黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共にテイルズシリーズへ 作:ヴィヴィオ
訓練を続けているとどうにかペストたんを1時間の間だけ召喚を維持できるようにはなった。戦闘をするとリミットが減るし、ペストたん自身も俺の実力が低いので実力を発揮できない。つまり、俺はまだまだ頑張るしかない。未来の嫁と楽しく過ごす為に!
「という訳でペストたんや。買い物に行こうぜ」
「買い物? あと、ペストたん言うな」
振るわれた拳を受け止めて直ぐに傾けて力を流す。そのおかげで腕が折れた程度で済んだ。折れた腕は大丈夫な片腕で戻して放置すると回復していく。非常に便利だ。
「あんた……痛がらなくなったわね」
「慣れた! ペストたんから与えられる物は全て……」
「黙れ変態っ!!」
「がはっ!?」
ペストたんは螺旋丸のように圧縮された濃厚な高速回転する闇を俺の腹に押し付けたのだ。身体は消し飛んだのか、意識がなくなって覚醒した時にはペストたんにふみふみされていた。
「それで、買い物だったわね」
「そうそう」
足を退けて起き上がる。ちなみにマゾではないのでこんなのは別になんとも思わない。ただ、ペストたんの反応が面白いのでやっているだけだ。
「売れる物は売って、GPを稼ごうかなって。値段次第じゃチャレンジとかありじゃない?」
「早く助けてくれるなら、確かにその方が嬉しいわね」
「という訳で売り物を用意する」
「手伝うわ」
「ありがと」
2人で要る物要らない物を別けて行く。俺のコレクションをいらない物に入れようとするのはなんとしても防ぐ。ゲーム類とかフィギュア、カード系統は大事な物だ。2時間ほどでアイテムを収納できる個人用の領域のスキル、スタッシュエリアに物を入れて出かける。これはMP消費無しで使えば使うほどレベルが上がって広くなっていく。俗に言うアイテムボックスとかアイテムストレージだ。
「さて、お外ですよ、お外」
「久しぶりの外ね」
部屋を出て、廊下を歩いて階段を降りる。1階には共同用の談話室やお風呂なんかがあるし、庭もある。初期の拠点としてはいいものだろう。
何事もなく無事に玄関に到着した。玄関には個人用のポストが並べられていて、俺の名前もある。
「一応中身を確認するか」
「そうした方がいいわね」
中を確認してみると、中には何もなかった。
「まあ、知り合いなんてドクターぐらいだしな」
「そうね。でも、確認は大事よ」
「ああ」
玄関で靴を履き替えて外に出る。外に出て目に入ったのは遠くにある巨大な壁と無数の空き地。その他には白い大きな建物の病院と訓練所である学校。それらの近くにある商店街が見えた。
「商店街の方に行けばいいわね」
「そうだな」
歩いてしばらくすると無人の商店街へと到着した。ここにある店武器屋、
「どこで売るの?」
「そうだな……服は服屋、道具は道具やだろ」
「わかってるわよ。それとリィンフォースが教えてくれたのだけれど、売る時に品物を記載するらしいわ」
「それで?」
「大量の品物一気に売るとボーナスが貰えるそうよ。買う時も同じね」
「それはいいな」
服屋に入って買取カウンターに売る服を置いていく。すると紙とペンが出てきた。それで売る服を書いていく。
「種類は多い方がボーナスが付くから細かく書いた方がいいわね」
「面倒だけど仕方ないな。ペストたんも手伝ってよ」
「いいわよ。それとペストたん言うな」
ペストたんと仲良く売り物を細かく書いていく。色や繊維、編み方などを書いてから売るを選択する。するとそれなりのGPになった。品物は勝手に消えたし、完全に自動化されているようだ。売り終わったら次に移動する。次は道具屋で売る。道具屋はファンタジーにあるような定番の品物が置いてあった。そう、ポーションだ。
「旨いのかな?」
「不味いでしょ」
「そうだろうな」
「買うの?」
「まさか。ここで買うよりテイルズ世界に行って買った方が絶対に安いって」
「そうなの?」
「向こうじゃ大量に作られて必需品になっているから直ぐに手に入るだろう。ここじゃGPで支払わないといけないからな。はっきり言って損だ」
