黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共にテイルズシリーズへ   作:ヴィヴィオ

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やっぱり、ほぼそのままで入れたいキャラを入れる事にしました。
なお、ペストちゃんが敗れた直後の状態に変更しました。
前の部分は修正を掛けたのですが、見落としがあるかも知れません。



間桐家

 

 今日は襲撃の日という訳で楓と彼女のサーヴァントであるアーチャーと諏訪子ちゃんが我が家を訪れている。楓からは軽蔑するような視線が送られて来るが無視する。各自でテーブルに付いて報告を行っていく。

 

「間桐家について報告するわね。既に桜ちゃんは臓硯の虫を心臓に埋込められていたわ。それと間桐雁夜(まとうかりや)も戻ってきているわ。心臓に関しては予定通り、諏訪子ちゃんにお願いするわ」

「任せてよ」

「それと問題が起こったわ」

「問題だと?」

 

 あちらの戦力からしてこちらの戦力をぶつければどうとでもなるはずだが。

 

「他の使徒からの介入が確認出来た。相手は間桐に加えて使徒と人間の兵士だ。人間の兵士はどうとでもなるだろうが、眷属が問題だな」

「相手はどんなのよ?」

「相手は悪魔だ」

「悪魔か。面倒だな」

「確かにそうだな」

 

 共に席を付いているレティシアちゃんとペストちゃんも質問していく。アリエッタとプレセアちゃんは初心者講習に出向いているからな。

 

「悪魔に関してはこちらでどうにかするけど、出来たらそちらでも対応をお願いね」

「わかった。襲撃は今夜を予定しているんだよな?」

「そうよ。そちらもそのようにお願い」

「それなんだが、いっそ昼間に結界を張って襲撃しないか?」

「待て。神秘の秘匿は……」

「魔術師連中にとってはそうだな。だけど、俺達には関係無い。それに魔術師からしたら夜は本番。警戒は厳重だろう」

「それならば警備の軽い昼間という事か」

「それじゃあ、そうしましょうか。時間はお昼過ぎという事で。問題ないわね」

 

 俺達は同意して早速準備をしていく。俺の準備はレティシアちゃんとペストちゃんがしてくれるし、正装に着替えて諏訪子ちゃんを連れてゲーセンへと向かう。目的は新しい子の召喚だ。

 

「じゃあ、早速するね。メインはこの子で、合成するのはこの人達だね」

「ああ、頼む」

 

 諏訪子ちゃんが召喚を行ってくれる。召喚するの春日部(かすかべ)燿(よう)。それに鵬魔王(ほうまおう)迦陵(かりょう)とグリフィスなどを合成してギフトを手に入れた状態で召喚する。彼女は初期状態なので箱庭に来る直前となる。

 

「ここは……」

「にゃあ~」

「召喚出来たよ……って、カエルさんを掴まないで!?」

「好奇心のなせる技。本当に動いてる。不思議」

 

 14歳の彼女が諏訪子ちゃんの帽子で遊んでいる。そんな彼女も可愛らしい。彼女は充分俺の守備範囲内なので妻になってもらう。

 

「ここについて説明する」

「わかった」

 

 三毛猫を抱く彼女に使徒や眷属の事などを説明していく。

 

「つまり、私をその眷属っていうのにしたいんだね」

「そうだ。それと俺の妻になってもらう」

「嫌。プロポーズをされたのは初めてだけれど、流石に合ったばかりの人の妻になるなんて無理」

「にゃ、にゃあ!」

「まあ、そりゃそうだろうな」

 

 さて、ここからどうするかだな。

 

「それで、どうしようか」

「その子が眷属にならないなら、さっさと売っちゃおうよ」

「「え?」」

 

 諏訪子ちゃんからとんでもない言葉がでてきた。売るってなんだよ、売るって。

 

