俺の運命は最弱メモリのようです 作:一般メモリユーザー
万灯と話して、黒色のビゼルを貰った。とはいえ風都探偵本編が始まってからは使うことが無いだろうし、俺の資産にも余裕がある。前々から欲しかった全力の走り以外での移動手段としてはありがたいが。
ということで裏風都へ行き、『合った鼠の実例』と紹介された俺は、フィルデオ先輩……じゃなかった。秀夫くんに協力してボーンズの強化とかレイズの試行錯誤に付き合った。ブラキオサウルスのサイズ上広々とした場所が必要であり、他のメンバーには会っていない。目からビーム出せるリアクターのオッサンにもだ。
ちなみに、ドライバーrexは貰えなかった。残念。まあ、年齢の話はせずに「見た目ではなくメモリの強さと本人の習熟度が重要」みたいなことを言いつつ子ども扱いもしたのでパーフェクトコミュニケーションのはず。好感度は稼いだ。
そんなこんなで数ヶ月。
『指名手配犯:照井竜』でゲラゲラ笑ってる。まあ、笑顔になるほどの表情筋が働かないが。これで楽しそうな声とかは出せるんだから、アイドルより声の仕事の方が向いてる気がしないでもない。
ということで、照井刑事の手助けのため外出しよう。長髪を纏めて帽子の中に入れ、底上げブーツで身長を誤認させる。後はいつもの赤ジャケットで照井ファッションになれば完璧だ。
入院中に事情を確認しに来たのが照井刑事だったので、歩き方とか遠目で見た時に錯覚させるだけの観察は終えていた。一瞬で模倣できるような天才ではないが、流石に一週間もあれば大体の雰囲気は似せることができる。
そういえば、俺個人への事情聴取は照井刑事じゃなかったのだ。流石にマネージャーがやらかしたことがことであり、男性が聞くのは憚れるということだろう。ただ、現在の超常犯罪捜査課に女性刑事はいない。
ということで、G研から銀野真希が事情聴取の担当だった。彼女が言うには、メモリの使用が本人の意思と関係なく行われたことやら諸々の理由で罪に問われることはないらしい。聞けば教えてくれるだろうが、法的な根拠については興味が無いので聞かなかった。
そう思い返しながら、慌ただしく動いている警察の少し先を走る。……かかった。即座に服装を変更。こんな感じの服装の人を見なかったかと聞いてきた警察官に、駅の方角を指差す。それを何セットか繰り返して、大半が想定される逃走経路から遠ざけた頃。
「……処刑人、か」
直接は関わらないとはいえ、この事件はよく考えると俺と少なからず関わっているかもしれないと思い立った。
この事件の真相は、犯罪者──特にスリを憎んだ刑事がコマンダーメモリを使ってスリを"処刑"として殺して回っているというもので、照井刑事がガイアメモリを憎む処刑人に相応しいから一緒にやろうぜみたいな誘いをかける話の流れだったはずだ。まあ俺が直接かかわるわけでもないし、結果は変わらないだろうから動機は違っててもいいか。
当然ながら照井刑事は断るのだが、ちょっと前に俺がドーパントという加害者にしてメモリ犯罪の被害者になったので、ガイアメモリを憎めどドーパントを殺すという発想には間違いなくならないだろう。
大まかな流れは変わらないが、回想で俺が出しゃばるかもしれない。
回想で思い出したのだが、今俺が通り過ぎている博物館で、亡き園咲琉兵衛と話したことがあった。風都出身のアイドルということで博物館の紹介がメインだったのだが、館長と話したときに「少し見せたいものがあってね」と展示されていない保存資料を見せられたのだ。地元の名士がその土地出身のアイドルに興味を持ったとか、色々と表向きの理由はあるだろう。娘である若菜の存在もあるかもしれない。以前に番組で共演した。本性を知っている身としては舌打ちとか色々と懸念していたが。
恐竜の化石が並ぶ通路からバックヤードへ。そうして歩いた先にはきれいに整頓されたケースが並んでいて、その中の一つを手に取って鍵を外す。俺はそれを二重の意味で知っていた。
「──死仮面。葬儀のための」
「そう! これは我々が地中海・ロンドバレル島で発掘した弔いの仮面だ」
風都探偵10巻で出てきたあの仮面だ。……なんで俺に見せた?
