内容を一部大幅に変えました。
その理由ですが、前回投稿したお話の後の次のお話が中々纏まらず、それなら少し変えてみるかと思いたった次第です。
予告も無く突然変えてしまい、大変申し訳ございません。
少し違和感あるかもしれませんが、どうぞ。
孫軍は、総大将である孫策の他に周瑜、黄蓋、程普、太史慈を中心とし、合計十万の兵を率いて出陣した。
といっても、この十万の兵はあまり士気が高くなく、何より
程普(もし私があの場にいれば・・・このように出陣する事は無かったかもしれない・・・)
この中で、程普は決戦には反対の方であり、戻ってきた時に話を聞いた時、孫策に反対を唱えたのだが耳を貸してくれなかった。
程普(このまま戦ったら・・・我が軍は壊滅的被害を被るわ・・・仮に勝っても、この江東に・・・私達の居場所は・・・)
程普は、そう思い悩んでいたのだが
程普(けど・・・もう覆らない・・・。なら・・・この命を以て、戦うまでだわ・・・)
しかし、程普は武人然とした雰囲気に切り替わり、戦う事を決意したのだった。
建業
孫権「・・・。」
その頃、孫権は一人玉座の間にて悩んでいた。
孫権(確かに私達は曹彰と比べて騎馬や歩兵といった陸での戦闘は足元にも及ばない。しかし水軍が得意で、曹彰の軍と比べたら一日の長があるわ。加えて長江という要害がある。それは確かだわ・・・)
孫権(けど・・・雷火の言う通り、曹彰はこれまで数多くの戦を経験した勇猛な歴戦の総帥。それに従う将兵全て剽悍で死をも恐れない百戦錬磨の精兵揃いで、まるで兄弟や友の如く強固な繋がりと結束力がある。それに比べて、我らは降伏派と主戦派に分かれて纏まっていないし、江東を取り戻して以来殆ど戦を経験していない。)
孫権(何より・・・私達には大義が無いわ・・・どうすれば良いの・・・!)
それは、今回の戦に関する事で悩んでいた。
将兵の精強さは比べものにならず、加えて内部は纏まらずにガタガタであり、戦の大義名分も無いのだ。
そんな状態で戦に臨んでいるため、張昭の意見も聞いた身としては、不安が渦巻いていたのだ。
甘寧「蓮華様・・・」
呂蒙「・・・。」
その様子を、甘寧と呂蒙は傍で複雑な表情で見ていた。
その時
張昭「失礼します。」
張昭が現れた。
それも幾らかの兵と文官を引き連れてだった。
甘寧「蓮華様!」
それを見た甘寧は、咄嗟に前に出て鈴音の柄を握り
呂蒙「動いてはなりません!」
呂蒙も、孫権の前に立って袖の中からいつでも暗器を放てるようにした。
「孫権様。一緒に参りましょう。甘寧殿と呂蒙殿も!」
文官が、そう孫権達に言った。
孫権「これはどういう意味だ!」
孫権の問いに
「言う通りにしていただければ、手荒な真似は致しませぬ!」
文官はそう答えた。
甘寧「それ以上一歩も蓮華様に近付くな!もし従わないなら、この私が斬り捨てる!」
これに、甘寧はそう強く言い、鈴音を抜いて構え、一触即発の雰囲気になった。
張昭「止めるのじゃ、思春!!」
その時、張昭が現れ、甘寧らの前に立った。
呂蒙「雷火様!あなたが主導したのですか!」
張昭「そうじゃ!亞莎、お主は軍師になってまだ日が浅いが、よく分かっておるじゃろう!この戦は勝てぬと!」
張昭「故に、儂らは曹彰に投降する!」
張昭は、純に投降すると言った。
孫権「しかし雷火!この事、もし雪蓮姉様と冥琳達に知られたら・・・!」
孫権のこの言葉に
張昭「分かっております!」
孫権「っ!」
張昭「分かっておりまする・・・!しかし・・・これも全て大殿が愛した江東の民の為・・・江東の明日の為です!!」
張昭は、全ては江東の為であると言った。
この言葉に
孫権「・・・。」
孫権は何も言えず、そのまま項垂れてしまった。
そして、暫くすると
孫権「思春・・・剣を下ろしなさい。」
孫権は、苦渋の表情を浮かべながら甘寧に鈴音を下ろすよう命じた。
甘寧「れ、蓮華様!」
これに、甘寧は何か言おうとしたが
孫権「甘興覇!命令よ、剣を下ろしなさい。」
孫権に強く言われ
甘寧「っ!」
甘寧は鈴音を下ろした。
孫権「これで良いのね、雷火?」
張昭「・・・はい。」
孫権「なら・・・思春、残ってる兵全てを束ねなさい。」
思春「御意。」
孫権「亞莎。雷火と共に文官を束ねて。また、シャオの様子を見てきてね。」
呂蒙「・・・御意。」
張昭「御意。」
そして、孫権は二人にそう命じた。
命を受けた張昭と呂蒙は、孫尚香の様子を見に牢に行くと、見張りの兵が倒れており、牢の扉が開かれ、もぬけの空だった。
これに張昭と呂蒙が見張りの兵を起こすと、兵は驚き事情を説明した。
曰く、突然首筋に衝撃を感じ、すぐに目の前が真っ暗になってしまい、気が付いたらこのようになっていたということだった。
それを聞いた張昭と呂蒙は、孫尚香が見張りの兵を手刀で気を失わせ、鍵を取って牢から脱出したのだと察し、すぐさま孫権に報告した。
それを聞いた孫権は、慌ててすぐに追い掛けるよう命じたのだった。
この時、孫尚香は
孫尚香「はあ!はあ!はあ!」
自身の武器である月華美人を持って、馬を必死に走らせていた。
孫尚香(蓮華姉様・・・ごめんなさい・・・私・・・もうこうするしか道が無いの・・・!)