「? どうしたの?」

「いや、売るって……」

「私、売られるの?」

「眷属にならない要らないのは売って再利用するのが普通だよ? 召喚に使うGMだってすごく高いんだから、奴隷にして売り払って被害を少なくしないと」

「っ!? ど、奴隷……」

「にゃあっ!?」

 

 諏訪子ちゃんの言っている事も理解出来るが、それが普通のように言っているのが怖い。つまり、それは人間などいくらでも変わりが居るという事なのだから。いや、人間どころじゃないかも知れないな。使徒も使え無ければ変えればいいと思っているかも知れない。それよりも奴隷という事はもしかするかも知れない。

 

「奴隷って事だが、もしかして俺も買えるのか?」

「お兄さんでも買えるよ」

「……それってつまり、私に選択肢がないって事か」

「そうなるな」

 

 燿がどうしても欲しければ奴隷として売ってから買い直せばいいだけだからな。彼女もそれに気付いたんだろう。

 

「「交渉しよう」」

 

 俺と燿の言葉が重なった。彼女にすれば、この世界から逃げることも出来ないので断られれば売られるしかない。その後、俺に買われるか、買われなくても他の連中に買われるとどうなるかわからないからな。本当に神様が作った他者の事など考えられていないシステムだ。

 

「結婚して妻になるのは絶対?」

「絶対だな。妻だから衣食住も保証する」

「わかった。三食昼寝付き?」

「何時もじゃないが、暇な時は構わない。毎日大量に食べられると困るが」

「むう。じゃあ、お友達……猫や動物達は?」

「こちらにも魔物使いが居るし、その子も動物と話せるから好きにしていいぞ。自由にできる森もある。それに他の妻には吸血鬼や神霊も居る。向かう世界には幻獣なども居るから燿にとってはいいだろう」

「私の事、知ってるの?」

「知っているからこそ、召喚した」

「わかった。貴方の妻になる。これからよろしく。名前は春日部燿。燿でいいよ」

「こちらこそ。俺は月島光だ。こっちは俺達の神様の諏訪子ちゃん」

「本当に諏訪子にされるんだ。まあ、いいけど。これからよろしくね~」

「うん。よろしく」

 

 燿を抱きしめてから顎を掴んで顔を上に向けて契約の口付けを交わす。燿を眷属にしたので予定は終了だ。

 

「待って。流石にこれ以上は心の準備が居るし、ここじゃ嫌。それに……」

「わくわく、わくわく」

 

 カエルの帽子を被った諏訪子ちゃんが興味深そうに覗いている。

 

「そうだな。それに時間もないし、他の子を紹介する」

「うん」

「えぇ~」

 

 残念がる諏訪子ちゃんを無視して燿を抱き上げて自宅に戻る。話し合いをしてから召喚した上に交渉もあったのでお昼になっている。燿はプレセアちゃんに預けて初心者講習を受けて貰うつもりなのでお昼に帰ってくる二人はちょうどいい。

 

「あんまりないね」

「今から開発していく所だからな」

「GMがいっぱいあれば作れるよ!」

「無ければ作れない?」

「うん」

「それは大切だね」

「そうなんだよ」

 

 諏訪子ちゃんが俺の首にぶら下がりながら言ってくる。燿も売られそうになった事は気にしていないみたいだ。少なくとも表には出していない。

 

「あ、誰か来る」

 

 燿が三毛猫を撫でながら学校の方を指差す。そちらからプレセアちゃんとアリエッタがとてとてとこちらに向かってきていた。

 

「んっ」

「ご主人様、お疲れ様です」

 

 アリエッタは俺に駆け寄って抱きついてくる。プレセアちゃんは労ってくれる。

 

「わあ、女の子にリード付き首輪をつけてこっちはご主人様? それも小さい子に……変態だね」

 

 アリエッタは簡素なワンピースにリードが付いた首輪をしているのでそう言われても納得だ。ちなみに取り付けたのはペストちゃんだがな。教育する時にこう、クイッとしたりしている。プレセアちゃんは自分からそう言ってくれているので気にしない。