「九凪くん。君とメモリの適合率については実に興味を惹かれたよ。我々のやろうとしていることは君に何の影響も齎さないが、君の存在は我々の目的を進めるにあたって意義深いものだ」
よくわかんない。そもそもガイアインパクト自体なんなのか謎というか、人類が絶滅しないように地球の記憶に刻まれる感じなのか? 適合する全人類データ人間化みたいな?
そんなわけで仮面繋がりで俺が知っている知識──もしかして、これって太古の超文明の記憶も参照できる可能性がある……?
記憶を探ってみれば、やっぱりあった。芸能関係とは別というか、世界史の教科書の注釈レベルの豆知識だったので実際の仮面を見るまでは記憶の彼方に追いやられていたのだ。
なんか俺の記憶にある、もしかしたら歴史がだいぶ動くかもしれない知識を提供する。まあ、マスカレイドメモリからの知識を脳内コピペしたものだが。多分こうしたことを知りたくて呼んだのだろう。
「やはり君と話せてよかったよ。そして──」
懐から取り出したのは金の端子を持つガイアメモリ。笑う口を象ったLのそれが俺の前に置かれた。
「これが、この死仮面を始めとした記憶を用いた、ラーフメモリだ」
……今のうちに誘導しておくか。正直俺が貰っても使いこなせる気がしないというか、ハイドープ能力で得られる電子回路のあれこれはサッパリだ。というか、求められているのは俺が使うかではなく、メモリをどうすべきかということだろう。一応、俺が使うと言えば何か変わるかもしれないが……
「……選ぶべきは、ルーク」
「ふむ。そこまで分かるのであれば、私から言うべきことはないね」
ということですまない、ルーク・ランカスター。だいぶ未来のことにはなるが、仮面ライダーに倒されて昏睡状態になってくれ。
「すまない。こうして話していたいのはやまやまだが、こちらも仕事が残っていてね」
ミュージアムのあれこれだろう。こちらから引き留める理由もないし、俺も帰るか。それから琉兵衛氏と話したことはなかったが。
夕日が見えてきて、もうVシネ本編も終わっただろうということで服装をラフなものに戻す。もう少しすれば、風都探偵が始まるだろう。
……ビゼルを持っているし、裏風都にいる理性を失ったドーパント相手に戦闘経験を積みに行ってもいいかもしれない。俺の場合は社会的な立場もあって、ストリートファイトで戦闘回数をこなすのは難しいのだ。そうなると、能力への対応など総合的な経験値を踏まえてハイドープもどきと戦う方が参考になる。ロードは、まあ知性を失っているから、死ななければ特に揉めることもないだろう。高ランクと目されるメモリと手軽に戦闘経験を積めるのはありがたいな。
そういえば、メモリブレイクなんてできないので倒したドーパントはそのまま死んでいる。まあロードに喰われるか俺と戦って死ぬかの違いだ。理性もないし、毒素でくたばる可能性もあったな。まあ、要は先が短いから大して変わらない。
余罪が増えていくが、ミュージックの時と違ってマスカレイドで負けたらそのまま死ぬから気にする必要はないだろう。地獄が存在するなら間違いなくそっちに堕ちるだろうけど、死後のことを考えても意味がないというか、そもそも俺は転生しているので死後の概念が未だに掴み切れていない。
そんなわけで、モンドラで格ゲーをやりつつビゼルで
裏風都に行っている間の白紙ページやマスカレイドの適合率と、フィリップに検索されるとマズい要素が積み重なっていく。いっそ怪しすぎて逆に白いみたいな感じにならないかな……
死仮面のくだりはやっておきたかった。