが見つからないとわかると地団駄を踏み、暴れ始める。
「お、お!?おぉぉぉおお!?怪獣!?」
暴れる怪獣に気付いたゴールドシップは急ぎ足で逃走する。
幸いにも人やウマ娘がいなかったが怪獣は逃げるゴールドシップを追いかけてきた。
「おいおい、ゴルシちゃんも人気者だなぁぁあああ!」
叫びながら逃げるゴールドシップ。
追いかける怪獣。
その時、
雄叫びと共に現れた巨人がハイキックを繰り出す。
攻撃を受けた怪獣はゴロゴロと地面を転がる。
「おぉ!?ウルトラマンマ……誰だ、あれ?」
ゴールドシップは現れたのがウルトラマンマックスだと思って見上げるもすぐに困惑の声を漏らす。
怪獣と対峙するのは赤い巨人、
但し、全体的に赤く、シルバーのラインが体や腕の部分にあり、胸元に青く輝くクリスタル。
黄色い瞳、額から延びるトサカみたいなもの。
彼こそがZ95星雲ピカリの国のヒーロー、ウルトラマンゼアスだ。
しかし、ゴールドシップはその事を知らない。
「よし、行け!」
ゴールドシップは現れたゼアスを応援する。
ゼアスはぎこちない構えを取りながら駆け出す。
怪獣は低く唸るような音を鳴らしながらゼアスに飛び掛かる。
両者がぶつかりあう!という直前でゼアスは右へ大きく跳んだ。
標的を失った怪獣は大の字で地面に倒れる。
「おぉ!?フェイントか!?」
倒れた怪獣をみて、ゼアスは腕を十字に組む。
放たれる必殺の――。
「!?」
ゼアスが放った光線はあろうことか怪獣とは全く異なる場所に放たれてしまう。
「は?」
ぽかんとしているゴールドシップの前で再び腕を十字に組む。
放たれた光線はゼアスの足元に爆発。
バチバチと連続して火花を起こして慌てるゼアス。
やがて、近くの濁った川へ手を突っ込んでしまう。
泥まみれになった手を見て慌てて綺麗な場所を探すゼアス。
しばらくして、綺麗な場所を見つけるとそのまま指先を洗い始める。
「はぁあああああ!?あ、逃げた」
チャンスと見た怪獣はそのままテレポートして逃げてしまう。
怪獣がいなくなったことに気付かず手を洗い終えたゼアスは再び立ち上がる。
しかし、怪獣がいないことに首を傾げてしまう。
「もう逃げたよ!」
ゴールドシップの言葉が届いたのだろう。
ショックを受けたゼアスはしょんぼりしながら空へ飛んでいく。
「これまた、なんというか、ゴルシちゃん好みのウルトラマン!!」
普通なら呆れるところだが、そこはゴールドシップ。
ウルトラマンゼアスに好感を抱いていた。
「ごめんなさい!」
俺の目の前で土下座をしている朝日勝人君。
一般人は知らないが彼が今日、怪獣と戦っていたウルトラマンゼアスの正体だ。
「綺麗好きが悪いというわけじゃないけどさ、流石に怪獣の前で手が汚れたからってパニックを起こしちゃうのは、その、良くないと思うよ」
「はい、でも、僕汚れが嫌いで……その、見ているだけで力が出なくなっちゃうんだ」
ウルトラマンゼアスはウルトラシリーズの中で一番の綺麗好きと言われるウルトラマンだ。
だが、映画において、その綺麗好きが潔癖症というレベルで、光線の修業中に手が汚れただけでパニックを起こし、敵の策略でカラータイマーが点滅を起こすほどに汚れが嫌いだった。
人間体において、そこまで目立つ動きはなかったから大丈夫かなと思っていたがまさかのウルトラマンに変身するとダメというのは予想外だ。
俺は無言でテレビをつける。
丁度、ニュースがやっておりそこではゼアスの事が語られていた。
「勝人君、今回は大きな被害がなかったから良いけど……俺達はウルトラマンだ。その意味を今一度、考えてほしい」
「ウルトラマンの意味?」
「それともう一つ」
こういうのは自分で気付かないといけないんだけど、お節介を焼くとするか。
「ウルトラマンの前と後ろ、そこに何があるでしょうか?」
「前と後ろ?え?」
「俺から今、言えるのはそれだけだ」
「トウマ君」
朝日勝人Side
「僕は本当にダメダメのウルトラマンだ」
トレセン学園から少し離れた所にある河原。
そこでしょんぼりとうなだれているのはウルトラマンゼアスこと朝日勝人。
彼は現れた怪獣を倒そうと変身するも手の汚れの為に戦闘を放棄して怪獣を逃がしてしまう。
