恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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10話です。


10話

盗賊団の砦は、山の影に隠れるようにひっそりと建てられていた。

 

純「見つけた時思ったが、メンドーなトコに隠れやがって。」

 

稟「そうですね。先程の場所からはすぐ近くでしたが、山の影に隠れてますし、ここだと絶好の隠場ですね。」

 

風「盗賊団にとっては、非常に良い場所ですね~。」

 

純「そうだな。」

 

そんな話をしていると

 

華琳「許緒。この辺りに他に盗賊団はいるの?」

 

華琳は許緒に盗賊団の事を尋ねた。

 

季衣「いえ。この辺りにはあいつらしかいませんから、曹操様が探してる盗賊団っていうのも、此処だと思います。」

 

華琳「敵の数は把握できている?」

 

秋蘭「はい。およそ三千との報告がありました。」

 

これには

 

栄華「数百か、せいぜい千という話ではありませんでしたの?こちらは千ほどしかいませんわよ・・・?」

 

春蘭「おのれ。あの女狐め・・・。」

 

それぞれそう言った。

 

純「いや、三人から千まで膨れ上がった期間を考えるなら、三千でも少ねーくらいだぞ。」

 

華琳「そうね。純の言う通りだわ。」

 

桂花「とはいえ、連中は集まっているだけの烏合の衆。統率もなく、訓練もされておりませんゆえ・・・我々の敵ではありません。」

 

華侖「じゃあ、このままとつげきー!って突っ込んで、わー!って一気にやっつけるっすか?」

 

華侖の問いに対し桂花は

 

桂花「まさか。それなら、春蘭でも出来るでしょう。軍師のいる意味がないわよ。」

 

と答えた。

 

春蘭「なんだと!私でも出来るとは、どういう事だ!」

 

それに対し、春蘭はそう言って噛みついたが、

 

純「・・・それで、策は?糧食の件も忘れてはいねーぞ。」

 

純は春蘭の発言をスルーした。

 

春蘭「じ、純様ぁ・・・。」

 

華琳「春蘭、そう泣かないの。」

 

春蘭「か、華琳様ぁ・・・。」

 

桂花「はい。まず華琳様と純様は少数の兵を率い、砦の正面に展開していただきます。その間に春蘭・秋蘭の二人は、残りの兵を率いて後方の崖に待機」

 

桂花「本隊が銅鑼を鳴らし、華琳様の朗々たる名乗りをもって挑発すれば、怒り狂った敵はその誘いに応じ、間違いなく外に飛び出てくる事でしょう。」

 

桂花「その後に華琳様と純様は兵を退き、十分に砦から引き離したところで・・・」

 

秋蘭「私と姉者で敵を横合いから叩くわけか。」

 

桂花「ええ。お二人にさらに香風と許緒を加えれば、三千の敵とて羊の群れに等しくなりましょう。」

 

香風「わかった。」

 

季衣「うん!僕、頑張るよ!」

 

純「ほお、俺を使うか。稟、風。どう思う?」

 

稟「悪くない策かと思います。純様の武勇ならば、奴らを殲滅する事は容易かと。」

 

風「風も同じ意見です~。」

 

純「そうか。」

 

その時

 

春蘭「・・・おい待て。」

 

春蘭が待ったを掛けた。

 

純「何か問題があるのか?春蘭は攻撃に回る方が良いだろう?」

 

春蘭「そこは構わないのですが・・・その策は何か?華琳様と純様に囮をしろと、そういうわけか!」

 

華琳「話を聞いてる限りでは、そうなるわね。」

 

純「そうなるな。」

 

桂花「何か問題が?」

 

春蘭「大ありだ!華琳様と純様にそんな危険なことをさせるわけにはいかん!それにこの程度の敵、純様がわざわざ危険を冒してまでやる事ではない!」

 

桂花「反対を口にするなら、反論をもって述べていただけると助かるんだけど?春蘭。」

 

春蘭「ど、どういう意味だ。」

 

純「反対するなら、他にもっと良い作戦を提案しろって事だよ。」

 