 

「否定はしない。それと首輪に関しては仕方ない部分もある」

 

 燿は俺の腕の中から飛び出して自分で立つ。三毛猫は燿が抱いたままだ。

 

「ご主人様、そちらの人は誰ですか?」

「プレセアちゃん、この子は新しい妻だよ」

「なるほど。私はプレセア・コンバティールです」

「春日部燿。よろしく」

「よろしくお願いします」

「アリエッタ、挨拶を」

「……あり、えった……」

「この子が言っていた魔物使いの子だ。魔物に育てられて魔物と会話する力を手に入れている。問題は人間社会に関しては一切知らない事だ。今も教えている最中だからな」

「そうなんだ。つまりペット?」

「否定はしない」

 

 顔を埋めて擦りつけて来るアリエッタの頭を優しく撫でてやると気持ち良さそうにする。

 

「ねえねえ、早く帰らないと不味いんじゃない?」

「そうだな。帰るぞ」

「はい」

「ん」

 

 皆で帰ると既に昼食の準備が進められていた。楓とアーチャーもこちらで食べるようだ。まあ、これから直ぐに向かうからな。

 

「また増やしたのね。全く、好き者ね」

 

 燿を見たペストちゃんは何でもないように料理を一人分追加した。レティシアちゃんも意見は無いようだ。楓からは底冷えするような視線が送られて来る。

 

「駄目か?」

「別に構わないわ。新しい玩具が増えただけなのだから」

「私、玩具?」

「ええ、そうよ。私にとって少しの面倒が増えるだけで、特に問題ないわ。私達はマスターであるコウに従うだけよ。貴方の相手をする負担が減るのだから、むしろ歓迎ね」

「私も依存はない。マスターの好きにすればいいさ」

「そうか。じゃあ、さっさと食べるとするか。それとこの子、春日部燿は無茶苦茶食べるからな。一人で食料庫を空にするくらい」

「……訂正するわ。あまり歓迎はできないわね」

「大丈夫。ちゃんとセーブするから」

「うちの食糧事情はどちらかというと悪いしな」

「要改善ね」

 

 食事を開始すると諏訪子ちゃんと燿が大量に食べだす。ペストちゃんは給仕を行い、アーチャーが料理を作っていく。

 

「ほら、口が汚れているわ」

「んっ」

 

 ペストちゃんがアリエッタの口元をナプキンで拭い、綺麗にしてあげている。

 

「どれ、私も手伝おう」

「そうね。私も料理を作るわ」

「本当によく食べるな」

 

 ペストちゃんとアーチャーが大量の料理を作っていくが、二人の驚異の胃袋の中に消えていく。

 

「私も手伝いましょう」

「俺ももういいや」

「私も」

 

 皆で協力して片付けていく。皆が食べ終わった後、二人も食べ終えた。

 

「まだまだ食べられるけど、これぐらいにしておくね」

「そうだね~」

「そうしてくれ。もう食材が無い」

「……シルヴァラントで食材を確保しないといけないわね」

「食べ放題の店に連れていった方が安つくな」

「でしょうね」

 

 店が潰れるかも知れないが、そこはまあ、アレだ。南無というだけだ。

 

「食後のお茶を用意するから待っていなさい」

「わかった。ああ、そうだ」

 

 今の間に気になった事を聞いておこう。

 

「相手にも人間の眷属が居るんだろ?」

「そうね。確認できたわ」

「なら、連中を捕虜にしたらどうなるんだ?」

「え?」

「桜達が眷属にされている可能性も充分にあるからな」

「確かに」

「そうだね~。眷属にされていてもそのまま逃げないように捕らえておけばいいよ。自分の眷属にするなら上書きするしかないけどね」

「上書き?」

「所有権の上書きだよ。眷属は死んでも使徒の下に戻るしね。捕まえておくだけじゃ意味が無いんだよ~。深く繋がった状態でなら上書きは可能だよ~」

「深く繋がった状態ってどういう事なの?」

「交尾だよ~」

「っ!?」

 