回復量次第だが、固定値なら尚更役に立たない。アップルグミは30%だし、レベルが上がれば上がるほど固定値よりパーセンテージの方が得になる。それにガルドは向こうでモンスターを倒したら手に入るだろう。入らなくても、少なくとも素材は手に入る。
「じゃあ、売るだけよね? さっさとしてしまいしょう」
「それなんだけど、少しGPをスキルに使いたい」
「なんでよ? 約束を破る気なのかしら?」
「違うよ。ガチャガチャってのはランダムなんだ。当たるまでやり続けるしかない。だったら、弾丸……この場合は資金の事だが、それを大量に用意しないといけない。その為には稼ぐ手段が必要だ」
「だから他の世界に狩りに行くんでしょ」
「だけど、まだ訓練が足りないだろう。死亡したらここで復活はするって教えられたけど、死亡した場所にこちらから足を運ばないといけない。それにGPとかもかなり減るみたいだから死なない方がいいだろう」
復活時は肉体の無い魂だけの存在となり、自分の死んだ所にある身体まで行って始めて蘇生が完成する。その間はペストたん達精霊はもちろん、実体がある契約した眷属達は問題ないが、召喚された精霊などは召喚が解除されて身動きが取れなくなるとの事だ。召喚が解除されるといっても、待機状態になるだけなので俺が復活して再召喚すれば問題はない。これを防ぐ方法はGPを稼いで彼女達を完全に実体化させるくらいとの事だ。ドクターは既にリィンフォースを実体化させているそうで、その時に使われたGPを聞いたが桁が違ったので俺には使用できない。ちなみに身体が消滅していてもその場所までいかないといけないらしい。それとガチャガチャなどで手に入れた者達は実体化が必要だが、各世界から連れてきて眷属にした者は元から実体なのでそちらは問題無いらしい。
「それもそうね。いいでしょう。今は我慢してあげるわ。でも、一度だけチャレンジしたいわね」
「そうだな。必要なスキルは3つと道具だ。スキルを買って余ったらやってみよう」
「道具はいいのかしら?」
「それに関しては高いだろうから投資して貰わないといけないから……ちょうどいいし、見てみるか」
「どれが欲しいのかしら?」
「これ」
俺が選択したのは鍛冶用の初級セットと彫金用の初級セットだ。俺が選ぶスキルは鍛冶と彫金。そして付与だ。作った装備に彫金で調整して、付与を施す。作っては売って作っては売ってをひたすら繰り返すのだ。それと鍛冶に関してはプレセアを手に入れる為に要の紋が必要になる。それを作る為だ。こちらは最悪、施設を襲撃してプレセアとアリシアを助け出すついでにアルテスタも助ければどうにかなるだろうが、保険は大事だ。
「彫金用は買えても鍛冶は買えないわね」
「なのでドクターに投資を依頼しようかと……」
「いいんじゃないかしら? してもらわなくても彫金と付与で稼げばいいのだから」
「そうだよな!」
フィギュアを作って塗装まで個人でしてたし、手先はまだ器用な方だと思いたい。プロには及ばないが、それは訓練すればいい。
「じゃあ、買うか」
「まだよ。先にスキルがいいわ」
「おっと、そうだな」
「さっさとスキル屋に行きましょう」
「ああ」
スキルショップは3軒隣だ。巻物の看板が掲げられている。そのお店に入って彫金と付与のスキルを購入して習得した。鍛冶は一応、投資が受けられるまで見送りだ。道具屋に戻って彫金用の初級セットを購入する。
「それじゃあ、ガチャガチャをしに行きましょう」
「確かゲーセンだったよな」
「ええ」
商店街にあるゲームセンターに入る。ゲームセンターらしく、クレーンゲームや音ゲー、シューティング、アーケード、ガチャガチャ、スロット、プッシャーゲームなどがある。
「問題児のガチャガチャは1回メダル10000枚か」
「メダル1枚が2000GPかしら」
高い。非常に高い。問題児に出てくるキャラの性能のせいだろうけど。実際に他にも安いのもある。どちらにしろ手持ちだとメダルを3枚にしか変えられない。増やすしかない。
「ペストたんって動体視力いいよね?」
「それはもちろん、そうだけど……それとペストたん言うなって言ってるでしょっ!」
「なら増やそう」
スルーして話を進める。
「このっ……まあ、いいわ。それで、できるの?」
「ああ」
