黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共にテイルズシリーズへ   作:ヴィヴィオ

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ドクターと祝福の風1号

 

 

 ペストたんのご飯を美味しい頂いた。ペストたん自身はナコト写本を読んでいるだけだったけどな。

 

「ご馳走様でした」

「お粗末様。って、温めただけなんだけどね」

「それでも、ペストたんが作ってくれたから美味しいかったんだ」

「あっそ。それとペストたん言うな。何度言ったらわかるのかしら?」

「ペストたんはペストたん……や、首締めないで、折れ、る……生きできない……折れ……る……」

「ちっ」

「げほっげほっ」

 

 どうにか死なずに済んだ。全く、ペストたんは照れ屋なんだから……ちょっ、無言で蹴らないで蹴らないで! そっちに曲がらな……アーッ!!

 

「ふぅ。さて、さっさと行くわよ」

「へ~い」

 

 折られた手も不思議と元に戻ったので、家を出る為に玄関に向かう。玄関には靴が無くなっていて、代わりにスリッパがあった。こんな所も変わっているみたいだな。

 スリッパを履いて鍵を開けてから外に出てみる。外は学校の寮のような感じだ。内部は年季の入った木造建築で少し汚れている。

 

「へぇ、結構いいな」

「そう……ね……」

「ペストたん?」

 

 振り返るとボシュンという音と共にペストたんが消えてナコト写本が落ちてくる――

 

「うおっ!? ぶげっ!?」

 

 ――俺は慌ててナコト写本をキャッチして、勢い余って顔面をぶつけてしまった。取り敢えず、ナコト写本だけは無事だった。これにもしもの事があったら困るから。

 

「お~い、ペストたん? どうした?」

『わからないわ。急に力が抜けたのだけれど……んっ、んんっ!? いっ、今もどんどん抜けて……』

 

 ペストたんの声が聞こえなくなって……ヤバイヤバイっ!?

 

「ああ、くそっ、どうすれば……そっか、女神なら分かるはずだっ!! おい、聞こえてたら返事しろっ!!」

「うるせえっ!!」

 

 女神を呼ぶ為に叫び声を上げたら隣からタバコを咥えた白衣の黒髪黒目の俺と同じ中年男性が出てきた。

 

「やっと出てきたと思ったら……」

「そんな事よりも女神はどこだっ!! ペストたんがペストたんがっ!!」

「ああ? ちょっと落ち着けって。そのペストってのが菌か何か知らないが、詳しい事を教えろ。解決できるかもしれねえから落ち着いて状況を報告しな」

「あっ、ああ……ペストたんってのは俺の契約している精霊で、パートナーだ」

「精霊でパートナーね。格は?」

「格?」

「存在の格だよ、格。低級精霊とか上級精霊とかあるじゃねえか」

「ええっと……神霊?」

「最上級じゃねえか。んなの召喚できる訳ねーだろ」

「いや、でも部屋で女神が召喚してくれて……」

「違う違う、そっちじゃねえよ」

 

男が手を振りながら教えてくれる。

 

「部屋はチュートリアルが終わるまで無限回復にノーリスクの無限復活ができるんだよ。簡単に言えば、テメェは減り続けるMPを常に回復させていたから召喚が可能だっただけだ。だから解決策なんて簡単だ」

 

 男性は俺を掴んで空いていた扉から俺の部屋の中に俺を引きずり込みやがった。

 

『……きこ……る……』

「あ、声が……」

「しばらく放置しておけば召喚が可能になるはずだ。MPを鍛えれば外でも召喚が可能だろうよ」

「鍛える方法は?」

「ひたすら使い続ける。無くなるまで使って、回復させると効率がいいからな。お前の場合はソイツを連れて出たり入ったりするといいだろう」

「そっか……ありがとう。俺は月島光だ」

「自己紹介がまだだったな。俺もお前と同じ使徒……つまり先輩だな。まあ、使徒になった時期は一緒なんだが……お前は引きこもってたからな」

「いや、その……契約のせいで……」

『何よ……私の……せい……言うの……』

 

 こちらの言葉はペストたんに届いているみたいだ。取り敢えずは安心だな。

 