 これって異性の場合は構わないかも知れないが、同性だと無茶苦茶嫌だな。確認するか。

 

「同性ならどうするんだ?」

「ん~と、突っ込む?」

「他は!?」

「相手側と交渉したり、特殊な方法で存在を作り変えるとかなら大丈夫かな。後は売って奴隷にするように奴隷にして貰うくらいかな」

「奴隷にするのが一番まともか。奴隷から眷属には出来るのか?」

「お金を結構使うけどね」

「それが一番まともな方法か」

「そうね。開放も出来るの?」

「出来るよー」

 

 なら、やはり同性の捕虜は奴隷にしてから眷属にするべきか。眷属にしなくても開放すればいいだけだからな。

 

「さて、そろそろ行くとしましょうか」

「最悪を考えて一時撤退も視野に入れておくぞ」

「そうね。連絡は携帯電話でするわ」

「了解」

 

 楓の指示に従って移動していく。冬木市に到着すれば各自のポイントに移動して時を待つ。用意しておいて貰った携帯電話の電源を入れてイヤホンマイクを装着する。

 

『狙撃ポイントに到着した。各自、問題ないか?』

『私は問題ないわ』

「俺もだ」

 

 俺達が裏から陽動を行い、二人が表から侵入する。裏から侵入する方がこちらが本命だと思うだろう。実際は違うのだが。

 

「こちらはいつでもいい。初めてくれ」

『了解した』

『結界を発動するわ』

 

 楓がドクターから預かったデバイスを使って結界を展開する。結界が展開されると同時にアーチャーから間桐家に向けて偽・螺旋剣が放たれる。それも壊れた幻想を使ってだ。大爆発が起きて表に巨大な穴が開き、地下への道が作られる。

 

『行動開始して』

「了解。行くぞ、二人共」

「ええ」

「任せてくれ」

 

 裏口から中に入っていく。先の攻撃で表に人が集まるはずだ。だが、間桐の結界を無視して俺達が裏口から侵入すればどうだろうか?

 

「来たわね」

「虫か」

 

 大量の虫が襲いかかって来る。それはもう津波のようにだ。だが、それらは――

 

「邪魔よ」

「失せろ」

 

 ペストちゃんが放つ黒い風とレティシアちゃんが放つ影が一瞬で虫達を蹴散らす。黒い風に関しては湧き出てくる虫達を逆に襲い掛かっていく。

 

「雑魚ね」

「そりゃそうだろうな」

「油断は禁物だ」

「ああ」

 

 館を進んでいくと壁を通して大量の銃弾が放なたれてきた。それらは全てレティシアちゃんの影が伸びて防いでくれる。しかし、銃弾か。相手側の人間か。これは厄介だな。

 

「逃げたか」

「鬱陶しいわね。殺す?」

「いや、捕らえられるなら捕らえたい。相手を見て決めるが、GPが手に入るからな」

「そうね。ラッテンを助けるにはまだまだ必要なのだからいいでしょう」

「了解した」

 

 目の前からレティシアちゃんが消える。さて、これで人間は捕らえられるな。悪魔には警戒しないといけないが、そちらもペストちゃんが居るから大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 ????

 

 

 

 

 私達は合宿から帰る途中でディオドラ・アスタロトを名乗る悪魔に拉致され、無理矢理奴隷にされた後、眷属にされた。それから私達の地獄が始まった。アスタロトの命令に従って強制的に戦わさせられた。ただの人間である私達に悪魔やそれに類する存在とまともに戦えるはずもなく与えられた任務に失敗し続けた。罰則は鞭打ちや殴られるといった拷問を受ける。それでも任務に成功しないと女である私は怪物達の繁殖の道具にされてしまう。その現場を見せられた事があるけれど、あそこはまさに地獄だった。それを見た兄さん達は私を守る為に何度も拷問を受けてくれている。それもこれが最後。死ぬ事で逃げる事すら許されない私達にはもう、選択肢は残されていない。