まず向かったのはスロットゲーム。その前に立って絵柄が回転している状態を見てもらう。
「メダルを入れて、このレバーを引くと回転が始まる。絵柄を合わせる事が出来たらメダルが貰えるんだ」
「簡単ね」
「絵柄は停止ボタン……これを押して止める事ができる。でも、タイミングはそれぞれ違うから調べるしかない」
「覚えれば簡単でしょうね」
ペストたんはじーとスロットを見て配列を覚えている。その間に俺はプッシャーゲームに向かう。このゲームはプッシャーゲームの内部フィールドにはあらかじめ大量のメダルが入れられてあり、往復運動を繰り返す押し板がある。この板の前に横穴からメダルを入れて溜まっているメダルを押し出して落とすのだ。落ちたメダルはそのまま手元にやってくる。メダルの数が少ない時でも、なんとか増やせるのだ。何十時間もプレイしていればそれなりに見分けられる。他にも音ゲーとか色々と遊んでいる。
「おっ、ここは落とせそうだな」
やっている人が少ないのか、落とせそうな所が何個かあった。弾丸は3発。それで増やさなければいけない。ペストたんにやってもらうスロットは実験で3枚は使うだろう。ならば、10枚くらいは欲しい。
「動く感覚もわかった……よし、行くか」
メダルを投入して板の下に入った。それから板によって押し出されたメダルは他のメダルを押し込んで塊が落ち掛ける。そこに追加で投入していく。塊が押されて保たれていたバランスが崩れて一気に落ちてくる。落ちてきた枚数は15枚。これをまた落ちそうな所に投入して稼ぐ。何回か繰り返して32枚まで増やせたのでペストたんの下へと向かう。
「お待たせ。どんな感じ?」
「ルールも配置も完璧に覚えたわ」
「じゃあ、とりあえずやってみようか」
俺はペストたんにメダルを20枚ほど渡す。
「随分と増えたわね」
「まあ、もう簡単には取れないけどな」
「そう……でも、大丈夫よ」
真剣な表情でメダルを5枚投入してレバーを下ろす。スロットに線が5本入れられて回転しだす。ボタンをペストたんが押していく。それらは全て外れた。
「いっ、言っとくけど様子見なんだからね!」
「わかってるって」
「ならいいのよ……(ぷい」
真っ赤にしながらそっぽを向くペストたん。マジで可愛い。
「今度こそ……」
もう一度メダルを投入してスロットを回す。今度は慎重に押していく。今度は絵柄が綺麗に揃ってコインが出てくる。
「ほら、どうよ!」
「なんで7で揃えないんだ? 狙えるなら揃えた方が……」
「あっ……と、当然気付いてたわよ! そっ、そう、様子見よ!」
「ああ、もう、ペストたんは可愛いな~」
「あっ、頭を撫でるなっ!? それとペストたん言うなっ!!」
頭を乱暴に撫でると上目遣いで睨んでくるペストたん。少し瞳は潤んでいて余計に可愛らしい。殴られて殺されるまで堪能する。だが、何時まで待っても攻撃が飛んでこない。ペストたんは腕を組んでそっぽを向いているだけだ。
「ペストたん?」
「ペストたん言うなっていってるでしょ! それとさっさと撫でるのを止めなさい」
「無理矢理とめないんだ?」
「だって、あなたをここでここで殺したら私は待機状態になるじゃない。そうしたら余計な手間がかかるでしょ!」
「だから大人しく撫でられてるんだ?」
「感謝なさい。それよりもさっさとやめ……って、何抱きつい来てるのよ!?」
「いや、今のうちだと思って。ほら、さっさとスロットを回しなよ」
「……後で覚えてなさいよ。訓練は厳しくしてあげるから」
「はっ、はい」
無茶苦茶怖い。でも、おかしいよな。俺が主人のはずなのに。甲斐性性がないからか。頑張らないとな。
「で、抱きつかれたままやれと?」
「ふっ、ペストたんの抱き心地のいい身体といい匂いに離れる事を身体が拒否している」
「この変態め……はぁっ、もういいわ。どうせ助けたら妻になるんだし。稼ぐのは簡単みたいだしね」
溜息をつき、そう言いながらスロットを回して今度は777を揃えていく。出てきたメダルをどんどん投入してレートを上げていく。するとジャラジャラとやたら出てくる。
「ケースを取ってくる」
「よろしく」
店内を探して置いてあるメダルケースを持って大量に溢れ出るメダルを入れていく。俺が入れていく間にもペストたんがスロットマシンからどんどんとメダルを吐き出させている。
