桂花に禅譲を迫られ、図讖を携えて劉協と共にその場を後にした霊帝。
霊帝「そんな・・・何で皆は、朕の味方にならないの・・・!」
霊帝「朕は・・・皇帝なのに・・・何で皆は・・・!」
霊帝は、部屋の中で恐怖の表情を浮かべながら同じ事をブツブツと繰り返し呟いていた。
劉協「姉様・・・」
側にいる劉協は、姉であり皇帝でもある霊帝の様子に、何とも言えない表情を浮かべていた。
霊帝「ねぇ・・・白湯。」
劉協「はい。」
霊帝「何故・・・皆は朕の味方にならないの・・・?」
霊帝「朕は・・・この国の皇帝・・・なのに何故・・・漢を滅ぼそうとするの・・・?」
霊帝は、劉協にしがみつきながら尋ね
劉協「・・・」
劉協は何も言えなかった。
すると
霊帝「・・・せば良い。」
劉協「はい?」
霊帝が何か呟いたので聞くと
霊帝「殺せば良いのよ、曹操を・・・」
霊帝が、華琳を殺せば良いと言った。
劉協「ね、姉様!?」
霊帝「そう!曹操を殺せば・・・皆の目が覚めるはず・・・!」
霊帝「そうすれば・・・皆の目が覚め、皆朕を皇帝として認め、漢室は再び甦る・・・!」
霊帝は、狂気を宿らした目をしながら唱えた。
劉協「ね、姉様!そのような事・・・」
霊帝「出来るわ!何故なら朕は、皇帝なのよ!」
霊帝「皇帝である朕の命令は絶対!皆朕の命令に従うわ!」
霊帝「朕自ら認めるわ!天下の義士達に、曹操を殺せと!」
霊帝「アハハハ!」
霊帝は、狂ったような笑い声を上げたのだった。
そして、霊帝は僅かに残る自身の味方を密かに呼び寄せ、華琳の暗殺の命令を下した。
霊帝「そなた達が頼りよ!曹賊を殺し、漢を救うのよ!」
「「「ははっ!!必ずや、陛下のご期待に応えてみせます!!」」」
漢室の事を第一に考え、華琳達を憎んでる者達は、霊帝の言葉に涙を流し、必ず成功してみせると言った。
しかし、彼らは知らなかった。
稟「成程・・・確かなのですね。」
「はっ。陛下は、曹操様を暗殺し、漢室を一掃するとの計画です。」
この極秘の計画は、既に稟によって知られていた事を。
実を言うと、稟は桂花が禅譲を迫っているのを聞き、次に霊帝達が打ってくるであろう手を先読みしていたのだ。
稟「ご苦労でした。下がってください。」
そして、隠密を下がらせると、すぐに純のいる兵舎に向かった。
稟「純様。火急のお知らせです。」
純「何だ、稟?」
稟の訪問に、純は疑問に感じ尋ねた。
稟「はい。陛下が、曹操殿を暗殺する計画を立ててるとの事です。」
稟は、霊帝による華琳の暗殺計画を立てていると言った。
純「何!?」
純は、驚きのあまり目を見開いた。
秋蘭「なっ!?」
楼杏「何ですって!?」
霞「何やて!?」
凪「何と・・・!?」
真桜「何やそれ!?」
沙和「なのー!?」
この時、偶然一緒にいた秋蘭と楼杏に霞、そして三羽烏も、純と同様の反応を示した。
純「確かなのか!」
純は、稟に詰め寄るように尋ねると
稟「私の隠密からの情報です。間違いありません。」
稟は冷静に返した。
純「秋蘭!」
秋蘭「はっ!」
純「すぐに兵を集めろ!宮城を攻める!」
純は、怒りの表情を浮かべながら秋蘭に兵を集めるよう命じた。
秋蘭「しかし純様!相手は陛下です!」
しかし秋蘭は、陛下相手に兵を向けるのはまずいのではと言ったが
純「構うか!俺にならまだしも、姉上に刃を向ける者は、例え陛下でも許せねー!」
華琳を殺そうと企む者は、誰でも許せないと言った。
秋蘭「・・・御意!」
秋蘭は、純の気迫に押されるも、彼女は命令に従ったのだった。
その同時刻
華琳「それは確かなのね、燈。」
燈「はい、事実でございます。陛下が、華琳様暗殺計画を立てている事を。」
華琳の元にも、霊帝の計画が入っていた。
実を言うと、この計画を偶然知った華琳寄りの者達が、宮城から命からがら逃げ出して報告したのだ。
華琳「さて・・・どうしたものか・・・」
華琳は、ため息をつくように呟くと
春蘭「華琳様!そんなのんびりとした事を言っている場合ではありません!一刻も早く討伐を!」
春蘭が、怒りの声で討伐を進言した。
華侖「春姉ぇの言う通りっすよ!華琳姉ぇ、すぐに兵を送るっすよ!」
華侖も、春蘭同様討伐を進言した。
彼女達からしたら、暗殺の計画は許せるものではなかった。
柳琳「春蘭さん!姉さん!相手は陛下なのよ!」
栄華「そうですわよ!確かにお姉様の暗殺は許し難い事!けれど、相手が相手ですわ!」
しかし、柳琳と栄華は、相手が相手だと言い、二人を止め
桂花「アンタ達ね、確かにこの計画は許せるものではないわ!けど、相手は陛下なのよ!」
桂花も同様だった。
春蘭「じゃあ、このまま手をこまねいていろって言うのか!」
華侖「そうっすよ!このままじゃ、華琳姉ぇがやられてしまうっすよ!」
しかし、春蘭と華侖は一歩も引かなかった。
華琳「春蘭、華侖。あなた達の怒りは尤もよ。」
華琳「けど、これ以上事を大きくするのはあまり良くないのよ。」
華琳は、桂花と立てた禅譲の計画の成就の為、非常に気を使って工作を行なっていたのだ。
今回の件で、無理に禅譲ならぬ退位を迫ったら、あまり体裁が良くないと思って決断を下せなかったのだ。
春蘭「宮城を包囲すべきです!」
華侖「華琳姉ぇ!」
桂花「待ちなさい!」
柳琳「落ち着いて、姉さん!」
彼女達が激しく論議を交わしていたその時だった。
風「華琳様!大変です〜!!」
風が、珍しく小走りかつ慌てた表情を浮かべながら現れた。
春蘭達も、風に注目した。
この時春蘭達は失念していた。今回の件で、自分達以上に強硬に且つ怒ってる者がいる事を。
華琳「どうしたの?」
風「純様が・・・宮城に攻め込みました〜!!」
華琳「何ですって!?」
風の報告に、華琳は驚き立ち上がった。
華琳だけじゃない。
春蘭「なっ!?」
華侖「純兄ぃ!?」
柳琳「っ!?」
栄華「お、お兄様が!?」
皆も同様に驚いていた。
風「秋蘭様達五千程の精兵を引き連れました〜!!突破は時間の問題です〜!!」
風の報告を聞き
華琳「すぐに止めないと!!あの子、陛下を殺しかねないわ!!」
華琳「馬を用意しなさい!!」
華琳は慌てて動き出し、春蘭達も急ぎ支度をしたのであった。