春蘭「烏合の衆なら、私と純様で正面から叩き潰せば良かろう。私と純様なら、この程度の敵、すぐに叩き潰せる。」

 

この答えに

 

華琳「・・・。」

 

桂花「・・・。」

 

華琳と桂花は呆れてしまった。

 

純「お前なぁ、それ、説明の一番最初の所で否定されたばっかりだからな?」

 

華侖「え、そうなんすか!?」

 

柳琳「姉さん・・・。」

 

純(否定された張本人も気付いてねーし、ったくコイツは・・・。華侖もだがな。)

 

桂花「油断した所に伏兵が現れれば、相手は大きく混乱するわ。それに乗じれば、烏合の衆はもはや衆ですらなくなるのよ。」

 

桂花「貴重な我が軍の兵と、もっと貴重な華琳様のお時間を無駄にしないためには、この案を凌ぐ策はありません。」

 

春蘭「な、なら、その連中が誘いとやらに乗らなければ・・・?」

 

桂花「・・・ふっ。」

 

春蘭「な、なんだ!その馬鹿にしたような・・・っ!」

 

桂花「純様。相手は志も持たず、武を役立てることもせず、そのちっぽけな力に溺れる程度の連中です。間違いなく、春蘭よりも容易く挑発に乗ってくるものかと。」

 

春蘭「・・・な、ななな・・・なんだとぉー!」

 

純「ふっ。お前の負けだ、春蘭。」

 

華琳「そうよ、春蘭。あなたの負けよ。」

 

春蘭「か、華琳様ぁ・・・純様ぁ・・・。」

 

純「・・・とはいえ、春蘭の心配も一理ある。次善の策はあるんだろう。」

 

桂花「この近辺で拠点になりそうな城の見取図は、既に揃えてあります。もちろんあの城の見取図も確認済みですので、万が一こちらの誘いに乗らなかった場合は・・・」

 

桂花「城を内から攻め落とします。」

 

純「方策は。」

 

桂花「残った城をすぐに新たな拠点として転用出来るものから、向こう百年ネズミ一匹立ち入れなくするものまで、ざっと三十。」

 

純「そうか・・・。分かった。なら、まずはその策で行こう。宜しいですね、姉上?」

 

華琳「構わないわ、全て任せるわ。」

 

春蘭「純様っ!」

 

純「これだけ勝てる要素しかない戦いに、囮のひとつも出来ねーようじゃ・・・姉上が許緒に語った覇道など、とても歩めねーよ。」

 

華琳「ええ。純の言う通りだわ。」

 

桂花「その通りです。ただ、単に賊を討伐しただけでは、誰の記憶にも残りません。せいぜい、近くの村の者に感謝される程度です。」

 

桂花「ですが、他国から請われて遠征し、そこで公明正大な振る舞いをし、万全の成果を上げて凱旋したとなれば・・・華琳様の名は一気に天下に広まります。」

 

桂花「栄華、柳琳、華侖。3人は、本隊の華琳様と純様の援護を頼むわ。」

 

柳琳「承知しました。」

 

栄華「ええ。・・・しかし、私の下で働いていた貴女に指示を受けるというのも不思議な気分ですわね。」

 

桂花「それは私も同じよ。けど、そこを伏してお願いするわ。」

 

栄華「もちろん。そこに私情を挟みは致しませんわ。」

 

しかし

 

華侖「ぶー。あたしも春姉ぇ達と一緒に暴れたいっすー!」

 

華侖が我儘を言ってきたのだった。

 

華琳「華侖。わがままを言わないの。」

 

と華琳がたしなめたが、

 

華侖「でもでも、今回あたし出番が全然ないっすよー。季衣の時も何もしてないし。せっかくの遠征なのにー。」

 

と言ってきたのだった。すると、

 

季衣「なら、僕が曹操様の護衛に入るんじゃダメですか?」

 

と季衣が言ってきた。

 

香風「えー。季衣と一緒に戦ってみたいなー。」

 

春蘭「それは私も同じだな。」

 

桂花「純様・・・如何致しましょう。」

 