 

「ちっ、やっぱり化け物かよ。もう失敗はできねえのに……」

「魔術師と呼ばれる存在らしいが、嫌な予感しかしないな」

「兄さん、アドウ。私……」

「気にするな。諦めなければなんとでもなる」

「ああ。どうせ死んでも蘇るんだ。特攻でもしてやるか」

「それなら狙うのは男だ。あの男を守るように二人の少女が行動していた」

 

 私の事はもういい。兄さん達を助ける為ならなんでもする。私に残された手段は繁殖所に行くか、それともあの三人組に投降するか。繁殖所には行きたくないから投降するしかない。投降しても同じようにされたらもうどうしようもない。交渉してどうにか有利な条件を引き出さなければ兄さん達が危ない。銃弾すら防ぐあの人達に勝てるとは思えないし。

 

「見つけたぞ」

「「「っ!?」」」

 

 いつの間にか金髪の背の高い女性が背後に立っていた。兄さん達が振り向き、アサルトライフルの引き金を引こうとする。だけど、次の瞬間にはアサルトライフルが切り刻まれていた。私はどうにか兄さん達の下へとたどり着く事が出来た。相手が見逃してくれただけなのでしょうけれど。

 

「三人か」

「ちっ、本当に人間かよ」

 

 兄さん達がサバイバルナイフを取り出して私を後ろに庇う。

 

「私が人間? 違うな。私は純潔の吸血鬼だ」

「「吸血鬼っ!?」」

 

 怪物の代名詞とも言われる吸血鬼。相手が悪い。悪過ぎる。不死の吸血鬼に対して対策なんて出来ていない。

 

「さて、どうするのだ?」

「例え吸血鬼といえど、一人ならば……」

「残念ね。一人じゃないわ」

 

 壁の中に居た虫ごと消滅させられて大きな穴が空く。そこから出て来たのは先程襲撃した黒い斑模様の服を着た女の子と中年の男性が入って来た。

 

「まさか、ソレスタルスフィアとは驚きだな」

 

 男性は兄さん達を見て驚いた表情をし、次に私を見詰めて来た。その視線は繁殖所に居た怪物達が私を見てきた視線に似ている。明らかに私を性的対象に見ている視線で、顔や胸など大切な部分にも集約している。。

 

「知ってるの?」

「ああ。見た事はある。遊びの戦いに関しては凄いが、完全に素人だ」

「くっ。逃げろシア!」

「こいつの狙いはお前だ!」

「まあ、中らずと雖も遠からずって所か」

「そうなの? まったく、増やしたばかりなのにね」

「マスターがお望みだ」

「はいはい」

「早く逃げろ!」

「あっ!?」

 

 兄さんが無理矢理、私を部屋から押し出した。部屋の中から何かがぶつかるような音が響いてくぐもった悲鳴が聞こえて来る。

 

「兄さん達の馬鹿。逃げても無駄なんだから……」

 

 私を売り込む為に必要な事をする。私自身のケジメの為にも。直ぐに覚悟を決めて準備が終わってから部屋の中に入る。彼らは私の気配が動いていない事を理解して待っていたのだろう。部屋の中を見渡すと兄さん達は金色の髪をした女性と斑模様の服を着た女の子が捕らえている。

 

「へぇ」

「あら、いい心がけね」

「……」

「シア、何をしているんだ!」

「兄さんは黙っていて」

 

 私は恥ずかしいのを我慢して男性の目の前まで移動する。不躾な視線が私の身体の隅々まで見てくる。

 

「交渉がしたい。見ての通り、私は首輪以外何も身に着けていない」

 

 私が取った手段は簡単。裸になって近付くだけ。武器も何も隠していない事を相手に教え、同時に相手の欲望をかき立たせる。冷静にならなければこちらが付け入る隙がある。

 

