ボクと、あるちゅアスリートと、メンヘラアイドル 作:無名の案山子
作業所は、甲羅町の真ん中にある。バス停も甲羅高校前入口。 けんの親はけんに甘くて、けんはそこから南ストリートを30分行ったところに1人暮らしをしている。
けんは意外と要領よく皿洗いを終えると、皆のいるテーブルに行き、職人のちぎったパンを成形していく。
身体の、大きな男がゆっくりと皿をあらっている。
狭い作業所なので、ぼうっとしてる人がいると動き辛い。
その大男はいつも顔が赤かった。
いつも午後になると、その大男は、スタッフと面接室に行った。けんは、かかわることはないと思ってた。
帰り道、大男は空をぼうっとながめていた。そして、ううんうーと大声をあげて道に携帯ラジオを置きラジオ体操を始めた。
やべぇやつてか面白い。
けんは自転車を降りてかどに隠れた。
おいっ居るんだろ!出て来いよ。おーい。
ばれてたぼくは、しかたなく出てきた。
おまえもラジオ体操するぞ。
え、こんなところで?
誰も見てねーよ。シャイくん。
(見てるよ大男だし、目立つ顔してるし)
出、けんはつかまり、しかたなく第3体操までした。
オレん家来るか?宅飲みしよう。飲もうぜ。
いや自転車は飲酒運転になるし。
そうだなあ、おまえは飲まなくていいよ。烏龍茶おごるぜ。シャイくん。
ぼくの名前はけんです。
ああ、けんちゃんか。行こう。歩いてここから10分だ。
ぼくはドキドキしていた。
平屋建ての家だった。家の間隔は狭く、家の壁は薄かった。玄関のところに、古いボロボロのグローブがあった。
あとは、意外と綺麗に整理整頓されていた。
けんが驚いたのは、冷蔵庫の中には、ビールとつまみしか無かった。
けんは見知った栄養素の話しを延々と30分披露した。
お前はつまらない奴だな。無粋だよ。
けんは、しまった。しゃべりすぎたと思って黙り込んだ。
いいんだな、じゃあ俺の番な?
大男は、目を閉じて、首を回して深呼吸した。
おれは、プロ野球選手の、原岡清の弟の誠二だ。似てるだろ。兄貴はメジャーリーガー、おれは落ちこぼれ。
家族は兄貴に才能あると分かると、差別してきた。
メシを床に置くんだぜ。オレそのとき小5だぜ。
そのあとは、あまり喋らず、何気ない話し間を開けて、をぽつぽつした。
けんはたのしいと思ってたし疲れてもいた。
そろそろ帰るか?すまなかったな、けんちゃん。
あ、はい。
けんちゃん、そういう時は、いえいえお邪魔しました。だよ。
あ、お邪魔しました。
そうそう。
けんは原岡さんの家にまた来たくなった。学べるかも知れないからだ。大人だなあ。
けんは直樹のことを思いだす。
あとけんちゃんは、野球、興味ないか?
けんはドキッとした。
いえっ、そんな事ないです。父が野球好きで、少しルール知ってて、あ、野球ってルール複雑ですよね。
ははは、けんちゃんは、興味ない話ふると、口がとんがるんだよな。
けんは自覚ない癖を指摘されて、慌てた。
じゃあな。気おつけて帰れよ。
あ、はい。
けんは帰り道、口元が気になってしかたなかった。