俺の運命は最弱メモリのようです   作:一般メモリユーザー

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万丈構文を思いついたので使ってみた。時系列的には風都探偵ちょっと前。

風都探偵、アニメ放送おめでとうございます!


万灯だ。

 俺は、しがない女子高校生である。変わった点としては、前世の記憶を持っていること。そして、風とエコとエゴと悪女の街風都(ふうと)在住であるということくらいだ。転生したこと自体に理屈を込めてもしょうがないだろう。なんかこう、オーロラを隔てた地球の記憶がどうたらと結論付けた。

 それはともかく、転生したからには所謂チートというものが備わっている。

 残念ながらドライバーとは縁もゆかりもないが、適合率ジャスト100%のメモリ──運命のガイアメモリに必ず出会えるというものだ。例えば、左翔太郎のジョーカー。克己ちゃんのエターナル。そんな最高の相性のメモリが存在した。周囲に誰もいないのを確認して、試しに鳴らしてみよう。

 

『MASQUERADE』

 

 ──そう。マスカレイドメモリだ。よりによって、負けたら使用者ごと自爆するあのメモリである。

 メモリに巡り合ったのも、学校の帰りにぶつかったスーツ姿の男が落としたソレが光り輝いて見えて、次の瞬間には物理法則を無視して俺の手に飛び込んできたという理由だ。落としたというよりポケットから勝手に飛び出したと表現する方が正しいかもしれないのだが、ロマンスでビギンズなナイトなどあったものじゃない。

 マスカレイド自体が量産型メモリだったので、入手自体は実に安価なものだった。というよりは貰った。未成年ということもあって、メモリの進化が云々と実験台にされているのもあるだろうが。いつぞやのバードメモリみたいに。

 変身……いや、ドーパントに変貌すると、通常のマスカレイドからマントと杖が追加されたり、普通のマスカレイドドーパントを召喚できたりする。実質土下座のゾディアーツだ。

 そんなスペックはともかく、相性は最高のメモリなわけで。当然というか、使い始めて1週間もした頃には、ハイドープの能力まで目覚めたのだ。

 そう。いつでも好きな服装になれるという能力に!

 ──今俺を笑ったか? いいよな。他のハイドープは目からビームを出せたり、催眠術が出来たりして。

 俺の場合、マスカレイドの変身時にスーツ姿になる以外に大して使い道がない。

 

 そして、そんな微妙な能力だとしてもハイドープになってしまったこと自体が問題となる。

 俺が自衛しないのは勝手だ。けど、そうなった場合、誰が代わりに来ると思う。

 ──万灯だ。万灯はハイドープになった件で、俺に興味を抱いているはずだ。だから俺がやらなきゃ、自分から降ってくるだろう。けど、今の俺じゃ仮面ライダーには勝てない。そうなれば、裏風都の連中は寄ってたかって俺を美しい犠牲にする。

 俺が自衛するしかないんだよ!

 

 仮面ライダーを知っているのに何でメモリを使うかといえば、風都で自衛手段を持たないのがどれほど危険かを知っているからだ。被害者にならないために加害者候補になるのはアレだが、100%の適合率なら毒素とかはない筈だ。多分。

 

 


 

 風都駐車場。最低限の電灯しか点いていないその場所には、二人の人間を囲むように人だかりができていた。

 コツコツと、杖が地面を突く音がする。流出したガイアメモリを抗争に使う半グレグループたちの戦場に似つかないその音ともに現れたのは、無地の仮面を着けた人物だった。

 

「(なんで俺の帰り道でドンパチやってるんだ……シークレットブーツは歩きにくいし、仮面で前は見えにくいし……)」

 

 両組織がメモリを取り出し、後はメモリの起動音であるガイアウィスパーを響かせた後に浮かび上がったコネクタに挿入するという状況で現れた第三者。それに注目した互いの組織の思惑は一致した。警察(サツ)に通報される前に、目撃者を消す。エッジ、バイオレンス、コックローチ。そういった無数のメモリが起動して超人へ変貌する中、スーツの人物は無造作にメモリを投げる。

 

「(T2みたいに投げたメモリが自動的に挿入されるの、カッコいいし便利だよな)」

 

 放られたメモリは意志を持つかのように不規則な軌道を描き、首筋へと向かう。

 

「変貌」

 

 同時に、骨だけの巨大な百足の如き怪物が背中から生成される。肋骨を思わせる脚は、その中心にいる人物を捕食するかのように包み込み、頭を喰らうかのようにその首をもたげた。仮に別の惑星の神が見れば、仮面ライダーフィフティーンのようだと思うかもしれないそのシークエンスを終えて現れたのは、風になびくマントに杖を備えたドーパント、マスカレイドドーパントだ。

 

「来い」

 

 カンッと杖を一度強く地面に突けば、周囲から同じようなスーツ姿の怪人──マスカレイドドーパントが生成される。数の有利を持っていた半グレたちだったが、それは消滅した。そして、マントのマスカレイドは跳躍し、宙に身を翻す。運よくマグマのような強力なメモリを持った者たちが光弾などを打ち出すが、マントに触れた途端にそれらは霧消した。

 

「(当たったら死ぬ! ありがとう、エターナルが捨てたのと似てるマント!)」

 

 そうして敵の渦中へ飛び込んだマスカレイドは、杖による突きや受け流しのみで敵の攻撃を捌き、的確に一体ずつ始末していっている。片手のみを使う姿からは、余裕すらも窺えた。

 

「(利き腕と逆の腕で戦うの難しいって! 適合率ジャスト100でもそういうの本能的にわかるわけじゃないんですね!)」

 

 そして、野蛮とはかけ離れた戦い方をするそのドーパントが最後の一人を倒した後、何かを奪うこともせずにただその場を立ち去る。召喚された無数のマスカレイドは、まるで幻影だったかのように跡形もなく消え去っていた。

 

「なんとかなったぁ……」

 

 ドーパントへの変貌を解除したその人物は、服装を白の仮面やシークレットブーツから普通のTシャツに変える。高校生ほどの少女へ戻った状態で家の鍵を開け、電気のスイッチを入れた。誰もいない中でダイニングへ行き、一人分の晩飯を用意する。

 

「いただきます」

 

 彼女の視界の端には、二人の写真が並んだ仏壇が映っていた。




内心とは真逆の女子高生の仮面を被って日常生活をしている(マスカレイド要素)ところがTS要素を入れた理由です。
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