孫尚香が牢の中で壊れた人形のようになり、そして考えた結論。それは
孫尚香(すぐに雪蓮姉様と合流して、一緒に曹彰を討ち取る!それが・・・私が悪夢から解放され、母様が守ってくれた江東を大変な目に合わせてしまった償いよ!)
純を討ち取り江東を守る事が自らの罪滅ぼしであるという事だった。
孫尚香(だから・・・ごめんなさい・・・!)
そう心の中で謝罪して、馬を走らせた。
曹彰軍陣営
純「はああああっ!!」
「「「うわあぁっ!!」」」
「「「やあああっ!!」」」
純「はっ!たああっ!!」
純はその頃、兵と一緒に鍛錬を行っており、汗を流していた。
「やあああっ!!」
一人の兵士が、槍で突こうとしたが
純「んっ!」
純は、その突きを避け、槍を握り
純「おりゃああっ!!」
「うわああっ!!」
彼を倒した。
純は、その兵に
純「良い突きだ!!戦場での働き、期待してるぞ!!」
そう激励し
「はっ!!閣下のため、命を懸けて身を粉にして頑張ります!!」
彼は、目を輝かせやる気に満ち満ちた表情で答え、槍を構えた。
純「お前らも、中々良い攻撃をする!!天晴れだ!!さあ、どんどん来い!!」
そう、純は周りの兵士に言うと
「「「はいっ!!!」」」
兵士はそう返事をし
「「「はああああっ!!!」」」
純に向かったのだった。
「「「行け!!行け!!行け!!行け!!」」」
周りの兵も、互いに声援を送っており、その場は強烈な熱気に包まれていた。
その様子を見ていた
稟「純様はその圧倒的な武と覇気を前面に押し出すお方。それは、多くの将兵を魅了し熱狂させる。」
稟「欠点と言ったら・・・知恵が足りないのと、直情的な所ですね。」
稟はそう呟いていた。
その時
「郭嘉様。」
稟の隠密が現れ
稟「あなたですか。ここではマズイです。場所を移動しましょう。」
稟は人気の無い場所へ移動した。
稟「首尾はどうですか?」
稟はすぐさまそう尋ねた。
「はっ。張昭ら降伏派を上手く抱き込みました。」
それを聞いた隠密は、そう稟に報告した。
その報告は、張昭ら降伏派を抱き込み、降伏派で建業を抑えさせたという事だ。
これら全て稟が独自で策を練り、実行した事だ。
しかし、純や他の皆には何も言わずに実行した事でもあった。
「また、郭嘉様のご指摘通り、こういった情報が孫策らに漏れないよう、建業の周りを固めておきました。」
稟「ご苦労です。あなたは下がって休みなさい。」
「御意。」
報告を聞いた稟は、そう隠密に言い、隠密はいずこへ消えたのだった。
稟「フフッ・・・分裂した状態で戦に臨むとは・・・まさに愚の骨頂。これで孫策らは戻る場所が無くなりました。」
そう、稟は冷徹な笑みを浮かべながら一人呟いたのだった。
秋蘭「・・・来たか。」
美咲「ああ。敵さん、来ましたよ、副都督。兵には待機させ、軽はずみに動かないように厳命しておいた。」
同時期に、秋蘭が美咲から孫策らが来たとの報告を受けた。
秋蘭「うむ。美咲はすぐに皆を集めてくれ。私は純様を連れて参らせる。」
美咲「そう言えば、閣下は何処にいるんだ?」
秋蘭「あのお方は兵と共に鍛錬をしている。」
それを聞いて
美咲「・・・閣下は噂通りの根っからの武人なんだな。」
美咲はそう素直に述べた。
秋蘭「そういうお方なのだ。それでは、連れて参りに行って来る。」
美咲「はいよ。」
そう言い、秋蘭は外に出て純を探すと
純「はっ!とりゃああっ!!」
「「「はああああっ!!」」」
すぐに純を見つけ
秋蘭「純様。」
と声をかけた。
これに気付いた純は
純「おお、秋蘭!鍛錬に参加・・・ってわけじゃなさそうだな。得物持ってねーし。」
秋蘭の様子を見てそう言うと
純「お前ら、鍛錬は終わりだ!下がれ!今日の鍛錬の成果、戦で存分に発揮しろ!」
兵士にそう檄を飛ばした。
「「「はっ!!ありがとうございます!!」」」
これに、兵士全員拱手しお礼を言うと、皆解散した。
純「どうかしたのか、秋蘭?まさか、敵が現れたのか?」
純は、秋蘭にそう尋ねると
秋蘭「その通りです。純様、孫策らが水軍を率いて現れました。」
と秋蘭は言った。
純「やっと来たか・・・ここんところ、戦が無いから退屈してたところだ。お陰で身体が鈍っちまう。だから、こうやって皆と鍛錬しているんだ。こうして鍛錬して汗を流していると、戦場に出てる感覚になって気分が良い。」
純は、そう汗を拭いながら言った。
秋蘭「その滾り、是非戦場にて発揮して下さい。さあ、行きましょう。」
純「ああ!」
そう言われ、純は秋蘭と一緒に天幕に戻ったのであった。