「いやいや、そんな事ないよ」

「契約に時間がかかってたのか。まあ、神霊とかなら仕方ねえな」

「そっちはパートナーを誰にしたんですか?」

「リィンフォース・アイン」

「担当世界は?」

「なのはだな。もう一人は神崎って女が居るが、そいつがFATEの世界を担当しているな」

「それで貴方の名前は……」

「ノインツェーンだ」

「え?」

「冗談だ。俺の名前は黒神北斗だ。よろしくな」

 

 なんか、色々と知ってそうだな。まあ、先輩みたいだし助かるけど。

 

「こちらこそ……くろ――」

「ドクターでいい」

「――ドクター。それで色々と教えて欲しいんだけど」

「いいぞ。まずは寮の入り口にあるポストから……いや、いいか。おい、アインっ!!」

 

 ドクターが呼ぶと、廊下の扉から綺麗な顔を覗かせる銀髪の女性が現れた。その姿はまさに魔法少女リリカルなのはに出てくるリィンフォース・アインその人だった。

 

「なんのようだ?」

「ああ。こいつのポストからスタートキットを取ってきてくれ」

「わかった」

 

 そう言って直ぐに引っ込んでいく。俺はこちらに振り向いたドクターを見る。

 

「取り敢えず、中で座りながら説明してやる」

「よろしくお願いします」

 

 テーブルに向かい合うように座る。

 

「それでペストたんを召喚するのにはどうしたらいい?」

「召喚は触媒を触れてイメージしろ。それだけで契約しているなら呼び出せるはずだ」

「わかった」

 

 俺は膝の上にナコト写本を乗せてイメージする。俺の膝の上で座っているペストたんを!! 直ぐにナコト写本が光り輝いてペストたんが現れた。予定通り、俺の膝の上に座る形で。

 

「ちょっ、ちょっとっ!?」

「ああ、良かった良かった」

「こらっ、抱きつくなっ!!」

 

 感極まって抱きしめるとペストたんは嫌がって逃げてしまった。残念。

 

「もういいか?」

「あ、すいません」

「ふん」

「さて、お前が担当する世界はなんだ?」

「テイルズシリーズですね」

「シリーズ物なら、行ける世界は多い。歪んだ世界の救済が役目だが……救済といってもぶっちゃけると相手側との殺し合いだ。改編された歴史はその時点で別の外史となるからな。その外史で敵を倒したりしてGPを稼ぐんだ。ぶっちゃけ、下のストーリーとかも無視していいらしい」

「GPってなんですか?」

「ゴットポイントだ。まあ、ゲームを思い浮かべればいい。GPは金だ。それもリアルマネーだ」

 

 リアルマネーって事はそれを取引するとかなり有利になるな。

 

「うちの女神は無課金だから大変だが、施設は最低限のが用意されているから問題はない。後は俺達でGPを稼いで外を発展させろって言われている。見てみろよ」

 

 言われた通りに窓から外を見ると空き地が多く見える。学校と病院、商店街と大きな門が見える。

 

「学校が訓練所で武器や魔法の使い方などを教えてくれる。病院は怪我や呪いの治療をしてもらえる。商店街は買い物だな。まあ、こっちは人がいないが」

「大丈夫なんですか?」

「持ち出す時にGPが無ければ持ち出せないからな。武器屋や服屋はここにあるから適当に買うといい」

「GPなんて持ってませんけど……」

「初期に貰えるGPが……来たな」

 

 扉がノックされ、ペストたんがアインを迎えに行った。

 

「待たせたな」

「あんた達、お茶でいいわよね?」

「ああ、すまない」

「俺もいいぞ」

「なんでもいいよ」

 

 少しして、ペストたんがお茶を入れてきてくれた。ペスト菌が入っている可能性は……あるかも知れない。

 

「アイン、スタートセットを」

「ああ。これが君のスタートセットだ」

 

 渡されたのは赤い箱だった。俺はやった事がないが聞いた事はある。なんでもD&Dで使われていたそうだ。最近のTRPG……テーブルトークロールプレイングゲームはやった事はあるが。ナイトウィザードとか、アニメにもなったよな。

 

「その中にプレイヤーシートとコンビニエンスカード……コンカが入っているから、両方に名前を書け」

「わかった」

 

 プレイヤーシートに名前を書くと、全てが自動で記入された。担当世界がテイルズだからか、テイルズ風に記載された。名前、称号、Lv.、HP、MP、EP、物理攻撃力、物理防御力、魔法攻撃力、魔法防御力、腕力、体力、知性、精神、敏捷、器用、幸運、攻撃属性、防御力属性、スキルまで書かれている。それに加えて書かれているのが童貞とか、肥満とかどういう事だよ!

