恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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15話です。


15話

謁見の間

 

 

 

泰山郡に遠征に出ていた秋蘭達が戻ってきて少し経った朝議でのこと。

 

秋蘭「・・・純様、それは本当ですか?」

 

純「ああ、本当だ。姉上が苑州の正式な州牧にならねーかっていう話が来た。」

 

華琳「それも正式にね。」

 

すると

 

春・華・季「「「おめでとうございます、華琳様/姉ぇ!」」」

 

春蘭と華侖、そして季衣がそれぞれ即答して祝いの言葉を述べた。しかし

 

秋蘭「・・・。」

 

柳琳「・・・。」

 

桂花「・・・。」

 

稟「・・・。」

 

風「・・・。」

 

即答した三人以外は、なんとも言えない微妙な表情を浮かべていた。

 

季衣「はれ?秋蘭様達は、賛成じゃないんですか?」

 

華侖「えー。華琳姉ぇが州牧になったほうが絶対いいっすよー!柳琳はイヤなんすか。」

 

柳琳「うん・・・。それ自体は、すごくいいお話だと思うんだけど。」

 

桂花「・・・それは、一体誰からの申し出ですか?とても苑州の現州牧が華琳様に申し出るとは思えませんが・・・」

 

その質問に華琳は

 

華琳「陳珪よ。」

 

そう答えた。

 

桂花「・・・やはりですか。」

 

純「いくら頭の悪い俺でも分かる。これは姉上しか得しねーぞ。」

 

栄華「はい、お兄様の言う通りですわ。」

 

稟「はい、私もそう思います。どう考えても、曹操殿しか得しません。」

 

風「風も稟ちゃんと同じ意見ですね~。」

 

栄華「苑州と何かしらの同盟を結ぶつもりでも、今の無能な牧を好きに操る方が何かと都合が良いでしょうに・・・」

 

すると

 

季衣「ねえねえ、香風。ちょっと良い?」

 

香風「んー。」

 

季衣「陳珪って人、確か豫州の沛国の相だよね?」

 

香風「そう。」

 

季衣「なんで、他の州の人が苑州の州牧を決められるの?」

 

季衣が香風にそう質問すると

 

香風「それが・・・、政事の闇。」

 

と香風がそう答えた。

 

季衣「まつりごとのやみ・・・。」

 

春蘭「・・・秋蘭。」

 

秋蘭「私にも分からん。豫州の州牧が口添えというならまだしも、一国の相がそこまで力を持てるとも思えんが・・・」

 

純「姉上、確か陳珪は色んな所に繋がりがあると仰ってましたし、恐らく朝廷にも・・・」

 

華琳「ええ、そうかもしれないわね。」

 

華侖「じゃあ華琳姉ぇはどうするっすか?州牧にはならないっすか?」

 

華琳「当然、引き受けるに決まっているわ。」

 

しかし

 

桂花「反対です!せめて、もう少し情報を集めてから・・・」

 

栄華「それに、泰山での綱紀粛正の噂も既に出回っています。今州牧を引き受ければ、民草はまだしも他の太守からより多くの反感を買うことに・・・」

 

桂花と栄華が時期尚早であると反対した。

 

華琳「反感など、いつ牧になったとしても起こるものよ。だとしたら、早い方が良いでしょう。」

 

桂花「それはそうかもしれませんが・・・!」

 

華琳「たとえこの先に陳珪の策が控えていたとしても、食い破れば良いだけ。そこで陳珪の策に潰えるなら、私の器もそこまでという事だわ。」

 

そう淡々と言い切る華琳の前に

 

桂花「・・・。」

 

食い下がっていた桂花は黙った。

 

華琳「・・・さて、他に異論の有るものはある?」

 

そう華琳が問うと

 

柳琳「・・・お姉様がそこまでのお覚悟なら。」

 

栄華「ですわね。私達の命、既にお預けしていますもの。」

 