純「なら華侖、お前は許緒と交代しろ。最前線に立つ経験を積むのも、たまにはいいだろう。」

 

華侖「やったっす!」

 

純「そして許緒。お前は集団での戦がどういうものか、本陣でそれを見届けな。今までと同じように最前線で敵を倒すよりも、得るものは多いはずだ。」

 

華琳「もちろんこちらにも賊は来るだろうから、それを追い返すのは純と共に任せるわよ。」

 

純「良いんですか?俺が出ても?」

 

華琳「ええ、構わないわ。あなたも久しぶりに暴れたいでしょうし。」

 

純「お気づきでしたか。分かりました。」

 

季衣「は・・・はいっ。頑張ります。」

 

柳琳「そう緊張しなくても大丈夫ですよ。」

 

栄華「そうですわ。私達もいるのですし、気持ちを楽になさいませ。」

 

純「では作戦を開始する!各員持ち場につけ!」

 

そして、それぞれが作戦で決めた持ち場に行く準備を始めたのだった。

その途中

 

純「秋蘭、ちょっと良いか?」

 

秋蘭「はい。」

 

純は秋蘭を呼んで、

 

純「いつものことだが、春蘭の手綱はしっかり握っておいてくれ。後華侖もな。」

 

といった事を伝えた。

 

秋蘭「分かりました。お任せ下さい。」

 

純「後最近お前の働きを見てないからな。久しぶりに見させてもらうぞ。ただし、力むなよ。」

 

秋蘭「はっ!」

 

そう言って、秋蘭に檄を飛ばした。

そして

 

純「栄華。」

 

栄華「はい。」

 

今度は栄華を呼んで、

 

純「柳琳と共に、援護は頼んだぞ。」

 

栄華「お任せ下さいまし!」

 

純「気負う事はない。いつも通りやれ。」

 

栄華「はい!」

 

栄華にそう伝えたのだった。

 

純「稟、風。部隊を率いて初の実戦だ、任せたぞ。ただし、気負わず、落ち着いてやるんだぞ。」

 

稟「はっ!」

 

風「お任せ下さい~!」

 

そして、純は他にも、将兵を激励していったのだった。

 

 

 

 

 

 

戦いの野に激しい銅鑼の音が響き渡ったのだが、

 

華琳「・・・。」

 

純「・・・。」

 

栄華「・・・。」

 

柳琳「・・・。」

 

相手は銅鑼の音で勘違いをした賊は、城門を開けて飛び出してきたのだった。

 

華琳「・・・桂花。」

 

桂花「はい。」

 

純「連中、今の銅鑼を出撃の合図と勘違いしたんじゃねーか?」

 

桂花「はぁ。恐らくは。」

 

栄華「所詮、臭くて汚いオスの振る舞いですもの。お手どころか、待ても躾けられていないに決まっていますわ。」

 

純「栄華の意見に同感だな。ホイホイ挑発に乗りすぎだ・・・。俺でも乗らねーぞ。」

 

柳林「・・・挑発も名乗りも必要ありませんでしたね。」

 

純「姉上、挑発の言葉って、考えてましたか?」

 

華琳「ええ。そういう作戦だったもの、一応ね。大した内容ではないから、次の賊討伐にでも使い回すことにするわ。」

 

純「次の討伐の時も同様、銅鑼鳴らすだけで出てくれたら楽ですね。」

 

華琳「それもそれで良いわね。」

 

その時

 

季衣「曹操様!曹彰様!敵の軍勢、突っ込んで来ましたっ!」

 

季衣から敵が突っ込んで来たとの知らせが入った。

 

純「・・・まあ良いだろう。多少のズレはあったけど、こちらは予定通りにするまでだ。」

 

桂花「総員、敵の突撃に恐れをなしたように、うまく後退なさい!距離は程々に取りつつ、逃げ切れないように!」

 

 

 

 

春蘭達別働隊

 

 

 

 

華侖「華琳姉ぇと純兄の本隊、下がり始めたっすー!」

 

春蘭「やけに早いな・・・。ま、まさか・・・華琳様と純様の御身に何か・・・!?」

 

