何とか建業に到着した孫策達。
張昭「そうか・・・雪蓮様が帰ってきたか。」
「はい。」
張昭「なら、手筈通りじゃぞ。」
「はっ!」
その知らせを聞いた張昭は、兵に指示を下した。
そして
張昭「蓮華様。お辛いでしょうが・・・」
孫権に目を向け言うと
孫権「構わないわ。最終的にこの決断を下したのは私。あなたが気を遣う必要は無いわ。責めを負うのは私で良いわ。」
孫権「例え、百年千年先私が卑劣な者だと蔑まれても、この江東が平和になれば構わないわ。」
孫権は、覚悟を決めた表情で言った。
甘寧「・・・蓮華様。」
呂蒙「・・・」
その覚悟を、甘寧と呂蒙は堪える表情でいたのだった。
そして、城門前では
孫策「私が帰ってきたわ!門を開けなさい!」
孫策が馬上でそう声高らかに言った。
すると
「奸賊が帰ってきたぞ!矢を放て!」
門の上にある櫓で、隊長格の人がそう指示を下すと、兵が一斉に矢を放った。
これにより、一部の兵が矢に当たった者もおり
孫策「ちょっと!誰と間違えてるのよ!私よ!」
孫策は、驚き慌てた表情を浮かべながら言った。
張昭「逆賊孫策!ここはもうお主の城では無い!我々が、曹彰ら官軍に献上する!無論、江東全てじゃ!」
すると、張昭が現れて孫策に対しそう敵意を向けた目で言った。
孫策「何ですって!?」
周瑜「っ!?」
太史慈「どういう事・・・!?」
程普「そんな・・・!?」
孫尚香「ら、雷火・・・!?」
これには、孫策を中心に周瑜達も絶句した。
孫策「雷火!何馬鹿な事を言って・・・っ!」
孫策が何か言おうとしたその途中、すぐ矢が放たれ自身が乗ってる馬の足下に刺さった。
張昭「逆賊に我が真名を呼ばれとうは無い!また真名を言えば、お主達の身にこの矢が貫くぞ!」
そう言った張昭に続き、兵達はいつでも放てるよう構えた。
孫策「蓮華に会わせなさい!あの子と話をしたいわ!」
孫策は、妹の孫権に会わせて欲しいと言ったが、再び足下に矢が刺さった。
張昭「主の真名を呼ぶとは何たる不敬か!主孫権は、もうお主達には会わぬ!この決断を下したのも全て主孫権!官軍に弓引く者は、最早姉と妹にあらず!」
張昭「逆賊として討つと言った!」
張昭「故に、お主達には会わぬ!」
張昭は、孫策の言葉に耳を貸さなかった。
その時
??「雷火。」
張昭の背後から声が聞こえたので振り向くと
張昭「蓮華様!?」
孫権がそこにいた。
孫権「少しだけ会いたいわ。」
張昭「しかし・・・!」
孫権「雷火。」
張昭「・・・御意。」
そして、孫権は張昭と入れ違えて現れた。
孫策「これはどういう事なの!?」
孫策は、妹の姿を見るやそう叫ぶように言うと
孫権「今からお前達は姉や妹、ましてや同じ主従にあらず!全てこの江東に仇なす逆賊だ!速やかにここを立ち去れ!さもなくば、全員ここで殺す!」
孫権は、非常に冷酷な表情で見下ろしながら孫策達に言った。
孫策「何言ってるの、蓮華!?」
孫策がそう孫権の真名を言うと、また足下に矢が刺さり
孫権「我が真名を穢すな!逆賊に我が真名を呼ばれるなど、侮辱以外の何物でも無い!」
孫権は、そう敵意を込めた表情でそう言った。
孫尚香「れ、蓮華ねえ・・・っ!」
孫尚香も何か言おうとすると、頬に矢が掠り、頬が切れて血が出た。
孫権「真名を穢すなと言った筈だ!我慢が出来ない!全軍、矢を放て!逆賊を全て討ち取れ!!」
孫権は、怒りの表情で兵に命令すると、兵は全員矢を放った。
「「「ギャアアアッ!!!」」」
「「「う、うわああああっ!!!」」」
これにより、多くの兵が矢の犠牲になり
孫策「や、止めなさい!」
孫策も、南海覇王を抜き矢を捌いたのだが
ドシュ
孫策「ウグッ!」
右腕に矢が刺さってしまい、南海覇王を落としてしまった。
周瑜「雪蓮!」
周瑜が、これに慌てて駆けつけ
孫尚香「そ、そんな・・・イヤ、イヤアアアアッ!!」
孫尚香は、最早半狂乱状態になった。
そして、孫策達はその場を離れ呉郡に向かったのだった。
孫権は、その裏で口元を抑えながら大粒の涙を流したのだった。
その頃、純達は
純「孫策が呉郡へ逃げた?」
秋蘭「はい。建業に向かうも追い出され、孫策はやむを得ず呉郡に向かったそうです。」
孫策が建業を追い出された事に、純は驚きを隠せなかった。
純「建業は孫策らの拠点。何で追い出されるんだ?」
純は、疑問を抱いた。
楼杏「恐らく、孫策は家中を纏めずに私達に挑んだのではないかしら?」
純「纏めきれず?」
楼杏「ええ。恐らく、戦うべきか和睦すべきかで分かれ、強引に戦う事を決断したとしか。」
純「成程・・・それで降伏したい連中が、敗戦の知らせを聞いてこの機に乗じ、建業を乗っ取ったってわけか。」
楼杏の言葉に、純は納得した。
稟「純様。これはまたとない機会です。今すぐに呉郡を攻め孫策らを討ち取り、その首を陸口にて散っていった同志の御霊に捧げましょう。」
稟は、純にそう進言した。
純「良し・・・進軍を急ぐぞ!」
「「「はっ!!!」」」
純「さて・・・もうひと暴れするか。この太刀が、早く戦場で敵を斬らせて血を吸わせろと言ってるし、俺自身も早く敵を斬り殺したくて疼いているわ。」
純は稟の進言を受け入れると、すぐさま太刀を握って覇気を噴き出しながら獰猛な笑みを浮かべそう言った。
秋蘭「純様。あまり戦の虜になりすぎて本来の目的をお忘れになりませんように・・・」
この様子に、秋蘭はそう注意した。
純「分かってる。姉上に勝利を捧げ、覇道を達成する。それが俺の役目だ。姉上と幼き頃約束したしな。」
純「だが、俺にとって戦は生きがいだ。俺が最も力が漲り、奮い立たせる事だ。」
純「生きてるって証明できる唯一のな。はっ!」
純は生き生きしながら言うと、馬の横腹を蹴ってスピードを上げて走り、それに続いて全軍将兵もスピードを上げたのだった。
秋蘭「・・・はあ。」
この様子に、秋蘭は少し呆れた表情浮かべつつ、思慕の笑みを浮かべながら馬を走らせた。
稟「相変わらずですね。」
その時、稟が秋蘭にそう話しかけ
秋蘭「ああ・・・昔から本当に変わらない。どんな立場になっても、誰よりも将兵を思い、誰よりも強く・・・」
秋蘭「本当に・・・変わらない・・・」
秋蘭は、想い人を見るかのように純の後ろ姿を見ており
稟「そうですね・・・」
稟も同様の表情を浮かべていた。
すると
秋蘭「だからこそ気になることがある。」
秋蘭「稟。今回の一連の流れ・・・お前が何かやったな?」
秋蘭は切り替え少し厳しい表情でそう稟に聞いたのであった。