桂花「その策を食い破る策は、私が献じさせていただきます。」

 

皆それぞれそう言った。

 

華琳「・・・純は?」

 

純「俺は難しい事はさっぱり分かりませんが、俺は姉上を信じるだけです。ただ、命の懸け所は見誤らないで下さい。」

 

華琳「それは貴方達の働き次第ね。」

 

華琳「桂花、陳珪に遣いを出しなさい。その申し出、慎んで受けさせていただく、とね。・・・人選は任せるわ。」

 

桂花「・・・はっ。承知致しました。」

 

 

 

 

あれから数日後

 

 

 

 

純「・・・暇だ。」

 

稟「仕方ありません。気長に待つしかありませんよ。」

 

風「ぐぅ~。」

 

稟「寝るな!」

 

風「おお!気持ちよくて遂・・・」

 

稟「全く・・・」

 

すると

 

春蘭「おお、純様。早かったですね。」

 

春蘭と桂花が来た。

 

純「ああ、春蘭か。姉上と秋蘭は?・・・あれか?」

 

春蘭「はい。髪のまとまりが悪くて、今栄華と柳琳に整えさせています。」

 

純「そうか・・・。しかし、もし髪がまっすぐになれる物が出てきたら、ゼッテー姉上は買うだろうな。」

 

春蘭「そうですね。しかし、そのような物、大陸のどこに探してもありませんよ。」

 

純「それもそうか・・・。しかし、姉上ももう州牧か・・・」

 

春蘭「どうかなさいましたか?」

 

桂花「何か気になることが。」

 

純「あ、ああ。姉上も州牧になったから、これからメンドーな問題が起きると思ってな。その時は、頼りにしてるぞ。」

 

春蘭「お任せ下さい!先日華琳様がおっしゃったように、食い破るだけですから。」

 

桂花「・・・その食い破る策を考えるのは私なんだけどね。」

 

春蘭「どうした、華琳様のお役に立てるのだ。誇らしい事ではないか。」

 

桂花「そこは否定しないけど。」

 

稟「まあ、私はもし陳珪が純様に害をなす者であったら、この手で始末しますが。」

 

風「おお!稟ちゃんもなかなかえげつない事を言いますね~。」

 

純「はは。」

 

桂花「後は、情報収集に努めるしかないわね。・・・あまり借りは作りたくはないのだけれど、中央の知り合いに当たってみるしかないか。」

 

桂花「まあ、今は中央も苑州周りの情報は欲しがるだろうし、それをエサにすれば何とかなるかしら・・・。」

 

純「ああ、確かお前の家は名門だったな。それ繋がりもあるか。」

 

桂花「はい。しかし、それだけではありません。前所属していた袁紹の所は、扱いは悪かったのですが、中央との繋がりも作ることが出来たので。」

 

純「なるほどね・・・」

 

すると

 

華侖「お待たせっすー!」

 

華侖の声と同時に華琳達がやって来た。

 

純「・・・。」

 

華琳「・・・何?」

 

純「いえ、春蘭から髪のまとまりが悪かったとお聞きしたので・・・。大丈夫でしたか?」

 

華琳「雨でも降るのかしらね?いつもと違うようにしかまとまらなかったのよ。・・・どう?貴方から見て変ではないかしら?」

 

純「栄華と柳琳が見て大丈夫なら、大丈夫だと思いますよ。それに、俺から見ても、特に変ではありませんし。」

 

栄華「当然ですわ。ちゃんとお手入れさせていただきましたもの。」

 

柳琳「はい。いくらやっても御髪が思うように落ち着かなくて、大変でしたけど。」

 

華侖「・・・あたしは何が違うのか全然わかんなかったっす。」

 

純「そ、そっか・・・」

 

華琳「ならいいわ。それに、州牧になったお陰で季衣との約束を一つ進められたのだもの。ひとまず、それで上出来よ。」

 