秋蘭「心配しすぎだ、姉者。隊列は崩れていないし、相手が血気に逸りすぎて、作戦が予想以上に上手くいった・・・そういう所だろう。」

 

春蘭「そ、そうか。ならばそろそろ・・・。」

 

華侖「突撃っすか?突撃するっすか?」

 

香風「まだ。相手をちゃんと引き付けてから。」

 

華侖「おおー。みんな勢いよく逃げてるっすねー。」

 

香風「あ、純様だ。おーい。」

 

秋蘭「見ろ姉者。あそこに華琳様と純様も健在だ。季衣もちゃんとお二人を守る位置にいるぞ。」

 

春蘭「おお・・・。良かった・・・。」

 

華侖「あ、次が来たっす!」

 

春蘭「・・・これが、敵の盗賊団とやらか。」

 

秋蘭「隊列も何もあったものではないな。」

 

華侖「秋姉ぇ、もう突撃っすか?」

 

秋蘭「まだだ。慌てるな。」

 

春蘭「しかし、ただの暴徒の群れではないか。この程度の連中、やはり小難しい作戦など必要なかったな。」

 

秋蘭「そうでもないさ。作戦があるからこそ、我々はより安全に戦うことが出来るのだからな。」

 

華侖「うぅ、もう我慢出来ないっすー!突撃したいっすー!」

 

香風「根性の、見せ所。頑張って。」

 

春蘭「ううむ。これだけ無防備に突撃しているだけだと、思い切り殴りつけたくなる衝動が・・・。」

 

秋蘭「気持ちは分かるがな・・・あと一息だ。」

 

そして

 

春蘭「この辺りなら良いだろう!ちょうど横腹だぞ!」

 

秋蘭「うむ。遠慮なく行ってくれ。」

 

春蘭「ならば行くぞ、華侖、香風!」

 

香風「うん!」

 

華侖「わかったっすー!」

 

春蘭「秋蘭、後は任せるぞ。」

 

秋蘭「応。夏侯淵隊、撃ち方用意!」

 

春蘭「よぅし!総員攻撃用意!相手の混乱に呑み込まれるな!平時の訓練を思い出せ!混乱は相手に与えるだけにせよ!」

 

秋蘭「敵前衛に向け、一斉射撃!撃てぃっ!」

 

春蘭「統率の無い暴徒の群れなど、触れる端から叩き潰せ!総員、突撃ぃぃぃぃっ!」

 

攻撃が始まった。

 

 

 

 

 

本隊

 

 

 

 

 

柳琳「お兄様、後方の崖から春蘭様の旗と、矢の雨が!敵の足が一気に止まりました!」

 

純「流石秋蘭。上手くやった。」

 

華琳「ええ、そうね。」

 

季衣「春蘭様は?」

 

桂花「華侖と一緒に突撃したくてうずうずしている所を、秋蘭と香風に抑えられていたんじゃないの?」

 

純「そうだな。」

 

純「さて、お喋りはここまでだ。この隙を突いて、一気に畳みかけるぞ。」

 

桂花「はっ!」

 

華琳「季衣、あなたの武勇、期待させて貰うわね。」

 

季衣「分っかりましたーっ♪」

 

華琳「純、『黄鬚』の力、久し振りに見せて頂戴。」

 

純「御意。稟!風!後は任せたぞ!」

 

稟「はっ!!」

 

風「はい~!!」

 

 

柳琳「では、私達も出ます。」

 

純「おお。虎豹騎の出番か。」

 

柳琳「はい。隊の皆さんが、任せて欲しいと。」

 

栄華「・・・柳琳の隊は、打撃力ならお兄様率いる黄鬚隊と夏侯惇隊にも負けませんからね。」

 

純「確かにな。ならば、そこは任せたぞ。総員反転!衆ですらない烏合の者どもに、本物の戦が何たるか、骨の髄まで叩き込んでやれ!」

 

純「総員、突撃っ!」

 

兵士「「「おおおおおぉぉぉ!!!」」」

 

そして、盗賊団を根絶やしにする戦いが始まったのであった。

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