 

「あら、やっぱり童貞なのね」

「うっ、五月蝿いっ!!」

「あははは……」

「くっ」

 

 アインさんにまで笑われたじゃないか……おのれ、あとでムニムニと揉みしだいてやる! 返り討ちに遭うだろうけどな。

 

「しかし、一部を除いてステータスが低いな」

「本当だ。HP、MP、体力と精神はやたらと……桁違いに高いみたいだな。MPは他のに比べたら低いようだが」

「ああ、それは私が殺しまくったからじゃないかしら?」

「そうなのか?」

「今までずっと殺され続けてました……」

 

 ああ、身体が勝手に震えてくる……おかしいな? あれ? 涙も出てきた……なんでだろ?

 

「おい、大丈夫か?」

「気にしないでいいわよ」

「ところで何回殺したんだ?」

「さぁ? 274万回までは覚えていたのだけれど、流石に数えていないわ」

「そっ、そんなに殺されていたのか……」

「まあ、神霊が手に入ったんだからいいじゃないか。それに耐性スキルも得ているだろう」

「えっと……ああ、これだな。精神耐性と即死耐性はコンプリートしている。苦痛耐性もかなりのレベルだな。斬撃や打撃耐性が合わさった物理耐性も習得しているし、まあ、なんだ……良かったんじゃないか?」

 

 スキルにかなり助けられたな。逆もしかりだけど。余計に苦痛が長引いたし。しかし、体力と精神が4桁の後半になってるのはありがたい。HPとか8桁はある。

 

「固有スキルは神霊使役者と基礎スキル、精霊魔法か」

「これがあったから彼女と契約できたのか、または無理矢理女神が習得させて進化させたのか……」

「無理矢理でしょ」

「そうか、そうだな」

 

 ペストたんの言葉で俺は無能にされた。だが、契約できたので俺は勝ち組だろう。神霊だからな、神霊! 神に等しい力を持っている精霊だから勝ち組のはずだ。ペストたんは可愛さも負けないし、誰がなんと言おうと勝ち組だ。

 

「基礎スキルは鑑定とスタッシュエリアだな。コンカもだが使えば使うほどレベルが上がって便利だからな」

「私もそれは手に入るのかしら?」

「ああ、買えるぞ。私も持っているからな」

「コウ、貴方買ってきてよ」

「そうだな」

 

 スキルやコンカは使えば使うほど上がるなら使いまくった方がいい。それにMPを増やさないといけない。しかし、EPはなんなのだろうか?

 

「EPはなんなんですか?」

「EPはエモーションポイントだな。感情を表す数値で力の増減……テンションを上げたり下げたりできる。簡単に言えばGジェネの超強気と超弱気を考えろ。それで理解できるだろう」

「確かに」

 

 超強気はクリティカルを常に発生させたりもできる。つまり、EPはEPでかなり有用なんだろう。自分で操作できればはっきり言って強い。

 

「それに思いは力になる。言霊って言葉があるだろう。あれをEPを使って多少は再現が可能だ。例えば斬れると思えば鉄を斬る事ができたりな」

「なるほど」

 

 お茶を飲みながら質問をしてわからない所を教えて貰う。

 

「ねぇ、初期GPがあるならさっさとガチャガチャってのをして貰いたいのだけれど」

「ガチャガチャは高いがな。まあ、初期GPはコンカかプレイヤーシートで確認できる」

 

 初期GPは見た感じ少なかった。いや、少ないってレベルじゃねえ。

 

「ちょっ、一桁ってなんだよ、一桁って!!」

「ぶっ!? あははははっ!!」

「おい、笑ったら駄目だろ……」

「どういう事かしら?」

「まあ、あれだ。パートナーを召喚する時、選んだ者で初期GPが変動するんだろうよ。そりゃ、神霊なんて呼べば初期GPなんてなくなるだろ。むしろサービスしてくれたんじゃねえかな」