純「確かに・・・。ところで、季衣と香風は?」

 

その問いに

 

秋蘭「今朝、この辺りで怪しい人物の目撃証言が入ってきたのです。調査は私と姉者がするから街を見てこいと言ったのですが、聞かなくて。」

 

秋蘭がそう答えた。

 

純「ほお、怪しい人物・・・?」

 

華琳「太った大男と、痩せた小柄な男と、髭面の男の3人組だそうよ。」

 

純「ほお・・・。」

 

栄華「・・・流石にあの根城の壊滅から時間も経っていますし、可能性は限りなく低いでしょうけれど。」

 

華琳「それに珍しくもない外見だし、この陳留に戻ってくる理由も思い当たらないしね。」

 

純「確かにそうですね。」

 

純「そんじゃ、頑張ってる二人に土産を買って帰ってもバチは当たるまい。」

 

春蘭「なんだ、考えることは同じでしたか・・・。」

 

桂花「春蘭、別に観光に行くわけじゃないのよ。」

 

稟「そうですよ、純様。」

 

純「分かってるよ。視察をちゃんとやり、その上で土産を買うんだから。別に構いませんよね?姉上。」

 

華琳「仕事をちゃんとするならね。」

 

春蘭「はいっ!」

 

桂花「・・・返事だけにならなければいいけど。」

 

華琳「さて、揃ったのなら出かけるわよ。桂花、留守番、よろしくお願いね。」

 

桂花「華琳様ぁ・・・。なんで私はお留守番なんですかぁ・・・?」

 

華琳「貴女を信頼してるからこそよ。」

 

柳琳「桂花さん、私も残りますから。」

 

稟「桂花。私と風もいます。」

 

桂花「はぁ・・・。稟と風はともかく、柳琳は、街に行ってもいいんだけど。」

 

華侖「そうっすよ。あたしも柳琳と一緒に行きたかったっすー!」

 

柳琳「でも、誰かが残らないとでしょ?今度また、一緒にお買い物に行きましょ、姉さん。」

 

華侖「約束っすよ!!」

 

華琳「何かあったときの判断は貴女達に任せるわ。いいわね?」

 

桂花「はぁい。」

 

純「稟、風。頼んだぞ。」

 

稟「はっ!!」

 

風「はい~。」

 

そして、視察に行ったのだった。

 

 

 

 

 

城郊外

 

 

 

 

 

 

??「あれが陳留か・・・。」

 

??「やっと着いたのー。凪ちゃーん、もう疲れたのー。」

 

凪「いや、沙和・・・これからが本番なんだが。」

 

沙和「もう竹カゴ売るの、めんどくさいのー。真桜ちゃんもめんどくさいよねぇ・・・。」

 

真桜「そうは言うてもなぁ・・・全部売れへんかったら、せっかくカゴ編んでくれた村のみんなに合わせる顔がないで。」

 

凪「そうだぞ。せっかくこんな遠くの街まで来たのだから、みんなで協力してだな・・・」

 

沙和「うー。わかったのー。」

 

真桜「最近はなんや、立派な太守さんとその弟さんがおるとかで治安も良うなっとるみたいやし、いろんな所から人も来とるからな。気張って売り切らんと。」

 

凪「ああ。その太守様も州牧に格上げになったと聞いたし、街もずっと賑やかになっているはずだ。それにその弟さんは間違いなく『黄鬚』という異名で呼ばれている武勇の誉れ高い曹彰様だ・・・。」

 

真桜「凪はその曹彰様に憧れとるからなぁ。」

 

沙和「そーなのー。凪ちゃんったら、曹彰様の活躍を聞くたびに、恋する乙女みたいな顔になってるのー。」

 

凪「お、おい!別にそんな意味で聞いてはいないぞ!曹彰様は武人の鑑。私の目標であるだけだ。」

 

真桜「そんなこと言うて、本当はそんな関係になりたいくせに~。」

 