「あっ、なくなったわね。次のにしましょう」
ペストたんはここに配置された3つのスロットマシンから全て吐き出させたメダルは40315枚という数になった。
「4回ほどチャレンジできるわね」
「問題児のガチャガチャは高いからな……」
「でも、これを元手に増やせば問題ないわね」
「おおっと、そうはいかないよ!」
声に振り向くと、そこにはカエルの帽子を被った可愛らしい金髪の少女が居た。その姿は某シューティングゲームの東方に出てくる土地神の女の子だった。
「なんなのこの子?」
「諏訪子ちゃん!?」
「この格好はお姉ちゃんの趣味だけど、諏訪子って子じゃないよ。同じ神様だけどね!」
胸を張りながら宣言する女の子。しかし、神様か……最初に聞こえた声とは別人だな。
「ここの神様とは違う気が……」
「お姉ちゃんに頼んだんだよ! 私のレベルアップの為にね。私はまだ子供だからお姉ちゃんに色々と用意して貰ったの。君達は私の初めての使徒に選ばれたんだよ」
最初の神が姉なのか。ここを用意して俺達を引っ張り込んだのもそいつだな。つまり、過保護という事か。
「それで、どうして止めるのかしら?」
「私のお小遣いがなくなるから! もうなくなって凄くピンチなんだよぉ……ぐすっ」
急にうるうると泣き出した女の子。もしかして、このメダルとかって彼女のお小遣いから出ているのか?
「だからこれ以上は駄目だよ! それだけで勘弁して!」
「ペストたん」
「仕方ないわね。召喚は問題ないのかしら?」
「うん。そっちはお姉ちゃんが準備だけしてくれたから、大丈夫だよ」
「それじゃあ、さっさと回しましょう。いえ、選んだ子を出して貰えるならメダルを出すの止めてあげるってのはどう?」
「ダメダメ! う~そこのお兄ちゃんにペナルティを与えるよ!」
「ちっ、仕方ないわね。じゃあ、これで我慢しましょう」
「別にいいじゃないか。ここまで稼げるとは思わなかったし」
「それもそうね」
「よかった~」
床にペタンと座り込む女の子。その女の子の横で手に入れたメダルを運ぼうとするペストたん。
「なあ、これってまとめられないのか?」
「できるよ。そこの穴に入れたらまとまったメダルで出てくるよ」
「そうか。ペストたん、ここに入れよう」
「ペストたん言うな! まあ、面倒だけど仕方ないわね」
大量のメダルを入れて1万と書かれたメダル4枚手に入れる。材質からして少し違うようだ。
「あ、それと召喚は私がまだ未熟だから触媒が絶対に居るからね。同じ種族とか繋がりがあるのとかを入れると強くなるから。それとサービスしてあげる」
「そう。それじゃあ、4回行きましょうか。私でいいのよね?」
「俺は別にいいよ。ペストたんが自分でやれば文句はないだろうし」
「そうね。そっちに関してはその通りよ。たんってつけるのはいい加減にして欲しいのだけれど」
「じゃあ、どう呼べと? ペストちゃん?」
「別に名前でいいのだけれど……」
「結婚したらそれにしよう」
こうすればペストたんは少しでも早く結婚しようと妥協を……しないよな。まあ、最初は面白半分でペストたんって言ってたんだが、反応が面白いから止めてないだけだし。
「ふん。2人が出たら別に構わないわよ」
「出なくてもちゃんと手伝うから先に結婚するのはありじゃないか?」
「あ、ご祝儀は送るよ~」
「そうね。まあ、全ては引いてから。これを回せばいいの?」
「そうだな。メダルを入れて回せば勝手に出てくる」
「わかったわ」
ペストたんがガチャガチャを回すとカプセルが落ちてくる。そのまま4回ほど回し続けて4個のボールが出てくる。
「これをどうするの?」
「開ければいいんだよ」
「そう……」
ペストたんが開けていく。一つ目は――
「うわっ、金髪幼女吸血鬼の裸首輪じゃねえか!」
「確か名前は……レティシアだったわね」
挿絵とか、アニメであった売られた時の姿だった。それにしてもペストたんは記憶の奥から態々思い出したようだ。
「内容は誰が決めてるんだ?」
「お姉ちゃんだよ」
「ナイス趣味だ!」
「えへへ~」
姉が褒められて嬉しそうだな。
「どういう事よこれっ!!」
「どうした?」
「どうもこうも、レティシアしか出てないじゃないっ!!」
