この作品は、原作のワールドトリガーのキャラクターやトリガーの種類や専門用語などをある程度知っていないと理解出来ない点が有りつつも、今作の独自解釈や独自設定と言ったモノが含まれる事により、原作をある程度知っていても理解出来ない事がある様なパラレル要素もある作品になっている日常系と言えなくもない様なところを目指しつつ、「あぁ、こーゆーのがチラシの裏って言うんだろうか?」と言うように、決して原作と比較して重く正確に捉えて欲しくはないが、個人的に息抜きリハビリがてら書いてみるか的な作品を、、、という定まらない見切り発車的な気持ちで書き始めたものである。
ボーダーには、架空の部署が存在する。そこが何をしてる部署なのかと聞かれたら答えは人によって変わることがある。非公式な部署だから正式部署とは言えず、ボーダー館内の地図面にもその所在は載っていないが、それが結果としてボーダーの為になっているから止める者はいない。
「この前は本部内の掃除してたよ」
「食堂で働いてるところなら見たことあるで」
「倒されたトリオン兵の回収を手伝ってくれたよ」
「チームランク戦の時に実況解説席の設営してたわ」
「戦わずに魅せるトリガーを造る! って言い出して開発してた」
誰かが困っているその時に、手が空いてれば大体の事は勝手に手伝い始めるからこう呼ばれている。
【よろず屋ハヤテちゃん】
彼女の本名は風間颯(カザマ・ハヤテ)。大規模侵攻で生き残った孤児である。本来なら施設等に預けられるところをそのトリオン能力に恵まれ、本部預かりとなった。
個室で過ごし、サイドエフェクトを活用しては、その日その日で色々なところへ行く。
彼女のサイドエフェクトは『凄く勘が良い』という第六感とも言えるものだった。どこぞの実力派エリートの劣化版とも言えるその能力は、思い付きで行動するハヤテにはピッタリのサイドエフェクトだった。
さて、『風間』という名字はボーダーでは有名である。ボーダーの中でもトップクラスのチーム。風間隊の隊長と同じ名字である。彼女と風間隊長との関係は義理の兄妹。しっかり者の兄と、歳の離れた手の掛かる問題児の妹という様な関係だ。
ここはボーダー本部の地下格納庫。ここには遠征艇というネイバーの世界に行くための艇がある。その遠征艇の下や周りをスイスイと滑る様に加速しつつクルクル回ってはジャンプをしている少女がいた。問題児である。
自動ドアが開くと同時に静かに怒声を放つ存在がいた。問題児の義兄、風間蒼也である。
「……ここで何をしている」
「兄上!見てください!」
「何をしているか聞いている」
「新しいトリガーを試してます!」
「ここは入ってはいけないと言ったはずだが?」
「言われましたが、ダメだと言われたらやりたくなるのは自然な事だとアゴヒゲに教わりました! ならばやってしまえ! やるのだカエデ! とも言われました!」
「……気持ちは分からなくはないが、ダメだと言われたらやるな」
「分かりました!ごめんなさい!」
ハヤテは悪い事をして咎められればすぐに謝れる子であった。蒼也は仕方ないとばかりにため息一つ吐きつつ上に戻るぞと声を掛ける。
上へと向かう扉に差し掛かると、視線の先の自動ドアが開く。そこに現れたのはハヤテを唆したアゴヒゲだった。
「よぉカエデ〜見に来た……ぞっ!? か、風間さん……」
「アゴヒゲ、やっぱりここ入ったらダメだってさ」
「本部長、ハヤテを発見しました。それと太刀川も確保しました」
即座に忍田に通信を取る風間。アゴヒゲは顔を覆う様に両手を添えた。終わったなダンガー。ちなみに太刀川が呼んだ『カエデ』とは勿論ハヤテのことで、初めて颯(ハヤテ)の名前を漢字で書かれて説明をされた時に楓(カエデ)と読み間違え、訂正しても治らずそのままである。どっかのクマちゃんみたいだね。
「また怒られるのかアゴヒゲ」
「あぁ、今回は大学の件も併せてな……」
「はっはっはっ、仕方のない奴めー」
「誰のせいだと思って……」
「自業自得だろ」
「……」
風間の冷静なツッコミに太刀川は何も言えなかった。
忍田本部長と鬼怒田室長に怒られる太刀川アゴヒゲを見送った後、ハヤテは最高責任者に謝りに来ていた。鬼怒田さんがハヤテの事は決して怒らないからしょうがない。
「しれー!ごめんなさいでした!」
「……次からは気をつけたまえ」
「かしこま! 兄上! 許してもらえました!」
お許しの返答を得たと思い、テレビで見た事のある敬礼を真似てすぐに隣の兄に軽いドヤ顔を披露するハヤテ。
「勘違いするなハヤテ。これは許されていない。もし次やったら本気で怒るぞ。全員が」
「……全員かー。肝煎りにしておきます!」
「肝に命じるだ。司令、俺も出来る限り見張っておきます」
「うむ」
「それで、何のトリガーだったんだアレは」
「おぉ!アレに興味があるとは頭が高い兄上!」
「お目が高い。だ。それで?」
「ふぃぎゃースケートなるものをテレビで拝見し再現したものです! モトキチ様からはお褒めの言葉をいただきました!」
それは室長は褒めるだろう。ハヤテには甘いのだから。しかし、フィギュアスケートか。と蒼也は思考する。移動系に転用という事なら有りと言えるだろう。グラスホッパーの様な瞬間的に速い直線的な動きではなく、流れる様な動きは制御も攻守の対応も取りやすいのではと考える。
「まだ7回転ジャンプは難しいのですが、6回転なら5割以上の成功率です!」
トリオン体ならそれぐらいは出来るか、と考えつつ、ハヤテの頭に手を置く。
「良いかハヤテ。報連相だ」
「はい!バター醤油でベーコンも加えましょう!」
「いや、夕食の話じゃない。さっきのフィギュアスケートのトリガーの話だ。報告・連絡・相談。略して報連相だ。これがやりたい、してもいいかという確認を周りの人にするようにするんだ」
「アゴヒゲにしました!」
「……後で相談する相手をリストアップしておく」
「かしこま!」
「それから俺はこれから防衛任務だ。夕食は一人で平気か?」
「昨日は迅鍋だったから……あ! タコパ行ってきます!」
「タコパ? あぁ生駒隊か、いや待て、迅鍋って昨日は玉狛まで行ったのか」
「はい! 林藤様が車でエスコートしてくれたのです! 帰りも送ってくれました! 私に気があると言っても過言ではありません! もう結婚ですね結婚!」
何故かハヤテは玉狛支部の林藤支部長のことが大好きである。幼心に父親と結婚すると言う一時的な感情なのだろうと気にはしてないが、過去の大規模侵攻時に亡くなったハヤテの父親と林藤支部長は似ているのだろうかと、蒼也はふと考える。もちろん気遣いが出来る漢、風間蒼也がそれを言葉にすることはない。
後日、蒼也はハヤテからタコ焼きと白飯は合うと聞かされるのだった。
「合うのか……?」
「合います!」
「合うで、タコ焼きはおかずなんやから」
『ねこだまし』は完結させたいと思っているが全く筆が乗らない状況です。何故かこっちは乗った。(続くとは言ってない)
ツッコミあるだろうから先に言っておくと、
……この話だと『よろず屋』やってねーな。