「ウルトラマンの意味……前と後ろ?」
マックス、カイトが告げた事に何か意味があるのだろう。
だが、ゼアスはその答えがわからない。
「あぁもう、ダメだ!?わからない、僕は本当にダメダメだぁああああ!」
辛くなって俯いた時だ。
「どうしたの?お腹でも痛いの?」
声を掛けられたのが自分だと気づいて勝人は顔を上げる。
そこには桃色の髪を揺らしてこちらをみているウマ娘の少女がいる。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう。その、少し悩んでいてね」
「えぇ?!それは大変だ。どうすれば解決できるかな?」
「そうだねぇ、僕もどうすれば解決できるのかわからないんだ」
「うーん?お兄さんの悩みを教えて!私も一緒に考える!」
ウマ娘のハルウララの言葉に勝人は癒される気持ちを感じて、話始める。
勿論、自分がウルトラマンゼアスであることは伝えない。
似たような状況を伝えて先輩であり友人である彼からアドバイスをもらった事を悩んでいると話す。
「うーん、ウララにとって前と後ろだと、前は応援してくれる人達、後ろは追いかけてくるウマ娘かなぁ?」
「え?」
「ウララはね?来年にトレセン学園に入ってレースに沢山出るんだ!そして、一番を目指す!だから、前は応援してくれる人達がいて、後ろからウララを抜こうとするウマ娘のみんんがいると思ったの!」
彼女の言葉に勝人は目を見開く。
脳裏に過るのは彼の憧れのヒーロー。
「そうか、そういう事なんだ。彼の言っていることがわかったぞ!」
立ち上がった勝人はウララの手を握りしめる。
「ありがとう!キミのおかげで僕がどうすればいいかわかったよ!えっと……」
勝人は今になって目の前のウマ娘の名前を知らないことに気付いた。
「ウララだよ!ハルウララ!私、お兄さんの役に立てた?」
「勿論だよ!ウララちゃん。ありがとう!」
「ウーララァ!嬉しいなぁ!あ、ウララがトレセン学園に入ったらレース見に来て!」
「勿論だよ!必ず行くから!」
ウララと指切りをする勝人。
「ありがとう!ウララちゃん」
勝人は走り出す。
彼の言葉の意味を、本当のウルトラマンになる為に勝人は走り出す。
Sideout
「あー、くそ、中々に難しいな。このヤロー!」
トレセン学園から少し離れた公園。
そこでゴールドシップは拾ったオカリナを吹こうとしていた。
「何か詰まっているのか!?」
ポケットから細い針を取り出して押し込む。
「お?何か零れたぞ?」
ふるふるとオカリナを振った後に吹いてみる。
綺麗な音が鳴り出す。
「おー、よっし!」
オカリナを両手で持ち、ステップしながら吹き始める。
楽しそうに吹いている彼女の背後。
テレポーテーションで現れる怪獣。
ゴールドシップが踊るのに合わせて右へ左と似たような動きを取る。
しかし、相手は怪獣。
地団駄を踏むような動きを取ったり、手を振ったりするだけで地面は陥没し、近くの建物は壊れる。
「なんだよ?うるさいなぁ。どこかで工事でも」
周りのうるさい音に振り返るゴールドシップは固まる。
動きを止めてゴールドシップを見つめる怪獣。
怪獣の声とゴールドシップの悲鳴が重なる。
怪獣は手を伸ばしてゴールドシップを叩き潰そうとする。
「うわ、やべっ!」
逃げる為に走り出すゴールドシップだが、間に合わない。
オカリヤンが彼女を叩き潰そうとした瞬間、ウルトラマンマックスのキックが直撃。
「おぉ!?マックス!」
顔を蹴り飛ばされたオカリヤンは地面をゴロゴロと転がりながら立ち上がる。
ゴールドシップを守るように立つマックス。
両者がにらみ合う間に降り立つもう一人のウルトラマン。
『マックス、ここは僕が!』
『大丈夫なのか?』
テレパシーで会話をするマックスとゼアスの二人。
『はい!キミが教えてくれた言葉の意味、僕はウルトラマンゼアスだから!』
『わかった』
頷いたマックスは後ろへ下がる。
入れ替わるようにオカリヤンと対峙するゼアス。
「え、あの赤い奴が戦うの?大丈夫なのか?」
不安の声を漏らすゴールドシップ。
ウルトラマンマックスは静かに立っている。
――大丈夫、僕はやれる!