「……仕方ないわね。鍛えてとっとと外に行くわよ」

「そうだな」

「それがいいぞ。取り敢えず少しぐらいは支援してやるよ。もし、俺達に何かあったら助けて貰えるからな」

 

 支援はありがたい。少なくともMPを鍛えてペストたんを常時活動できるようにしたいからな。回復が無料な今だからこそやらねばならない。

 

「しかし、GPを直接渡すのは止めた方がいいだろう。食料と武器でいいんじゃないか?」

「そうだな。コウのステータスだと魔法使いかタンクになった方が賢いだろう。精霊魔法も使えるんだし」

「なら、魔法使いがいいな」

「ペストの属性は闇だろう。闇の精霊魔法が使えるはずだ」

「了解」

「まあ、接近戦もできるように鍛えた方が無難だろう」

「まずは部屋と寮の出入りを繰り返してMPを鍛えるといいだろう」

「じゃあ、早速やるわよ」

「では、私達はお暇しよう。後で食料を届ける」

「ありがとうございます」

「助かるわ」

 

 御礼を言って、2人と別れる。帰り際の2人は腕を組んでいた。それを見て羨ましく思ってペストたんを見る。

 

「少なくとも私が一日中顕現できるようになってからよ」

「本当だな?」

「ええ」

「キスとかもしていいか?」

「そっ、それぐらいなら……べっ、別に構わないわよ。でも、勘違いするんじゃないわよ。好きになった訳じゃないんだから。ご褒美ってだけなんだからね」

「はいはい。ペストたんは可愛いな」

「ペストたん言うなっ! それに頭を気安く撫でるなっ!」

 

 撫でた手が振り払われた。しかも腕が飛んでいった。流石は魔王様。容赦ないな。

 

「よし、徹夜で鍛えるぞっ!!」

「まっ、まあ、頑張りなさい」

「ああ!」

 

 徹夜でただひたすら部屋と寮の廊下を行ったり来たりしてMPを消費しまくる。同時にEPも使って気力を振り絞って体力の限界まで繰り返して繰り返して、ひたすら繰り返す。休憩するのは食事の時くらいだ。まあ、体力も回復するので気力が続く限り、限界までやりまくる。全ては愛するペストたんの為にこの単純作業の苦痛を行う。反復横跳びのような感じでやって行っているのでペストたん自身も苦しんでいるだろうけど、そこは我慢して貰う。

 

 

 3日も過ぎれば回復に時間がかかるようになってきた。なので、その辺はリビングを片付けてペストたんと組み手を行う事にした。事前にMPを全てペストたんの召喚に注ぎ込めば、それが無くなるまでは存在してくれるし、部屋の中だとペストたん自身も回復するのである程度の時間は大丈夫なのだ。まあ、戦闘をするとその時間も減るのだが。

 

「どうしたの? その程度なのかしら?」

「いや、寝ずに組み手の死亡ありはキツイって!?」

「貴方の実力が未熟だから私は力を出せないの。ですぺなってのもあるって知識にあるわ? だから死んでも大丈夫な今のうちに鍛えてあげるから」

 

 ペストたんの攻撃を防ぐか避けるかしないといけないのだが、戦闘技能が違いすぎる。殴り飛ばされて関節を破壊される。腕を折られたりもしょっちゅうだ。格闘訓練が終わったら、次は精霊魔法の訓練に入る。この訓練はペストたんの腕に抱きしめられながら、8000万人もの子供達の怨念に取り込まれて子供達と協力関係になる事を目的としている。

 

「遊ぼ、遊ぼ」

「そうだな。今日は何をするんだ?」

「鬼ごっこ!」

「おままごと!」

 

 子供達と闇の中で作られた子供達の世界で遊び、関係を深めていく。ペストたんの願いの一つに子供達を救ってあげる事も含まれているからな。仲良くなったお陰でネガティブゲイトやデモンズゲートは使えるようになってきた。まあ、デモンズゲートで召喚するのは子供達の黒い霧なんだが。MPとEP、魔法を鍛えつつ頑張る。出来る限り早くペストたんと結ばれたいからな。いや、それなら祖父母の遺品とか本当に必要な物を除いて売ってGPに変えるか。それで問題児のガチャガチャをすればペストたんも喜んでくれるだろう。遺品整理とかもしていなかったし、ちょうどいいし。

 

 

 

 

 

 

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