見てみると、大人版レティシア、メイド版レティシア、魔王版ゴスロリレティシアというラインナップだった。
「ええっと……」
「え? 同じ奴の方がまとめて召喚すると強くなるよ? それに1人が召喚されると他のは意味なくなるし……」
「ちょっと待て。それってさ、向かう世界に存在しているキャラを召喚してその世界に入るとどうなるんだ?」
「上書きされるよ。こっちのが上位世界に居る存在だから、吸収されて入れ替わるんだよね。意識もちゃんと変わるから、お姉ちゃん曰く強くてニューゲーム的な?」
「なるほどな」
例えばシンフォニアでいうロイドが、こっちの世界で鍛えたり……いや、もっと分かりやすく言うと最初のロイドがラタトスクの最後の方のロイドになってるとかがありえる。ルークでいうと、最後のローレライと融合したバージョンだったりといった感じだろう。
「ねぇねぇ、これはどういう事なのよ! ランダムにしてもあまりにも酷いわよね!」
「それはサービスって言ったから……」
「えっと、男の人はこういうの好きだってお姉ちゃんが言ってたから最初の出して、他をあわせてみたんだけど……」
「うむ。俺は好きだな」
「……つまり、貴方のせいと……」
「ひぃっ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴと黒いオーラを吹き出して女の子を睨みつけるペストたん。女の子は頭を抱えて蹲ってガタガタと震えている。カエルの帽子も涙をだらだらと流している。
「こら、幼女を虐めたら駄目だぞペストたん」
「これは虐めじゃないわ……教育、躾よ」
「ま、まあ数が減ったと思えばいいじゃないか。なあ、もう一回だけ回させてあげてくれないか?」
「サポートなしなら……」
「あら、何故かしら?」
「もう、GPがないから……」
「なあ、許してやれよ」
「仕方ないわね。まあ、レティシアなら戦力にはなるし構わないか。いいでしょう」
ペストたんも納得してくれたみたいで、女の子から受け取ってそれでガチャガチャを回し始めた。そして、出たのは――
「なんで私なのよっ!?」
――ペストたんの魔王版だった。
「何もしてないよ!」
「まあ、これは仕方ないな」
「……」
「それに限界突破できるからいいと思うよ?」
「限界突破ですって?」
「うん。強くなるって言ってたのは限界値が上がるからだよ。レベル上限アップとか」
「なるほど」
アスタリアやキズナと同じか。レベル上限が上昇するんだな。しかし、テイルズでのレベル上限って200から250だよな。いくら上がるのかね。
「まあいいじゃないか。強くなれる限界が増えるんだから」
「……はぁ~。それもそうね。さっさとレティシアを召喚しましょう」
「おう。でも、その前に寄り代を持ってきたいな。レティシアは吸血鬼だし、このままだと太陽の下では生活できないだろう」
あちらの箱庭は吸血鬼の為に太陽の光に対する対策が取られていたからな。
「そうね。何かいいのがあるのかしら?」
「レティシアだったら吸血鬼繋がりで太陽の下でも平気で活動している真祖のフィギュアを突っ込めば大丈夫だろ」
「それらを寄り代にすれば大丈夫かな」
「神様のお墨付きも貰ったし、行くか」
「そうね」
「じゃあ、待ってるから持ってきてね~」
一旦、自宅に戻ってフィギュアを持ってくる。選んだのは我らが真祖様、アルクェイド・ブリュンスタッド。星の頭脳体。夢見る石。最高純度の真祖と呼ばれる存在。これとネギ魔からエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルを選んだ。さて、問題はアーカード様のフィギュアは流石に無いという事だ。いずれレティシアに赤いコートで二挺拳銃をしてもらうんだ。
持ってきて諏訪子ちゃんの格好をした神様に渡す。
「多いけどなんとかなるかな。よ~し、いっくよー」
帽子のカエルを取ってその口にガチャガチャで出た物と寄り代のフィギュア食べさせる。カエルの口がもきゅもきゅと動いてなんとも言えない感じだ。
「どれをメインにする?」
「最初の出た奴で!」
「変態ね」
「なんとでも言え! 変態で何が悪い! 男はエロいのだよ! エロこそ正義!」