「わかった。とりあえずこれを着ろ」

「いいの? 見たければ見ればいいのに」

「真っ赤になりながら言われてもな。それに他の男に見せるのは嫌だからな」

 

 私に自分の上着を着せてくれる。この距離なら隙をつけば殺せるかと思ったけれど、無理そう。大人しく服を羽織って中途半端に見せる。

 

「それで、交渉との事だが?」

「私が貴方の奴隷になって身と心を捧げる。だから兄さん達二人を助けて欲しい」

 

 交渉と言っても、私に提示出来るのはこの身体だけ。幸い、私の容姿はいいらしいから代価になると思う。

 

「意味がわかって言っているんだよな?」

「わかってる。そうじゃないとこんな格好はしないから」

「なら、陵辱を受ける覚悟があるんだな」

「兄さん達を助けてくれるなら好きにしていい。だから、お願いします」

「シアっ、やめるんだっ!!」

「いいの、兄さん。どうせ戻っても私は繁殖所行きになって、兄さん達は酷い目にあわされるのは確実だから。それなら、兄さん達だけでも助ける」

「シア、お前……」

「二人が私を守ってくれていたから、今度は私が守る番。ありがとう」

 

 二人に言いたい事を行って男性に向き直る。

 

「お願いします。奴隷にしてください」

「嫌だな」

「っ。私には価値がありませんか?」

「いや、ありまくりだ。だが、そもそも交渉する必要もないだろう。シアを捕らえるのは簡単だ。後は無理矢理奪えばいいだけだろ?」

「それだと、心は手に入らない」

「それでもいいと言えば?」

「自害して繁殖所に行く」

 

 次第に目から涙が溢れてくる。それでも、首輪の自爆装置に手をかける。

 

「もういいんじゃない?」

「そうだな。流石にどうかと思う」

「事実を述べただけなんだが……まあ、確かに遣り過ぎたか」

「その子が可愛いから虐めただけでしょ。子供ね」

「ああ、その通りだ」

「わかったよ」

 

 どうやら二人の女性は私が奴隷になる事には賛成みたい。

 

「悪かったな。だが、シアの意思は確認出来た。だが、奴隷じゃなく妻としてなら迎え入れよう」

「妻? 私にメリットが高く……本当に虐められていただけ?」

「そうよ。最初から奴隷じゃなく妻にする気なんだから、コイツ」

 

 どうやら質の悪い人みたい。でも、妻になるならメリットがある。兄さんがこの人の家族になるんだから、少なくとも悪いようにはしないはず。

 

「分かりました。妻になります。だから、どうか二人を助けてください」

「了解。楓、こっちで一人減らす。そっちはどうだ?」

『うるさい、変態。こっちは問題なく進行中よ。もっと派手に暴れなさい』

「了解。さて、眷属なんだろ? 使徒は?」

「ディオドラ・アスタロトっていう人」

「あいつか。おびき寄せるのもいいが、下手な細工をされていたら困るな。おい、キジマ・ウィルフリッド、アドウ・サガ」

「……」

「なんだよ、おっさん」

 

 ウィルフリッドはむすっとしている。まあ、妹がこんな事になったんだから仕方ないか。

 

「お前ら、人間止める気はあるか?」

「何?」

「どういう事だ?」

 

 私は不安そうに夫となる男性を見る。

 

「吸血鬼にならないかという事だ。どうせならお前達をこんな目に遭わせた張本人に仕返しをしたくないか? その為の手段だ」

「はっ、いいね。あいつをぶっ殺せるなら喜んで人間を辞めてやるよ」

「私は……力が欲しい」

「兄さん!? アドウ!? お願い、止めて!」

「まあ、最悪の自体の時だけだ。もしも二人が死んだら吸血鬼化してこちらの勢力に上書きする。死んだらあちらに復活するしかないからな」

「ちっ、そういう事かよ」

「わかった」

 

 まだどうにかなりそう。頑張って説得しないと。兄さん達には幸せになって欲しいから。

 

「そういう事なら危なくなったらこれを飲み込め」

 

 女性が兄さん達に血液の入った便を渡してきた。

 

「それを使えば一時的に吸血鬼化する。凌ぐには十分なはずだ」

「シアはどうするのだ? 一番の問題はシアだろう」

「そっちは直ぐに俺の眷属として上書きをする」

「私達にはできないのか?」

 

 私に出来るなら直ぐにした方がいいのに。なぜ?