オカリヤンを前にゼアスは己を奮い立たせると駆け出す。
コブ爆弾を投げるオカリヤン。
ゼアスは爆弾を右へ左と跳びながら回避して、キックを入れる。
続けてチョップをオカリヤンの首筋へ入れる。
パンチがオカリヤンの顎、腹部に叩き込まれた。
当然、オカリヤンから反撃は入る。
ゼアスが汚れを苦手と察しているオカリヤンは土や水をかける
しかし、ゼアスは臆さない。
ゼアスはダメージを受けても後ろへ下がらない。
絶対に下がらないという覚悟で怪獣に挑む。
「(怖い、逃げたい、でも、僕が下がれば後ろにいる人達が危ない。だから、僕は絶対に下がらない!僕は、僕は、ウルトラマンゼアスなんだぁあああああ!)」
ウルトラマンゼアスのアッパーを受けたオカリヤンの口から複数の歯が吐かれる。
連続攻撃を受けてふらふらのオカリヤンに必殺技のスペシュッシュラ光線を放つ。
以前は変なところへ発射されたり、酷く不安定なものだったが、放たれた光線は真っすぐにオカリヤンへ直撃、大爆発を起こす。
息を吐くように肩を上下しているゼアスへウルトラマンマックスはゆっくりと肩に手を置いた。
その目をみたゼアス。
マックスは小さく頷いた。
二人は握手をする。
「おー、何か良いな。これは」
ゴールドシップは携帯端末で写真を撮る。
二人のウルトラマンが空へ去るまでゴールドシップはシャッターを押し続けた。
「ほら、みんな!頑張って~!」
オカリヤンを撃退した翌日。
ウマ娘達は当たり前のようにトレーニングに励んでいた。
「何か、勝人君、雰囲気が変わっていませんか?」
「うん?そうかもな」
ウマ娘と一緒に特訓の指示を出している朝日勝人をみて桐生院葵がぽつりと呟き、俺は頷いた。
潔癖症を一応の克服をしてみせた彼は成長した姿をみせる。
俺の言葉の意味を理解したようで汚れで怯える様子もなくなっていた。
「そういえば、先輩、これを見ました?」
彼女はクリアファイルに入れていた一枚の新聞紙をみせる。
それはトレセン学園の生徒達が自主的に発行している学園新聞。
ゴールドシップが提供した一枚の写真が貼られている。
「泥まみれのヒーロー……か」
握手しているウルトラマンマックスとウルトラマンゼアスの姿。
中々、カッコイイな。
口に出さず彼の方を見る。
逃走するゴールドシップと追いかけるエアグルーヴに巻き込まれて泥まみれになっている朝日勝人。
彼のこれからに期待だな。
「やーやー、モルモット君。面白い報告があるんだけど」
「報告?」
片手にどこかでみたオカリナを持ったタキオンがやってくる。
「学園の近くで暴れた怪獣の歯とこのオカリナを調べたら、なんと、このオカリナは怪獣の歯で出来ていたのだよ」
「え!?」
「入れ歯怪獣か」
そういえば、ウルトラマンタロウでオカリヤンという怪獣がいたけど、あれがそうなんだろうな。
確か、アイツの歯で作ったオカリナに引き寄せられて暴れるっていう話だったけど。
「先輩、笑いそうになるのでやめてください」
「とても興味深い話だよ。このオカリナを吹けば怪獣が現れるのかな?」
「やめろ、また現れるかもしれないからマジでやめろ」
オカリナを見て狂気の笑みを浮かべるタキオンを止める為に俺と桐生院が拘束に入る。
トレセン学園は今日も騒がしい。
今回でウルトラマンゼアスも一人前のウルトラマンになって、おりません!
彼にはまだ試練があり、本当のウルトラマンになるまでまだまだ道のりは険しいのです。
ウルトラマンゼアスの今後に、幸あれ!
チーム最後の一人、誰になると思う?(ちなみに未登場のウマ娘は今後出る可能性あり)
-
ナリタタイシン
-
シンボリルドルフ
-
ゴールドシップ
-
ライスシャワー
-
サイレンススズカ
-
トウカイテイオー