「あははは、神様もえろえろだしね」
「はぁ……こんなのが私のマスターなんて……まあ、別にいいか。使えればそれで」
「まあ、エロいってのも理由だが、他にも理由はある」
「なによ?」
「多分、扱いやすい」
「……」
そんな話をしている間にカエルの帽子が大きくなって口から小さな女の子が吐き出された。膝まである綺麗な金色の髪の毛、黒い大きなリボンを頭の後ろに着けている裸の女の子。彼女が身につけている物は黒い首輪と手枷と足枷。開けないように両腕に付けられた手枷には首輪から伸びた一本の鎖が繋がれている。長い鎖はそのまま床に置かれ、両足には走れないように足が少し開ける程度の長さの鎖が足枷に取り付けられている。
「うわっ、本物のレティシアちゃんだ!」
「確かにレティシアね」
「召喚成功~後は頑張ってね。私は疲れたよ……お休み」
神様の女の子はそのままゲームセンターの奥へと消えてしまった。よく見れば奥にベッドがあって、眠れるようになっていた。どうりでゲームセンターなのに静かだと思った。
「私は……そうか、売られたのだったな。お前が私を買った新しい飼い主か」
レティシアちゃんは俺を見上げながらそう言ってくる。記憶はメインにした状態なのか。ペストたん別人としての記憶があるようだが、今回はどちらかというと、過去の売られたバージョンのままのようだ。つまり、IFルートだな。
「レティシア、貴方は私の事を覚えている?」
「? すまないな。どこかであったかも知れないが……いや、見覚えはある。だが、思い出せない。他にも何個か記憶があるが、私が全てを思い出せるのは売られたという事ぐらいだ」
「そう……なら私と同じという事ね」
「まあ、これは元にしたせいだろう。思い出すかも知れないが、別にどっちでも問題ないだろう」
「そうね。貴方の変態趣味がレティシアに行くならそれはそれで私は助かるのだから」
「……」
「さて、レティシアちゃんのさっきの発言だが、リテイクを要求する」
「? どういう事だ?」
「こういう時は“問おう、貴方が私のマスターか”って言わないと!」
「この馬鹿は……」
言って欲しいセリフだよな。FATEは担当じゃないから仕方ないけどさ。
「そういう物なのか。問おう、貴方が私のマスターか……これでいいのか?」
「ああ、ナイスだよレティシアちゃん!」
「そうか。それでどうなのだ?」
「そう、俺がレティシアちゃんの新しいマスターだよ。その身体も心も全て俺のモノだから、いいかな?」
「了解した。この身は買われた物だ。貴方の、マスターの好きにしてくれ」
「じゃあ、早速だけど俺に心と身体を捧げ永遠の忠誠を誓うって事で契約の口付けをしようか」
「? そのような事が必要なのか? まあ、構わないが。だが、このままでは締まらないな。名前を教えてくれ」
「月島光だ」
「コウだな。では、箱庭の騎士レティシア・ドラクレアの名の下、我が身、我が心、我が剣を主たる月島光に捧げ、永遠の忠誠を誓う」
俺の前に跪いて誓いの言葉を宣言する。その言葉と発せられる空気は騎士のそれだった。箱庭の騎士とだけ言われた事はある。FATEのクラス的にもセイバーだろう。
「誓いの口付けを……むっ、しゃがんでくれ」
「おっと、悪い」
「んっ」
俺がしゃがむとレティシアちゃんの綺麗な顔が近付いて来て、唇に触れる。その瞬間にパスが繋がってレティシアが俺の使い魔、サーヴァントとなったのがわかった。俺はそのままレティシアちゃんを抱きしめて髪の毛や柔らかいスベスベの肌を触る。プラチナブロンドの髪の毛と肌は絹のように肌触りで素晴らしい。
「ねえ、何時までレティシアにその格好で居させるつもりかしら?」
「む。そうだな……」
「私はマスターに命じられたのなら、このままの格好でもいいが……」
「駄目だ。その格好もいいが、他の男に見られたくは無いし、何よりも風を引くだろう。てな訳で手枷と足枷を外すか。どうやって外すんだ?」
「マスターが触れて外すという意思を込めれば問題ないはずだ」
「わかった」
言われた通りにすると、手枷と足枷が外れる。足枷を外す時にレティシアちゃんの大事な所が見えて興奮してしまったが、なんとか振り切った。
「首輪の鎖も外すか。それとこれを着てくれ」