凪「ま、真桜・・・!」

 

真桜「はは!冗談や、凪!」

 

沙和「ねえねえ。そんなことより、この街がそんなに賑やかならみんなで手分けして売った方が良くない?」

 

凪「・・・なるほど、それも一利あるな。」

 

真桜「それじゃ、三人で別れて一番売った奴が勝ちって事でええか?負けたヤツは晩飯、オゴリやで!」

 

凪「こら真桜。貴重な路銀を・・・」

 

沙和「分かったのー!」

 

凪「沙和まで・・・。」

 

真桜「よっし。二対一で、可決ってことで!凪もそれでええやろ?」

 

凪「はぁ・・・やれやれ。仕方ないな。」

 

真桜「ほな決まり!」

 

沙和「おーなのっ!」

 

凪「・・・なら、夕方には門の所に集合だぞ。解散!」

 

 

 

 

陳留城下

 

 

 

 

??「はい!それでは、次の曲、聞いていただきましょう!」

 

??「姉さん、伴奏お願いね!」

 

??「はーい。お姉ちゃんに、お任せだよーっ♪」

 

秋蘭「ほぅ。旅芸人も来ているのか・・・。」

 

純「ああ。あれは東の歌か・・・。あちらからは来なかったしな。」

 

秋蘭「はい。そういう意味では、我々の働きが認められたのかもしれませんね。」

 

純「そうだな。」

 

栄華「特にあの方達は女性だけのようですし。道中は煩わしい男どもに絡まれる事も多いでしょうから・・・武芸に相当の自信があるか、よほど安全な道がないと来ないでしょうね。」

 

??「ありがとうございましたー!」

 

??「それでは次、もう一曲、いってみましょうか!」

 

すると

 

華琳「まあ、腕としては並という所ね。それより、私達は旅芸人の演奏を聴きに来たワケではないのよ?」

 

と華琳は言った。

 

純「そうでしたね。狭い街ではないので、手分けして見ていくのはどうですか?」

 

華琳「そうね。それで、どう分けるのかしら?」

 

純「そうですな・・・。では、姉上は俺と。春蘭は栄華と。秋蘭は華侖と組むというのはどうでしょう?」

 

すると

 

秋蘭「・・・純様。私と一緒では駄目ですか?」

 

少し不満そうな顔をした秋蘭がそう言ったのだった。

 

純「お前と二人で視察に行くんだったらまだしも、今回は別だ。違う視点で見ることも大事だと思う。それに、もし春蘭と華侖が組んだら、終わる視察も終わらなくなる。だったらこうやって組んだ方が良いと俺は思ったんだ。」

 

秋蘭「・・・そうですか。」

 

説明を聞いた秋蘭は、納得しつつも少ししょんぼりした感じになった。それを見た純は

 

純「そんな顔をするな、秋蘭。今度一緒に行けたら、一緒に買い物に行こ。なっ。」

 

そう言って、純は秋蘭の頭を撫でてやったのであった。秋蘭は目を細め擽ったそうにしているが、もっとしてくださいとばかりに擦り寄ってきた。

それを見た栄華が、羨ましそうな表情をしていたのは内緒である。

 

春蘭「純様!何故私は栄華と・・・!」

 

春蘭の不満に

 

純「・・・お前は自分の身くらい守れるだろう。」

 

純はそう返した。これに

 

春蘭「・・・うぅ。そういうことですか・・・。分かりました。」

 

春蘭は渋々ながら納得したのだった。

 

華琳「なら、決まりね。では、後で突き当たりの門の所で落ち合いましょう。」

 

純「分かりました。じゃあ秋蘭、また後でな。」

 

秋蘭「・・・あ・・・。んんっ、はい、分かりました。」

 

その時、秋蘭は一瞬寂しそうな表情をしたが、すぐに咳払いをして、いつものクールな顔に戻った。

そして、それぞれ別れて視察を始めたのであった。

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