 

「出来ない」

「出来るじゃない」

「絶対に嫌だ! 誰が掘るか!」

「「っ!?」」

 

 兄さん達が顔を真っ青にして頷いている。どうしたんだろ?

 

「という訳で、俺はさっさとシアを眷属にするから、二人は護衛を頼む。大暴れしてもいいからな。やりだしたら絶対に奴は釣れる」

「わかったわ」

「任せろ」

「?」

 

 何を言っているのかわからなかったけれど、私は儀式をするみたい。

 

「シア、もの凄く痛いけど我慢しろよ。後で気持ちよくしてやるから」

「? はい。旦那様の仰せのままに」

 

 それから別の部屋に連れて行かれた私は言っていた意味を身を持って理解した。身体を突き破られる激しい痛みを経験する事になった。それから、遺伝子情報を与えられた後、回復魔法を掛けられながら凄く謝られた。

 

「悪かった。身体は大丈夫か?」

「凄く痛いです」

 

 恨みがましく睨むと震える身体を抱きしめられた。

 

「何かして欲しい事はあるか? 出来る限りの事はする。もちろん、二人の事は任せてくれていい」

「なら、ガンプラが欲しいです」

「それか!?」

「それです。ガンプラから離れて数ヶ月。禁断症状が……」

「冗談だろ」

「冗談。でも、好きな事は好き」

「用意するよ。デートでもして買いに行こう」

「はい、旦那様」

 

 なんとかやっていけそうではある。取ってきてくれた服を着せて貰い、抱き上げて貰う。お姫様抱っこのまま兄さん達の居る場所に移動すると、なんとも言えない光景が広がっていた。

 

「あら、もっと時間が掛かるかと思ったのだけれど」

「無理矢理急いだからな。それよりこれは……」

「なれの果てよ」

「雑魚だったな」

 

 アドウさんが手足の切り落とされた見覚えある男性を思いっきり踏みつけていた。私が確認しようとすると身体が光になって消えてしまったけど。

 

「消えたか」

「これで相手側の驚異は排除したわね」

「後は当初の予定通り進むか」

『その必要はないわ。こちらが間桐臓硯の始末を完了したから。雁夜と桜の救助も終わったし、虫の処理だけね。それはお願いできるかしら、変態さん』

「ペストちゃん」

「任せなさい。ついでに消毒よ」

 

 ペストちゃんと呼ばれた女の子が掌を床につけると黒い風のような物が吹き荒れていく。気持ち悪い虫の死体も飲み込まれ、完全に消滅してしまう。見ているだけで身体の底から恐怖心が湧き上がってくる。

 

「触れたら死ぬぞ。大人しくしていろ」

「こんなのをどうしろっていうんだよ……」

「無茶苦茶だな」

 

 次に会ったら、あの人は私が倒す。兄さん達にした報いは受けて貰う。しかし、これからが不安かな。アラン伯父さんと同じような年齢の人と結婚する訳だし。でも、大人の包容力とか……まあ、優しくしてくれるみたいだから、なんとかなるよね。痛いのは嫌だから、今度は優しくして欲しいけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、ご要望のあった春日部燿ちゃんと入れたかったシアちゃんです。
春日部 燿:異世界から問題児たちがくるそうですよ?
キジマ シア:ガンダムビルドファイターズトライ
キジマ ウィルフリッド:ガンダムビルドファイターズトライ
アドウ サガ:ガンダムビルドファイターズトライ
ディオドラ・アスタロト:ハイスクールD×D
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