「助かる。本当は凄く恥ずかしかった」
「そうよね」
俺は首輪の鎖も外して、脱いだ上着をレティシアちゃんに渡して着てもらう。レティシアちゃんは服を着た後、落ち着いたようだ。俺のは大きいので膝辺りまであり、大事な所はしっかりと隠れた。
「さて、それじゃあレティシアちゃんの服を買いに行くか」
「それは別にいいのだけれど、GPがないわよ」
「あっ……仕方ないか。俺の服でも着てもらおう」
「そうね。レティシアは服とか持ってないでしょ?」
「ああ。私は何も持っていない」
ペストたんの時は元にした状態が服のままだったから有ったんだろうが、レティシアちゃんの場合は全部取り上げられてるから服はないのだろう。
「なら仕方ないわね」
「だな。さて、帰るか」
俺とペストたんは一緒にゲームセンターから出て太陽の光が降り注いでいる道へと出る。
「待ってくれ。ここは箱庭ではないのだろう?」
「そうだけど?」
「私は外に出ては死んでしまう」
「ああ、大丈夫だから。いや、そのはずだから少し試してくれないか?」
「そうね。そっちの方がいいわ」
「マスター達がそう言うなら……」
恐る恐る、本当に恐る恐る指先を外に出す。吸血鬼なら指先が砂になって溶けるはずだが、レティシアちゃんの指は綺麗なままだ。
「これは……」
そのまま太陽の下に出てくるレティシアちゃん。その顔は嬉しそうだ。
「はっ!? ここはやっぱり箱庭の中なのか?」
「いや、外だよ」
「箱庭ではないわね。いえ、別の箱庭かしら?」
「別の? では、ここは対策がされているのか」
「いや、されてないんじゃないかな。ただ、レティシアちゃんは太陽を克服した高位なる日の下を歩くもの(ハイ・デイライトウォーカー)になったんだよ」
「そう、なのか……信じられん」
「現実よ。それとレティシアは売られた訳ではないわよ。むしろ、奪い取ったんじゃないかしら」
「なんだと?」
「詳しくは家に着いてからよ」
「わかった」
「じゃあ、手を繋いで帰ろうか」
「嫌よ」「わかった」
レティシアちゃんは素直に手を繋いでくれたが、ペストたんは拒否した。まあ、レティシアちゃんだけでいいか。ペストたんはじっくりと待とう。
寮に着いたら直ぐに部屋に向かってレティシアちゃんにYシャツを着て貰う。ちなみにYシャツはかなり大きいので膝くらいまで届いてしっかりと隠れる。裸Yシャツでも問題はない。着替えが終わってから説明していく。
「ふむ。では、私はマスターの使い魔となったので共に戦って世界を救わねばならないと」
「ああ。騙して悪いね。でも、レティシアちゃんが欲しかったから。だから、騙した事に後悔はしていないよ」
「そうか。そんなに求めてくれるなら構わない。そもそも私は愛玩動物として売られたのだ。二度と太陽の下に出られずに身体を嬲られ続けるのかと思っていたのだ。日向ぼっこをさせて貰えるだけで充分だ」
「確かに気持ちいいからな~」
「うむ。ただ、戦うという事ならすまないが頼みがある」
「なんだ?」
「血を飲ませてくれ。そうじゃないと私は戦えない。嫌だと思うが――」
「わかった。死なない程度なら大丈夫だよ」
「いいのか?」
「もちろん。俺のお嫁さんになって貰うし、身体の手入れもしっかりとしないとな」
「そっ、そうか」
「ほら、お茶よ」
「すまない」
「ありがとう、ペストたん」
「ペストたん言うな! それてメイドの仕事と戦闘訓練もやってもらうから。私だけじゃ手が回らないのよね」
部屋の掃除とか大変だしな。男の1人暮らしだったし、彼女も居なかったので部屋はかなり散らかっている。俺の部屋とリビングだけは片付けてあるけど、他の部屋とか埋まってる。
「心得た。せめて下着が手に入るまでは外に出たくないからその間に掃除しよう」
「やり方は教えるわ」
「それじゃあ、よろしく。俺は訓練に入るから」
「ええ。しっかりと教えておくわ」
「よろしく頼む」
俺は手に入れた彫金スキルでいらない物に刻印を刻んで付与スキルで精霊魔法を付与する。これを繰り返していく。付与は刻印魔法なので彫金で刻んだ方が書くより確実だし、威力が上がる。要の紋もこれを利用して作れるかも知れないな。しかし、早く鍛冶をしたいな。結婚指輪は自分で作った物をできればあげたいから。